月別アーカイブ: 4月 2013

iPad mini

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待ちに待った iPad mini がとどきました。人気で品薄ということもあったかもしれませんが、おそらく販売店の事務的ミスも重なったかと踏んでいます。ともあれその iPad mini は非常に美しいです。性能・機能はもちろん大事ですが、眺めているだけでうれしくなるほどのグッドデザインは、なにものにもかえがたいものがあります。ま、私もいちおうデザイナーのはしくれですから。

使い勝手はどうかということについては、じつは入手していくらも経っておらず、さらに専用のカバーを装着したのは一昨日のことですから、まだよく分かっていません。それで、ここでは  iPad mini をあまりご存知ない方に向けてごく一般的なことを書いてみたいと思います。なお写真は上が iPad mini の本体で、下は専用の保護カバー兼スタンド(ロガリズムIPM102-White)を装着した状態。右にちょっと写っているのが折りたたみの携帯電話です。

iPad mini はその名称でもわかるように iPad の小型版です。 iPad のディスプレィが対角9.7インチ(約246mm)であるのに対し、 iPad mini は対角7.9インチ(約201mm)と一回り小さいのですが、重量については iPad の最新型である第三世代・Wi-Fi+Cellular モデルの662gに対し、312gと半分以下で非常に軽いです。外形寸法も7.2×134.7×200mmととてもコンパクト。これはまさしく名実ともにモバイルコンピューターです。

じつは1年前から iPad は持っていたのですが、その重さと大きさから日常的にショルダーバッグに入れて持ち歩くのはちょっと厳しいものがありました。バッグには財布やノート、メモ帳・携帯電話・筆記具・メジャー・超小型ライト・ハンドタオル・ポケットティッシュ・傷バンなどがいつも入っているので、これにさらに iPad が加わると肩が凝ってしまいそうです。今回の iPad mini なら薄手の書籍を1冊よけいに携行する程度なので苦になりません。

搭載されている機能としては1.2メガピクセルのカメラ、1080p HDビデオその他がありますが、基本的な機能としては私も使用中のデスクトップコンピューター= iMac とほとんど変わりません。ただしキーボードやマウスはなく操作はすべて画面にタッチして行うため、慣れないととまどうかもしれません。またインターネット通信は無線で行うので、有線で光ファイバーのコンピューターに比べるといらつくほど極端ではありませんが遅いです。 iPad mini はやはりモバイル用の限定的用途の簡易なコンピューターと割り切ったほうが正解で、がんがん外で仕事するならラップトップのノートパソコンが適任です。

私はつい先頃まで携帯電話は同じくアップルの iPhone を使っていました。 iPhone 3→ iPhone 4S です。こちらもたいへん気には入っていたのですが、昨年の自宅工事の際は工房の作業場内や建築現場で電話連絡することが多く、そのときはさすがに防水防塵仕様ではなく液晶画面がむきだしのスマートフォンである iPhone はつらいものがありました。濡れた手や戸外、雨天時、アウトドア(野山や海川など)の活動では心配ばかりしなければなりません。もちろん専用の防水カバーなどをつければいいかもしれませんが、それではせっかくのデザインがだいなしです。

やはり携帯電話は基本的に電話とせいぜいメールくらいできればいいので、携帯の小さい画面でインターネットなどの画像をみるのは疲れるため(年齢のせいもある?)、そちらは iPad mini にゆずることにし、携帯電話は旧来タイプの折りたたみ式で防水防塵タイプの最新型202SHに変更しました(3/27の記事に詳細)。むろん電話料金の削減も大きな理由です。

 

ロフトの猫

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わが家の飼い猫トントはよくロフトに上がっています。ロフトの床面は部屋の床から2.6mの高さがあり、いくらなんでもそこまで一気にジャンプはできないので、下に置いた衣装ケース→箪笥の天板→その上に置いた衣装ケース→ロフトと順に跳躍します。上の衣装ケースからロフトまでは90cmの高度差があり、なにもない空中を飛び上がるあんばいですが、上手に上がることができます。

トントは後脚を延ばして立たせると70cmくらいの身長があるのですが、それより3割ほど高いところに助走なしでびょんと飛び上がるのだからたいしたものです。身長170cmの私でいえば220cmのハイジャンプですからね。とはいえトントにとってもそれほど楽々というのではないらしく、跳ぶ前にすこし唸ったり足踏みをしているので、失敗しないように体勢と気持ちを整えているのでしょう。

