月別アーカイブ: 10月 2012

紅葉始まる高瀬峡

先週のことですが、高瀬峡の遊歩道をのんびりと散策してきました。車道終点で駐車場のある山ノ神から、ヒノソにかかる第一吊橋をわたって蔭ノ滝、そしてバンバ沢の第二吊橋をわたってカラ沢の急斜面をくだって大滝までです。帰りはちょっと寄り道してバンバ沢とカラ沢の間の尾根を直上して、大滝の滝口を見下ろすところまで行きました。最後の写真で、中央の光っている水面が切れているところが落ち口です。

紅葉が始まっていて、まだ緑のところとやや色づいてきたところ、もう早々と盛りになっているところと、いろいろな色彩が混じり合ってモザイク模様をなし、全山紅葉の最盛期とはまた違った良さがあります。週末で快晴とあって多くのハイカーと出会いましたが、帰り道では私が首からコンパクトカメラを下げていたせいか二三の人から「紅葉はまだですかね?」と訪ねられました。三脚と大きな一眼カメラを持参しているようですが、どんな季節であれ天気であれそこに美しさを見いださなければ、ね。

 

 

 

 

 

起振車

 

最近、鳥海山麓の遊佐町で写真のような重車両をよく見かけます。平地だけでなく、山間の林道のようなところでも先日出会ったので、気になって調べてみると、この車は起振車=バイブロサス車といって、人工的に地面に振動を与えて(人工地震)その反響をコンピューターで分析することで地下の構造を調べるのだそうです。

車長は8mくらい、タイヤの直径も1m以上あって、全体にかなりハードな感じです。なにしろ人工的な地震を起こすくらいの車両なので、やわな作りでは話になりませんよね。製造メーカーや詳しいスペックなどは分かりませんが、左ハンドルだし、おそらくアメリカとかドイツあたりからの輸入車ではないでしょうか。

この車・機械には用に徹した美しさがあると私は思います。ふつうの自動車も、トラックとかバンといった仕事用の車なら、この起振車くらいにいさぎよいシンプルなデザインにしてくれればすごくカッコイイのにな〜、人気が沸騰するんだけどな〜とあらためて思ったことです。はっきり言って「仕事車」には乗用車みたいなよけいな曲線や飾りはいりません。

 

キタテハ

 

先日のこと、昼休みに月光川の河川敷に散歩に出たら、ノコンギク(野紺菊)の群落にたくさんのキタテハ(黄立羽)が蜜を吸いに集まっていました。キタテハはタテハ蝶の仲間ですが、夏型と秋型があり、秋型は成虫のまま越冬します。夏型は名前のとおり黄色い感じですが、秋型はオレンジといったほうがいいくらいに赤味が強いです。

キタテハはカナムグラを食草とするので、カナムグラが生えているような広い河川敷や荒地があればごくふつうに見かける蝶です。しかしこれほどの数が一同に会しているのは私は初めてみました。上の写真に写っているだけでも7匹います。ノコンギクの群落全体としては数十匹のキタテハがいたと思います。

下の写真はその場所から眺めた、雪をかぶり紅葉がすすむ鳥海山ですが、手前の黄色い花は セイタカアワダチソウ(背高泡立草)です。キク科アワダチソウ属で北米原産の植物ですが、ときに2m前後と背が高く黄色い大群落をなすところから、昔は花粉症の元凶のように言われたことがあります。しかしこの花は虫媒花なので、花粉症とは無関係のようです。花粉症説ははじめは学者が唱えそれにマスコミがとびついたらしいのですが、どこにもいつの時代でもいいかげんな学者にはことかきません。

 

天井下地

週明けくらいから床暖房の工事に入るので、できるだけその前にということで、各部屋の天井を張り始めています。まず角材を格子状に組んで、それに9.5mmの石膏ボード(プラスターボード)を打ち付けます。電気配線も合わせて施工しています(壁には12.5mm厚の石膏ボードを用います)。

壁・天井に下地材として石膏ボードを張るのは、今では定番中の定番。断熱性や遮音性もまずまずありますが、なによりも施工性に優れた不燃材としてはいちばんコストパフォーマンスがいいからです。が、欠点としてはしょせんは石膏主体の建材なので、衝撃には強いとはお世辞にも言えず、硬く尖ったものを当てたり、思い切り蹴飛ばしたり殴りつけたりするとわりあい簡単に穴が開いてしまいます。また水を吸うとふにゃふにゃになるので、湿気の多いところや水がかかるようなところには使えません。耐水処理を施した石膏ボードなどの特殊なものもありますが、当然かなり割高になります。

