年内に発売予定のペーパーウェイトD、約60本。それに用いた素材9種類について順次説明をしています。スーヤバール、マスールバーチ、タモバール、キハダ縮杢&スポルト、ケヤキ樫目杢、シャム柿に続いて今回7回目はハードメープルの縮杢です。
じつはハードメープルという樹木は存在しません。たくさんの種類がある北米産のカエデの仲間のうち、比較的硬質のカエデ類をハードメープル、軟質のカエデ類をソフトメープルと流通上便宜的に呼んでいるだけです。下の写真はアメリカ産の「ハードメープル」として輸入され販売されていた板でこしらえたペーパーウェイトですが、おそらくはシュガーメープル(サトウカエデ)かと思います。日本での近似種というとイタヤカエデあたりでしょうか。
辺材は灰白色、心材は淡灰黄褐色。肌合いは名前のとおりかなり硬く緻密で滑らか。気乾比重は0.7くらいあるので、かなり重いほうの部類に入ります。強度も非常に高く、家具・什器・建築・フローリング・楽器など、広範囲に利用されています。ただし加工は逆目が立ちやすく、切れのわるい刃物ではうまく切削できず焦げ目がつきやすいなど、けっして楽とはいえません。
ちなみにソフトメープルと呼ばれるカエデ類はレッドメープル、シルバーメープル、ビッグリーフメープル、ボックスエルダーなどの樹種をいい、材の色は総じてハードメープルよりやや濃色で、比重は0.54程度、硬さはハードメープルの3/4ほどとされています。
ハードメープル、ソフトメープルもともに北米では長年計画的に大量に植樹・生産されていて、チェリーやウォールナットなどにくらべればわりあい安価に入手することができます。ただ今回のような無地で縮みがきれいに出ている材はもちろん稀で、値段もぐんと高くなります。1m^3で100〜150万くらいでしょうか。