月別アーカイブ: 9月 2015

陶福 庄司智浩さんの飯椀

 

先の土日(9/5・6)に遊佐町の西浜特設会場=鳥海温泉「遊楽里」前の広場で、「第8回クラフト・フェスタ鳥海」が開催されていました。私は出展はしていませんが、今回は青森県から広島県あたりまで、陶芸や金工・木工・ガラス・皮革・染色や布など、いろいろな分野のクラフト作家&工房が約120ほど並んで展示即売をしていました。

参加出展の詳しい規定はわかりませんが、「クラフト展」の場合はふつうプロ・セミプロ・アマチュアを問わずということで、品質や価格設定などもまちまちなことが多いようです。ただいわゆるメーカーによる量産品ではなく、個人やごく小規模の工房による「手作り」の品がメインなので、眺めるだけでも楽しさはあり思わぬ発見があることもあります。

私の場合は木工はともかくとしても、陶芸や金工やガラスなどにはたいへん気にいったものがありました。下の写真はとくにいいなと思い購入した飯椀です。山形県米沢市で陶福という窯をかまえる庄司智浩さんの作品。磁器をベースに艶消しの白釉をかけたもので、シンプルながら手仕事の味もさりげなく上品に出ているきれいな器です。直径12〜13cm。

庄司さんは1976年南陽市生まれ。東北芸術工科大学美術科陶芸コースを卒業。展示会やクラフト展などへの出店を中心に活動されているとのことです。椀や皿、片口、湯呑、小鉢などの普段使いの食器が中心ですが、木と合わせた小物や玩具などもすこし並んでいました。そちらもなかなかいい感じです。

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タモのテーブル完成

 

酒田市のSH&Iさんからご注文いただいたタモのテーブルが完成がしました。大きさは幅1500mm奥行800mm高さ690mmで、これまで使われていた中国製の1800×900×720mmのテーブルと入れ替えです。ダイニングキッチンがやや狭いので、動線を考慮してやや小さめのテーブル(4人がけとしてはごく標準的なサイズ)としました。

甲板の高さが690mmと、当工房のテーブルとしてはいくぶん高いのですが(通常は650mm以下)、椅子は従来のものをそのまま継続使用するため、それに合わせた高さとしました。甲板は同じ丸太から連続して取った共木(ともぎ)の板の2枚矧ぎですから、木目はよく似ています。4本の脚と幕板は大入+小根付き通しホゾ+くさび打ちで締結しているのはいつものとおりです。

ホゾの頭は脚の表面から1mm出して仕上げていますが、まったくフラットにするよりも強度があり、乾燥等による部材の収縮にも対応、見た目にもかっこうのアクセントになっています。飾りのための飾りではなく、構造そのものが飾りも兼ねているというわけです。

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コーヒーブレーク59 「峠」

 

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消防車救急車たたずめる花野かな

俳句ではなぜか花野は秋の季語。それに対しお花畑や花畠は夏の季語とされている。前者は花が一面に咲き乱れているとはいえ、広い野原なのでむこうに青空や雲も見えており、さわやかさと同時にどことなく寂しさも感じられる。後者は基本的に花そのものの群開しか語ってないので、きらびやかではあるがちょっと暑苦しくうっとおしくもある。それに「お花畑」はふつうは登山で遭遇する高山の花がたくさん咲いているようすを指すことが多く、登山が夏の季語→だからお花畑・花畠も夏の季語、ということかもしれない。/しかし寒冷地や雪国においては、春こそは花野にふさわしいという気がする。樹々はまだ葉を展開しておらず、明るい山野にイチリンソウやニリンソウ、カタクリやオウレンやスミレが急速にいっせいに花を開いているさまは、まさしく花野そのものである。こういった点からみても、伝統的な俳句の季節感はやはり北国ではないもっと暖かい地方をベースにしていることがわかる。

山よりも高き峠や秋澄めり

峠はその字が示すように、道が山を越えていく際の上りと下りとの分岐点である。登山などの場合とはちがって、生活的社会的な道や道路はできるだけ楽に安全に山を越えて行きたいわけだから、尾根のもっとも低いところを選んで行くのが普通だ。つまり鞍部(コル)が峠となっていることが圧倒的に多い。したがってそれほど高い山でない場合は峠も依然として樹林帯のなかにあり、眺望はあまり得られないこともしばしばである。ところが標高のある山や寒地の場合だと上るにつれて樹木の丈も低くなり、峠に達したとたんに前面が大きく開けて劇的な展望を得ることがある。目指す町や村が眼下にはっきりと見えることもあるだろう。車ならいざしらず、徒歩での行脚であればこれで体もすこし楽になるという思いと、その開けた景色と、目標が指呼にあるということはどれほどの安堵をもたらすだろうか。/ところで一般人がバイクその他の車両で通行できる、世界一標高の高い峠は、インドはカシミールのマーシミク峠で、なんと5582m。2位のセモ峠が5565m、3位のカラコルム峠が5540mというのだが、こりゃいきなり行ったらまちがいなく高山病でアウトですなあ。

