月別アーカイブ: 5月 2013

玄関点景

今年2月に新築・引っ越しとなったわが家ですが、玄関に飾ったオオバクロモジ(大葉黒文字。クスノキ科)です。名前の由来でもある黒と緑のまだら模様の枝と、傘を広げたような形の黄緑色の薄手の若葉がたいへん繊細で、私は大好きな樹です。写真では分かりにくいですが、葉の下に黄色みを帯びた小さな花が咲いています。クスノキの仲間なので葉や枝・幹を裂くとかなり強い芳香があります。

玄関は1坪強の面積で窓はありませんが、外からの入口のドアと玄関から居間に入るドアが、いずれも四方枠だけでガラスを大きく使ったものなので、それを通して間接光がやわらかく差し込みます。壁は石灰ベースの左官材料をコテで塗りあげたもの。靴を脱ぎ履きする際の手すりをかねた、オニグルミの無垢材の棚板は無着色のオイル仕上げ。それらがいっそう落ち着いた空気をかもしだしています。

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デスクの木取

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東京の方からご注文いただいた家具=デスク(学習机)の製作を始めています。ご注文の分が1点、それとほぼ同じものが1点の、計2点です。先日クリ(栗)材でデスクの木取、ならびに第一次下拵えをしました。写真は素材のクリ板と、下拵えの終わった甲板と脚です(他に幕板と根太、抽斗の部材もあります)。

完成時の大きさが幅1100mm、奥行600mm、高さ640&700mmと小ぶりなため、甲板は柾目板3枚合わせでそれほど苦労せず木取できましたが、それより厚みが必要な脚はなかなかうまくいかずたいへんでした。干割れや大きな節などがあったためです。幅50cm、長さ2.3mほどもある大きなクリ板2枚から、脚を8本取るのがやっと。残材はほとんどみな薪ストーブ行きです。めげてしまいます。

 

中島台獅子ヶ鼻湿原 3

5月12日にハイキングに行った、鳥海山北面の中島台&獅子ヶ鼻湿原の続きです。遊歩道の「あがりこ大王」への分岐を往復したあと、さらに歩を奥にすすめると小さな尾根にあがります。遊歩道はここで左右に分かれますが、右回り・左回りともに獅子ヶ鼻湿原の外縁をぐるりと回ることができます(約50分)。湿原は26ヘクタールにおよび、天然記念物に指定されています。

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まずは左に入り「出壷(でつぼ)」を目指しました。出壷は湿原の最上流部に位置する大きな湧水の流出口で、丸い池の底からも水が勢いよく湧いて出ているように見えることから出壷と呼ばれているようです。上の写真の1枚目がそれで、手前が上流側です。以前は水辺まで近づいてその湧水に触れることができたのですが、やはり来訪者が多くなったために今は柵が設置されています。写真の2枚目は右端中央が出壷で、ここから左方(北側)に流れ出した湧水はあたり一面を湿原と化していきます。湧泉としてはこれが最大かと思いますが、ほかにも湧泉はたくさんあります。この先は急斜面にまだ多くの雪が残っており、子供連れでは歩行困難なので引き返すことにしました。

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先ほどの尾根上の分岐まで遊歩道をもどり、今度は右のほうにすすみます。ゆるやかな谷をすこし行くと激しい水音が迫ってきます。湿原下流部に集まった湧水による沢音です。本来ならそれぞれの湧泉から出た水はまだ行く筋もの小沢を成してさらに流れ下っていくのですが、それらの流れをさえぎり集結するように横向きにコンクリートの堤防が築かれています。幅2m深さ1m半くらいの人工水路をたどって行くと水はトンネルに吸い込まれていきますが、これはやがて水力発電所(東北電力横岡発電所)に至ります。なんと湧水を利用して通年で発電をしているのです。それくらいすごい水量です。

写真上2枚は「鳥海マリモ」という標識のある側道からの湿原の展望ですが、水中の緑はハンデルソロイゴケとヒラウロコゴケがからみあってマット状または半球状になっています。それでマリモ(鞠藻)のようだというわけですが、マリモは苔ではなく藻類なので、このネーミングは私は不適だと思います。3枚目の写真は下流側の、湿原の湧水が合流して渓流をなしているところです。水はpH4.4〜4.6とかなり強い酸性です。水温は7〜8℃ということですが、湧出口での温度でしょうか。

