酒田市のSHさんからご注文いただいた食卓用のテーブルです。脚部と甲板が完成し、このあと塗装を施したあと駒止方式で全体の組立を行います。4本の脚は長手の幕板と妻手幕板と根太とで接合され、それだけでしっかり自立するかたちになっていますが、脚の頭のほうにはごく短い=この例では9mmのホゾを作ってあり、それが甲板裏のホゾ穴に入ることになります(甲板長手方向はクリアランスは0、妻手方向は甲板の収縮にそなえてクリアランス1.5mm×2です)。
幕板は脚に大入+通しホゾ+クサビ打ちで接合されていますが、長手と妻手のホゾが脚内部で上下に交差することと、椅子に座ってテーブルに向かった際に幕板の下端が腿がぶつからないように幕板の幅はあまり大きくできません。甲板の厚みも合わせて11cm以下です。したがってそれぞれの幕板は脚に対していわば「一点接合」にならざるをえず、そのままでは強度的に若干心配があります。
椅子のように、あるいは市販の通常のテーブルのように幕板同士を隅木で締結する方法もありますが、表からは直接は見えないとはいえ見栄えがよくありません。そこで当工房では原則として脚の上部をすこし甲板に食い込ませることによって擬似的な「二点接合」になるようにしています。完成してからではこの仕組みはまったく見えなくなるので、あえていま披露したしだいです。