月別アーカイブ: 2月 2017

ハリオのコーヒーサーバーセット

 

工房や自宅でコーヒーを一日数杯飲んでいますが、基本は既存の挽かれた粉をペーパードリップでいれています。これまではもっとも一般的と思われる三つ穴のドリッパーを用いていたのですが、ハリオ(HARIO)のV60という一つ穴タイプがいい、美味しいという話が聞こえてきました。なんでもネル布を用いたドリップに近い味が出るらしい。

それでインターネットで閲覧していたのですが、もしやと思って近くのホームセンターをのぞいてみたらなんとハリオの製品をいろいろ売ってました。灯台元暗しです。さっそく下のような「V60コーヒーサーバー02セット」を購入して、いつもの胴腹ノ滝の湧水でコーヒーをいれてみました。おお、たしかにひと味違います! 水も粉末も同じなのに、ドリッパーを変えるだけで味が違うというのは驚きです。

ドリッパーは耐熱120℃のポリプロピレン製で、色がコーヒーブラウンというのもしゃれています。他に無色透明や赤い色のもの、ガラス製のドリッパーも別売であるようです。V60というのはドリッパーの内壁の角度が60度ということでしょうかね。ペーパーは専用のものですが、円錐形になるためコーヒー粉の層が厚くなり、成分をよりうまく抽出するとのこと。大きめの穴が中央に一つだけなので、お湯を細くすこしずつ注ぐ必要があるのですが、それも効いているように思います。

 

青猫句会 2017.2.15

 

恒例の青猫句会、二月は15日に行われました。場所は酒田駅または本間美術館に近い「アングラーズカフェ」を借切で、午後6時半〜9時です。今回の参加者=投句者は、相蘇清太郎・今井富世・大江進・大場昭子・齋藤豊司・佐藤歌音・佐藤や志夫(やは弓+爾)・南悠一の8名です。

夜の句会のためこの時期はいつも雪の心配があるのですが、今年はとくに問題なく参集できました。投句はいつものように事前に2句を無記名で1週間前までに送っておきます。本番では清記された2枚の句群からおのおの2句ずつ選句します。投句の制約は「おおむね当季の季語を入れる」という以外にはいっさいありません。もちろん五七五という定型や旧かなでなくともかまいません。青猫句会では其の一と其の二の二部にわけて選句と披講・講評・意見交換などを行います。
では其の一から。

3 春星の瞬きそれはいもうと
1 箱橇にたらふく詰みて阿婆来たる
1 きさらぎは寄る辺なき夜と対話す
2 吊し雛煎餅が混じる草加の地
0 箱橇や雪の降る町なつかしき
2 障子戸にまばゆき光戸惑いて
2 大寒や血ぶくれの人体であり
5 白豆腐少女のように笑ひけり

最高得点は最後の<白豆腐少女のように笑ひけり>です。豆腐だけでは季語にならないのはとりあえず置いておくとしてですが、絹豆腐のような白く艶やかな豆腐が少女のようだという比喩や、料理の前に皿にでも置かれた豆腐がかすかに揺れているようすを、少女が笑っているようだとしたのは大変よくわかります。イメージは鮮明です。私も取りました。ただし予定調和的といえなくもありません。作者は今井富世さん。

次点3点句は<春星の瞬きそれはいもうと>ですが、春星には「しゅんせい」とルビが付されています。そのことによって音調はとてもよくなりました。格調がありますね。ただ下七で「それはいもうと」としてしまうと、作者が先回りして答えを出してしまったきらいがあります。作者の佐藤歌音さんによると、ご自分が5歳のときに3歳で病死された妹さんを詠んだとのことですが、そういう実際の事情を知るとなるほどとは思うのですが、そこまで読みを限定しないほうがいいかな。

2点句は3句ありました。最初の<吊し雛煎餅が混じる草加の地>は一読して草加煎餅のことであるとわかります。いま全国的に吊し雛がはやっているようですが、その土地ごとに吊るすものが異なるのでしょう。しかしまさか本物の煎餅が吊るされているとは予想できませんでした。まあ、挨拶句としてユーモアを交えた句はありでしょう。作者は相蘇清太郎さん。

