日別アーカイブ: 2015年12月20日

ペーパーウェイトの素材 4 キハダの縮杢&スポルト

 

年内に発売予定のペーパーウェイトD、約60本。それに用いた素材9種類について順次説明をしています。スーヤバール、マスールバーチ、タモバールに続いて今回4回目はキハダの縮杢と縮杢+スポルトです。

キハダは漢字では黄檗または黄肌・黄膚と書きます。ミカン科の落葉高木ですが、内樹皮がカレー粉のようにまっ黄色をしており、その部分を煎じて胃腸薬に使われたり、染料として利用されています。材木としては比較的大きくなる樹なので家具調度品などにしばしば使用されるのですが、木目はクリによく似ているものの色味はやはりいくらか黄緑色を帯びています。薬用成分ベルベリン等を含む樹脂成分のせいか、色やけ日焼けをおこしやすいのが欠点といえば欠点です。それを防ぐために(目立たないようにするために)濃いめの着色をして和家具などに用いられることがふつうです。

キハダは通常はたいへん素直な木目なのですが、まれに老大木で縮杢や玉杢などを生ずることがあります。写真の手前の正立しているペーパーウェイトが縮杢(部分的にはさらにキルテッド=しわ杢)で、奥の横倒しにしてあるものには縮杢にくわえて黒い色素が木目に沿って沈着。まるでキジ猫のような紋様と色あいですね。これはものすごく希少で貴重なものです。

杢ともなんとも名付けようのない、非常に変わった紋様や虫食いや変色が生じた材のことをスポルトと呼んでいます。スポルトはスポーツの語源ですが、なんともともとは「冗談・戯れ言・楽しみ・変わり者」という意味があるのだそうです。

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