月別アーカイブ: 11月 2012

クロス打ち合わせ

内部木部塗装が終わったら内装屋さんが天井にクロス(壁紙など室内の表面仕上に張る材料を総称してそう呼んでいます)などを張るので、まだ塗装途中ですが打ち合わせを行いました。

それで壁紙のカタログと、トイレ・洗面脱衣室の床に張るいわゆるクッションフロアのカタログをあずかったのですが、なにしろ膨大な品数で驚きます。メーカー各1社(サンゲツ、東リ)だけでもこれだけあるので、国内の主立った内装品メーカー数社のカタログをどさっと渡されて「さあ、自由に選んでください」と言われても途方に暮れてしまうでしょうね。

今回は建てる前から全体のイメージがはっきりしていることや、施主である私自身が実質的に設計を行っていること、壁に使用する材料(石灰ベースの左官材料)が先行して調達してあること、床も無垢のカラマツのフローリングをすでに全面施工済みなので、選択肢はかなり限られておりとくに迷うことはなさそうです。

 

特大の食器棚

 

いま工事中の自宅のLDKに設置する特大サイズの食器棚です。地板と左側面は建物躯体に固定するのと背面は現場加工となるので、いちおう造作家具ということになります。写真はその製作の途中のようすですが、完成時の大きさが幅3384mm高さ2000mm奥行き457mmもあるので、木取するにしても矧合せしてから削るにしても(写真上)、部材の塗装(写真下)にしてもたいへんです。

作り自体は「自家用」ということと建物全体の予算や工期の関係もあって、通常よりはだいぶ簡略な作りですが、それでも合板や集成材などは使いたくないので、本体はスギ、引き戸はスプルスの無垢板。ごらんのとおり見えがかりでない部分は節もたくさんある材料ですが、引き戸の走る天板と地板は素材厚30mm余のほぼ無地の材料を使っています(他は本棚と同じ24mm厚)。

もちろん完全に一体で作ってしまうと大きすぎる重すぎるで搬入できませんし、中間に90×70cmくらいの窓(ハッチ)を設けるので、上下に3段、箱としては4つに分割して製作し現場に搬入してから連結し一体化します。ハッチがなければ先日の本棚のように幅800mm程度のふつうの大きさの食器棚にしてそれを4台連結するほうが作るのも簡単で材料的にも楽なのですが、今回は上の写真のように上の段と下の段の天板・地板は長さ3360mmもあります。これは比重の軽いスギとはいえ一人で持てる、また加工できる限界の大きさです。

ふだんこれほど大きな戸棚を作ることはめったにないので、加工する前にまずよけいな材料を片付けたり機械道具類を端に寄せて作業スペースを確保したりしながらやっています。

 

外壁進まず

 

内部の大工さんの仕事=木工事はゴールが見えてきましたが、外部の壁工事は天気がわるいのでなかなか進みません(写真の右側の方は張り終えた部分です)。晴れてもせいぜい1日しかもたず、それですこし張ってはまた中断して、の繰り返しです。天気がよければ1週間くらいで終わりそうなんですが……。

外壁については後でまた詳しくお話したいと思いますが、とにかく早くかつ無事に張り終えるのを待つばかりです。それが終わらないことには足場も外せないし、足場が外れないと上下水道の屋外配管や、残りの左官工事=ポーチ・物置・ボイラー等の架台のコンクリ打と玄関のタイル張り、それに車庫の工事などに取りかかれません。

天気ばかりは誰に文句を言っても始まりませんし、ひたすら受容するしかないのですが、今年もあと実質1ヶ月しかないので、少々焦ってきました。

 

稲孫田

 

11月22日の鳥海山です。連日の雨だったのですが、この日は珍しく一日よく晴れて、鳥海山もきれいに見えました。積雪は量はまだたいしたことはないものの標高400mくらい、里近くまで下りてきています。

それにしては手前の田んぼは青々としていて、田植えが終わったばかりのよう。この写真を見せられて「春の風景だよ」といわれてもうっかり頷いてしまいそうです。刈り取りの終わった稲が、その後からまた青い芽を出してくるのを「ひつじ」といい、漢字で書くと「稲孫」または……、あれ私のワープロソフトではもうひとつのほうの漢字が出てきません。

