月別アーカイブ: 7月 2014

アルビフロラ その2

 

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先月の14日に、捨て猫だったのを動物病院からもらいうけてきた アル(正式名はアルビフロラalbiflora、白い花の意)ですが、ちょうど一ヶ月経過しました。毎日みているとあまり感じませんが、前の写真とくらべてみるとずいぶん大きくなったのがわかります。

おそらくいま生後2ヶ月くらいですが、体長25cmほどあります。うちに来た当初はちょっとよたよたしていましたが、その後急速に成長。いまでは家中をものすごい勢いで走り回っています。私の部屋の椅子は湿気を逃がすために座面と背に粗目の布が張ってあるのですが、それをさいわいとして床から背もたれのトップの115cmくらいまでアルはオーバーハング(!)の壁をよじ上っています。

懸念していたウンチ&オシッコは、専用の猫トイレ以外のところにもらしてしまったのは初めの3日くらいで、その後は覚えてちゃんとトイレでするようになりました。また爪研ぎも専用の爪研器の段ボール断面でだいたいはするようになっていて、家具や建物への被害はいまのところ目立っていません。

先住猫の11歳になるトントは、並外れて警戒心の強い猫なので、いまだに完全にはアルとうちとけていませんが、これも最初の頃の1m以内に近づくとシューとかウゥーとか声をだして激しく威嚇するようなことはだいぶおさまってきました。喧嘩してアルが怪我するような最悪の事態はさけられています。

アルはトントとは対照的で、家の人でもよその人でも、また唸られているトントにもまったく臆することなく向かっていきます。同じ猫でもこれほど性格が違うのもじつに興味深いことです。またアルは人にもよくじゃれついてきてちょっとうるさいくらいですが、反面おもちゃ相手に自分だけで遊んでいることも多く、遊んでやらないと啼いてせがむということもなく、その点はあまり手がかからない猫です。

 

野草園の花々

 

某イベントの下見を兼ねて、鳥海山南麓にある家族旅行村にちょっと出かけました。湿地にある野草園にたくさんの花が咲いており、じつにみごとな景観です。むろんまったくの自然状態での植生ではなく、人為的に種類を選択し淘汰しさまざまな管理をほどこしてきた結果ですが、それでもいかにも庭園風には過剰に作り込まれておらず、自然な感じがとてもいいです。

 

DSCN2711_2 ノハナショウブ(アヤメ科)

DSCN2715_2 ヨツバヒヨドリ(キク科)

DSCN2722_2 タマガワホトトギス(ユリ科)

DSCN2719_2 オカトラノオ(サクラソウ科)

上の4種はいずれもとくべつ珍しい種というわけではありませんが、これほどみごとな群落ははじめてみました。ただ来訪者がそれほど多くないのか園内の周回歩道はだいぶ痛んでいて、残念でありたいへんもったいないことと思います。

 

コーヒーブレーク 22 「裏表」

 

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蛍群舞して人の頭のあらわるる

蛍で忘れられない光景がある。町内の用水路にそってあたり一面に群舞するヘイケボタルである。今は全面的に石やコンクリートで護岸されてしまったが、昔は土を盛った文字通りの土手で、湧水や井戸水が大量にまじり川中にはバイカモが漂うきれいな冷たい流れであったから、蛍の棲息環境としては最適であったろう。外灯などはろくになかったのでいつもはほとんど真っ暗な空間なのだが、蛍が大量に発生する時期はその明かりで土手上の未舗装の道と川面との差もはっきりわかったし、そこを歩く人の姿も蛍の発す光でぼんやりと輪郭が浮かんでいた。/子どもたちはいわゆる蛍狩りに興じていたが、あまりにも蛍の数が多いので捕虫網などは必要とせず、手に持った団扇にとまってくる蛍をそのまま虫かごに払い落とすだけで充分だった。寝る時の蚊帳もまだ健在だったので、捕まえてきた蛍をその中に放して楽しむのだが、朝起きてみるとまるでネズミの糞のように畳の上にみな死骸となって散らばっているのだった。

裏表ためつすがめつ蛇の衣

蛇の体は硬い鱗に覆われている。それで暖かい時期に数回脱皮して大きくなるのだが、そのあとに残るのが蛇の衣である。脱皮は顎の下のわずかな突起を石や木の角等にひっかけ、口部から皮を裏返すようにして前進しながら脱いでいく。したがって人工的な飼育環境などで引っ掛けることのできる物体がない場合はうまく脱皮できないらしい。しかし蛇の種類にもよるが、頭から尻尾の先まできれいに、途中でやぶれたりせずに脱皮を完了するのは少ない。慣れた人なら脱いだ皮であっても即座に蛇の種類を言い当てられるのだろうが、そんな人はもちろんまれである。