星みればひとりぼっちのひとであり

人間のような高等生物が惑星に誕生する確率はとほうもなく低く、サイコロの同じ目が1万回続けて出るくらいの確率だという説がある。学者によって数値の差はあるが、いずれにしてもほとんどありえない、奇蹟としかいいようがないくらいの出来事であることはまちがいないようである。それなのに……。

 

全体組み立て前のテーブル

 

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酒田市のSHさんからご注文いただいた食卓用のテーブルです。脚部と甲板が完成し、このあと塗装を施したあと駒止方式で全体の組立を行います。4本の脚は長手の幕板と妻手幕板と根太とで接合され、それだけでしっかり自立するかたちになっていますが、脚の頭のほうにはごく短い=この例では9mmのホゾを作ってあり、それが甲板裏のホゾ穴に入ることになります(甲板長手方向はクリアランスは0、妻手方向は甲板の収縮にそなえてクリアランス1.5mm×2です)。

幕板は脚に大入+通しホゾ+クサビ打ちで接合されていますが、長手と妻手のホゾが脚内部で上下に交差することと、椅子に座ってテーブルに向かった際に幕板の下端が腿がぶつからないように幕板の幅はあまり大きくできません。甲板の厚みも合わせて11cm以下です。したがってそれぞれの幕板は脚に対していわば「一点接合」にならざるをえず、そのままでは強度的に若干心配があります。

椅子のように、あるいは市販の通常のテーブルのように幕板同士を隅木で締結する方法もありますが、表からは直接は見えないとはいえ見栄えがよくありません。そこで当工房では原則として脚の上部をすこし甲板に食い込ませることによって擬似的な「二点接合」になるようにしています。完成してからではこの仕組みはまったく見えなくなるので、あえていま披露したしだいです。

 

青い目をしたトントさん

 

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たたんだ布団の上でくつろぐトント。青い目をした、いわゆる洋猫のミックスです。体重約5kg、年齢12歳のメス猫。生まれた年に迷い猫だったのを保護して以来のわが家のだいじな猫です。

たいそう慎重な性格で、家族以外にはまず人前に姿をあらわすことがありません。臆病でもあり、先日深夜に雷がごろごろ響いたときは、寝ていた私の体のすきまに必至になって頭をつっこんできました。体は大きめのほうですが、たいへんおだやかでやさしい猫ですね。喉をならしながらいつも私の膝の上や布団でいっしょにいることが多いです。

 

ジオガイド養成講座 6

 

鳥海山・飛島ジオガイド養成講座の6回目ですが、8月28・29日に岩手県久慈市で開催された「第4回東北ジオパークフォーラム」に参加しました。受講生11名+事務局2名の総勢13名で、ワゴン車2台に分乗して行きました。久慈市は岩手県のほぼ北東端に位置するので、高速道を使ってもなお遠いですね。集合場所の由利本庄市市役所からさらに6時間かかりました。

久慈グランドホテルにて午後から基調講演と分科会です。講演は東大の地震学者であり日本ジオパーク委員会副委員長でもある中田節也氏による「東北のジオパークに求められるもの」です。ジオパーク認定の要件や、5年毎の見直しのチェック項目、さらにはいわゆるレッドカードが出て認定取り消しもあるなど、日本ならびに世界の事例も具体的にあげてのお話でした。当然ながらなかなか厳しいです。

その後の分科会は「首長セッション」「実務者セッション」「ガイドセッション」の三つがあったのですが、私たち受講生はガイドセッションのほうです。ここではまず九州の霧島でジオパーク等のガイドを長くされている古園俊男氏の「楽しいガイド活動とは」という題目での、実際にガイドをする際の留意点や工夫などを詳しく解説していただきました。

しかし画像の文字が黄色で、背景の写真の明るい部分とかぶってよく見えないことや、お客と接する場合の、笑顔で・あいさつがだいじ・ストーリー性のある話・専門用語は使わない、といったポイントは、なるほどとは思うもののそれは最大公約数的なことであって、実際のガイドでは当然ですがかなり個別的な柔軟性が必要とされるんだけどと思いました。作り笑いとか駄洒落とかは私はいらないですね。そういうのは嫌う人も多いです。

