インターネット通販のアマゾンから届いた書籍とCDです。品物は段ボール紙の台紙にシュリンクフィルム(熱収縮性のラップフィルム)で一括で包まれ、箱の底にホットメルトの接着剤で固定されています。
こうした通販でよく疑問視されるのが、中身の大きさに対して梱包が大きすぎるということです。たとえば「消しゴム一個にA4判サイズを超えるような箱では空気を運んでいるようなもので無駄が多すぎる」といった批判です。しかしそうした批判はあきらかに的はずれですね。
写真の段ボールの箱のサイズは約6×25×33cmです。商品の体積はそれの4分の1もありません。しかしどのような商品がどれだけの数の注文があるかはまったく個々ばらばらで、しかも同時配達であればその組み合わせも種々雑多です。もし品物と包装・梱包との間の空隙を最小限にしようとすれば、梱包作業の手間は倍加するでしょう。また梱包の終わった箱や袋などのサイズや形状があまりにもまちまちである場合は、それを台車やトラックに積み込む際も非常に手間がかかるし、無駄な空間がたくさん生ずると思います。
もちろん通販会社といえど梱包のサイズ等は1種類ではありえず、何種類か用意しているはずですが、その種類はできるだけ少ないほうがコストを低くできます。どの梱包がいいか試行錯誤する手間もかかりませんし、梱包材の単価や管理もそのぶん省けるでしょう。アマゾンと配送会社との間の契約がどういうものなのかはむろん私にはわかりませんが、双方がコストカットをめぐって熾烈なせめぎ合いがあるはずです。もちろん安全迅速確実にお客に品物を届けることが至上命題で、それとの戦いでもあります。
私の仕事は家具や木製小物などのデザインと製作ですが、ほとんどがお客様からの直接注文ですから、その寸法や形は一件一件異なります。したがって品物が完成してから包装し梱包する際はかなりの手間がかかりますし、悩むこともしばしばです。小物についてはあらかじめ個包装の化粧箱を用意してありますが、それでも梱包と発送の手間は少なからぬものがあると痛感しています。ですからアマゾン等の大手通販の包装と梱包・配送のシステムは非常にみごとなものだと感心します。無駄な空間が多すぎるというような感想を抱いたことはありません。