「竹用ドリル」と名うっていますが、当然木材や樹脂類にも使用できます。木工用の各種ドリル類で有名なスターエムの製品です。
いつもは木に丸穴を開けるのに先三角(先端の中心部の出っ張りにネジが切られていないタイプ)のショートビットのドリルを使っているのですが、当工房の定番製品である黒柿等を素材としたキーホルダーにキーリングを通す径9mmの貫通穴を開けるのに今回初めて使いました。
木や竹は言うまでもありませんが植物なので物性は均一ではありません。繊維が発達していて方向性が顕著ですし、春材と秋材、白太と赤味など、部分によって硬さの差もかなりあります。そのためドリルで穴をあけても刃先が繊維や硬さの差の影響を受けて逃げてしまうので、正確できれいな穴にならないことがよくあります。それでも通常は隠れてしまう穴なので「まあ、いいか」という感じなのですが、このキーホルダーのリング穴のように完成してからももろに表に見えてしまうような穴の場合は困ります。
これまでは先三角のショートビットのドリルの刃先をまめに研いだり、裏に当て木をしっかりあてたりして対処していましたが、それでも不良品がいくらか出てしまいました。これではいかんとということで、以前から目を付けてはいたものの値段も倍くらい高いこともあってこれまでは手を出さないでいた竹用ドリルを使うことにしました。
結果はすばらしいです。回転軸に対して毛引刃が左右対称に2枚あり(従来のドリルは毛引刃は片側に1枚だけ)、刃先も鋭く尖っているので、材の影響をあまり受けることなくきれいに精度よく穴を開けることができました。いまとところ穴開けの不具合による不良品はゼロです。
1枚目の写真は端材のクルミ材に試しに貫通穴を開けたもので、出口側(下面側)のものです。左が竹用ドリル、右が従来のドリルです。下面に当て木をしっかりと密着させて開けたわけではないということもありますが、右側はあきらかに穴が壊れてしまっています。左側は完全ではありませんが、右とは雲泥の差があります。
2枚目の写真は刃先のアップです。左の2本は竹用ドリル、右の1本は先三角のドリルですが、先端の形状が大きく異なることがわかるかと思います。ラインナップとして径3〜21mmまであり、部分的に0.5mmちがいの径のものもそろっているので、ダボ埋めの下穴開けなどにも最適です。