コーヒーブレーク 109 「アースハンモック」

 

 

薫風やアースハンモックにまどろめり

[くんぷうや あーすはんもっくに まどろめり]鳥海山の7合目、御浜からは古い噴火口跡の鳥海湖が見下ろせる。その湖への比較的ゆるやかな斜面には、ヌマガヤなどの草や苔におおわれているもこもことした小さな凹凸が多い。これはアースハンモックといって周氷河地形における構造土の一種である。/一般には直径数十センチから1m強程度、高さ50センチ前後のドーム状をなし、表面はマット状の密な植生に覆われている。成因は凍結圧による未凍結部分の長年の繰り返しの押し上げによる。その形状がハンモックを想起させることからの命名だろうが、実際のところはかなり湿っぽい土壌であることが多く、こんなところで昼寝をしようものなら背中がぐっしょり濡れてしまうにちがいない。

ぼうたんの目を凝らせば人魂であり

[ぼうたんの めをこらせば ひとだまであり]牡丹の大きな花はとてもよく目立つ。ことに白い牡丹は闇夜にもぼうっと宙に浮かんで見え、幽玄な感じがする。もっとも私は個人的にはあまり人手の入った園芸花は牡丹にかぎらず好きではないので、自宅の庭に植えてはいないし植える予定もないのだが、夜の暗闇の中で牡丹を目にするといつも想い出すのは、登山道におけるヤマユリの姿である。下山が予定より遅れ一人で夜の山道を急いでいると暗い杉林の中に点々と白いものが漂っている。むろんそれが人魂などではなくヤマユリの花であることは、あたり一面にただよう芳香からも分かるのだが、最初はいくぶん驚き不気味に感じたものだ。

長幼の序とはいえど御器齧

[ちょうようの じょとはいえど ごきかぶり]ゴキブリは数多くの昆虫のなかでも嫌われ度のだんとつに高い昆虫である。蚊や虻や蜂のように人を刺したりするわけではなく実害はほとんどないにもかかわらずである。害虫とされている一部の種類であれ、ほとんどは偏見と誤解によるものだ。結局ゴキブリが嫌がられる理由は見た目の主観的なもの。黒または茶色で、油っぽい光沢があるやけにひらべったい虫で、とても狭い隙間から不意に出没するからだろう。/ゴキブリの仲間は約4億年前から出現していて、部分的な改変はあれど基本形はほとんど変わっていないとか。恐竜などよりずっと古くから地球に繁栄してきた生き物なのだ。もちろん先祖の先祖まで遡ってもせいぜい600〜700万年ほどにしかならない人間など及びもつかない大先輩である。

 

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