 

部材の養生

以前にも書いたことがありますが、家具などを製作するときに素材の板や角からいきなり仕上寸法に加工してしまうことはまずありません。いくら素直かつ乾燥した木材であっても幅や厚みが急激に削減されることで内部応力が変化して歪んでしまうからです。

とくに素材寸法と部材としての仕上寸法との差が大きい場合は、切削にするにつれて反りや捻れや、ときに割れが発生することがあります。木の種類やもともとの木材の大きさにもよりますが、板厚であれば一度に連続して削る量は、裏と表と両面合わせてせいぜい5mmくらいです。例えば40mm厚の板から30mm仕上げのパーツをこしらえようとすれば、手押鉋盤→自動鉋盤を使って36〜35mm程度まで削って一度中断します。

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いったん平面を出してもその対面が削られることによって応力が変化し、最初の平面が平面でなくなります。度合いの違いはあるにしてもほとんど「必ずそうなる」と言っていいと思います。したがってそのまま続けて切削していっては危険なので、写真のように1本・1枚ずつ木端立てにし、空気が流通するように隣のものとすこし隙間をあけて並べて様子をみます。平に置いたり、複数個を重ねたりしてはいけません(よけいな外圧を避けるためです)。これをふつう「部材の養生」と呼んでいます。

写真では工房の天井の梁の間に桟木を渡し、それに一次下拵(いちじしたごしらえ)が済んだ材料を並べています。全部で130本(枚)ほどあるでしょうか。これは内部応力が落ち着くのを待っているのであって、よく間違われることがあるのですが、材料を乾燥させているのではありません。

樹種や寸法や製品となったときの用途にもよりますが、最低でも1週間くらいこの状態で放置します。その間に多かれ少なかれひずみが出てきているはずなので、また一から出直すつもりで手押鉋→自動鉋を通して平面化と一定の厚みにそろえていきます。30mm仕上なら32mmで止めといたほうがいいかもしれません。これで二次下拵が終了です。その後、前回と同様に養生します。ただし養生期間は前回よりは短かくていいでしょう。

さて数日後に3回目の下拵です。とくに問題がなさそうであれば、またまた手押鉋→自動鉋を使って、残りの2mmを0.5mmくらいずつ削っていって、最終的に目標の30mmに仕上げます。木材の加工(ここでは下拵)は原則として厚み→幅→長さの順で決めていくのですが、厚みと幅を決定することを「分決め(ぶぎめ)」と呼んでいます。分は旧来の尺貫法における長さの実用的最小単位である分(約3mm)に由来しているかと思います。

じつにめんどうですが、このように数次にわたる下拵えをして通直・平滑な板や角に仕上げてやらないと、その後の細かい加工(ホゾやミゾや段欠き、テーパーや曲面加工など)がうまくいきません。

 

胴腹ノ滝増水

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一目でわかるほど明らかに湧水量が増えています。河川の増水はもっと早い時期から始まりますが、湧水の場合は、少なくともこの胴腹ノ滝の場合はそれよりすこし遅れて増えてきます。例年どおりだとすれば5月10日頃まではさらに増水してくるでしょう。

写真は4月25日午前10時40分頃のものですが、その前の4月15日は滝の湧水温度は右左ともに8.6℃(気温は7.4℃)、そして4月25日が右が8.7℃、左8.6℃(気温9.7℃)でした。外気温より湧水のほうが温度が低く、「冷たい湧水」という一般的なイメージになってきましたね。

ちなみに昨年の記録でいうと、胴腹ノ滝の湧水が気温より低かったのは11月11日までで、その次の11月22日にはすでに逆転しています。つまり1年間で約5ヶ月もの間は「温かい湧水」だったのです。「冷たい湧水」という常套句やイメージは間違いではありませんが、まあ半分しか当たっていないということですね。

 

早春の谷川

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鳥海山南西麓の標高300mあまり、高瀬峡の遊歩道(ハイキングコース)がヒノソをわたるあたりの光景です。雪もほとんど消え、樹々も葉や花の蕾を急速に膨らませています。どうということのないありふれた山岳風景かもしれませんが、私は春の訪れを強く感じます。

