月別アーカイブ: 4月 2016

コーヒーブレーク 76 「三三七拍子」

 

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耳の奥より己の声や四月馬鹿

はるかに昔のことになるが、小学生のときにテープレコーダーに吹き込まれた自分の声を初めて聴いたときに、それが自分の声であるとは信じられなかった。機械のほうの調子がおかしいのではないかと思って、友達にきいてみると「いや、そっくりだよ」と笑って言う。そうか、自分の声は他人にはこんなふうに聞こえているのか。/それは自分が考えていたものと比べると全体に低い声で、すこし鼻にかかったような声だった。特徴がある声音でもあって、これでは顔姿が見えなくとも誰が話しているのか、すぐにわかってしまうなとも思った。悪い事はできない。

春雷の三三七拍子には足らず

三三七拍子は文字通りに、○○○ ○○○ ○○○ ○○○○○○○ 合計計13拍のことだとか。テンポも速く、主に応援団の手拍子として用いられる。それに対し、一本締めの手締めは ○○○ ○○○ ○○○ ○○○ ○ で合計10拍、三本締めは一本締めを3回繰り返すこと。俗に関東一本締めと呼ばれるものは、ヨォー ○ だという一本締めは宴会等での中締めとして用いられることが多く、三本締めは完全にお開きの場合に用いられる(他の説もあり)。なるほどね。/最近は簡素化のためなのかどうか、上記のうちの ヨォー ○ という”一本締め”が多くなったような気はする。私的にはこれくらいか、せいぜい本来の一本締めくらいがいいかな。本格的な三本締めなんかやられた日にはうっとうしくてたまらんし、なんだかしらけてしまいそうだ。

ラテン語の苗札の直立不動かな

昔はサボテンマニアで、多い時は300種類ほどのサボテンを自製のフレームで育てていた。さらに昔の中学・高校生の頃だと、親からもらう小遣いでたまに通販で入手するくらいなので、当然高価なもの珍奇なものは買えるわけもなく、数百円程度の小さなサイズのものだけだった。値段の安いものは要するに戦前くらいから日本に導入されていて、栽培・繁殖も比較的容易だからである。それらにはみな日本独自の名前=和名がつけられていたが、輸入業者等によるまったくの恣意的なものか、ラテン語の学名の発音のもじりがほとんどである。/それはそうで、ラテン語で表記された学名そのままでは、ごく一部の人をのぞいてそもそもなんと読むのかすらわからないし、意味も不明だし、なかなか覚えらない。英語もおぼつかないのに、ラテン語なんぞはとんでもない!というのはよくわかる。/しかし、そのおかげで特徴を的確にとらえかつ情趣のある名付けがいろいろ成されたことも事実だ。兜丸、般若、鳳凰玉、鯱頭、金鯱、花王丸、鶴巣丸、天晃、紅鷹、光琳玉、海王丸、守殿玉、鳥羽玉、望月、白星、月宮殿、振武玉、花籠、菊水、宝山、月影丸、入鹿、などなど、枚挙にいとまがないほど。しかし野生種のサボテンだけで5000種以上ともいわれるすべてに和名を付けるのはさすがに無理があり、ここ数十年くらいの比較的新しく発見された種類については学名のままに流通することが普通になった。これだと学名と和名との混乱という事態は避けられるものの、やはり名前を覚えられないなあ。

 

(※ 山形と秋田の県境に位置する三崎海岸。写真は、そのすぐ南側にある湾で、日本海の波に洗われた丸石が一面にごろごろしている。一つの湾の中でもその位置により岩の丸みの程度や大きさが顕著に異なり、たいへん面白い。)

 

高瀬峡 蔭ノ滝

 

昨日、鳥海山麓の胴腹ノ滝に湧水の調査と水汲みにでかけたのですが、その後にすこし足を伸ばして高瀬峡の胴腹ノ滝まで行ってみました。今年は積雪が少なかったので、例年とちがって山ノ神まで残雪もまったくなく車はすんなり進入することができました。

しかし案の定というか、遊歩道に入ってから最初の吊り橋の踏み板はまだ設置されておらず、ワイヤーロープにつかまってヒノソを渡り越しました。いつもより雪解けが早いことや、もう半月もすればゴールデンウィークになるのに、観光協会等の関係者はいったい何をしてるんでしょうかね。4月になり晴天の日曜日であれば当然ハイキングなどで人出が予想できるはずです。実際、引き返して来た乗用車2台とすれちがいましたが、明らかに山菜採りなどの車ではありません。