もっと温かい地方だと花が咲いて穂が垂れることもあるそうですが、さすがにここ山形県庄内地方ではもうじき一面雪に閉ざされてしまいます。

 

さらに増水

 

11月22日朝の胴腹ノ滝。鳥居の前の杉木立の間から滝が見え始めたとたんに増水しているのがはっきり分かるほど、前回11月11日よりさらに湧水量が増えていました。驚きです。水温は右側だけ前回より0.1℃下がり8.7℃、左は8.6℃で同じです。気温は滝の前の社のところで4.7℃なので、もう湧水のほうが断然温かいです。

それにしてもいくら雨天続きとはいえ、冬を間近かに控えてのこの急激な増水は、なにやら不安感すら覚えます。今回の水量は5月28日の水量とほぼ同じです。前回よりさらに一ヶ月ほど遡ってしまいました。これからですが、まさか今年のピークだった5月8日を凌駕しやしないかと心配しています。

昨年(2011年)はどうだったかを調べてみましたが、昨年は5月11日をピークにその後は12月の積雪時まで、若干の上下動はあってもほぼ一直線に減衰していました。2010年、あるいはもっと前はどうかですが、残念ながら記録がありませんので不明です。

私が意識的に胴腹ノ滝の水温と水量などを通年で定期的に(1週間〜10日程度の頻度で)調べるようになったのは2010年12月くらいからなので、その前のことはよく分かりません。むろんそれまでにもたびたび胴腹ノ滝を訪れてはいるのですが、不定期ですし定点観測的な写真を撮ったり水温測定などはしていないので、季節的変動や降雨・降雪との関係などはほとんど分かっていませんでした。ほんとうは毎日かつ10年くらいも調査すればいろいろおもしろいことが見えてくるのでしょうが。

 

すりきれたシャツ

ちょうど10年着込んだシャツですが、さすがに襟首や袖口のあたりがすり切れてきてもう寿命ですね。ホームセンターの作業服売り場で買ったJOHN PLAYER SPECIALというブランドの棉の長袖シャツですが、微妙な色合いと着心地の良さで春・秋の定番的アイテムだったのですが、残念。

もう一枚同ブランドの青色系のチェックのシャツもあって、どちらも1980円と値段はたいしたことはありませんが、やはり非常に繊細で控えめな色使いでたいへん気に入っています。ファッションにうとい私には、もっとずっと高価で有名なブランドのシャツとどこがどう「実質的」差があるのか理解できませんが、私にはこれでじゅうぶんです。

流行等に合わせて新しい服を買うということは私には基本的になく、一度買った服はひどく汚れたりすり切れたりしてぼろぼろになるまで着倒すのがふつうです。長袖のシャツの中には30年以上現役のものもあります。そちらは綿とポリエステルの混紡でやや厚手なので、さらに丈夫というわけです。

ひとつの服をこんなに長く着られたのではファッション業界は商売あがったりでしょうが、GNPの増大が必ずしも幸福の増大には結びつかないということの、ごく小さい一例かもしれませんよね。

 

コンビネーションプライヤー

 

最も基本的でオーソドックスな工具のひとつであるプライヤー(コンビネーションプライヤー)。物をはさむ、つかむ、針金を切るなどの用途に用います。回転軸を切り替えることで開口を大きくすることもできるので、径30mm程度のパイプなど丸いものをくわえることもできます。すでに工房でひとつ使用し、車にもひとつ載せているのですが、塗装室(といえるほどちゃんとしてはいませんが)用にもう一丁買いました。日本の工具メーカー大手のTOP社の200mmサイズのものです。

材質は代表的な工具鋼であるクロムとバナジウムを含む合金工具鋼です。鉄にクロムやバナジウムやモリブデン、タングステンなどをすこし入れて焼入れすることで、靱性や耐摩耗性などが飛躍的に増すのですね。といってもこのプライヤー、値段は1000円ちょいくらいで、これでまともな工具を購入できるのだからたいしたものです。

これよりずっと安い半分以下の値段のものもありますが、いかにも作りが雑で即却下。逆に海外の有名ブランドで何倍も高価なプライヤーもあるようですが、性能的には上記のものとほとんど差がないのでそれも却下です。たしかに細部の磨き具合がていねいだという話ですが、そんなものは仕事道具では二の次で、その差額で別の工具を買ったほうが私はいいです。

