中島台獅子ヶ鼻湿原 1

5月12日は子供といっしょに中島台の獅子ヶ鼻湿原に行ってきました。鳥海山の北面標高約500m付近に広がる、ブナをはじめとする落葉広葉樹自然林と、水量が甚大なために発電にも利用されるほどの卓越した湧水群です。近年、手軽に楽しめる鳥海山中のハイキングコースとして秋田県にかほ市が整備に非常に力を入れているところです。一帯は「中島台レクリエーションの森」の中核部分にあたるところで、「あがりこ」と呼ばれる奇形ブナの大木群と、広大な湿地に生息するマット状または半球状の稀産種のコケがとりわけ目玉といえるでしょう。

国道7号線を北上し、次いで日本海沿岸の旧象潟町から東方に転ずるのですが、あいにく濃霧のためただでさえわかりずらい道路にすこし迷ってしまいました。入口の駐車場ならびに公園管理棟までは舗装路で、駐車スペースもずいぶん拡大されて大型バスなども楽に停まれるようになっています。この日も10台近い乗用車と関東地方の大型観光バスが1台並んでいました。

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ハイキングコースに入るとすぐ右手に公園のようにきれいに整備された広い平坦な草地があります。その周囲や隣地もさまざまな種類の樹木の大木が選択的に残されていて、家族やグループでお弁当を広げるのにいいかもしれません。実際、公園側もコース(遊歩道)の先には広い休憩地がないことと森が荒れることを危惧して、休憩や昼食などはここでとることを推奨しています。山用テントも当地で張ることができるのかと管理人に訊いたら、それは不可だそうです。残念。

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樹木はまだ葉を展開していないので、林床は明るいです。そのためスプリングエフェメラル(春の妖精)と称される草本の花の代表株ともいえるキクザキイチゲがあちこちに。キクザキイチゲの花色は白や淡紅色・淡紫青色などいろいろあるのですが、ここのはみな濃いめの紫青色でした。陽光に映えてとてもきれいです。他に目立った花はミズバショウです。

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公園様の林に沿った砂利道は数百メートルで終わり、行き止まりに立派な看板があってそこから木道の遊歩道が始まります。スギの厚板を2〜3枚ずつ並べたもので、10年くらい前まではぬかるみが激しいところや小沢を横断するような箇所だけだったのですが、今はコースのほぼ100%がこの木道になっています。せっかく山に来たのに味気ないといえば味気ないのですが、来訪者が激増した今となってはいたしかたありません。ということで、木道から外れて歩いたり休憩したりは厳禁です。

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10分ほども歩くと赤川の木橋を渡り、左に雪解けの白っぽい激しい流れを耳にしながら進みます。ブナをはじめミズナラやトチ、ケヤキ、ホオ、クリ、カツラなどがいっせいに葉を広げ始めています。ブナ以外ではこのあたりはミズナラがとくに多く、秋にはたくさんのドングリで道ばたが埋め尽くされそうな勢いです。写真には写っていませんがムラサキヤシオの赤い花がぽつぽつ咲いています。

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対岸を見るとオオヤマザクラだと思いますが、ブナ・ミズナラの新緑を背景にところどころにサクラが咲いています。個人的には人為的に植栽されたソメイヨシノなどはほとんど興味がありませんが、自然林の中の自生のサクラはやはりいいですね。

 

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