写真はヒノソの蔭ノ滝です。水量はそれほど多いわけではありませんが、滝のすぐ前の中州に渡るのは長靴でないとやや難しいかもしれません。

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黒柿ブックマッチに猫が

 

黒柿で刳物(くりもの)をつくるべく、材料の欠陥(ひび割れ・腐れなど)を2〜3mmくらいずつ切り詰めていたのですが、その木口切りした薄板が結果的にとてもおもしろい紋様を描いていました。

一枚の板を二つに切ってから、本を開くように左右対称の木目になるように使う手法をブックマッチというのですが、黒柿の孔雀杢の紋様をそういう具合に合わせてみると、なにやら中央に猫の顔のようなものが。同じ板からの薄板は6枚あるのですが、裏と表もあるので組み合わせとしては6種類。1、2枚目の写真とも一番左のブックマッチがもろに猫の顔ですね〜。3枚目の写真はそれのアップ。右端のはゴーグルをかけた猫ですか。

板厚は2mmくらいで、縦横は3×18cmくらいの大きさですが(2枚合わせると幅は約6cm。写真は上下をすこしトリミング)、木口なので、ちょっと無理するとぽっきり折れてしまいます。したがって製品に使うとすれば他のすこし厚みのある材料に慎重に象嵌するしかないかなと思います。

 ある方にこの記事ならびに現物をおみせしたところたいそう喜ばれ、さっそくこれ(=左の組み合わせ)を象嵌に用いてのくり物のご注文をいただきました。 中と右のご注文も承りますので、ご希望の方はメールください。

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補強の捨て材接着

 

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厚さが30〜45mmくらいある板を掘り込んで蓋物(刳物-くりものともいいます)を作っているのですが、材料によっては表面からは不明な欠点=ひび割れ、虫食い、腐れなどが出てくる可能性が高いといった場合は、これで大丈夫まちがいないという所まで、木口や木端をちょっとずつ切り詰めます。しかし、製作しようと思っている品物の寸法に対して材料があまり大きくない場合、上記の切り詰めでますますその余裕がなくなってしまいます。上の写真の黒柿もその典型例で、A4サイズほどの仕上がり予定に対して材料の余裕は幅・長さとも数mmほどしかありません。

これをそのままで深く掘っていったのでは、刃物の衝撃などで割れてしまうおそれが大ですし(とくに木口側)、加工の際にクランプなどでしっかりと材料を保持するだけのゆとりもありません。

そのためこのようなケースの場合は、木口と木端に幅30〜40mm程度の捨て材を接着します。品物ができるまでの保護・補強と、木ネジやクランプ等による作業台への固定代・くわえ代を設けるためです。こうしておけば、かなり安心して加工をすすめることができます。

役目が終われば文字通り捨てられてしまう材料なので、通常の家具などに用いるような上等な材料でなくてもいいのですが、狂わないようにそれなりに通直で乾燥していなければなりません。上の例ではすこし節や変色のあるベニマツの余りを使用しています。

 

黒柿角形刳物3点完成

 

黒柿のかなり上等な杢の材料でこしらえた刳物(くりもの)3点です。被蓋(かぶせぶた)が2点、変則的ですが合蓋(あわせぶた)が1点。大きさは縦・横で9〜13cmほどの小ぶりな箱です。

もう1点黒柿で、A4サイズくらいの特大の刳物があるのですが、一気には加工できないので、同じ板から木取した小さめの角形刳物三つを先に仕上げてしまいました。詳細については近いうちにまたご紹介します。

完成の目処がついたものから順々に仕上げていかないと、先行きが心配です。後でまとめて最終の加工や塗装をしようと思っても、予定通りに行くとはかぎりませんから。個展まであと7ヶ月を切りました。

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鳥海山の夕景色

 

昨日の仕事帰りに出会った鳥海山です。あまりきれいだったので、車を農道に入れて20枚くらい写真を撮ったのですが、最初の5時40分にはまだ白い雲と雪だけだったのが、みるみるうちに夕焼けに染まり、5時48分頃には日没となってしまいました。中腹にちょうど雲がわいていたので、鳥海山が空中に浮かんだよう具合になっており、とても美しいです。

景色がきれいだなあと思っても、車を運転しているときや先を急いでいるときは撮影はできませんし、そうでなくとも往来の邪魔・危険にならないような頃合いの駐車スペースがすぐみつかることも稀です。ことに日の出や日没は刻々と表情が変わるので、停める場所を探しているうちに撮影のタイミングを逸してしまうこともしばしば。昨日はグッドタイミングでした。

