月別アーカイブ: 3月 2013

外構工事

今年2月から住み始めている新築のわが家ですが、一昨日と昨日とで土木建築屋さんに外構工事を行ってもらいました。といっても大掛かりなものではなく最小限の工事です。地面の凹凸を均し、車が3〜4台分は停められるように40mmの砕石を敷設し転圧(振動ローラーなどで地面を突き固めること)、が主体です。

南側の玄関前と、南西側は一部土のままにしました。後で背の低い樹木や草花を植栽するかもしれません。また車2台分はこの整地後に1m耐雪形のカーポートを設置する予定でいます。残り1〜2台分は来客用のスペースです。

家の裏手などは手作業ですが、他の大部分はパワーショベルなどの重機を使っての作業なので、早いです。1日目は墨出しと基盤を均し、土で仕上げの部分はほぼ終了。2日目は駐車スペースと建物の北側・東側の通路部分、および道路から玄関へのアプローチに砕石を敷きました。砕石の部分と土の部分も、あえてブロックや石などではっきりした境界は設けずぼかしています。

DSCN2919_2

 

スーパーフィニッシュネイラー

DSCN2910_2

 

フィニッシュネイルというごく細い釘を、空気圧でばしっと材木に打ち込むための機械です。エア工具では最大手のシェアで性能に定評のあるMAXの、TA−255/F55MOというモデル。対応ネイルは長さ15〜55mm、空気圧は0.4〜0.8MPa(一般圧)です。

家具製作ではまず釘打機を使うことはありませんが、建築工事では現在では欠かせない工具の筆頭のひとつといっていいと思います。当工房でもこのフィニッシュネイラーのほかにも7×13〜25mmタッカー、65mm高圧ネイラーを持っていて、たまにあるリフォーム工事などで活用しています。コンプレッサー(空気圧縮機)はマキタの一般圧高圧兼用タイプの可般型40気圧のものです。

先日自宅に搬入した食器戸棚に見切縁を取り付けるべく工具箱からひさしぶりに取り出したスーパーフィニッシュネイラーですが、なんとエアホースが劣化して亀裂が入っていました。これでは空気が漏れてしまい使えませんし危険です。それで急遽新調したのが十川(TOGAWA)の「匠」という6.5×10mmのホースです。切り売りでmあたり300円のを12m購入し、前後のカプラ(接続金具)は前のものを自分で付け替えました。カプラはもちろん自在回転リングと安全ストッパー付きのものです。

この新しいエアホースはわざわざ「匠」とうたうだけあって、通常のエアホースより高いですが柔軟かつ表面の滑りがよく、低温下でも取り回しが楽そうです。カプラもあらかじめセットになっている10m長のエアホースで安いものだと980円なんてのもありましたが(たぶん以前のはそのクラスのホース)、ごわごわでクセが付きやすいエアホースほどしゃくにさわるものはありません。

 

ふつうの携帯電話

DSCN2903_3

 

携帯電話はアップルのタッチスクリーンベースのスマートフォン=iPhone4S を1年間ばかり使用してきたのですが、少し前にごくふつうの旧来タイプの3G通信方式の折りたたみ式携帯電話に変更しました。

iPhone4S はデザイン的にも性能的にもたいへん気にいっていたのですが、防塵・防水仕様ではないのでアウトドア(野山や海・川での活動)や工房・工事現場などで使うには難があります。また液晶を覆う蓋がなくてガラス面がむき出しなので、ポケットやバッグにそのまま突っ込むのはやはり躊躇します。前のiPhone3のときはポリカーボネート製のプロテクトカバーを付けていたのですが、iPhone4S は非常に美しい外観なのでそれではせっかくのデザインが台無しです。

仕事の出先でインターネットで調べものをするときなど、スマートフォンのiPhone4S は液晶がものすごく高精細で操作もほとんど直感的にできてよかったのですが、やはり画面の小さなサイズはいかんともしがたいものがあります。とくに他の方に当工房の作品=家具や木製小物、あるいは私が写した風景写真などを閲覧していただくにはきびしいです。

それで出先でインターネットを調べたり、画像を閲覧するのはアップルのiPad mini で行うこととし、携帯電話は基本的に電話とメールだけできればいいと割り切ることにしました。昨年は6月頃から12月いっぱいまで自宅の新築工事にほぼかかりきりで、その間外で携帯電話を使用する機会がたいへん多かったのです。そのため、iPhone の弱点と電話料金の高さが正直こたえました。