落蝉や自死する蝉のまじりたる

「猿も樹から落ちる」というが、蝉も樹から落ちる。寿命が尽きて落下することもあるが、あまりにも気温が高いと、日中でもそのせいでぼとぼとと地面に蝉が落ちていることがある。昆虫だから自意識などはおそらくないし、まさか実際には自死・自殺する蝉はいないだろう。/けれども人間ならばこの日本では年間に3万人を超える人が自ら命を絶っている。あえて言えば一日に平均して100名ほどの人が自死・自殺していることになる。とんでもないことだ。ただ、あくまでも個人としての生・死についてに限っていえば、私は自殺を非難することはない。そのことも生きることの究極的な選択肢のひとつであって、他者がそれを非難したり逆に奨励するようなことではないと考える。たとえ経済的身体的に恵まれていたとしても、精神的な苦悩が甚大ということはいくらでもありうるからである。

 

カモフラージュ

 

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自宅の白いアルミサッシの枠のところにアマガエル(ニホンアマガエル)が一匹くっついていました。体長4cmほどの小さなカエルです。地面からは1.5mほどの高さがあるのですが、ガルバリウム鋼板製の外壁をよじ登ってきたのでしょうか。

おかしいのは皮膚の色で、壁の色=ほぼ白に近いシルバーグレーにそっくりな色になっています。目から側腹にかけて部分的にまだすこし残っている緑色が本来のアマガエルの色ですが、おもしろいですね。

このカエルは敵の目からのがれやすいように周囲の色合いにあわせて体色を変化させることができるようで、保護色・カモフラージュということでしょう。たしかに緑色のアマガエルにくらべれば目立たないことはたしかですが、つるんとした無地のアルミサッシや外壁にくっついていたのでは、人間の目はごまかせません。

 

俳句歳時記

 

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俳句を作ったり読んだりする際に使っている歳時記を新しくしました。角川学芸出版の『合本 俳句歳時記 第四版』です。これまで十数年の間使用していたのが同じ歳時記の第三版ですが、6年前に版が新しくなり評判もいいようなので新版を注文しました。本体価格2300円。内容を考えればたいへんお買い得と思います。

上の写真は箱と表紙です。えらく派手派手しい箱ですが、表紙のほうは箱の絵の一部をモノカラーで拡大コピーという安直なデザイン。どうせなら俳句的ひねりがほしいところですが、コスト削減でしょうかね。

中身は第三版では季語の説明が1段組で、例句が2段組みという体裁でしたが、第四版ではともに2段組みで、かつ文字もすこしだけ大きくなっています。文章はこちらのほうが読みやすいです。例句が中ゴシック体から細い明朝体になったのは、字画を判別しやすくする意味があるのかもしれません。収録する季語と傍題は大幅に見直され、現代の生活と社会に合わない、もはや死語と化したような季語・傍題はのぞかれているようです。

しかし最も大きな変更は、例句が大幅に若返ったことです。すなわち現役の俳人の占める割合がとても大きくなりその有名句はだいたい載っていますし、俳人としては「若手」といわれる50代以下の人もちらほら。下の写真は夏の季語「蛍」の項ですが、左が三版で右が四版。私でも新版だと作者のすべてがすぐに分かります(写真をクリックして拡大してみてください)。

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書名に「合本」とあるように、この歳時記はもともとは春・真・秋・冬・新年の5冊に分かれた文庫版に付録を足して合本したものとのこと。5分冊なら軽く薄くて便利と思いがちですが、ある言葉と群が季節季節でどのように扱われているのかを即時的に比較検討する意味では1冊本のほうが私は断然おすすめです。そもそも季語の季節的分類自体にも私は多大な疑問をもっていることもありますが。

 

コーヒーブレーク 21「奥の院」

 

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ずだぬれに天と地の梅雨入かな

当地では今年は6月中旬に梅雨入り宣言が出されたと思ったが、わりあい天気のいい日が続いており、あまり梅雨の季節という気がしない。世界的な天候異常があって、なんだか天気のようすもわけがわからなくなっている。/しかしながら地球温暖化説は数十年以上の長いスパンでみれば科学的に妥当な説であるように思う。実験室で実験してみるわけにもいかず100%の確度とはいえずとも、高い確度でそれは各種のデータから裏付けられている。一部の学者で温暖化説に疑義を呈している人もいるが、いずれも「木を見て森を見ず」の短期的局所的知見にすぎないようである。また地球温暖化説は原子力発電推進のための捏造とする主張もあるが、それにうまく利用されてきたということと、その論理自体の正否とはまた別であるという単純な話を理解できない人がいるのは困ったことだ。日本はすでに温帯ではなく亜熱帯である。