 

自宅夜景外観

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自宅の夜景です。コンパクトデジタルカメラでしかも手持ちの撮影(0.3秒くらい)なので画像が荒れていますが、なんとか雰囲気はおわかりになりますでしょうか。

住宅街で、周囲にあまり明るい建物などがほかになく、また道路からは塀とか植栽など視線をさえぎるものがなにもありません。一望のもとに建物全体が目に入るため、外壁面の照明や室内の明かりが灯ったときの状態がよくわかります。各室のカーテンは色が異なるので、電灯の光がそのカーテンを通してもれてきたときもそれぞれ色合いが異なり、それがちょうどいい程度の華やぎをかもし出しているように感じます。

 

カーポート完成

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カーポートが完成しました。YKK AP社のGポートシリーズで耐雪1mタイプのものです。色はあまり種類がないのですが、できるだけ建物との違和感がないように「プラチナ ステン」という種類を選びました。ステンといっても柱や梁などはアルミで、屋根はガルバリウム鋼板の折板です。4本柱のすっきりしたシンプルな形状で、建物とのマッチングは比較的とれていると思います。

敷地の奥行に余裕がないので道路側に傾斜を付けて設置するため、柱はハイルーフ型のものを少し詰め、また屋根の奥行も境界線ならびに住宅の軒の出とかぶらないように1m切り詰めてあります。結果カーポートの屋根は奥行4.5mで、これはちょうど普通車のバンの長さとぴったり同じ寸法になりました。風が強いときは雨・雪が吹き込むと思いますが、それでも野天駐車よりはずいぶん楽になるでしょう。とくに冬期間、車に積もった雪を毎日にように落とさなくてもすむのはたいへんありがたいです。

室内側からみても、屋根以外は側面がみな開いているためか予想したほどは光をさえぎりません。空もすこし見えています。部屋がさほど薄暗い感じや閉塞的な雰囲気にならないのも良かったです。それにしてもこういうカーポートは決して安くはありませんね。実勢価格はかなり抑えられていますが、定価では工事費込みで100万をこえます。

 

干割れの除去

木材の断面=木口(こぐち)は程度の差はあっても必ずといってもいいくらいに干割れが生じています。割れは木材内部の水分が不均等かつ急激に乾燥することで起きるのですが、繊維断面が露出する木口は他の部分よりとりわけ乾きやすいのでそのぶん干割れが生じやすいのです。家具などを作る場合はそれらを完全によけて木取をしなくてはなりません。

「なんだそんなの当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんが、じつは意外な落とし穴が潜んでいます。ふつうに見てすぐわかるような割れは当然切り捨ててしまいますが、それがなくなったからといって安心してはいけません。たとえば次の1枚目の写真はどうでしょうか? 幅25cmほどの板ですが、木口を一度カットしたもので、これでもう問題なしのように見えます。

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しかし最初にカットする前は明らかに木口に干割れがあったので、さらに念のために幅4mm程度切り詰めてみます。この切断は手持ちの丸ノコに鋭利な刃を装着して慎重に行います。ラフな切断面では材のようすがよくわかりません。その薄片もただ眺めただけでは問題なしのようですが、両手に持って大きくしならせてみると、何カ所ものひび割れがあることが分かります。2枚目の写真で鉛筆で丸印を付けてある箇所がそれです。これでは家具等の部材は作れませんので、割れがまったくなくなるまで数mmくらいづつ切り詰めていきます。今回は計5回ほど薄切りしてOKでしたが、材料によっては切っても切っても割れが消えず、結局そのうちに必要な長さを割り込んでしまうことがあります。最悪のケースだと板が一枚丸々廃棄処分となることも。

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木口が大丈夫となったら、次の幅落とし→幅決めの作業に移る前に、木表・木裏がどちらかわかるように印をしておきます。とくに柾目板の場合は狭い幅に切ってしまった後ではどちらが木表か木裏かさっぱりわからなくなってしまうことがあるからです。3枚目の写真で鉛筆で矢印を記してある向き=左と上が木裏です。各部材をどの向きで使うか(木取するか)は非常に重要なことで、それは木という素材が不均一な材料であり温度や湿度や荷重などの影響が木表や木裏によって差があるからです。目の通ったよく乾燥した材料であっても歪みがゼロということは決してありませんので、向きを考えてそれをうまくいなします。