じつは mini ではないほうの iPad は1年間くらい前から使っているのですが、重さが650gあるのでバッグに入れて日常的に持ち歩くにはちょっと重すぎます。それで重さが半分以下の iPad mini と、ふつうの携帯電話との組み合わせに変更することにしたものです(ただ、 iPad mini はいっかな入荷しません)。

今度の携帯電話はソフトバンクで扱っているシャープ製の202SHという機種です。今年発売になったばかりのもので、もちろん防塵・防水機能があります。折り畳んだ状態だと iPhone より一回り以上小さいこともあり(50×104mm、108g)、ポケットに無造作に突っ込んでも大丈夫。  iPhone を3→4Sと、通算4年近く使っていたので、それに比べるとインターフェイスはかなり劣りますが(文字種やアイコンもかなりダサい)、まあふつうの携帯電話と思えばこんなものでしょう。

なお契約解除で携帯電話としては用をなさなくなってしまったiPhone 3&4S ですが、それ以外の機能は生きているので、時計や計算機やカメラ、収録した写真や音楽などを楽しむことはできます。ずっと前の携帯電話の場合はお古のそれはもう廃棄するしかなかったのですが、その点はスマートフォンは違いますね。

食器戸棚搬入

DSCN2906_2

 

DSCN2908_2

 

きのう新築のわが家に食器戸棚を搬入しました。といってもまだ本体のみで、背板も引戸もまだ付いていません。全体で幅3359mm、高さ2000mm、奥行470mmという巨大な戸棚ですが、むろんはじめから一体にしたのでは大きすぎ重すぎて製作も搬入もできません。それで、上・中・下の3段、かつ中段は左右に二分し、計4体に分けて工房で作り、現場=自宅に搬入後ひとつに接合しました。玄関からは当然入らないので、窓から室内に入れました。

4つのうち2体は長さ3336mmあるので自家用の車では運べず、2トンの平ボディトラックをレンタルし積み込み移動。下段はシステムキッチンのワークトップの高さと同じ850mmですが、材料がスギの乾燥材なのでオーバーサイズながら重量的には二人でなんとか持つことができます。当工房は現在は私一人で仕事をしているので、近在のMさんに応援を頼みました。

地震などで倒れないように4体のおのおのと、全体を床と壁に厳重に固定しました。向かって右側だけ壁に固定していて、左側はフリーです。左に柱の一本も立てて床と天井に通し戸棚をそれに固定するという方法が普通かもしれませんが、見た目にどうもすっきりしません。高さも窓の高さと同じ2mにおさえ、天井高2.4mとの間に40cmの空間を設けました。中段は左右に分け中央に約90×70cmの窓を開けています。こうすることで視線的に空間の閉塞感を緩和し、リビングとキッチン相互の照明の融通と、外からの採光を考慮しています。

これらの措置をすることにより、食器戸棚はサイズの超大さの割にはあまり「重厚感」を出さずに、軽い感じに仕上がると思います。背板のリビング側は他の室内壁面と同様に石灰ベースの左官材料「タナクリーム」をコテ塗りするつもりでいます。白い壁にぽっかりと穴がうがたれているといったあんばいです。建物全体がシンプルで軽やかな感じなので、戸棚とかの家具だけがやたら重々しくてはバランスがとれませんからね。

 

トイレの風景

新築のわが家のトイレは、柱の芯から芯までの数値ですが幅1450mm奥行1818mmあります。床面積でいうと2.64m^2、約0.8坪で、トイレとしては広いほうでしょう。トイレとしての最低限度の広さは有効幅800mm奥行1350mmくらいといわれているので、そのちょうど2倍程度の広さがあることになります。

敷地や建物全体の床面積に余裕があったからトイレも広めになったわけではなく、建築構造上の観点や他の部屋とのレイアウトの関係で大きくなったのが第一です。もちろんそうした制約の範囲で「狭苦しいトイレは避けよう」というねらいはありました。もっとも広ければ広いほどいいわけではなく、あまりにも広々としたトイレは逆に落ち着きませんよね。