次の2点句<障子戸にまばゆき光戸惑いて>は私も取りました。障子は冬の季語ですが、まだまだ寒いながらも障子を透過する光はすこしずつ春めいてきた感じがします。そしてその陽光はすんなりと室内に入ってくるのではなく、いったん障子紙のところでたちどまり戸惑いながらおずおずと入ってくるのだという感覚がじつにいいですね。暗い部屋から障子を眺めると、障子自体がほのかに発光しそこで光が浮いているような感じがしますからね。作者は齋藤豊司さん。

3つ目の2点句は<大寒や血ぶくれの人体であり>は中五の「血ぶくれ」が問題。造語ですが、とても寒いときだからこそ体を巡る血潮の熱さをよけいに強く感じるということで、もちろん冬の季語でもある「着膨れ」にひっかけているわけです。作者は私です。

箱橇(はこぞり)の句がたまたま2句ありますが、作者の弁によればどちらも実景ではあるようです。ただその事実を知る由もない読者には、単に昔の郷愁としか受け止めてもらえないと思います。どうせ句を作るなら「いまの句」を作りたいものだと私は考えます。むろん郷愁・追憶の句を否定するものではありませんが。

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其の二です。

0 雪紋のガラス戸張り付き息吹きて
3 大寒や猫でも抱いて眠ろうか
3 豆打ちてここにも鬼の独りをり
3 冬三日月四つ足の目の二二が四
3 春泥に真水の真青まじり入る
3 母と語るひとときありて魚は氷に
0 春立ちて豆まきの豆食したる
1 雪解や骸ひとつの出でにけり

珍しく最高点の3点句が5句も並びました。最初の<大寒や猫でも抱いて眠ろうか>ですが、いっしょに布団で寝たり抱かれるのをいやがる猫もたまにいるとはいえ(私の家のアルがそれです)、一般的にいえば「猫を抱いて」ではあまりにも当たり前なのではないでしょうか。わかりすぎる句であり共感を呼ぶのは確かですが、抱く対象をもっと他のもの、意外性のあるようなものにしたいところです。作者は大場昭子さん。

3点句の2句目<豆打ちてここにも鬼の独りをり>は節分のときの家庭行事としての豆まきを詠んでいます。「福は内、鬼は外」と唱えながら豆を打つものの、鬼は外だけでなく自分の中にも存在するわけで、それが「ここにも鬼の独りをり」となるのはよくわかります。私もいちおうは取りました。しかしことさらに「独り」とすると過剰に意味を付与してしまうのではないか。ふつうに「一人」「ひとり」としたほうがむしろ膨らみが出ると思います。作者は今井富世さん。

3つ目の3点句<冬三日月四つ足の目の二二が四>は、これは三四二二四と数字をならべて遊んでいます。しかしながら細い月が出ているだけの暗くて寒い冬の夜だからこそタヌキやキツネやアナグマなどの獣の目がひかり輝くという景は美しいと思います。作者は私です。

4つ目の3点句<春泥に真水の真青まじり入る>は、泥ながらもよく見ればその上を流れる水は必ずしもいつも濁っているわけではなく、ときに意外なほど澄んでいることがあります。そのようすを詠んでいるのですが、作者(=南悠一さん)はその水に青空が映っていたことも詠み込みたかったようです。しかしやはりそれは読者にはうまく伝わらないでしょうし、真水の真青=まみずのまさおという韻をふんだ音調がむしろくどく感じられるかもしれません。「真水の青の」ではいかがでしょうか。

最後の3点句<母と語るひとときありて魚は氷に>は「魚は氷に(うおはひに)」が春の季語であることを知らないといけません。実際、氷の字をみて冬と誤読した人がいます。春になってきて氷もゆるみ、それまでは水底でじっとしていた魚も動きが活発になり、勢い余って氷の上に上がってしまうこともあるか、という早春の景を意味する季語です。使い方の難しい季語ですが。したがって「母と語る」はおのずと亡くなった母上のことであろうととるのが自然でしょう。佳句です。作者は佐藤歌音さん。