仕上げはたいていこの上に壁紙(ビニールクロス等)を貼ったり、ペイントしたりしますが、場合によっては釘やネジを色つきのものやステンレス製のものを使ってていねいに止めることで、そのまま仕上材とすることがあります。今回のわが家も納戸と物置の天井と壁はその予定です。

写真は3部屋ある個室(私・妻・子)の天井部分ですが、中央の開いているところは他の天井よりさらに800mmほど上げて天井を張って、開口部の右側が畳2枚分ほどのロフト状の物置になります。全体に押入等の収納部分が少ないので、ここに季節品やふだんあまり使わないようなものを上げておきます。階段を付ける空間的余裕はないので、上り下りは梯子でおこないます。

 

本棚移動

新築工事中の自宅ですが、それに納める本棚12台(12ユニット)が完成しました。しかし、このあと横幅3400mm、高さ2000mmくらいもある特大の食器戸棚(カップボード)を製作しなければならないのですが、このままでは狭くて仕事になりません。そこで工房から車で10分ほどの距離にある、しかも工事現場からは100mも離れていない倉庫に本棚を移動することにしました。

木材置場として以前から間借りしている建物ですが、そこまで本棚を運搬移動するのに別にトラックと人手を借りるとけっこうな出費になります。そこで自分のバン(ニッサンバネット)に2台ずつ積んで自分一人で運ぶことにしました。荷室の容積としてはもっとあるのですが、本棚が長さ2400mm近くあって長いのと、荷室が四角四面ではなくへんに丸みを帯びているところがあるので、どうがんばっても2台しか入りませんでした。全部で12台ですから、2台ずつだと計6回も運ばなければなりません。まあ正味一日がかりですね。

困るのががらが大きいので積み込みと降ろすのに一苦労することです。素材はスギの24mm厚の板なので本棚1台(1ユニット)の重量自体は30kg弱程度でそれほどたいしたことはないのですが、なにしろサイズが大きいので一人だと手が回らず、よほどうまい工夫と段取りしないといけません。自家用とはいえここで落としたりぶつけたりして壊してしまったのではも元も子もありません。しかし、これまでも注文家具の納品などでさんざん頭を悩ましてきましたので、その経験をいかして、なんとか無事に移動できました。

下の写真はバンに2台積み込んだ状態です。正面に見えているのが本棚の底(地板)で、横に2本ある桟は、倉庫でコンクリートの床に直置きして保管するので本棚が傷つかないようにするためのガードの角材です。赤丸のマジックインキで印したところで地板にビス止めしており、本番で部屋に搬入するときは外します。

 

本棚組立

 

新築工事中の自宅に納める本棚を組み立てました。基本的な加工は終わり、あとは若干の駄目回りと、床から800mmほどの位置で側板に電気コード用の穴あけをすれば完了です。材料は節の多い杉板ですが、こうしてできてみるとなかなか壮観です。写真は部屋のいちばん奥のほうに置くタイプのものを3台並べたところですが、下から2段目の棚板は床から650mm仕上がりです。これは当工房のテーブルやデスクの標準的な高さで、今回はデスクと本棚を接近させて使用することを想定しています。

部屋の内寸は左右3200mmほどあるのですが、本棚の1ユニットをこの大きさ=幅約80×高さ約240cmにしないと重くて持てないし、大きすぎて搬入もできません。3つの部屋にそれぞれ4台運び込んでからそれを連結して、壁や床や天井にがっちり固定して壁一面の「造り付け本棚」とします。

作りは自宅の自室用(私・妻・子)ということと予算の関係もあって、いちばん簡素な作りです。注文家具であれば部材にホゾやミゾを切って組んでいくのですが、今回はそれをやっていると倍以上の時間がかかってしまうので、横架材はぶつ切りで縦の側板とコーススレッド(木工用の目の粗い木ネジ)で止めていきます。ただ、本などをぎっしり並べてもその重さに耐えられるように、正確に長さと木口を切りそろえた横板を、下穴明け+皿もみをしながら65mmのコーススレッドを一カ所各5本ずつねじ込んであります。外観からはイモで組んであるとは分からないはずです。

