厚さが30〜45mmくらいある板を掘り込んで蓋物(刳物-くりものともいいます)を作っているのですが、材料によっては表面からは不明な欠点=ひび割れ、虫食い、腐れなどが出てくる可能性が高いといった場合は、これで大丈夫まちがいないという所まで、木口や木端をちょっとずつ切り詰めます。しかし、製作しようと思っている品物の寸法に対して材料があまり大きくない場合、上記の切り詰めでますますその余裕がなくなってしまいます。上の写真の黒柿もその典型例で、A4サイズほどの仕上がり予定に対して材料の余裕は幅・長さとも数mmほどしかありません。
これをそのままで深く掘っていったのでは、刃物の衝撃などで割れてしまうおそれが大ですし(とくに木口側)、加工の際にクランプなどでしっかりと材料を保持するだけのゆとりもありません。
そのためこのようなケースの場合は、木口と木端に幅30〜40mm程度の捨て材を接着します。品物ができるまでの保護・補強と、木ネジやクランプ等による作業台への固定代・くわえ代を設けるためです。こうしておけば、かなり安心して加工をすすめることができます。
役目が終われば文字通り捨てられてしまう材料なので、通常の家具などに用いるような上等な材料でなくてもいいのですが、狂わないようにそれなりに通直で乾燥していなければなりません。上の例ではすこし節や変色のあるベニマツの余りを使用しています。