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超弩級無地柾板

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引き戸やドアなどの木取をしているのですが、材料のスプルス(スプルース)があまりにも良すぎて逆に困ってしまいました。本来建具用の材料なので、厚さは40mm、長さは2000〜3000mmくらいで、基本的には無地(節や入皮・虫食い・変色などの欠点がほとんどない材)の柾目の板なのですが、問題はその幅です。

写真はその材料の一部ですが、幅が390〜410mmもあります。無地の柾目板で幅を取るのはなかなか難しいのですが、400mmともなればもう超弩級の材料といっていいと思います。樹皮に近い耳の部分と、割れや変形が生じやすい「未熟材」を含む芯部分を除けて製材してあるので、原木の太さは径90cm〜1mはあるでしょう。尺幅、つまり30cmの無地柾板というのが、製材するときの最上級の目安のひとつなので、さらにそれを大きく超える40cm前後の無地柾目板というのは、いかに蓄材豊富なアラスカ産の針葉樹とはいえたいへんなことです。

木取をするには、サイズが大きくて目立った欠点もない無地や準無地の材料なら「どこから何をどう取るか」頭が痛くなるほど悩む必要はなくなるので楽でいいのですが、それも程度問題。あまりにも良すぎる材料をカットするのはコストパフォーマンスの面からいっても、また心理的にも非常に抵抗があります。「良すぎるので逆に潰せない」というやつですね。一度刃を入れたら元には戻りません。できれば細かく切らないでできるだけ大きいままの状態で使いたいという誘惑には勝てそうにもありません。

たとえばですが、上記の40cm幅の板を2枚合わせれば、長さ3m奥行き80cmの「無地柾目のテーブル」などというとんでもないものができてしまいます。突き板(合板の表面に銘木材の極薄板を張り合わせた板)であればどうってことはありませんが、まったくの無垢材オンリーでそれほど大きな柾目のテーブルというのはまず普通ではありえません。

しかしながら、もしこの材料を今回の仕事に使わない(使えない?)とすれば、別のスプルス材を新たに購入しなければならず、それはそれで弱小零細木工所としてはたいそう悩ましいことです。

 

白瀬南極探検隊記念館

先日日曜日に秋田県にかほ市にある白瀬南極探検隊記念館に子どもたちと行ってきました。私は初めての訪問ですが、自然科学などに興味関心があれば大人でも(大人のほうが?)じゅうぶん楽しめる内容がありました。

1861年、秋田県由利郡金浦村に生まれた白瀬矗(しらせのぶ)はのちに陸軍中尉となり、1912年1月28日に南極大陸の南緯80度05分、西経156度37分に到達します。南極点には至らなかったわけですが(日本のそれは1968年の第9次越冬隊です)、1912年はアムンセンやスコットが南極点初踏を競い合っていた時です。アムンセン隊は1911年10月20日にみごと到達しますが、スコット隊は1月17日に極点に至ったものの帰途に全員遭難死しています。

記念館には白瀬中尉らが使用した毛皮の防寒服やテント・寝袋・轌などの実物が展示されており、各種の免状や直筆の手紙、船の設計図、文献資料等がたくさんありました。驚くのは白瀬中尉たちがこの南極探検に使った船がわずか204トンの木造船「開海丸」であったことです。その船の船体の一部が実物大の復元モデルで展示されているのですが、よくこんな小さな木の船で48000km・1年7ヶ月もの長期探検を行ったものです。しかも27名の隊員・船員に一人の犠牲者も出していません。

ほかに、白瀬隊のものではありませんがずっと後の第9次越冬隊で使用した大型の雪上車や、南極の氷(気泡を多く含むので乳白色)、オーロラの体験ドーム(CG)、南極大陸の地形模型や動植物の標本などもあり、なかなか見ごたえがあります。子どもたちがいちばん喜んだのはやはり雪上車と船で、実際に中に乗り込んで機器をさわることもできるので(もちろんもう動きませんが)、それはたしかに興奮します。

なお入館料は一般300円、小中学生が200円とたいへん安いですし(超赤字でしょうねぇ)、記念館に隣接して公園や大きな沼もあるので、家族連れで一日楽しめると思います。

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