日別アーカイブ: 2012年12月7日

仕上削りとペーパーがけ

 

カウンター用にとご注文のあったセンの一枚板ですが、ルーターによる平面出し=荒削りが終わったあとは、手鉋での仕上げ削りです。荒削りといっても誤差はほとんどなく凹凸も0.1mm程度なので、手鉋を3回ほど引っ張るとビットのナイフマークが消えてきれいになります。

写真は電動油圧のテーブルリフターに材料を載せて鉋で削っているところですが、ふつうの作業台とちがって高さを自由に変えられるので、こういうときはたいへん楽でありがたいです。ただリフターのテーブル面は長さ1500mmなので、削るセンのほうをFクランプで仮固定しながら削っています。後ろ半分ほど削り終えたら、こんどは後ろのほうをクランプして前半分を削るわけです。

材料面に見える黒い線は、削るときの目安として柔らかい鉛筆で 薄く引いたもので、これが全部消えてなくなっていればいちおうくまなく鉋がかかったことになります。ただし一度きれい全面削った後にその面を再度雑巾で濡らし(水引き)、鉋も慎重にまた研ぎ直してから、もう一度ごく薄く削ります。あらかじめ鉛筆の線を引くのも同じです。逆目が立ちにくいように裏金(裏刃)をぎりぎりまで出しているので、削りくずはくしゅくしゅの縮緬状になっています。こうやって2段階で鉋をかけるとナイフマークも完全に消え、一度目の鉋の跡もほとんど消えて材面が光るようになります。そういえば昔の大工さんなんかは仕上げの造作材を「光り物」と呼んでいましたね。

 

それで終わりかというとさにあらず。素木仕上ならそれでもいいのですが、塗装する場合はかならずこの後にサンディングペーパーをあてます。せっかくきれいに、光るほどにていねいに鉋がけをしたのに、わざわざそれをペーパーで荒らすのかと思われるかも知れませんが、鉋の刃の有効幅はせいぜい60mmくらいなので、それより幅広の材料を削った場合は必ず鉋目や鉋境が生じます。刃の研ぎ方などでそれを軽減することはできますが皆無にすることはできません。つまり鉋がけをしただけではミクロ的には均一なテクスチャー(肌合い)にはなっていないということです。そのまま塗装してしまうと下地の不均一がそのまま塗膜塗面の不均一として増幅されてしまいます。

そのためそれを解消するのがサンディングです。鉋がうまくかかっていれば粒度240番から始めます。きっちりサンディングできているかどうかが分かるように写真ではサーチライトを斜めに当てています。また右手はペーパーを巻いてセットした当てゴムを握るので手袋をしますが、左手は触覚的なセンサーとして働くように必ず素手です。こうして視覚と触覚の両方で木肌をチェックしていきます。

240番ができたら木粉をエアブローしてから、またまた水引。それが乾いてから今度は320番でサンディングです。その320番で生じた粉塵を除去して、やっと塗装の下地調整が終了します。