こうして昼食等も含め約3時間のハイキングが終了しました。残雪がまだあるためか、晴天にもかかわらず人出でごったがえすようなこともなく、わりあい静かに自然を楽しむことができました。しかし写真撮影の十数人のグループが、木道を占拠するようにして写真を写しているのには腹が立ちました。添乗員(ガイド?)はいったい何をしてるんでしょうか。

 

中島台獅子ヶ鼻湿原 2

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5月12日に行った、鳥海山北面の中島台&獅子ヶ鼻湿原の続きです。遊歩道が沢沿いから離れていくに連れてミズナラは減って、しだいにブナが優先するようになります。もちろん100%ではありませんがほぼブナの純林です。雪もところどころまだ残っており、それを見越して長靴で正解でした。ただ雪で濡れた木道は滑ります。私も一度派手に尻餅をついてしまいました。木道の上に斜めに倒れかけた樹をよけようとしてバランスを崩してしまった拍子にです。林床には雪がまだけっこう残っていて、その雪と厚く堆積した落ち葉と、白く滑らかな樹の肌、急速に展開する若葉の薄緑。これらのコントラストがたいへん美しいです。

しかし写真をよくみるとブナの幹の根元のほうがみな同じくらいの高さ=約1.5〜2mでみな黒っぽく凸凹になって株立ちになっています。じつはこれは炭焼きの形跡です。

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この森で最大級のブナで「あがりこ大王」と名付けられている巨木です。樹齢300年以上、樹高25m、幹周7.62mで、奇形ブナとしては日本一の太さと目されています。ご覧のように甚だしく湾曲・凹凸していますが、前の写真同様に炭焼きの材料として一度伐採したあとからの萌芽によってこのような変わった形の樹形となったようです。かつては炭焼きは農閑期の冬の仕事で、雪が積もった時期に林中に小屋掛けして寝泊まりしながらブナその他の樹木を伐り出しました。そのため、その土地の平均的積雪高、すなわち1.5〜2mくらいの高さで根上がりとなりました。奇形ブナといっても純自然の産物ではなく、炭焼きという人為的介入があってできたものです。

この「あがりこ大王」は現在は保護のために周囲にロープと柵・木道が設置されていますが、昔は訪れる人も少なかったので(知る人ぞ知る、という程度)、私も子供たちもかつてはこの樹で木登りを楽しんだのですが、今はとうていかないません。

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さてその炭焼きの窯です。中島台レクリエーションの森では炭焼き窯の跡が26個発見されているそうです。「あがりこ大王」にほど近いところにある写真の窯は、使わなくなってから数十年以上経過していると思いますが、天井の崩落もなくほぼ完全な形で残っている奇跡的に珍しい窯です。高さは2m弱でしょうか。

壁面は石積みでというのはすぐ分かるのですが、ではドーム状の天井はどうやって作るのでしょうか? じつは私も答えを知ったのは5、6年くらい前のことで、要するにこの窯そのものが「焼き物」なのですね。いちばん初めに炭を焼くときに、壁面内部にぎっしり立てて詰めた木(炭の原料)の上部に粘度をかぶせドーム状にしてから炭の材料と同時に焼き上げるということです。それがうまくいけばみごと素焼きの天井になるというわけで、なるほどこれなら雨雪が当たっても簡単に崩れたりはしません。実際に現役で炭を焼いていた方からじかにお聞きした話ですから間違いないでしょう。

 

中島台獅子ヶ鼻湿原 1

5月12日は子供といっしょに中島台の獅子ヶ鼻湿原に行ってきました。鳥海山の北面標高約500m付近に広がる、ブナをはじめとする落葉広葉樹自然林と、水量が甚大なために発電にも利用されるほどの卓越した湧水群です。近年、手軽に楽しめる鳥海山中のハイキングコースとして秋田県にかほ市が整備に非常に力を入れているところです。一帯は「中島台レクリエーションの森」の中核部分にあたるところで、「あがりこ」と呼ばれる奇形ブナの大木群と、広大な湿地に生息するマット状または半球状の稀産種のコケがとりわけ目玉といえるでしょう。