夜は2時間ほど交流会です。東北の各地ですでにジオパークの認定を受けて活動中のところや、鳥海山&飛島のようにいま認定をめざして動いているところなどいろいろあったのですが、いずれも現場の人たちですので、いろいろと参考になることがありました。もっとも地域によってかなりの温度差があることも感じます。

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翌日はエクスカーション。耳慣れない言葉ですが、「体験型の説明会」ということのようです。つまり講師やガイドから一方的に説明を受けるだけでなく、参加者も交えた相互通行=活発な質問・意見交換・現地での体験などによって、自然や文化への理解を深めていこうというもの(従来のフィールドワークとどう違うのか、私にはよくわかりません)。ルートは3つあったのですが、Aルートは大型バスが入れないということで急遽取りやめとなり(!)、Bルート、Cルートのみとなりました。私はBルートを選択し、内間木鍾乳洞と琥珀博物館に向かいました。

バスは久慈渓谷に沿った曲がりくねった細い道を上っていきますが、久慈層という白亜紀前期の地層の石灰岩による急斜面が両側に迫ってきます。河床にときどき白いブロック様に見えるのは大理石とのこと。40分ほどで内間木(うちまぎ)洞に着きました。

この鍾乳洞は普段はクローズドになっていますが、研究者や特別な催事の際は市の教育委員会の許可を受ければ入洞できるそうです。ただし今回は時間がないので、総延長約6km(国内5位)のうちの入口付近30mだけの体験です。写真の1枚目はその入口ですが、鳥居の先にある岩盤にぽっかりと口を開けた洞窟がおそろしげですね。内部は年間を通じて気温っx度なので、ひんやりとしています。2・3枚目は千畳敷と呼ばれるあたりの天井と壁面ですが、石灰岩が溶けてつららや瘤のような形を作っていることがよくわかります。数千万年から1億年くらいの長い時間をかけて生成された洞窟なので、人間的な時間ではその変化が実感できませんが。コウモリのねぐらにもなっているそうで、何頭か飛んでいる姿を見ることができました。

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次は久慈琥珀博物館です。久慈といえば琥珀というくらいに有名で、国内最大の琥珀の産地であり、今も年間300kgほど産出しているそうです。この博物館は琥珀専門の博物館としては世界的にも唯一のもので、琥珀の成因や国内外の琥珀の産地とそれぞれの特徴、琥珀を使ったさまざまな器具・調度品・装飾品・彫刻・絵画、遺跡からの出土品などがたくさん展示されています。

久慈の琥珀は8500万年前の地層から産出します。他の産地に比べもっとも年代が古いもので、その品質の高さから大昔から国内各地に交易品として出回っていました。黒曜石などと同様ですね。また、恐竜は約6500万年前に滅びたのですが、恐竜が旺盛に生きていた時代の樹木の樹脂成分が化石したものが琥珀で、その地層から白亜紀の恐竜の化石(日本では初めて)も出ているとのことです。

売店もありましたが、琥珀も貴石・宝石のひとつなので、サイズが大きく傷がなく見栄えもするものはやはり数十万もします。そんなものはとうてい手が出ませんが、小さなルース(磨いただけでまだ宝飾品としては未加工のもの)をひとつだけお土産に購入しました。

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女鹿の波打際の湧泉

 

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山形県の北西端にある女鹿(めが)集落の湧水というと、「舟」と呼ばれる多段式の水槽の、神泉ノ水(かみこのみず)ばかりが有名ですが、じつはそこから100mばかりはなれた海の波打際にもたいへん興味深い湧水(湧泉)があります。

女鹿漁港の一画ですが、海岸の崖面の裾から大量の湧水が流れ出しており、小川となって海に注いでいます。写真で左上が日本海。もちろんしょっぱい海の水です。それに対し右側の5m角ほどの静かな水面が湧水で、なんと9.6℃という非常に冷たい淡水です。だいぶ前の計測値ですが、神泉ノ水の源泉の温度が11.2℃なので、それより標高の低い(約30mに対し0m)波打際の湧泉のほうが1.6℃も低い。これは明らかにふたつの湧泉は地層を異にするということを物語っており、波打際の湧泉のほうがより標高の高い地点を主な涵養域としているということです。

現在は女鹿集落には広域の上水道が敷設されていて、写真の湧泉は生け簀のカキを置いておいたり、いろいろなものの洗いものに利用されているだけのようですが、かつては集落の貴重な生活用水水源としてこの湧水をポンプで住宅地まで揚げていました。

水が湧いているのは地上だけではなく、そのまま連続的に海の中にも湧泉が数多くあります。釜磯・滝ノ浦・女鹿、県境を越えた長磯・沓掛海岸の一帯まで、海の底から大量の水がわいていて、総合地球環境学研究所の谷口真人教授によれば世界屈指の海底湧水(数値的におそらく世界一)であることはまちがいないようです。