棚板の幅(家具的には奥行)は303mmで、縦方向の側板は幅305mmです。210mm幅の素材を3枚矧いでそれを2分したので、単純計算では315mmのはずですが、木端の通し削り(直線と直角を出す)をすることでそれぞれ何ミリずつかは減り、また3mm厚のパネルソーの鋸刃で切断することでその分も減り、さらに最も狭い板にそろえてとなると結果10mm少なくなってしまいました。しかしこの程度ですめば上々です。通常であればもう10mmくらいは余裕をみないといけないと思います。

棚板は写真のタイプの本棚の2・3段目は水平ですが、それ以外はすべて地震等で本その他のものが落下しにくいように後端を5mmずつ下げて傾斜させています。実際にはぱっと見た目には分からないくらいですが。

鉋がけは部材を自動鉋板に通しただけで、仕上げの手鉋または超仕上鉋盤は使っていません。全部で132枚もある尺板の仕上削りをやっていたら途方もない時間がかかってしまいますからね。そのかわり交換したばかりの新しい刃で、送材速度を極力遅くして(当工房の自動鉋盤は無段変速です)ナイフマークがほとんど分からないくらいにしています。

さらにですが、ここは悩みどころですが、無塗装の予定です。もし塗装するとすればのべ64平方mにもなるので、自分でやるにしても塗料と手間とで実費で10万円くらいはかかるでしょう。それはちょっと負担だし、本などを収納するだけなのでそんなに汚れはしないだろうということで、結論としては無塗装としました。

 

キーボックス

 

工事現場などで、玄関ドアの鍵などを収納できるようになっている南京錠です。暗証番号となる4桁の数字を管理者が任意に設定し、鉄格子などの頑丈なところにこのボックスを取り付けておきます。あらかじめその数字を知らされている工事関係者のみがキーボックスから鍵を取り出すことができます。

このようにしておけば常時鍵を持ち歩かなくとも、また工事管理者・現場監督などが不在の場合でも、工事業者や職人は現場に行きさえすれば建物内に入って仕事をすることができます。鍵を会社や自宅に忘れた、鍵を紛失してしまったといった事故を防ぐことができますし、余分な鍵を複製する必要がありません。現場事務所を構えるほど規模の大きな工事ではない、実際に今回の住宅などの小規模な工事では便利だと思います。

そういう用途のためのキーボックスが市販されていることを知ってはいましたが、あらためて店頭やインターネットで調べてみて、よさそうなものをさっそく購入しました(3000円弱)。わが家の工事も、先週ユニットバスが入るなどしてだんだん仕上げに近い工事がすすんできたので、万一の不審者の侵入による器具・道具・材料の盗難や破損などを避けるためです。

このキーボックスは厚みのあるステンレスでできており、大きさはロックするU字型の部分をのぞいた外形で幅60mm厚み29mm高さ79mm、中の収納部分は幅53mm深さ22mm高さ70mm。重さは570gとかなり頑丈です。ボックス内にはドアの鍵などの小型の鍵なら数個入れることができます。メモの紙片やごく小さなものならその受け渡しにも利用できます。

仕組みや見た目は気に入ったのですが、ひとつだけ不満があります。それはダイヤルの数字が黒のペイントのためかなり見にくいことです。銀の地に黒い文字では、そりゃだめでしょ。で、自分で文字の凹みに白いペイントを施しました。

解錠するには設定した暗証番号に合わせる以外の方法はないので、それを忘れないようにしないといけません。数字は自由に簡単に変更できるので、一定期間の用が済んだら番号を変えたほうがいいでしょう。ちなみに玄関のドアの鍵も、いま使用しているのは「工事中限定」の仮の鍵と錠で、完成引き渡し後は本来のものに交換するという方式になっています。ですから工事関係者といえども建物ができてからは当然ですが中に入れないということです。

 

10/5、14、22の胴腹ノ滝

 

写真は10月22日朝の胴腹ノ滝です。9月30日に掲載した26日の計測以降も、10月5日・14日・22日と行っていますが、水量は少しずつ減ってきています。今月に入ってからはわりあい雨の日が多いのですが、それで胴腹ノ滝の湧水の量が増えるということはありません。

水温は5日・14日ともに左右とも8.8℃で、これは9月26日と同じ。しかし22日は右が8.7℃で左は8.6℃でした。計測時の滝の前の気温も5日が16.4℃だったのが14日は12.6℃、22日は9.6℃まで下がっています。もうじき湧水のほうが気温より温かいという逆転が起きるでしょう。「湧水は冷たい」というのはあくまでも夏場だけの話です。

