まだ残っているところもありますが、建物の外壁面に大工さんが白い建材を張って、だいぶ家らしくなってきました。第三者が眺めても、完成してからの姿をだいたいはイメージできるようになってきたと思います。張っているのは「耐力面材」のニューフェイスで、三菱マテリアル建材株式会社の「モイス(MOISS)TM」です。TMはおそらく耐力面材の頭文字でしょうね。写真上は西側の道路から、下は東側の隣の畑から写したものです。
これは壁面を一体化することで地震等の外力を分散し建物の強度を高めるものです。構造材として筋交も30本近く入っているのですが、耐力面材を外壁全体に施すことによってそれをさらに向上させます。こうした目的で外壁に張る場合、通常は9mm厚の木製合板(いわゆるベニヤ板)を使用するのですが、同じ程度の9.5mm厚ながらモイスTMは木製合板にはない数々の特長をもっています。
1)天然素材である。2)防音性にすぐれている。3)火に強い。4)透湿性にすぐれ結露しにくい。5)熱を伝えにくい。6)腐食しにくい。といったところです。すこし専門的になりますが、外周100mmピッチ・中通200mmピッチでN50の釘打をした場合は壁倍率2.7倍、外周75mmピッチ・中通150mmピッチでN50の釘打をした場合は壁倍率3.8倍の認定を取得しています。素材は珪砂・消石灰・バーミキュライトという天然の粘土質鉱物なので、とりわけ湿度調整と防火性、耐久性は従来の木製合板よりはるかに優れています。ただし単価もほぼ2倍で、それが普及を阻んでいるのかもしれませんね(といっても総工事費に対し1%弱増加くらい)。
仕入れしてもらった建材屋さんの話では、この建材を扱うのは2例目で、しかも建物外壁全面に導入するのは当地域(酒田・飽海地区)でははじめてかもしれないとのこと。現代の住宅は気密性が飛躍的に高まったぶん結露もしやすいので、換気計画もさることながら主要な建材自体の調湿性は非常にだいじです。