国道7号線を北上し、次いで日本海沿岸の旧象潟町から東方に転ずるのですが、あいにく濃霧のためただでさえわかりずらい道路にすこし迷ってしまいました。入口の駐車場ならびに公園管理棟までは舗装路で、駐車スペースもずいぶん拡大されて大型バスなども楽に停まれるようになっています。この日も10台近い乗用車と関東地方の大型観光バスが1台並んでいました。

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ハイキングコースに入るとすぐ右手に公園のようにきれいに整備された広い平坦な草地があります。その周囲や隣地もさまざまな種類の樹木の大木が選択的に残されていて、家族やグループでお弁当を広げるのにいいかもしれません。実際、公園側もコース(遊歩道)の先には広い休憩地がないことと森が荒れることを危惧して、休憩や昼食などはここでとることを推奨しています。山用テントも当地で張ることができるのかと管理人に訊いたら、それは不可だそうです。残念。

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樹木はまだ葉を展開していないので、林床は明るいです。そのためスプリングエフェメラル(春の妖精)と称される草本の花の代表株ともいえるキクザキイチゲがあちこちに。キクザキイチゲの花色は白や淡紅色・淡紫青色などいろいろあるのですが、ここのはみな濃いめの紫青色でした。陽光に映えてとてもきれいです。他に目立った花はミズバショウです。

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公園様の林に沿った砂利道は数百メートルで終わり、行き止まりに立派な看板があってそこから木道の遊歩道が始まります。スギの厚板を2〜3枚ずつ並べたもので、10年くらい前まではぬかるみが激しいところや小沢を横断するような箇所だけだったのですが、今はコースのほぼ100%がこの木道になっています。せっかく山に来たのに味気ないといえば味気ないのですが、来訪者が激増した今となってはいたしかたありません。ということで、木道から外れて歩いたり休憩したりは厳禁です。

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10分ほども歩くと赤川の木橋を渡り、左に雪解けの白っぽい激しい流れを耳にしながら進みます。ブナをはじめミズナラやトチ、ケヤキ、ホオ、クリ、カツラなどがいっせいに葉を広げ始めています。ブナ以外ではこのあたりはミズナラがとくに多く、秋にはたくさんのドングリで道ばたが埋め尽くされそうな勢いです。写真には写っていませんがムラサキヤシオの赤い花がぽつぽつ咲いています。

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対岸を見るとオオヤマザクラだと思いますが、ブナ・ミズナラの新緑を背景にところどころにサクラが咲いています。個人的には人為的に植栽されたソメイヨシノなどはほとんど興味がありませんが、自然林の中の自生のサクラはやはりいいですね。

 

三羽の烏と…

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山形県庄内平野側から見える鳥海山の雪形(ゆきがた)で、おそらく最も有名なのが西鳥海=笙ケ岳(第1峰1635m)の南斜面に現れる「種まき爺さん(または種まき婆さん)」でしょう。左向きに腰をかがめて種をまいているような姿が黒っぽいシルエットとなってくっきり見えます。

しかし今冬は鳥海山も積雪が多かったせいか、はたまた春の気温が低かったせいか、種まき爺さんの姿がまだ一部分しか出現していません。下半身はなんとか指呼できなくもありませんが、腰から上はさっぱりですね。上の写真は一昨日5月10日に撮ったものですが、昨年4月25日に撮影したものよりも明らかに雪は多いです。

ただそれよりやや標高の低いところに現れる三羽の烏、すなわち爺さんの足元に飛来する一羽、左にすこし離れ枝に止まって羽を上げている一羽、さらに左の勢いよく飛んできている一羽の烏は、もうほとんど完全に姿を見せています。これら一群の雪形はまさしく「権兵衛が種撒きゃ、烏がつつく〜」そのままの構図というじつにみごとな雪形ですが、種まき爺さん(または婆さん)以外には一般的にはあまり知られていないのがとても残念です。