新しいトイレになってもうじき3ヶ月になりますが、たいへん快適です。前の借家でのトイレが非水洗の汲取式だったので、なおさらその感が強いです。幅1145mm高さ1100mmの明るいペアガラスの窓(外側のガラスの内側が磨りガラスになっているので光が柔らかく拡散)、壁は他の部屋と同様に「タナクリーム」という石灰ベースの左官材料、450×380mmのすこし大きめの四角い陶器の手洗器(ドイツ製・エリカプロ45)、自作のクルミ柾目板の棚板、艶消ガラスのツインのLED照明、そしてやはりここにも足元に床暖房が入っています。

便器は朝日衛生陶器のオーソドックスなタンク付きのタイプで、インターネット通販で自分で購入しました。温水洗浄便座(いわゆるウオッシュレット)とセットで約8万ですから、TOTOなどの製品を通常のルートで導入するのに比べると格安です。設計段階で床面積も確保できていましたし、停電時のことなどを考えると今流行のタンクレスである必要はまったくありませんでした。

DSCN2884_2

 

写真は入口付近から眺めたトイレの様子ですが、窓際に貝殻や化石(アンモナイト、三葉虫)、鳥海山の高山帯の枯れ木の枝、真鍮やガラスの小物。棚には鉢植の花などを置いています。妻がスーパーで買ってきた花で名前は分かりませんがこの空間には似合っています。壁には子どもが以前描いた絵を月代わりくらいで飾っています。あまりごちゃごちゃにならないように気をつけなければなりませんが。

あとで確認したら花はサイネリア(キク科ペリカルリス属)だそうです。

 

組立用直角定規

家具などを組み立てる際に、戸棚や簞笥といったいわゆる「箱物」は縦の材と横の材が直角に組まれていないと、本体ができあがってから扉や抽斗がうまく仕込みできません。見た目に明らかに傾いているというのは論外としても、たとえ角度にして1度くらいの歪みであっても後からの修正は容易なことではありません。

各部材の木口・胴突・ホゾなどがきわめて正確に加工されていればそれ自体がひとつの定規となって、他の部材と組んでいったときに全体として直角に組みあがるように働くのですが、それでもサイズが通常より大きいとか間口が広い場合は歪みが出やすいです。

また仕口にホゾやミゾがほどこしてあれば、それで組立位置は正確に決まるわけですが、そういったものがなにもない”イモ矧ぎ”の場合は位置合わせが困難です。あちらを押さえればこちらが動く、こちらを押さえればあちらがまた動くといった具合で、手が10本くらいほしくなります。助手がいればともかく一人でイモ矧ぎの大きな製品を組むのはとてもやっかい。

DSCN2875

 

そういったときにたいそう役に立つのが写真のような治具=組立用直角定規です。大きさは8×26×26cmほどですが、三角形のリブは中に追い込んだ位置にあるのでL字の余剰部分の縁と、組み立てようとする部材とをFクランプなどで締結すれば、たとえイモ剝ぎであっても部材を定位置で直角にきっちり組むことができます(写真の部材は撮影用のダミー)。

写真の治具はありあわせのスギ板で作ったものですが、見てくれはともかくとしても肝心要の直角の精度はかなり優れています。アルミ合金や強化プラスチックなどでできた市販の組立用直角定規もありますが、木工のプロまたはマニアなら自作できますね。

当工房の製品は、ホゾ組みやミゾばめなど木と木同士の凹凸によって組み上げる「指物=さしもの」の技法を基本としていますが、低予算で仕上げなければいけない特別の事情があったり自家用の品物の場合は、ホゾ組みやミゾばめなどがないイモで組むことがあります)。

 

ハローキティアート展

DSCN2864_2

 

先日、子どもといっしょに酒田市美術館で開催中の「ハローキティアート展」をみに行きました。開館間もない午前9時すぎでしたが、すでにたくさんの人で混雑しています。やはり圧倒的に女性が多く、女の子とその母親がメイン。それから20〜30代くらいの女性。男性もすこしいましたが、娘さんの運転手兼保護者、もしくは「彼女」のお伴でというのがほとんどのようです。男の子はまれですね。

キティの3代目デザイナーである山口裕子さんが描いたキティをモチーフとする大画面の絵も多数ありましたが、こちらはあまりにもキティそのままでアートとしては私は凡庸にすぎると思いました。それよりも世界で年間5万種・109カ国で作られ売られているというキティグッズの多岐にわたる膨大なコレクション的展示はちょっと驚きです。