 

ウォールナットの器

 

 

アメリカン-ブラック-ウォールナットの器です。次の個展に向けて製作した一点物ですが、皿でも椀でもなく鉢やボウルともいいがたい形状です。材料をみながら旋盤での削り具合をみながら即興で決めていったもので、大きさは径183mm高さ51mmです、縁の厚さは2mmで、実用的な器としてはこれくらいが限界でしょう。逆に中央部に向けてはあまり削り込まず、ウォールナットの重厚感・持ち重り感を活かしています。一部に皺状の杢もあり、かっこうのアクセントになっていると思います。

旋盤加工の面白いところは、加工したぶんだけ直線的に確実に完成に近づいていくことで、最後に組み立ててみないとわからない指物などとの大きな違いがそこにあります。もっとも一度削ってしまったものは元に戻せないので、一発勝負の連続ともいえます。緊張はしますがこういう作業は楽しいです。

 

厳冬期の猿穴

 

2月26日に鳥海山・飛島ジオパークのガイドの仲間と、鳥海山西面の観音森(685m)と猿穴(763m)に探索に行く予定ですが、計画&呼びかけ人の私は2月19日に下見に行ってきました。「探索行」と名うっているのは伊達や洒落ではありません。観音森は古い火口丘ですが、猿穴は約3000年前に大量の溶岩を日本海まで流出させた噴火口跡です。その噴火口も地図には猿穴ひとつしか載っていませんが、じつは周辺に他にもいくつかあるらしいことがわかりました。

昨年11月12日と16日に行って、猿穴とその東側・北東側に他の噴火口跡があることまでは確認できたのですが、それ以上は猛烈な薮に阻まれたことと時間切れのため中断せざるをえませんでした。なにしろ「道なき道の山登り」をふつうにやってきた私でも根負けするほどの密生し曲がりくねったたいへんな薮です。これでは見通しのきかない夏場は無理だろうということで、積雪のあるうちに下調べをして見当はつけておくべしとひそかに思っていました。

それで2月19日に単独で下見に出かけたのですが、だいぶ締まってきたとはいえ観音森集落から10km近くの雪道をラッセルしながら登るのは、体力の衰えを痛感する私にはじっさいのところかなりきびしい。それで前に冬期に登ったことのある観音森はパスして、猿穴にのみ向かうことにしました。おそらく1週間程度前のものと思われる足跡がついていましたが、その日は他にはいっさい人影がありません。試しにと思って入手したアルミのスノーシューを履いていったのですが、具合はいまひとつです。平地や緩斜面はいいのですが、すこし急な斜面の登行やトラバースはだめですね。やはり輪樏(わかんじき)がおすすめです。

林道と一部林間の登行とを交えて2時間40分かけてやっと猿穴に到着しました。その後1時間半ほど猿穴周辺を探索したのですが、大きな収穫がふたつありました。
1)猿穴の北側一帯にも、明瞭なすり鉢形状ではなく規模も小さいが、10カ所以上の噴火口跡がある。単なる地面の凹凸ではない。
2)猿穴をのぞく他の噴火口跡に風穴(ふうけつ)を少なくとも5カ所確認。

 

追記 2月26日にジオパークのガイド仲間3人と再度猿穴に行ってきました。小猿穴の風穴でできた雪面の穴の温度を調べたところ、外気温マイナス1.1℃に対し穴の中の雪上より1.5m下の気温は0.7℃。つまり1.8℃の温度差がありました。また猿穴の内壁北西面にも2/19にはなかった風穴らしき穴が対岸からですが見えていました。

猿穴&小猿穴の北側一帯の小さな噴火口跡群は、ちょうど標高740mの等高線に沿うような形で小高い縁が半周しており、その大きな凹みの中に噴火口跡がたくさんあるといった案配のようです。風穴による雪面の穴は前回同様いくつかありました。

新たな積雪が前回より多かったので、交替でラッセルしながらも、観音森集落から猿穴の登り口まで3時間もかかってしまい、予定していた観音森登頂は時間と体力の関係でまたもや見送りとなってしまいました。

 


