今回の自宅新築工事では、内部の木製建具は全部私が製作することになっていますが、それには北米針葉樹のスプルス(ベイトウヒ)を使います。また大工さんの領分ですが、窓枠や幅木や見切縁などの造作材には東南アジア産針葉樹のアガチス(ナンヨウスギ)を使います。それらの材料が大阪の服部商店から届きました。
上の写真は大工さんの作業場に搬入したアガチスの30mm厚の柾目板で計49枚あります。みな無地の最高グレードの材料。幅は15〜30cm、長さ3.2〜4.3mですが、サイズがまちまちなのは本来は「建具用」としての選別しているからです。建築の造作材も、いまではパーツメーカーが作った既製品を仕入れて長さだけ現場でちょん切って取り付けるやり方が普通になっていますが、今回はすべて大工さんがこしらえます。べつに複雑で特殊なものにしたいからではなく、建物全体のバランスを考えてちょうどいいサイズと形状のものとするためです。結果的にはむしろ既製品以上にごくシンプルなものになるはずです。
下の写真は当工房に搬入したスプルスの40mm厚の柾目板でぜんぶで28枚あります。これは今回の自宅工事の建具用に木取も考慮してとくべつに選別してもらったものです。長さは1.1〜3.1mですが、幅は18〜41cmというように、40cmを超える、柾目の無地板としては超特大といっていいものも含まれています。使うのがもったいないと思うほどの最高の品質。
木口にみな細かい数字が書いてありますが、これは私が検品がてら両木口と平面に計4カ所、材料の種類と通し番号・厚さ・幅・長さ・グレード・入手年月日・入手先を1枚づつ記したもの。そのためすべて木口は事前にきれいにカットしました。もちろん同時に、価格なども入れたさらに詳しいデータを材料台帳に記録しています。
これだけ書きこんでおけば多数積みあげた状態でもすぐ材料を選ぶことができますし、在庫の管理や、建具や家具などを製作した際に使用したぶんの材料を台帳と照らし合わせれば材料の原価計算がすぐにできます。それはそのときの製品のコストを正確につかむだけでなく、その後の見積もりなどにたいへん役に立ちます。