物販もこの展示会のかくれた主目的のようで、雑貨類が飛ぶように売れていたようですが、うちの小1の男子が欲しいといったのは結局キティのもっともオーソドックスなぬいぐるみでした。下の写真がそれです。上のポスターにあるような、イチゴと組み合わせた「イチゴマン」(だったかな?)といった変則的なバージョンのキティのぬいぐるみもありましたが、まあたいしておもしろくはないですね。すぐに飽きてしまいそう。

私個人はとくにキティには興味ありませんが、デザインとはなにかを考える上でいろいろと参考になります。

DSCN2871_2

 

床暖房

新築のわが家はほぼ全面床暖房です。納戸と物置と風呂をのぞくすべての部屋と玄関・廊下に温水循環式のパイプを床板のすぐ下に敷設しています。パイプは1本ではなく、5つの系統に分かれており、それぞれ別個に温度調整することができます。

熱源は灯油ボイラーですが、これは床暖房専用に設置してあり、風呂やキッチンや洗面脱衣室の湯はまた別の灯油ボイラーで供給しています。床暖房と通常の給湯とでは、必要とする湯の温度や量やサイクルなどが異なるためです。ただしオイルタンクは共用です。2台のボイラーとオイルタンクは東側(裏側)の軒下で鉄筋コンクリートの架台に固定しています。

DSCN2863_2

 

写真はキッチンの近くの壁面に設置したコントロールパネル。CDのケースほどの大きさです。右がメインのパネルで、灯油ボイラー自体のオン&オフや温度調整を行います。あと二つは5系統ある個別のコントロールパネルのうちの2つで(あと3つは寝室=個室にそれぞれ設置)、左は玄関+LDK、中は洗面脱衣室+トイレ+乾燥室+廊下用です。

メインのパネルでまずボイラーから出る最初の湯の温度を設定します。目盛は8段階に分かれていて、1が室内寒冷化を避ける程度の最低温度(10℃くらい?)、8は最高温度の80℃くらいのようです。7だと約70℃だそうなので、通常はそれ以下の2〜6(30〜60℃くらい)の目盛で運転します。15mm厚の床材のすぐ下に温水パイプが通っているため、循環していく間に徐々に冷えていくとはいえ床板に接する人体に低温火傷のおそれがあるからです。もちろん建物そのものにもあまり熱い湯ではわるい影響を与えるでしょう。

メインスイッチは原則として冬期間入れっぱなしです。就寝時や外出時は目盛を最低の1にしておきます。完全に切ってしまうと、エアコンやストーブなどと違って暖まるまでに時間がかかりすぎてしまいます(タイマー設定することも可能ですが)。

さて実際に稼働してみた結果はどうだったでしょうか。昨年12月末頃から今年3月中旬までの限られた期間ですが、コントロールパネルの目盛はだいたい4か5が主で、野外の気温がマイナスで吹雪いているときなどは6にしないとすこし肌寒いこともありました。逆に天気のいい日の昼間は2くらいでもじゅうぶんなこともあります。

灯油の消費量ですが、風呂やキッチンの給湯用と共用のオイルタンクなので、純粋に床暖房のみの消費量ではありませんが、一日平均で約8リットルです。1ヶ月でだいたい250リットルくらい。灯油の値段が最近ずいぶん上がってしまい、配達料込みでリットル当たり100円ほどですので、灯油代として厳寒期は月に25000円くらいかかるという計算です。床暖房だけだとおそらくその7割くらいかな。

引っ越しをする前の借家では、暖房は各部屋に置いた石油ストーブが主で、サブで小型の電気ストーブを使っていました。風呂と台所の給湯だけは灯油ボイラーだったのですが、このときの灯油消費量でも月に2万くらいにはなっていました。それでいて寒暖の差が激しく、ストーブのない部屋に移動するときやトイレや風呂に入るときは毎回凍えるような寒さを我慢しなければなりませんでしたので、現在の建物のどこでもいつでも温かい状態とは雲泥の差があります。それにくわえて今は火災や火傷、不完全燃焼による中毒などの心配がまずないのもありがたいです。

まだ室内の建具がちゃんと入っていませんので、建物全体がしきりのないほぼ一室に近い状態です。したがって部屋ごとに温度差があると、比較的低温の部屋(パネルでの設定が1や2)から比較的高温の部屋(パネルでの設定が4や5)に向けて「冷気」が移動して、すーすーします。かといってあまり使っていない部屋までみな同じ温度設定にするのは無駄があります。建具が全部納まり部屋・空間ごとに細かく温度調整するようになれば、灯油の消費量=暖房費ももっと下がるのではないかと思います。