猿穴までの行程の後半は観音森林道をひたすら歩く。カモシカやタヌキやテンとおぼしき足跡があるものの、獣や鳥などの姿はない。風はそれほど強くはないものの、気温はマイナス5℃くらいか。雪は吹きだまりをのぞけば10cmくらいしかもぐらず、歩くには比較的楽なほう。樹々に積もった新雪が美しい。


猿穴到着。観音森集落から2時間40分もかかってしまった(夏だと2時間弱)。積雪は3mくらいか。私のカメラでは猿穴の全景(直径約80m)は1カットには入らないので、左から右へと3枚に納めた。1枚目には遠景に川袋川上流と大平北の噴火口跡などが写っている。3枚目の右端には平野部(遊佐町杉沢地区)もすこしのぞいている。


1枚目は、猿穴の東側にあるすり鉢状の噴火口跡。直径は約25m。形状的には猿穴に似ており近接しているので「小猿穴(こさるあな)」と呼ぶことにする。南東側の縁から北東方向を眺めたもので、噴火口縁の最高点の小ピークの左下になにやら岩が露出しているところがある。その露出したところが2枚目の写真であるが、雪庇をかわして近づくとなんと暖かい空気が立ちのぼって来た。この下に風穴(ふうけつ)があって地中から暖かい空気が煙突のように上がってきているのであろう。穴の幅は2mほど。予想外の発見に小躍りする。


猿穴と小猿穴の北側一帯にも、すり鉢状のはっきりした噴火口跡ではないものの、小規模かつ非円形の噴火口跡がすくなくとも10カ所以上あった。雪面の凹凸がそれである。遠景のなだらかな稜線は猿穴の噴火口の縁。


猿穴と小猿穴の北側一帯の噴火口群のうち、猿穴に最も近い噴火口跡のところにあった風穴(ふうけつ)。幅は3mくらい。雪面にぼこぼこと穴が開いており、覗くと数メートル下まで地下道のようになっている。風穴そのものはその地面のところにあるのだが相対的に暖かい空気が常に出ているので、雪が積もらないのだと思う。


猿穴の頂上(噴火口縁の最も高いところ)付近からほぼ真西に直線で1.25km離れたところにある観音森。遠景は日本海で、観音森頂上の右斜め上にうっすらと飛島が見える。観音森上部には高木が生えておらず麓からも真っ白に見えるのは、一度皆伐されて昭和30年代くらいまで牛馬の採草地であったため。たしかに強風がもろに当たるとはいえ、それだけで樹が生えないわけではない。


同じく猿穴の頂上付近から庄内平野を展望する。日本海と庄内砂丘が鶴岡くらいまで見えている。中景に白く点々とあるのは雪をかぶった建物の屋根やビニールハウスなどであろう。

 

13年前の丸池様

 

自分のパソコンに収納されている、自分で撮影した写真を整理していたら、2004年6月29日の丸池様が出てきました。つまり13年前の丸池様ということです。鳥海山南西端の吹浦地区の箕輪にある丸池様は、鳥海山から約10万年前に流れ出してきた溶岩流の末端にある、湧水だけからなる直径約20m、水深約3.5mの池です。

丸池神社の社叢林なので原生的な自然・植生が比較的よく保たれているところですが、数年前から急激に観光客や写真愛好家が増えたことで池畔の植生、とくに草本がかなり失われてしまいました。とくに歩道・林道に近い東側と北側はほぼ丸裸に近く地面が露出してしまっています。裸地化してしまうとすこし強い雨が降ると土砂が容易に池に流入してしまいますし、景観的にも池の美観が損なわれてしまいます。

これについては昨年(2017)夏の「鳥海山・飛島ジオパーク」認定に対する現地審査の際にも審査員から「早急な保全対策が必要な案件」として指摘されています。遊佐町役場からは年度内に歩道・車道と池畔との境界にロープをめぐらすなどの対策を行うという言葉をきいています。

