新築&引っ越しをしたわが家ですが、まだ内部の建具や造作家具は全部はできていません。しかしまあそれなりに建築物としての様相はお分かりになっていただけるでしょう。ということで順次ご紹介していきたいと思います。新築または増改築などを考えておられる方には、良くも悪しくも参考になろうかと思います。
まずは外観です。1枚目は西側で車道に面しています。左の小山は除雪で盛り上げた雪ですが、右は駐車スペース3台ぶんにあたる地面を15cmばかり掘り下げて砂利と入れ替えた際に出た土砂の山です。現在はその上にさらに雪をかぶせて特設のそり滑りのスロープになっています。
建物は30坪=約100m^2で住宅としては小さめですが、細長い平屋なのと屋根の勾配が6寸勾配(水平方向1に対し垂直方向0.6の割合の傾斜)でやや急なので、床面積のわりにはボリューム感があります。実際の横幅=南北方向は16.5m、奥行=東西方向は6.3mですが、これは別のいい方にするとおよそ9間×3間半です。
窓が4つ並んでいます。右側が居間の窓、他は個室(寝室)の窓ですが、高さは全部そろえています。窓の高さや位置がまちまちなのは美しくありません。構造上または使い勝手の上でやむをえない場合もむろんありますが、室内側からの都合だけでなく外観もできるだけ配慮したいと思います。窓の高さは室内の床から800〜2100mmで、既製品のアルミサッシでできるだけ大きなものを選びました。結果、室内が明るくていいですね。昼でも電気を点けないといけないような暗い部屋は私は好きではありません。
外壁のガルバリウム鋼板は真っ白ではなくライトグレーですし(メーカー表示はメタリックホワイト)、アルミサッシの枠はやや黄色みをおびておりメーカー表示のホワイトというよりもアイボリーといったほうが実際に近いと思いますが、まあ全体としては白でしょう。「白い車」といってもほんとうに真っ白ではなく千差万別であるのと同様です。
2枚目の写真は1枚目の反対で東側からみたところです。こちらは左から物置、キッチン、洗面脱衣室、風呂、トイレ、乾燥室、納戸が並んでいるのですが、物置と納戸はこちらの面には窓がありません。窓だらけにすると建物の強度がいちじるしく落ちるので、とくに重要な建物の角は窓無しの壁にして筋交いをがっちり入れています。
窓は1枚目の写真とはうらはらに大きさがいろいろですが、ユニットバスの風呂は開口制限があって、これが可能な窓のほぼ最大寸法です。風呂の両隣、洗面脱衣室とトイレの窓の高さはそれに合わせています。床からは900〜2000mm。キッチンの窓がいちばん小さいですが、システムキッチンのシンクの高さが850mmなので、シンクの向こうに250mmの小壁を設けるとこれが可能な最大寸法の窓です。最初は吊り戸棚もセットだったのですが、窓がかなり小さくなり室内が暗くなり通風上も難があること、せっかくの鳥海山がほとんど見えなくなってしまうことから、吊り戸棚を廃してそのぶんだけ大きな窓にしました。
いちばん左に見えているのは物置の入口兼勝手口で、夏場はここから大人と子どもの自転車を出し入れします。そのためここだけは土間から開口高2000mmで、他の窓の上端から200mmほど低くなっています。自転車通勤して帰ってきて、勝手口から建物内に入り(自転車を収納し)、すぐのところにある引戸をあけるとキッチンです。冷蔵庫がすぐのところにあるので、仕入れた食べ物や日用品などをすぐにしまうことができます。
最奥はこの建物唯一の掃き出し窓(=床の高さと窓下端との段差がない窓や戸)。室内飼いの猫が2匹いるので夏場でも窓や戸を開けはなしたままにすることは原則的にないので掃き出しは不適なのですが、ベランダやバルコニーといったものがないので洗濯物を乾かす場所としてここに乾燥室を設けています。冬期間以外で天気のいい日は窓を開けて風を通します。そのための開口です。乾燥室と廊下との仕切戸は内外どちらからも施錠できるようにします。
