カウンター用としてご注文のあったセンの一枚板を削っています。両面を真っ平らにして厚みも一定に仕上げるのですが、写真はベイヒ(米檜)で以前に自作したルーター用のXYスライダーです。
下の大きな枠の上を、上の枠が横方向に自由に移動しますが、その上枠内のレールに沿って、 ディッシュビットという超硬刃を装着したルーターを縦方向に動かすことで材料をすこしづつ削っていきます。ディッシュビットは底刃は平らですがその両側が円弧を描いているので、通常のストレートビットなどにくらべ境界面がささくれしにくい刃物です。刃径は30mmですが、底刃18mmなので、ルーターをのせた上のスライダー 16mmピッチで位置を変えて連続して稼働させていきます。
今回の材料は木取したあとの素材寸法で厚さ55mm、幅620mmくらい、長さ1820mmと、畳一枚に近いくらいの大きさがあります。完全な長方形の材料なら木端と木口に陸墨(ろくずみ=仮想平面の線)を打って、それを目安にして表と裏を鉋でけずるのが通例ですが、今回は片木端が皮付きなのでそれはできません。それでXYスライダーの登場となったものです。
下のスライダーは動かないように床にビスで固定しますが、このとき捻れがないように水準器で厳密に調整します。定規が狂っていたのではそれで加工したものがみな狂ってしまいますから。枠の高さは110mmあるので、切削対象の材料は「や」を下に挿入固定して100mm程度まで持ち上げます。ルーターの刃はあまり長く出すとぶれて危ないので、上のスライダーの下面から10mmくらいの出にセットします。このとき固定した切削対象の材料の一番低いところが刃の先になるようにセットするのが基本です。それより高い部分はルーターが移動するにつれて削られていくわけです。
ただし一度に削る厚みは3mm程度にします。あまり多く一気に削るとルーターに負荷がかかりすぎますし、切削肌も荒れがちです。したがって材料の反りや捻れが大きくて一度では全面を削りきれない場合は、刃の出をまたすこし多く出して繰り返し切削します。写真は裏面を半分ほど切削したところですが、向こう側にわずかですが刃が届いていない部分があります。一枚板でサイズが大きければ大きいほど、表裏の両面を真っ平らにするのは難しく、そうとう素直な材料でも仕上がりで厚さ10mm減以内で収まれば上等でしょう。
片方の面が削れたら、こんどはそれを下向きにし基準面としてもう片面を削れば荒削りは終了、ではありません。片側がとりあえず平面になったとしてもそれはまだ削っていないもう片面の凹凸や捻れなどがまだあり、それを含めての一時的なバランスが保たれているにすぎないからです。したがって裏を削り、次に表を削り、再び裏を削り、また表を削りしていきます。最低でも2回づつは削らないとだめでしょうね。
XYスライダー+ルーターによる荒削りが終わったら、その次は手鉋による仕上削りを行います。