組立用直角定規

家具などを組み立てる際に、戸棚や簞笥といったいわゆる「箱物」は縦の材と横の材が直角に組まれていないと、本体ができあがってから扉や抽斗がうまく仕込みできません。見た目に明らかに傾いているというのは論外としても、たとえ角度にして1度くらいの歪みであっても後からの修正は容易なことではありません。

各部材の木口・胴突・ホゾなどがきわめて正確に加工されていればそれ自体がひとつの定規となって、他の部材と組んでいったときに全体として直角に組みあがるように働くのですが、それでもサイズが通常より大きいとか間口が広い場合は歪みが出やすいです。

また仕口にホゾやミゾがほどこしてあれば、それで組立位置は正確に決まるわけですが、そういったものがなにもない”イモ矧ぎ”の場合は位置合わせが困難です。あちらを押さえればこちらが動く、こちらを押さえればあちらがまた動くといった具合で、手が10本くらいほしくなります。助手がいればともかく一人でイモ矧ぎの大きな製品を組むのはとてもやっかい。

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そういったときにたいそう役に立つのが写真のような治具=組立用直角定規です。大きさは8×26×26cmほどですが、三角形のリブは中に追い込んだ位置にあるのでL字の余剰部分の縁と、組み立てようとする部材とをFクランプなどで締結すれば、たとえイモ剝ぎであっても部材を定位置で直角にきっちり組むことができます(写真の部材は撮影用のダミー)。

写真の治具はありあわせのスギ板で作ったものですが、見てくれはともかくとしても肝心要の直角の精度はかなり優れています。アルミ合金や強化プラスチックなどでできた市販の組立用直角定規もありますが、木工のプロまたはマニアなら自作できますね。

当工房の製品は、ホゾ組みやミゾばめなど木と木同士の凹凸によって組み上げる「指物=さしもの」の技法を基本としていますが、低予算で仕上げなければいけない特別の事情があったり自家用の品物の場合は、ホゾ組みやミゾばめなどがないイモで組むことがあります)。

 

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