月別アーカイブ: 6月 2013

歯がぼろぼろ

酒田市内の某宅で、3日前からトイレの改装工事をしています。これまではトイレと手洗の部分が引き戸で仕切られて別室になっていたのですが、これを一室にまとめる工事です。それにともなって便器と手洗器、照明、ドアなどを新調します。

まずは便器等を取り外し、既存の天井・壁・床を下地材を含めてすべて解体撤去しました。このトイレは建物の内部に位置していて野外に面した窓がないのと、日中も普段通りにお客様が生活しながらの工事なので、極力騒音と粉塵を発生させないようにしながらの作業です。通常のリフォーム工事であれば、多少の釘やビスなどは木材といっしょに切断してしまえるようなタイプのチップソーを装着した丸ノコで一気に片付けてしまうのですが、それだともうもうと粉塵が出て建物中がほこりまみれになってしまいます。そのため解体はすべて手作業で行いました。

石膏ボードや床板のフローリング、コンパネ、下地・骨組の木材などをすこしずつ手ノコで切ったのですが、ごらんのとおり歯がぼろぼろ。20個くらいの歯が折れてしまっています。それを予想して替え刃式のノコで、釘等に気をつけながら作業したのですが、表からは見えない釘も多く、どうしてもある程度はかじってしまいました。刃1枚が1000円くらいの替え刃式ノコだからいいようなものの、これが固定刃だったら泣いてしまいますね。

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ノギスのケース

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ノギスはドイツ語でNonius、英語ではVernierといいます。対象物にあてがって0.05mmくらいの精度で寸法を測定する測定器です。木工の作業でも精密度をとくに必要とするホゾ組や溝ばめといった加工では必須といっていいくらいに使用します。

写真はそのノギスを保護するためのクルミ柾目板の自作のケースです。現物を置いて墨を取り、トリマーでその墨線よりわずかに大きく彫り込んでいます。中央の円はノギスをケースから取り出しやすくするためのもの。ノギスを購入するとたいていビニールレザー製といった簡易なケースが付いてきますが、それではこの精密な測定器を保護するには十分ではありません。かといってあまり頑丈すぎるケースに密封してしまっては使用するときにめんどうです。この自作のケースの場合は開放式なので、測定するとき以外はそのつどノギスをこのケースに戻すというのが基本的使い方です。

ノギスに限りませんが、こういった精密機器は一度でも床に落としたり材料に強くぶつけたりすると狂ってしまう恐れがあるので、同じ職場内であっても他者と貸し借りすることはありません。

ノギスの各部の名称と用途ですが、左上の尖ったところがクチバシといって穴や溝などの内寸を計ります。その下方のすこし長い三角はジョウといい、外側の寸法を計ります。本体=主尺は通常の1mm単位の目盛が刻まれたスケールですが、これとは別に39mmを20等分した目盛(一目盛り1.95mm)が刻まれた副尺(vernier)が主尺を上下から挟み込むようにセットされてあり、副尺を左右にスライドして主尺と副尺との目盛がいちばん近いところを読み取ることによって1/20mm、すなわち0.05mmの精度で寸法を測ることができます。また主尺と副尺の段差を利用することで対象物の穴の深さや段差を計ることができます。前者は主尺の右端から、副尺をスライドしたぶんだけ細めのスケールが出てくるようになっていて、この先端が穴等の底に当たるまでくり出すことによって穴の深さを計測します。これをデプスバーといいます。

写真のノギスは有効長150mmで、測定機器の大手メーカーであるミツトヨ(Mitutoyo)製です。定価では5700円ほどと、いくらか値段ははりますがしっかりした作りで信頼できます。液晶で数値をデジタル表示するノギスもありますが、それぞれ一長一短があるので適宜近い分けています。

 

胴腹ノ滝と花と

今日の午前9時頃に胴腹ノ滝を訪れたのですが、水量は前回の6月5日よりはわずかに減ってきました。水温は右・左ともに8.6℃で、左だけ前回より0.1℃高いです。気温は21.0℃で、鳥居の前の渓流の小橋のところより1.0℃低いのですが、これは滝の大量の湧水によって回りの空気が冷やされているためでしょう。