新しい道具を手にすると、思わず口の端がゆるんでしまいますが、1000円余りで幸せな気分を味わえるのだからとても安上がりですね。

瓦屋根

 

新築工事中の自宅ですが、雨天続きでのびのびになっていた屋根の瓦葺きがやっと終わりました。写真は東側のいわば裏からみた状態です(左の切妻側に玄関)。外壁は天気その他の理由もあってまだごく一部しか張られていませんが、仕上がりは真っ白の壁なので、上の写真のタイベック(透湿防水シート)を張ってある現状とだいたい同じような印象になるはずです。全体として白と黒のモノトーン+単純な三角屋根の建物で、あまり住宅らしくない雰囲気になるかもしれませんね。

細長い平屋で6寸勾配のやや急な屋根なので、見た目の量感として屋根の分量がかなりあります。つまり外観的には屋根をどういう素材のどんな色にするかでずいぶんイメージが違ってくるでしょう。最初の見積ではガルバリウム鋼板で葺く場合も試算してもらったのですが、やはり耐久性や全体の形状、壁等のバランスを考えると瓦葺きがいちばんいいということになりました。しかも洋風の瓦とか色付きの瓦ではなく、純和風の波状の真っ黒い瓦です。現在では主流ともいえるガルバリウム鋼板にくらべて屋根の単価は5割くらい上がってしまいましたが、そのかわり鬼瓦その他の装飾的な要素は極力省いてもらいました。まあ予算がもし潤沢にあったとしてもそういった飾り物は私は好みませんけれど。

いよいよ瓦を葺くという段になって、ずっと気にしていたのは軒先の瓦です。これもふつうは特にお客がなにも言わないかぎり丸みのついた饅頭(万十)軒という軒瓦になるらしいのです。が、あらためて瓦について調べたり既存の他の建物を仔細に見てみると、比率はずっと下がるものの饅頭以外にもいろいろな形状の軒先があるようです。それでもう一度瓦屋さんと詳細な打ち合わせをし(この過程で当初予定の業者から別の業者に変更)、メーカーから見本もいくつか取り寄せてもらって、それで決めたのが下の「ストレート軒」という瓦です。先端の木口と下端が平になっています。写真はまだ木部の塗装をしていない段階のものですが、シンプルでなかなかいい感じです。

 

もっとも瓦の種類を決めたそのあとがたいへんで、このストレート軒瓦を使う人はこのあたりではほとんどいないらしく、しかもメーカーにも真っ黒のは在庫がないということで(産地の愛知県周辺では銀灰色が主とのこと)、注文で作ってもらうことになってしまいました。屋根材は瓦に限りませんが水対策の関係でかならず一番下から葺きはじめます。下から上に向かって順に葺いていって棟を最後に施工。ということは今回は軒先の瓦ができてこないことには屋根工事が始まらないということです。その後の悪天候も重なって、結局発注してから工事が終わるまで1ヶ月半ほどかかりました。

付け加えるならば、下からはまったく分かりませんが棟には瓦葺用の換気部材が4カ所付いています。通常は壁の切妻部分の最上部に換気口を設けるのですが、どうも見た目の納まりがよくありません。とりわけ今回の建物は「シンプル・イズ・ベスト」を旨としているので、目立つところにぽっかり穴なり格子なりフードなりが付いているのはなんともそぐわない。それで瓦屋さんとも相談して棟のところで換気することにしました。物理的にもいちばん理にかなっています。

あとは雪止めですね。これも桁の上あたりにだけ雪止めの突起(現在は瓦と一体になっています)が付いているのは「いかにも」という感じで美しくないので、屋根全体に散らばしてもらいました。下のほうは「千鳥」、上は「大千鳥」という配置とのことです。基本的に雪は屋根に広く薄く平均して載せたままにするという指向です。

 