私は数十年前からたびたびこの丸池様を訪れているのですが、私の記憶に中にあるかつての景観とここ2、3年くらいの景観とのちがいに落胆していました。ただ記憶は一般的にいうならけっこうあいまいなところがあって、思い違いであったり実際のものより美化しがちです。しかし下の写真を見ると池畔の植生が近年まではわりあいいい状態で保たれていることがはっきりとわかります。あらためて現況との落差に驚きました。まさか後年、ここまで荒れるとは予想しなかったので、畔そのものに重点を置いて撮影した写真ではないのが残念ですが。

下の写真の最後の1枚は昨年(2016)6月5日のものです。どうか上4枚の写真と比べてみてください。

 

 

 

 

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黒柿のキーホルダー製作中

 

昨年11月の個展などで黒柿のキーホルダーがわりあいよく売れて、在庫が少なくなってきたので追加製作しています。もっとも蓋付きの刳物やペーパーウェイトを作った際の残りの端材を利用しての製作です。サイズが仕上がりで16×16×80mmなので、これにて最後までほぼ全部使い切るということになります。

他の材料であれば加工の手間を考えると大きな材料から木取をして一気に下拵えをし、あとは長ネギを切るみたいに個別にカットしたほうが断然コストがかかりません。小物の場合はどだい材料費はたいしたことはなく、コストの大部分を加工費が占めるので、材料を節約するよりも加工の手間を短縮したほうがいいということです。しかし黒柿の場合は別で、材料単価が桁違いに高いことと材料そのものが急激に品薄になってきているので、端材の端材までとことん使うようにしないといけません。

 

上の写真はキーリングを通す穴をあけ、所定の寸法にカットしたものを1個ずつサンディングしているところです。サイズが小さい上に木目も複雑にうねっていたりするので鉋がけはリスクが大きすぎ。そこで昇降丸ノコ盤でよく切れる丸ノコの刃でできるかぎり正確にきれいに4面をカットしたあと(専用の治具にホールドしてです。そうでないと超危険!)、厚手のガラスにサンディングペーパーを貼った上でキーホルダーを前後にすりすりします。ペーパーは番数を変えながら行いますが、機械の刃の跡などが完全になくなるまで研磨します。面取りは当てゴムにセットしたサンディングペーパーで。

一見したところ単純作業のようですが、木口も垂直に立ててこの方式で磨きますし、片減りしないように圴一な圧力を加えつつ水平移動するのはそれほど簡単なことではありません。

 

次の写真はサンディングが終わったものを塗装しているところです。これで全部ではなく、部分的な写真です。小さくて数があることと、穴の中まで塗装する必要があるので、最初の下塗りは刷毛塗りではなく「ドブ漬け」です。つまり品物全体がすっぽりつかるくらいの量の塗料に丸ごと浸して塗料を吸収させます。それを割箸でつかんで釘にひっかけて乾燥させます。

原則として計4回塗装するのですが、2回目以降は塗料はもう中にはしみ込まないので、1面ずつの刷毛塗りになります。塗装後、ステンレスの径30mmの専用キーリングを穴に通せば完成です。

 

コーヒーブレーク 99 「イースター島」

 

 

雪しまき太平洋絶滅孤島イースター

[ゆきしまき たいへいようぜつめつことう いーすたー] イースター島はチリ領の太平洋状にある孤島で、直近の有人島までの距離でも2000kmもあるという究極的な絶海の孤島である。この島の歴史については諸説が入り乱れており、はっきりしないところが多い。名称にしても1722年の復活祭の夜に、オランダ海軍の船によって発見されたのでイースター島というというくらいのいい加減さである(現地名はラバ-ヌイ)。/一般に有名なのはモアイという巨大な石像であるが、これについても起源や意味あいなどについてはさまざまな説があってはっきりしない。かつてはロンゴロンゴという絵文字があったが、1862年のペルー人による奴隷狩りによって識字層が全滅したために、現在にいたるまで解読はできていないという。