住宅の場合とくにガスボンベやオイルタンク、不凍水栓、ボイラー、エアコンの室外機、換気扇のフードといったさまざまなものがむき出しになり、それが外観をそこねてしまいがちです。もちろん設計的にうまく目隠しすることは可能ですが、そうするには土地と予算に余裕がなければなりません。わが家ではそれは無理なので、語弊がありますが「邪魔物」はすべてこの東側=裏面に配置しました。
さて3枚目の写真は南側からみた玄関部分です。建物自体にぽっかりと穴が開いているようになっているところがポーチで、幅・奥行とも約1.3mあります。右側の小さな窓は物置の窓です。ポーチに入って左側に玄関ドアがありますが、よくある住宅用のデコラティブな玄関ドアではなく、四方枠にペアガラスをはめただけの飾りがいっさいない「店舗用」のドアにしています。
通常はポーチ&玄関部分は建物本体と別に屋根を掛けてすこし外に張り出して設ける手法が多いですし、そのほうが立派な建物であると認識されているようですが、この住宅では立派さや豪華さといったものはまったく求めていません。建物全体が切り妻&長方形のきわめてシンプルな作りなので、そこによけいな凹凸があったのでは台無しです。しかしながら建物壁面に直接に玄関口を設けただけでは雨仕舞がどうにもなりません。雨に濡れながら玄関の鍵を開け閉めするのはそりゃまずいです。それらの解決策としての洞窟状のポーチでした。このような形にすることで雨をよけ、風雪をさけることができます。既製品の風除室(アルミ枠+ポリカーボネート板)は絶対避けたいという理由もあります。
残るは北側ですが、この面は隣家との境界から1.1mくらいしか離れていないので撮影自体がうまくできません。奥にふたつあるはめ殺しの窓は、ひとつは廊下の突き当たり、もうひとつは納戸の窓です。外水道と電気のメーターボックス、テレビアンテナなどはこの北側に配置しています。テレビアンテナが屋根の真上に乗っかっているのはじつにみっともないので、電気屋さんに極力目立たないようにしてもらいました。
切り妻の屋根の場合、その妻手壁面上部に小屋(天井裏と屋根との三角形の空間)の通気口を設けるのがふつうですが、この建物には似つかわしくありません。そこで瓦屋さんと相談した結果採用したのが瓦用の換気口です。長さ3尺(約90cm)の換気用部材が4つ棟に仕込んであります。外観からはまったくわかりませんが、これですっきりしました。この小屋換気に限りませんが、アルミやステンレスのダクトが大きさも位置も不揃いのまま外壁に取り付いている光景は私は好きではありません。
また屋根の骨組みがむき出しになるのを避けるために垂木は大きめの鼻隠しと破風で覆い、軒裏はケイカル板に白色ペイントをしています。鼻隠しと破風は外壁と同じ程度の薄いニュートラルグレーの塗装です。外壁は通気工法になっていますが、夏場日射で熱せられた空気は軒天と外壁との境界に設けた通気見切縁から抜けるようにしてあります。
軒の出は長手で柱芯から900mm、妻手で750mmと、現代の一般的な住宅にくらべるとずいぶん長く出ています。そのうえ雨樋も付けないことにしたので、瓦屋根としては異様なほどにシンプルですね。もちろん強い雨が降れば雨滴のはねかえりで壁が少々汚れるかもしれませんが、それはまあ気にしないことにします。桁の高さは3m長さの柱材と室内天井高2.4mの範囲内でできるだけ低くしたので、帽子を目深にかぶったような感じになりました。これだけ軒が深ければすこしくらいの雨なら窓を開けたままにできますし、窓上ごとの霧除けも不要です。
※ 諸般の事情により本ブログの更新が遅延気味となっています。すみません。上の写真も2月末のもので、現在は周辺の雪はほとんどみな消えています。