さて読者のみなさんは上の4つの雪形がお分かりになりますか? →正解は昨年4月25日の当ブログ記事をご覧ください。

 

道具箱

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自製の道具箱です。大きさは幅960mm、奥行283mm、高さ325mmと大きなものですが、全体が針葉樹のオウシュウアカマツとベニマツでこしらえてあるので重さは7.1kgと、大きさのわりには軽くできています。

この道具箱はチェーンソーを長さ450mmのバーを装着したまま車で運んだり、保管しておくためのものです。箱の大きさはそれにほぼぴったり合わせたのですが、空間的にはなお余裕があるので、チェーンソー本体のほかに周辺の工具や道具などもいっしょに収納できます。

道具箱・工具箱というと今ではプラスチックでできた市販のものを利用する場合がほとんどだと思いますし、当工房でもそれらの大小の容器を10個くらい使用しています。収納しようとするものとサイズさえあえば、簡単・便利にはちがいありません。自分で作る場合の材料費と手間とを考えるとそのほうがずっと安上がりでもあります。

しかし、刃を付けたままのチェーンソーを入れるのにちょうど良さそうな深くて細長い、しかも一人で持てるような大きさ重さの道具箱はありません。なければ自分で作るしかないわけですが、自家用なので基本的には「用が足りればいい」ということで、手持ちのありあわせの材料と簡単な作りとなりました。ごらんの通りの節だらけの材料で、各部材はステンレスの細いコーススレッド(目の粗い木ネジ)でとめてあります。板も自動鉋盤に極力低速度で通しただけで、仕上げの手鉋はかけていません。板厚は10〜13mmです。

構造は大工・建具などの職人がずっと昔から伝統的に採用してきたものです。角の補強を兼ねた持手と、「行って来い」式のスライドして開け閉めする蓋が特長です。私が昔、工務店に勤めていたときに親方からいただいたお古の道具箱とまったく同一の作り。違うのは打ってあるのが鉄釘ではなくステンレスのコーススレッドであることくらい。

この手の道具箱を自家用で合板主体でこしらえたこともありますが、やはり無垢材にはかないませんね。合板やプラスチックは時間が経つと劣化し嫌味になるだけですが、無垢の木ででできた箱は多少汚れても傷がついても平気で、むしろいい味が出てきます。

 

新緑の経ケ蔵山 3

5月5日に一人で登った出羽山地の経ケ蔵山(474m)ですが、じつはこれまで十数回登った中で今回が初めてという体験がありました。それはメインルートから逸れたところにある「胎内くぐり」のルートをたどったことです。

比較的里に近い急峻な岩山ではしばしばあることですが、経ケ蔵山も昔は修験道の鍛錬の場でもあったわけです。で、その大岩や崖にすこし異形のものがあるとなにかしら曰くのある名前をつけ信仰の対象としたり、鍛錬する際の里程標とします。胎内くぐりもそのひとつで、大岩の狭小な隙間を半ばむりやりくぐり抜けていくことで、俗世の穢れを落とす、または生まれ変わるとみなすのですね。はっきり言えば女性器や産道をイメージしているわけで、岩の形状がそれに似たものであればあるほど崇敬されるでしょう。

これまでも胎内くぐりの道標を目にするつど気にはしていたのですが、子どもや他の人を連れての山行が多かったので、ただでさえ急な道で難儀しているのにこれ以上の負担はという理由で避けていました。今回は単独行で天気も薄曇り、やや肌寒いくらいの陽気、薮もまだあまり繁茂していないという絶好の条件だったので、猿渡りを過ぎたすぐあとの分岐を右に入っていきました。道形はわりあいはっきりしているものの転げ落ちそうな急斜面を何百メートルもトラバースしていくので要注意です。初心者はやめたほうがいいでしょう。まあ誰でもそう簡単にアプローチできたのでは鍛錬にはならないでしょうけど。