道路脇の駐車場から滝に向かうおよそ150mの歩道の周辺にも、植林されたスギの林ながら、いろいろな花が咲いています。今だと下の写真のヤグルマソウ(ユキノシタ科)とケナシヤブデマリ(スイカズラ科)がとくに目につきます。前者は鯉のぼりの矢車によく似た巨大な根生葉が圧巻。5つの小葉からなる掌状複葉で、葉柄を含めると最大50cmもの長さになります。後者は中心部の両性花をとりまく、5つに分かれた(そのうちの一つは極端に小さい)真っ白い大きな装飾花がたいへん美しいですね。

胴腹ノ滝には湧水の調査や水汲みだけでなく、四季おりおりに咲く草木を眺める楽しみもあります。これがもし杉林ではなく落葉広葉樹メインの自然林であればもっとすばらしいのにと思うのですが。

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山神社

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鳥海山南西麓にある湧水の滝、胴腹ノ滝に水温・水量調査と水汲みに、この2年半ほど1週間から10日に一遍通っているのですが、先日その道すがらたいへんおもしろい神社をみつけました。その名もなんと「山神社」です。

ふつう神社とかお寺などは由緒正しいといいますか、それぞれりっぱな名前が付いているものですが、「山神社」ですからね。これ以上はないくらいシンプルな名前で、逆にとても新鮮で個性的。じつにあっぱれです。社自体も簡素でこじんまりしたもの。とくに私は自然を尊重こそすれ世俗的宗教的信仰心は皆無ですから、強く心に訴えるものがあります。

山=鳥海山であることは、その境内裏手から見える鳥海山の絶景(下の写真:5月10日撮影)からも明らかでしょう。岩野集落の人に「山って鳥海山のことですか?」と訊こうものなら「当たり前だろ!」と一喝されてしまいそうで、怖くて訊けませんが、気にはなるので密かに調べてみようと思っています。

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 すこし調べてみると、山神社は全国にそれなりにあるようで、「やまじんじゃ」「さんじんじゃ」「やまのかみしゃ」などいろいろな読みがあるようです。じつは岩野集落を含む遊佐町白井新田地区には藤井集落に白山神社というのもあり、これは江戸時代に新田開拓の采配をふるった酒井藩の白井矢太夫の功績を顕彰したものです。「白山」はもちろん彼の名前の頭文字であるとともに、水田には必要不可欠な水の源=雪を豊富にいだく鳥海山を意味しています。

 

YouTube をみる猫

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うちの飼い猫、トントがパソコンでYouTube の猫をじっと凝視しています。トントがこういった動画をどのように認識しているのか分かりませんが、けっこう強く反応はしますね。画面の猫が左の方に歩いて行って姿が見えなくなると、トントはパソコンの左後ろをのぞいてみたりもします。今もマウスの動くポイント(矢印)をずっと目で追っているのですが、虫かなにかがいると思ってるんですかね?

いま猫の抜け毛がひどくて、ブラシをかけてもかけてもかけても、いっこうにこれでよしとはならないのですが、それでも連日のブラッシングと指での「毛むしり」が功を奏してか、アンダーコートがだいぶ薄れてトップコートの太くて硬めの毛が目立つようになってきました。上の写真でトントの頭から首にかけてのようすからもお分かりになりますでしょうか。

 

角穴をあける

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角鑿盤(かくのみばん)で木材に長方形のホゾ穴をあけているところです。中央に佇立する、ハンドルやレバーがたくさん付いたごつい機械が角鑿盤で、クランプした材料の墨線がよく見えるように左右から小型のレフランプで照らしています。機械の真上にも直管の蛍光灯があるのですが、それだけだと肝心の墨線が暗がりになってしまいよく見えません。このランプは純正またはオプションというのではなく、自分でセットしたものですが、機械の左右にある縦位置の細めの角材はそのレフランプのクリップ用のもの。クリップ+フレキシブルアームで任意の位置・角度で照らすことができます。