 

キッチンからの鳥海山

DSCN2861

 

わが家のキッチンの窓からは鳥海山が見えます。他の建物や電柱やアンテナなどにさえぎられて少しだけですが、笙ケ岳の一部が左側に、天主森・月山森・外輪山と新山(頂上)が右側にみえています。

麓の町なので外に出れば鳥海山はすぐに眺めることができるのですが、自分の家の中から直接その姿を眺めることができるというのはやはり格別なものがあります。ことに毎日幾度となく必ず立つキッチンの窓から見えるのはうれしいです。もちろんこれは建ってみたら偶然そうだったというのではなく、設計段階から考慮していたことです。

 

新居の外観

新築&引っ越しをしたわが家ですが、まだ内部の建具や造作家具は全部はできていません。しかしまあそれなりに建築物としての様相はお分かりになっていただけるでしょう。ということで順次ご紹介していきたいと思います。新築または増改築などを考えておられる方には、良くも悪しくも参考になろうかと思います。

DSCN2838_2

 

まずは外観です。1枚目は西側で車道に面しています。左の小山は除雪で盛り上げた雪ですが、右は駐車スペース3台ぶんにあたる地面を15cmばかり掘り下げて砂利と入れ替えた際に出た土砂の山です。現在はその上にさらに雪をかぶせて特設のそり滑りのスロープになっています。

建物は30坪=約100m^2で住宅としては小さめですが、細長い平屋なのと屋根の勾配が6寸勾配(水平方向1に対し垂直方向0.6の割合の傾斜)でやや急なので、床面積のわりにはボリューム感があります。実際の横幅=南北方向は16.5m、奥行=東西方向は6.3mですが、これは別のいい方にするとおよそ9間×3間半です。

窓が4つ並んでいます。右側が居間の窓、他は個室(寝室)の窓ですが、高さは全部そろえています。窓の高さや位置がまちまちなのは美しくありません。構造上または使い勝手の上でやむをえない場合もむろんありますが、室内側からの都合だけでなく外観もできるだけ配慮したいと思います。窓の高さは室内の床から800〜2100mmで、既製品のアルミサッシでできるだけ大きなものを選びました。結果、室内が明るくていいですね。昼でも電気を点けないといけないような暗い部屋は私は好きではありません。

外壁のガルバリウム鋼板は真っ白ではなくライトグレーですし(メーカー表示はメタリックホワイト)、アルミサッシの枠はやや黄色みをおびておりメーカー表示のホワイトというよりもアイボリーといったほうが実際に近いと思いますが、まあ全体としては白でしょう。「白い車」といってもほんとうに真っ白ではなく千差万別であるのと同様です。

DSCN2829_2

 

2枚目の写真は1枚目の反対で東側からみたところです。こちらは左から物置、キッチン、洗面脱衣室、風呂、トイレ、乾燥室、納戸が並んでいるのですが、物置と納戸はこちらの面には窓がありません。窓だらけにすると建物の強度がいちじるしく落ちるので、とくに重要な建物の角は窓無しの壁にして筋交いをがっちり入れています。

窓は1枚目の写真とはうらはらに大きさがいろいろですが、ユニットバスの風呂は開口制限があって、これが可能な窓のほぼ最大寸法です。風呂の両隣、洗面脱衣室とトイレの窓の高さはそれに合わせています。床からは900〜2000mm。キッチンの窓がいちばん小さいですが、システムキッチンのシンクの高さが850mmなので、シンクの向こうに250mmの小壁を設けるとこれが可能な最大寸法の窓です。最初は吊り戸棚もセットだったのですが、窓がかなり小さくなり室内が暗くなり通風上も難があること、せっかくの鳥海山がほとんど見えなくなってしまうことから、吊り戸棚を廃してそのぶんだけ大きな窓にしました。

いちばん左に見えているのは物置の入口兼勝手口で、夏場はここから大人と子どもの自転車を出し入れします。そのためここだけは土間から開口高2000mmで、他の窓の上端から200mmほど低くなっています。自転車通勤して帰ってきて、勝手口から建物内に入り(自転車を収納し)、すぐのところにある引戸をあけるとキッチンです。冷蔵庫がすぐのところにあるので、仕入れた食べ物や日用品などをすぐにしまうことができます。