凍滝の骨髄を駆くる瀧なり

[いてだきの こつずいをかくる たきなり] 滝は瀧とも書く。見てのとおりで、龍そのものである。落下する水を逆に天に昇っていく龍とみたわけである。それは必ずしも空想だけの産物ではない。体験している人もいるだろうが、滝の落水をじっと眺めていてふと滝のすぐそばの岸壁に視線を移すと、岩がぐぐぅ〜とせり上がってゆくように見えるからである。これは古来より「龍の滝登り」と言われている。/鳥海山の渓流でも龍の名前を付した滝はいくつかあり、龍ヶ滝や竜頭滝などはよく知られている。ただし量の寡多はともかくとしても鳥海山はいたるところに湧泉(湧水が出ている場所)があるので、完全な氷瀑=アイスフォールになることはまずない。表面は凍っていてもその裏の岩肌に接するところには湧水が流れていることがふつうである。そのためすこし気温がゆるむと一気に氷が落下崩壊するので要注意だ。

川に沿うて川の行きたる冬野かな

[かわにそうて かわのゆきたる ふゆのかな] 涸川や涸滝は冬の季語である。歳時記にも、冬になると降水量が減り、湖沼や河川の底が見えたり滝の落水が止まったりするという説明があるが、しかしそれはいわゆる表日本や西日本の太平洋側のことであろう。たしかに当地でも冬は雨ではなく雪に変わることによって、降った水が間を置かずに河川に流れこむ割合は減るので川の水量はだいぶ減ってしまう。夏場とちがって急な増水ということもまずないので、堰堤や堤防を築くなどの大規模な河川工事はこの時期に行われるのが通例である。しかし涸川とか涸滝とかという印象はまったくないな。水はふつうに流れ、落下している。それはつまり冬場でもあちこちから湧水が流れ出しているからであり、気温が低いので夏場とはちがって蒸散量は大幅に減るからである。

 

竹用ドリル

 

「竹用ドリル」と名うっていますが、当然木材や樹脂類にも使用できます。木工用の各種ドリル類で有名なスターエムの製品です。

いつもは木に丸穴を開けるのに先三角(先端の中心部の出っ張りにネジが切られていないタイプ)のショートビットのドリルを使っているのですが、当工房の定番製品である黒柿等を素材としたキーホルダーにキーリングを通す径9mmの貫通穴を開けるのに今回初めて使いました。

木や竹は言うまでもありませんが植物なので物性は均一ではありません。繊維が発達していて方向性が顕著ですし、春材と秋材、白太と赤味など、部分によって硬さの差もかなりあります。そのためドリルで穴をあけても刃先が繊維や硬さの差の影響を受けて逃げてしまうので、正確できれいな穴にならないことがよくあります。それでも通常は隠れてしまう穴なので「まあ、いいか」という感じなのですが、このキーホルダーのリング穴のように完成してからももろに表に見えてしまうような穴の場合は困ります。

これまでは先三角のショートビットのドリルの刃先をまめに研いだり、裏に当て木をしっかりあてたりして対処していましたが、それでも不良品がいくらか出てしまいました。これではいかんとということで、以前から目を付けてはいたものの値段も倍くらい高いこともあってこれまでは手を出さないでいた竹用ドリルを使うことにしました。

結果はすばらしいです。回転軸に対して毛引刃が左右対称に2枚あり(従来のドリルは毛引刃は片側に1枚だけ)、刃先も鋭く尖っているので、材の影響をあまり受けることなくきれいに精度よく穴を開けることができました。いまとところ穴開けの不具合による不良品はゼロです。

1枚目の写真は端材のクルミ材に試しに貫通穴を開けたもので、出口側(下面側)のものです。左が竹用ドリル、右が従来のドリルです。下面に当て木をしっかりと密着させて開けたわけではないということもありますが、右側はあきらかに穴が壊れてしまっています。左側は完全ではありませんが、右とは雲泥の差があります。

2枚目の写真は刃先のアップです。左の2本は竹用ドリル、右の1本は先三角のドリルですが、先端の形状が大きく異なることがわかるかと思います。ラインナップとして径3〜21mmまであり、部分的に0.5mmちがいの径のものもそろっているので、ダボ埋めの下穴開けなどにも最適です。

 

忘れ物のピッケルと輪樏 2

 