 

滝への歩道の入口や滝のすぐ近くにも熊出没の看板が出ています。「この付近で〜」とありますが、熊は鳥海山全域どこにでもいますし、一日で相当な距離を移動するので、どこで出会っても不思議ではありません。むろん生息密度の濃淡はあると思いますが、その点からいえば胴腹ノ滝のある吉出山は上部に湧水の湿地が点在していて熊が多いところです。滝の見物または水汲みに訪れる場合も、とくに早朝や夕方などにひとりになる場合は注意が必要ですね。

 

ユニットバス

システムバスともいいますが、今回の自宅工事ではお風呂はセミオーダーのユニットバスです。つまりメーカーで用意した部材一式を現場で組み立てて風呂場一室を丸ごと作ってしまいます。カタログから基本形を選んで、あとはいくつかのオプションを選択するだけなので、それほど変わりばえはしませんが、そのかわりまったくオリジナルでお風呂を建造するのに比べ早く安くできます。おそらく半分以下でしょう。

風呂の最大の問題はやはり水漏れの対策です。浴槽や洗い場の床からはもちろんのこと、壁や天井への水はね・水滴・結露の対処、それから洗面脱衣室との水湿遮断など、難問がたくさんあります。とくに木造住宅の場合はどんな木を使うにしても水濡れは御法度なので、それをしっかり防がないと建物がたちまちそこから痛んでしまいます。その点は、ユニットバスは基本的に工場生産の工業製品なのでさまざまな工夫があらかじめ施されています。永久とは言いませんが、まともなメーカーの製品でまともにきちんと施工すれば、建物の寿命と同じくらいには安心して使えるでしょう。とくにわが家では、現在の借家の古い風呂ではさんざん悩まされているので、期待大です。

 

写真は施工がほぼ終わったユニットバスです。TOTOの「サザナ」というシリーズで、その中で最も飾り気のないモデルにしました。サイズは1616という1坪タイプです。天井も壁も床もほとんど白一色で、水栓やシャワーや手すりなどの金属類だけが銀色に光っています。窓は他の部屋の窓と同様にアルミ枠のペアガラスのもので、それに合わせて風呂室内用のフリーサイズの窓枠を加工しています。ジェットバスとか追い炊き機能とか浴室内テレビ・浴室用マルチエアコンといったよけいな機能はすべて遠慮しました。

カタログを見ると同じシリーズでも価格差は倍以上もあります。で、安いのと高いのとどこが異なるのかというと、高いのは壁のパネルがきらきら輝いていたり、花柄だか大理石だかの模様が付いていたり、水栓金具が輸入品で彫刻的であったりといった違い。つまり非本質的な部分で「豪華」「高級」「立派」にみせかけているだけですね。もちろん私はそういったものをすてきとは露とも感じませんし、むしろニセモノオンパレードの貧乏くささが鼻についてしまいます。ユニットバスはどこをどういじってもユニットバスなので、オリジナルのお風呂なら可能なタイルや石張りや、総ヒノキ作りやガラスの温室みたいなお風呂を表面的に真似てもどだい無理があります。

ユニットバスは大量生産の工業製品なので、同じシリーズの製品であれば浴槽・浴室としての基本部分はみな同じです。基本モデルでは儲けがさほど得られないので、いろいろな付加価値=装飾やなくもがなの機能をオプションで山ほど付けてそれで儲けようということなのでしょう。しかしそうした営業戦略はもうとっくに破綻していると思います。

 

鳥眼杉?

 

このところずっとスギの板で本棚の加工をしていますが、仕入れた24mm厚、幅210mmの板100枚の中にとてもおもしろい模様のものが1枚だけありました。たぶん小枝やひこばえの跡なんでしょうが、まるであの銘木として名高いバーズアイメープル(楓鳥眼杢)みたいです。

他の板にも二、三枚の板に同様の斑紋が表れているものがないわけでなかったのですが、それはごくわずかでまばらなため、単に欠点にしか見えませんでした。写真の板のように、極小の節もこれだけ密に散らばっていると、なかなかに風情があります。

このまま本棚の材料にしてしまうのはもったいない、あるいがしのびないと思い、とりあえず除けておきました。なににどう活かすかは後でゆっくり考えることにします。