 

幅広材の平面出し

 

板の幅が300mm以上あって、それを平らに削るのに手押鉋盤を使えない場合は、板の木口と木端に仮想平面の墨を打って、それを目印に手鉋で削ります。切削量が多いときは初めのうちは手持ちの小型電気鉋を使うこともありますが、これに頼りすぎると危ないので、ざっと削ったあとは手ですこしずつ慎重に削っていきます。原則は横ずりです。

大きな板であればあるほど反り捻れがそれだけ多く出ていることが多く、したがって削るべき量も場所場所によって異なります。それをいちいち木口・木端を横から見なくとも鉋を使いながら上から一目でわかるように、水平線より上の余計な部分=削り落とす部分の端は45度くらいに斜めに削って赤色のマーカーで着色しておきます。最終的にこの赤いところがみな無くなるまで削れば基本的にはオーケーということになります。

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ところが仮想平面の墨線は、削るべき余分な分を含めてこそ今のところそれなりに安定しているのであって、その余分を落とすことでバランスが崩れてしまい、仮想平面が平面でなくなってきます。写真の例では、幅50cm長さ80cmほどのタモの一枚板ですが、実際四周の赤のマーカーが消えるまで削ったところ長手中央部分が0.5mmくらい凹んでしまいました。

まあこの程度は想定内ですが、この削った面を第一基準として対面も同じように墨打→マーキングをしてやはり手鉋で削ります。そうすると最初に削った面がまたまたすこし狂ってきます……。ということで裏と表と最低でも2回ずつは削らないと厚みが一定かつ両面平らの板にはなりません。

 

両面テーパー削り

 

たとえばテーブルの脚で、4面とも下に向かってややしぼりこんだ形状とする場合、そのテーパーをどうやって成形加工するかですが、当工房では専用の治具に部材を載せて自動鉋盤で削ることが多いです。

勾配0.015のテーパーであればあらかじめその勾配に作ったベッドに下拵えの終えた材料を載せて固定し、いっしょに機械に送り込んでやればその治具の勾配どおりに削れるというわけです。ただ勾配0.015でも長さ650mmの脚なら上と下とで10mm近い差が出るので、4〜5段階くらいにわけてすこしづつ切削します。

この方式のいいところは加工する材料にひとつずつ墨付をする必要がないことと、4本脚なら4本とも非常に正確に同じように削れることです。削るにつれて若干の歪みが出ることもありますが、だいたい0.1mm以下の精度には仕上がります。

さらに一度テーパーをつけた面の反対側にも同じテーパーをつける場合はどうするかというと、ダミーの材料をその勾配ベッドで切削成形し、その上にさらに脚の材料を載せて固定し、最初と同じように自動鉋盤に送り込んでやります。写真では一番下の板が0.015の勾配ベッドの治具、その上が勾配ベッドで削ったダミーの材料、いちばん上が脚の材料です。

こうすれば両面ともまったく同一の寸法・形状に簡単に加工することができます。もちろん勾配ベッドは0.01〜0.04くらいまで各種そろえていますが、「初めに0.015の治具で削り、その次に勾配0.03の治具で削る」よりも上記の方法のほうが加工精度は高いのです。

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庭の花 4

 

例によってわが家の庭にいま咲いている花です。8月も下旬になって朝晩はいささか寒いくらいの陽気になってきました。秋の気配が濃くなり、セミの鳴声はおさまりウマオイやコオロギがさかんに鳴いています。草木のほうも暑い夏をどうにかしのいで、ようやく本来の元気をとりもどしてきたように思います。

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バラ(バラ科) 四季咲きの中輪で花径は7〜8cm、樹高も1m程度。中央部分はほのかに黄色みをおびており、「アイスバーグ」という名前の世界的な銘花だそうな。いま20数個の花が咲いている。

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ツユクサ(ツユクサ科) いわずとしれた露草だが、よく見れば二つに折れた苞の間から咲く花の形もたいへんユニークで、なによりその青色がじつに美しい。昔はここらではトンボ草と呼んでいた。

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イヌタデ(タデ科) まだ出始めだが、この花がたくさん咲いているのを目にすると、ほんとうに秋がきたんだなあという思いを深くする。ままごとで赤飯になぞらえて遊んだりすることからアカマンマとも。イヌは犬のことで、どうということもないありふれた存在という意味で、はっきり言うならば蔑称である。

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?(?科) 一昨年にナツツバキの苗木などを買ったときに、植木屋さんがおまけでくれたもの。高さ30cmほどの矮姓の常緑樹であるが、なんだかよくわからない。