中央やや上の小さな茶色の三角のものはヌメ革の切れ端ですが、機械のスイッチを切っても惰性でしばらく回り続けるモーターを、チャックの横腹にこの革をあてがって強制的に停めるためのもの。厚い革なので熱に強く、また腰があるのでチャックに巻き込まれる心配がありません。すぐに使えるように紐で機械から吊るしています。機械が回ったままでクランプを解除して材料の位置を変えたりすると、材料が不意に傷つくおそれがあるからです。怪我の心配もありますね。それに角鑿は「四角い中空の鋼ケース(鑿)の中を粗目のらせんを切った錐が回る」という仕組みなので、負荷がかからないカラ回り中でも甲高いかなりうるさい音が出るので、それを早く遮断する意味もあります。

左の縦位置の黒いホースは集塵用の径28mmホースで、別置きの集塵機と後方でつながっています。角鑿が削った木屑をそのそばから吸い取り、周囲にできるだけ散らばらないようにします。材料をセット&クランプするときに間にわずかな木屑があるだけでも穴の位置が狂ってしまい、正確な加工ができません。このホースは必要なときに即座に手でつかめるように、上からワイヤー入りのウレタン螺旋コード(手工具用の落下防止コード)で吊るしています。1mくらいは伸び縮みするのですが、加工材の入れ替えや位置変えでホースから手を離しても、元の定位置に自然にとどまるのでたいへん具合がいいです。

こんな感じで、機械による加工であってもデフォルトのままで使用するのではなく、それなりにさまざまな工夫を加えているというわけです。機械本体のメンテナンスや微調整などもあるので、「機械だから誰がやっても同じ」ということは実際には決してありません。

 

ありゃ?

昨日午前8時すぎの胴腹ノ滝ですが、前回の5月28日より逆に水量が明らかに増えて、5月20日の最大水量とほとんど同じになってしまいました。予想が外れました。昨年と一昨年は5月10日前後が最大で、その後はずっと下降線をたどっていましたが、今年はもうなんだかよく分かりません。天気はここ半月以上ずっと晴天もしくは曇天なので、水量の増加は鳥海山中腹部の雪解による地下水圧が高まったせいかと思われます。

水温も前回より左右とも0.1℃下がり、右が8.6℃、左が8.5℃(気温は15.8℃)。滝の湧水量が急に増えたときは水温がすこし下がるというのが、最近の傾向です。ただし計測は毎日行っているわけではありませんので、実際の水量および水温のピークやボトムは、調査しなかった日である可能性はかなりあります。毎日かつ定時で観測すればもっといろいろなことが分かるのでしょうが、ボランティア&アマチュアではこれ以上はいかんともしがたいです。

写真は胴腹ノ滝全景ですが、いつもより少し左寄りに撮影。風の影響とスローシャッターとで画像がぶれていますが、ヤマツツジがきれいに咲いています。鳥居の前のヤグルマソウも白い花穂をかかげてきました。

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褶曲

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大地というと硬い・不動というイメージがありますが、ものすごい圧力を何十万年も何百万年・何千万年も掛け続けると傾いたり曲がったり逆転さえするのです。人間的な時間はせいぜい百とか千年くらいのスケールにすぎません。その程度では堅固で不変のように見える地面の中の岩石も、非常に長い年月のなかではまるで飴かなにかのようにぐにゃぐにゃに曲がってしまいます。

その典型的、かつ非常に分かりやすく美しい地層がありました。その存在自体はずっと前から知ってはいたのですが、先日あらためて訪れ写真に撮ってきました。酒田市(旧八幡町)の北青沢地区、荒瀬川の上流で、大俣川に合流する直前の白玉川左岸の断崖。細かい礫と粗い礫とが相互に繰り返し堆積した跡が、きれいな縞模様となっています。地層の区分は私にはよく分かりませんが、これは数百万年前に浅い海であった時代に陸地から流れてきた土砂が海底に積もり、その後陸地化した観音寺層かと思いますが、どうでしょうか?