最奥はこの建物唯一の掃き出し窓(=床の高さと窓下端との段差がない窓や戸)。室内飼いの猫が2匹いるので夏場でも窓や戸を開けはなしたままにすることは原則的にないので掃き出しは不適なのですが、ベランダやバルコニーといったものがないので洗濯物を乾かす場所としてここに乾燥室を設けています。冬期間以外で天気のいい日は窓を開けて風を通します。そのための開口です。乾燥室と廊下との仕切戸は内外どちらからも施錠できるようにします。

住宅の場合とくにガスボンベやオイルタンク、不凍水栓、ボイラー、エアコンの室外機、換気扇のフードといったさまざまなものがむき出しになり、それが外観をそこねてしまいがちです。もちろん設計的にうまく目隠しすることは可能ですが、そうするには土地と予算に余裕がなければなりません。わが家ではそれは無理なので、語弊がありますが「邪魔物」はすべてこの東側=裏面に配置しました。

DSCN2833_2

 

DSCN2836_2

 

さて3枚目の写真は南側からみた玄関部分です。建物自体にぽっかりと穴が開いているようになっているところがポーチで、幅・奥行とも約1.3mあります。右側の小さな窓は物置の窓です。ポーチに入って左側に玄関ドアがありますが、よくある住宅用のデコラティブな玄関ドアではなく、四方枠にペアガラスをはめただけの飾りがいっさいない「店舗用」のドアにしています。

通常はポーチ&玄関部分は建物本体と別に屋根を掛けてすこし外に張り出して設ける手法が多いですし、そのほうが立派な建物であると認識されているようですが、この住宅では立派さや豪華さといったものはまったく求めていません。建物全体が切り妻&長方形のきわめてシンプルな作りなので、そこによけいな凹凸があったのでは台無しです。しかしながら建物壁面に直接に玄関口を設けただけでは雨仕舞がどうにもなりません。雨に濡れながら玄関の鍵を開け閉めするのはそりゃまずいです。それらの解決策としての洞窟状のポーチでした。このような形にすることで雨をよけ、風雪をさけることができます。既製品の風除室(アルミ枠+ポリカーボネート板)は絶対避けたいという理由もあります。

DSCN2846_2

 

残るは北側ですが、この面は隣家との境界から1.1mくらいしか離れていないので撮影自体がうまくできません。奥にふたつあるはめ殺しの窓は、ひとつは廊下の突き当たり、もうひとつは納戸の窓です。外水道と電気のメーターボックス、テレビアンテナなどはこの北側に配置しています。テレビアンテナが屋根の真上に乗っかっているのはじつにみっともないので、電気屋さんに極力目立たないようにしてもらいました。

切り妻の屋根の場合、その妻手壁面上部に小屋(天井裏と屋根との三角形の空間)の通気口を設けるのがふつうですが、この建物には似つかわしくありません。そこで瓦屋さんと相談した結果採用したのが瓦用の換気口です。長さ3尺(約90cm)の換気用部材が4つ棟に仕込んであります。外観からはまったくわかりませんが、これですっきりしました。この小屋換気に限りませんが、アルミやステンレスのダクトが大きさも位置も不揃いのまま外壁に取り付いている光景は私は好きではありません。

また屋根の骨組みがむき出しになるのを避けるために垂木は大きめの鼻隠しと破風で覆い、軒裏はケイカル板に白色ペイントをしています。鼻隠しと破風は外壁と同じ程度の薄いニュートラルグレーの塗装です。外壁は通気工法になっていますが、夏場日射で熱せられた空気は軒天と外壁との境界に設けた通気見切縁から抜けるようにしてあります。

軒の出は長手で柱芯から900mm、妻手で750mmと、現代の一般的な住宅にくらべるとずいぶん長く出ています。そのうえ雨樋も付けないことにしたので、瓦屋根としては異様なほどにシンプルですね。もちろん強い雨が降れば雨滴のはねかえりで壁が少々汚れるかもしれませんが、それはまあ気にしないことにします。桁の高さは3m長さの柱材と室内天井高2.4mの範囲内でできるだけ低くしたので、帽子を目深にかぶったような感じになりました。これだけ軒が深ければすこしくらいの雨なら窓を開けたままにできますし、窓上ごとの霧除けも不要です。

諸般の事情により本ブログの更新が遅延気味となっています。すみません。上の写真も2月末のもので、現在は周辺の雪はほとんどみな消えています。