2月10日の当ブログで取り上げた、胴腹ノ滝の駐車場のところに誰かが置き忘れたとおぼしきピッケルと輪樏(わかんじき)ですが、友人に頼んでフェイスブックにも取り上げてもらったほかに、11日にその駐車場に行って下のような掲示をおこないました。7日に回収して乾燥や錆び止めを施し、写真を撮ってA4のラミネートをしたものです。フェンスのすぐ下まで積雪があったので、この掲示が雪に埋もれてしまわないように除雪もしました。

これでなんとか持ち主が見つかればいいのですが、しばらく様子をみても音沙汰がないようであれば警察に「落とし物」として届けるつもりでいます。

 

話は変わりますが、この11日は翌日の「鳥海山二ノ滝氷柱探勝会」(有料2000円)の準備のために遊佐町役場や観光協会の方などが10名ほど道付けや資材運搬などで出ていました。ところがこれを幸いとばかりに無関係の一般の人が車で10台ほど乗り付け、その道付けをしたばかりのトレースを利用して二ノ滝に向かったようです。探勝会が終わってからならともかく、その本番前に「ただ乗り」で利用するのはよくないと思います。こういう輩を当地では「つらつけね!(面着けね!)」といいます。

そのうえ、さらに困ったことに翌日の本番にそなえて除雪をきれいに行う予定だった駐車場に、スノーモービルを持って来たらしい車が2、3台置いてありました。探勝会の案内には「現地には駐車スペースはありません」という注意も記されているので、これは確信犯ですね。この状態では除雪車が入れません。ウマシカ野郎です。

胴腹ノ滝の駐車場のところから二ノ滝までは夏道でも徒歩で2時間くらいかかりますが、もしこれを積雪期に自分でラッセルしながら登るとしたら3〜4時間はかかるかと思いますし、かなり体力を消耗するでしょう。それが踏み跡がしっかりついていて二ノ滝まで迷うことなく楽に行けるのは、多くの方の協力があればこそですし、有料で探勝会に参加する多くの方がいるからこそ。再度言いますが、ただ乗りはいかんです。強制はできませんがせめてカンパでもしてくださいな。お願いします。

 

忘れ物のピッケルと輪樏

 

鳥海山南西面山麓の湧水の滝、胴腹ノ滝には湧水の調査と自家用の飲料水の水汲みとを兼ねて月に2〜3回尋ねていくのですが、前回2月4日に行った際に駐車場のすぐそばの雪面にピッケルと輪樏(わかんじき)が差してありました。他の自家用車が2台置いてあったので、その人のものかもと思ったのですが、調査等を終えてもどってきてもまだそのままになっています。

あらためてよく見ると昨日今日残置したのではなさそうです。ピッケルも錆が生じていますし、樏はずぶぬれ状態。しかし一時的なデポ、または忘れ物や落とし物だとしても、冬山には絶対欠かせないとてもだいじな道具なので、持ち主がきっと気づいて取りに来るだろうということで、メモだけはさんで帰ってきました。

ところがその後数日して他の人が胴腹ノ滝を尋ねたときの写真にこのピッケルと輪樏が先日のままの状態で写っていました。フェイスブックにアップされていた写真のなかの1枚にです。ということは私が見てからさらに数日は放置されているわけで、このままでは確実に道具がだめになってしまいます。そこで翌日の朝、そのピッケルと輪樏を回収することにしました。

下の2枚の写真はそのピッケルと樏です。ストーブの近くに置いて乾燥させ、ピッケルの金属部分に浮いていた錆はざっと水研ぎペーパーで落としました。樏は爪がかなりすり減って丸くちびています。ピッケルには東京トップの製造とわかる「Top Snowman」という文字が刻まれています。NO.STEELとあるのは材質が「白紙1号」「青紙2号」などのヤスキ鋼を使用しているという意味かもしれません。木製の柄はたぶんホワイトアッシュかヒッコリーでしょう。

さてどうやって持ち主を捜すかですが、とりあえずは本ブログへの投稿です。その他にもいくつか手だてを考えていますが、追ってまた紹介していきます。 もしこの記事を見てなにか情報をお持ちの方がございましたら当工房までご連絡ください。→電話0234-64-3119  master@e-o-2.com