アメジスト

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子供がこのところ鉱石にたいへん興味を示しているので、当ブログ2月22日掲載のカテドラル水晶、4月10日のフローライトに続いて、今回はアメジスト(amethyst)=紫水晶です。子供の誕生日が2月なので、「誕生石がほしいなあ」という希望もあってアメジストをインターネット通販で入手しました。まあ子供をだしにして半分は私自身が楽しんでいるのですが。

あまり大きすぎるとただの飾りものになってしまうので、むしろ手の平に載る程度の大きさのほうがためつすがめつ観察し味わうには適しているのですが、あいにく頃合いの大きさ+形+色合いのものがなかったので、子供のコレクションとしてはややオーバーサイズのものになってしまいました。縦と横が約13cm、高さが7cm余、重さは1.7kgもあります。ブラジルのリオ-グランデ-ド-スール州産です。

基本的には水晶(石英)の一種なのですが、組成は二酸化ケイ素で、比重は2.65、硬度は7です。ガラス様の光沢があり、色合いは淡青色のライラックから赤紫のパープルまで幅広くあります。写真のものは現物で見ると中間色の紫=バイオレットというところでしょうか。金色の丸いところが5カ所ばかりありますが、これは汚れなどではなく水晶に内包されたルチル(金紅石)またはゲーサイト(針鉄鋼)だろうということです。

アメジストの原石は楕円形の中空の石で、その空洞内でアメジストが群生・結晶化するらしいのですが、その原石を半分または四分の一にカットして断面を磨き、カペラ-デ-アメジスタ=紫水晶祠として販売されるのが通常とのこと。しかしダイナマイトを使っての採掘のため破損・割裂する原石も多く、それらの中で比較的良質のものは上記のように周囲をざっと成形して製品に仕立てられるようです。カペラ-デ-アメジスタ=紫水晶祠は値段もたいそう高価ですし、いかにも「置物」という雰囲気になるので、私はあまり好みません。「置物」「飾り物」ではなく、あくまでも「鉱物」に興味があるのです。

経ケ蔵山再訪

5月26日のことになりますが、日頃お世話になっている学童保育施設の人たち=小学生とその保護者・指導員とで、出羽山地の経ケ蔵山(474m)にハイキングに行ってきました。子供たちが4名、大人が6名の計10人です。コースは私が単独で5月6日に登ったときと同じ円能寺口からのコースです。

天気は薄曇りで、風はあまりなくすこし暑かったのですが、快適な山行ができました。登山というよりも「山の自然に楽しむ」ことが主眼なので、時間的にはだいぶ余裕をもっていたのですが、まずは予定通りの結果となりました。登山口から頂上まで100分、頂上から十二ノ滝口の肩まで往復40分、昼食と昼寝などで60分、往路下山が50分です。これくらいのんびりゆっくりだといいですね。

低山ハイキングの適期で天気もいいとあって、これまでこの山に登ったなかではいちばんの人出でした。しかし基本的なルールから外れた行動が散見されたのは残念なことです。まあ自省をこめてですが、かなり経験のある人でもそのあたりがほんとうにきちんとできている例はむしろ少ないです。

20日前の5月6日に比べると樹々の緑もだいぶ濃くなり、咲いている花もがらりと入れ替わっていました。写真は上から順にユキザサ(ユリ科)、カラマツソウ(キンポウゲ科)、ヤマツツジ(ツツジ科)、ケツクバネウツギ(スイカズラ科)ですが、他にオオサワハコベ、クルマバソウ、ミツバツチグリ、エンレイソウ、ツクバネソウ、ユキツバキ、ケナシヤブデマリ、コンロウソウ、ヒトリシズカ、フッキソウ、チゴユリ、コミヤマカタバミなどが咲いていました。スミレの仲間はほぼ全部花期が終わり、ミヤマナルコユリ、アマドコロ(?)はこれからです。

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