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個展11月2〜8日に開催決定

 

当工房(大江進)の個展ですが、今年11月2日(水)〜8日(火)開催と決定しました。場所は山形県庄内地方の唯一のデパートである、酒田市中町二丁目の「マリーン5 清水屋」4階の「ミュージアム5」という画廊です。

昨年末くらいから展示する品物を作っているのですが、現在おおよそ半分程度の進捗具合です。当工房のメインの仕事は注文家具ですが、今回の個展はあえて一品ものの小物が中心。厚めの板を掘り込んで作る「くり物」の箱類を約40点ほど展示するつもりでいます。サブは若干量も作っている定番的小物類。

「くる」は掘るという意味の古い言葉ですが、形は丸・楕円・正方形・長方形・多角形・不定形などいろいろで、材料も黒柿をはじめとしてセン・タモ・ケヤキ・クルミ・シャム柿・トチ・キハダ・サクラ・カエデ類など十数種を予定しています。大きさは手の平に収まるくらいの小さなものから、A4サイズを越えるような大きなものまでさまざま。

詳しくはまた追ってお知らせしますが、多くの方にごらんいただければ幸いに存じます。

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コーヒーブレーク 75 「ロボット掃除機」

 

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しかたなく三月まである古暦

新年は1月からなのか4月からなのか? 暦的にはむろん1月からなのだが、学校をはじめ公的機関や団体・企業によっては年度は4月からというところも多い。したがって2016年の1月2月頃に「去年は〜」と言ってもそれは2015年の1〜12月のことを意味してるのか、2014年4月〜2015年3月のことを意味しているのか判然としない。うっかりすると1年近くも誤差が出てしまうので、「それは年のことか? それとも年度のことか?」と確認する必要がある。/それに加えて元号(年号)である。ふだん昭和△年、平成□年という表記を使う習慣がない私は、元号での表示を求められるたびにちょっと不安になる。実際ときどき間違うことがあって、相手から訂正されてしまう。どうして西暦に一本化しないのか。天皇制に連なる元号表記もだいじだと言うなら、せめて西暦と併記するようにしてもらいたい。/明治・大正・昭和・平成ならばまだいいが、それ以前の頻繁に元号が変わっていた時代のできごとを元号のみの記載で書かれても、素人にはまったくいつのことやら見当もつかない。歴史学者なら西暦の併記なしでもすぐにいつ頃の時代か即座に頭にうかぶんだろうか?

新聞の活字小さく雛飾

私は子供の頃に男の兄弟しかいなかったこともあって、家にお雛様をかざったことはない。女の子がいる親戚もあったのだが、やや遠方であったこともあってか雛飾りの記憶はとくにない。しかし大人になってから、仕事がらみでたまに雛飾りに遭遇し、準備や片付けを手伝ったりしたことはある。/その際に雛や諸々の道具を包んだ布の緩衝材として何十年も前の新聞紙が出てくることがある。驚くのは記事の内容よりもまず活字の小ささである。現在の一般的な新聞に比べると本文の字の大きさは面積的には半分もないのではなかろうか。まるで国語辞典でも開いているみたいだ。/テレビがまだない時代では新聞または雑誌はほとんど唯一の情報源であったから、限られた紙幅に目一杯の文字を入れこんだということなのだろうか。ちょっと目のわるい人は読むのがつらそうな気がするのだが。

思案しつつロボット掃除機働けり

ロボット掃除機といえばなんといっても米国のアイロボット社の「ルンバ」が有名である。知人でも何人かがこれを自宅で使っている。しかしアイロボット社は元々はというか今でも本業は軍事ロボットの開発であって、ルンバはその地雷探知用ロボット等の機能を部分的に民生用に活かしたもの。つまり掃除機が売れれば売れるほどロボット兵器も売れるということなんだろう(そう単純な話ではないかもしれないにせよ)。そう思うとわが家では絶対に導入することはないだろうな。マキタの充電式のハンディな掃除機で足りてるし。/ついでに同類のロボット掃除機を調べてみると、1万円もしないものから業務用とおぼしき20万以上もするものまでたくさんの種類とタイプがあり、内外の各メーカーがしのぎを削っているようである。なんでも「ほしい家電」かつ「買ってよかった家電」で大型液晶テレビと並んでトップであるそうな。

 

 写真は鳥海山の西側裾にあたる三崎海岸。約3000年前に猿穴火口から流れ出した溶岩流だが、日本海に面し強風がまともにあたるためか、樹木も剪定したように頭がきれいにそろっている。)