たとえばテーブルの脚で、4面とも下に向かってややしぼりこんだ形状とする場合、そのテーパーをどうやって成形加工するかですが、当工房では専用の治具に部材を載せて自動鉋盤で削ることが多いです。
勾配0.015のテーパーであればあらかじめその勾配に作ったベッドに下拵えの終えた材料を載せて固定し、いっしょに機械に送り込んでやればその治具の勾配どおりに削れるというわけです。ただ勾配0.015でも長さ650mmの脚なら上と下とで10mm近い差が出るので、4〜5段階くらいにわけてすこしづつ切削します。
この方式のいいところは加工する材料にひとつずつ墨付をする必要がないことと、4本脚なら4本とも非常に正確に同じように削れることです。削るにつれて若干の歪みが出ることもありますが、だいたい0.1mm以下の精度には仕上がります。
さらに一度テーパーをつけた面の反対側にも同じテーパーをつける場合はどうするかというと、ダミーの材料をその勾配ベッドで切削成形し、その上にさらに脚の材料を載せて固定し、最初と同じように自動鉋盤に送り込んでやります。写真では一番下の板が0.015の勾配ベッドの治具、その上が勾配ベッドで削ったダミーの材料、いちばん上が脚の材料です。
こうすれば両面ともまったく同一の寸法・形状に簡単に加工することができます。もちろん勾配ベッドは0.01〜0.04くらいまで各種そろえていますが、「初めに0.015の治具で削り、その次に勾配0.03の治具で削る」よりも上記の方法のほうが加工精度は高いのです。