幅木と廻縁

建物の床面と壁との境目に付くのが幅木(はばき)で、天井と壁との境目に付くの廻縁(まわりぶち)です。絶対になにがなんでも必要というわけではありませんが、それらがあることで壁の破損や汚れを防止したり、見た目にすっきりした感じがする、施工上も楽といった利点があります。幅木や廻縁といった、異なる面の境界に付ける細長い部材=見切縁・見切材(みきりぶち・みきりざい)がいっさいない作りも可能なことは可能ですが、面材の端をすきまなくぴったりと納めなければならないので、施工にはたいへん神経を使います。かえって手間がかかる場合も多く、見た目のすっきり感とはうらはらにコスト的には逆にアップする要因となります。

今回の自宅工事では幅木は高さ35mm、廻縁が高さ24mmで、どちらも仕上がりの厚み=チリは10mmです。壁は12.5mm厚の石膏ボード下地がメインなので、それが挿し込めるように壁側が溝状になっています。今ではこうした見切縁も建材メーカーによる製品としてのパーツを工事業者が購入して、長さだけ切って取り付ける方法が主流になっています。安価なものだとみな集成材や木にみせかけたプラスチック製ですね。しかしわが家にはそういうものは使いたくないので、素材(アガチス=南洋杉)を大工さんに提供して加工してもらって取り付けています。窓枠や戸枠も同様です。

幅木や廻縁などは半分は装飾的な意味合いのものですが、一般的にはサイズが大きいほど、また複雑な形状のものほど立派だ上等だとされています。たしかにそれは一理あるかもしれませんが、なにごとも全体的なバランスの問題で、こんどのわが家にはそういう飾り物は似つかわしくありません。そのためいちばんシンプルな形かつ物理的必要の範囲で最小寸法となるように注文しました。小さすぎて逆に加工しづらいと大工さんはぼやいていましたが。

 

さて写真は天井と壁との境に取り付けた廻縁ですが、天井も壁も無地の白色仕上げの予定なので、塗装屋さんに廻縁は白くペイントしてもらう予定でいます。できるだけ目立たないように。壁の一部が色が違うところがありますが、これは個室の南側壁一面全体に本棚を取り付けるのでそれの補強です。本がぎっしり詰まった本棚が地震などで倒れてきたら死んでしまいかねませんから、建物本体に厳重に固定するつもりです。

 

テーブル粗木取

8月末から工事をすすめている自宅ですが、LDKに大きなテーブルを置く予定です。建物に固定の造り付けではなく、別置きのフリーのテーブルです。LDKのうちリビングの部分は12畳ほどの大きさなので、いろいろな家具を置くだけの余裕はなく、基本的には大きめのテーブルをひとつ置いて、食事から団らん・読み書き・軽作業など、だいたいのことをこの部屋ではこれで行うことができるような状態にするつもりでいます。

したがって家族は3人なのですが、テーブルは長さ3mを予定しています。詰めれば10〜12人くらいは座れる、家庭用としては巨大といっていい大きさ。片方で遅い食事をしていて、もう片方で子どもが宿題をしているみたいな使い方のイメージです。奥行きはあまり大きいと家庭ではかえって使いづらいので、最大でも90cm。高さも市販の一般的なテーブルよりは低く(当工房では標準仕様ですが)63〜65cmくらいです。

材料はできるだけ手持ちのものをということでベニマツ(紅松)。20年ほども前に丸太で仕入れて製材してもらった材料の残りの大板が2枚あったので、これを使いたいと思います。サイズは厚み68mm幅60〜70cm長さ3.4mくらいもあるのですが、変色や割れ等があるので「いいとこどり」をして最終的には55〜60×850×3000mmかなとふんでいます。

 

写真では工房の床のコンパネと色合いが同じになってしまっていますが、2枚の板のうち1枚はほぼ柾目の材料で、芯持ちで真ん中に割れが半分生じていたので、まずこれを二つに割り、白太(変色が多くて使えない)と芯よりの未熟材の部分を取り去りました。写真の手前の板と奥の板です。もう一枚は板目のすなおな材料だったので、これは両面赤味の一番狭い部分の幅にあわせてカットしました。写真の中央の板です。この粗木取の段階では幅300・450・280mmと計1030mmにもなりますが、大平のところもざっと鉋をかけて材質を検分してわるいところはさらにまた除去します。

本格的にテーブルを作るのはもっと先のことで、場合によっては年が明けてからになるかもしれません。しかしほんとうに作れるかどうかの材料的な見通しだけは今からたてておく必要があります。そのための今回は粗木取でした。