写真はメインルート上の猿渡り、胎内くぐりの看板、入口、穴、くぐり抜けてから(中央下の暗がりがその穴。花はユキツバキ)、やや離れたところから見下ろし(胎内は中央奥の斜上する岩の下)です。「産道」は人ひとりがなんとかやっとくぐれるくらいの大きさで、下は土の急傾斜なので補助の綱(電気コードを代用?)が張ってありましたが、例によって私はこういったものはアテにしないで自力で這い上がりました。そのあともメインルートにもどるまでさらに200mくらい急な道を登ります。最後の写真は経ケ蔵山の頂上から見た胎蔵山(729m)です。この山にもしばらく行ってないな〜。

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新緑の経ケ蔵山 2

5月5日に登った経ケ蔵山(474m)の続きです。登山道にそってじつにたくさんの花が咲いていましたが、登山口から登り始めはまずキバナイカリソウがあっちにもこっちにも。葉も花の形もユニークです。ついでミヤマスミレやナガハシスミレ、スミレサイシンなどのスミレの仲間の群落がずっと続きます(下の写真も同順)。ただしミヤマスミレとしたものがほんとうにそれかどうか自信はありませんし、もっと多くの、少なくともあと数種類のスミレが咲いていたかもしれません。わが国には60種ほどのスミレがあり、よく似たものがあるだけでなく交雑種や変異も多く、素人では見分けがつきません。

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中腹を過ぎたあたりからはオオミスミソウがちらほら出てきます。オオミスミソウはニリンソウやキクザキイチゲなどと同じくキンポウゲの仲間ですが、別名ユキワリソウとも呼ばれ、旧平田町の「町の花」に指定されています。花の色はさまざまで、写真の白と淡紅色縁取白のほかに、全体が淡紅色のもの、淡紫青色、淡紫紅色のものなどを見かけました。昔はもっとたくさん自生していたようですが、残念なことに盗掘されてかなり減ってしまったようです。

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新緑の経ケ蔵山 1

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昨日ちょうど2年ぶりに平田町(現酒田市)の東部、出羽山地の前縁に位置する経ケ蔵山(標高474m)に南西側の円能寺口から登ってきました。前回は小さな子ども連れでしたが、今回は単独行なのでまったくのマイペースでのんびり登ることができました。

経ケ蔵山は高さはたいしたことはありませんが急峻な山で眺望にすぐれ、たくさんの花を愛でることができます。雪国なので雪解けとともにじつに多くの種類の草木が先を争うようにいっせいに開花。目についた主な草本の花をあげるとミヤマスミレ、ナガハシスミレ、スミレサイシン、キバナイカリソウ、コンロンソウ、ミツバツチグリ、ヒトリシズカ、イワウチワ、オオミスミソウ、ニリンソウ、キケマンなどです。キクザキイチゲと ショウジョウバカマはもうだいたい花期は終わりですが、反対にユキザサやミヤマナルコユリなどはこれからのようです(樹木もいろいろ咲いていましたが、草本とちがって私はあまり識別できないので割愛します)。

1枚目の写真は麓の円能寺の集落から眺めた経ケ蔵山です。右端の、主稜線までいくつものピラミッドを積み重ねたようなところが登行路です。ずっと尾根伝いに行くので道は分かりやすく整備もされているのですが、傾斜はかなりあります。標準時間は登山口から頂上まで80分とか。その頂上は写真右側の三角のピークですが、そこから左側にえんえんと画面左端まで長く続いているなだらかな尾根が、北側の十二ノ滝からのコースの上部にあたります。道の両側はずっと急崖が連続しますがブナ等の樹木がしっかりと生えているので、怖くなく歩くことができます。

今回いちばん驚いたのはこの主稜線上にほぼ途切れることなく咲くイワウチワです。頂上手前からその姿が見えていたのですが、もしやと思って十二ノ滝のコースを主稜の肩のところまで往復してみました、大正解でしたね。盛りはもう過ぎた感じですが、これくらいみごとなイワウチワの群落はめったにありません(写真に撮るとそのすごさが半減しますが)。下の1枚目がイワウチワのアップで、淡紅色のひらひらとフリルのついた花と、名前の由来である艶々した丸い葉がわかります。2枚目はその群落ですが、これでもその箇所の群落の三分の一くらいでしょうか。

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