遠足の子の地にこぼれておりにけり

遠足は俳句では春の季語とされているのだが、遠足が文字通りに足で歩いてやや遠くの海や山などに行楽目的で出かけた時代とちがい、いまはたいていが移動にバスや電車などの交通手段を用いての遠足だ。だからか遠足の実施時期は必ずしも春ではなく夏とか秋であることも珍しくはない。これなども伝統的な季語の概念が実態とは乖離しつつあることの一例だろう。/私は遠足の句というといつも嶋田青峰の<遠足の富士見ゆるとて囃しけり>が思い出すのだが、これとても今の子どもたちはさほど景色には興味を示さないようなので、もはや時代錯誤の郷愁でしかないのかもしれない。

夏至の日の奥の院本所にさす日の光

夏至は一年中でもっとも昼の時間が長く、夜の時間が短い日。いちおう定義としては太陽黄径が90度のときで、6月21日か22日あたりになる。反対の、一年中でもっとも昼の時間が短く、夜の時間が長い日である冬至と比べると、昼の長さは4時間50分も長い。晴れていれば午後7時をすぎてもまだ空が明るいですね。/夏至は太陽が天球において最も北よりになり、南中高度が最大となるため、そのときだけ一年に一度だけ日が射すところがある。宗教的施設ではそれをねらってその場所に建造物を構築またはその箇所を聖なる秘所として措定することがある。アーチストでもそういう人がいたな。

(※ 上の写真は湧水の流れる渓流の底の岩肌にびっしりと沈水性の苔の一種 ナガサキホウオウゴケが生え、陽光にきらめいているようすです。)

 

リメーク

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ずっと昔24年前に当工房で個展用に製作し、お客様にお買い求めいただいた抽斗15杯のトールチェストを、2つのデスクワゴン(左側)と1つの飾台(右側)とにリメークしました。抽斗の前板はすべて異なる樹種の広葉樹の無垢板で、これはそのまま再利用。本体はクルミでまったく新たに作りました。

前身のトールチェストでは色の最も薄い抽斗を上に、最も色の濃い抽斗を下になるように順に並べたのですが、リメーク品では全部をそのとおりには並べることはできませんでした。新しいものでは3段目の抽斗は、本体の歪みを抑えるために中板が入っている関係で他の抽斗より内部が20mmほど薄くなっています。したがって3杯あるその抽斗はワゴンでも飾台でも中央にもってこざるをえないからです。

また直射日光にはさらされてはいないとはいえ、20年以上も経つとけっこう色がやけてくるのですが、その程度は樹種によってかなり差があります。はじめはかなり白っぽかったものが同じ樹種とは思えないほど急速に濃くなったり、年月が経ってもさほど色味は変化しなかったり、逆にはじめの頃より若干淡くなったり。その意味では経年変化(変色)の期せずしてかっこうのサンプルともなりました。

サイズはワゴンが幅390mm、奥行425mm、高さ650mmで、下に4個の自在キャスターがついています。飾台のほうは幅394mm、奥行415mm、高さ823mmです。抽斗の前板の大きさは幅330mm高さ110mmですが、痛んでいた革製の取手は木製(クルミ)の把手に交換しました。前の把手の穴隠しも兼ねているので、見た目のバランスとしてはやや大きいですね。

無垢材だけでできている家具はこの例のようにリメークが可能な場合が多いのですが、まったくの新品よりもかえって手間がかかる場合があり、仕上がりもどうしても新品ほどにはきれいに精緻にいかないことがあります。上のワゴンと飾台でいえば、インセットの抽斗はもともとが本体に入れ込むときに微妙に個々に削りあわせているためにわずかながら寸法が異なります。その抽斗を新しい本体にまたインセットで納めているので、抽斗ごとの差は倍化することになります。通常このサイズの抽斗であれば本体との隙間は上下で1mm以下、左右で0.3mm程度なのですが、今回はすべての抽斗をそういうわけにはいきませんでした。

6月の胴腹ノ滝

 

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胴腹ノ滝へは6月は3回出かけました。6月6日・16日・27日です。梅雨入りしたにもかかわらず比較的雨の少ない月でしたが、滝の湧水量は春以来ほぼ一貫して増えています。写真は6月16日の午後2時頃のものですが、これだけでもかなりの水量であることがわかるかと思います。27日は16日とほぼ同じかやや水量が減ったようにも見えますが、ピークが過ぎたかどうかはまだわかりません。

各点の水温や気温は以下のとおりです。単位は℃です。
胴腹ノ滝の右側(湧水)    8.8    8.8    8.9
胴腹ノ滝の左側(湧水)    8.7    8.7    8.8
鳥居の前の表流水       9.4    9.3   10.0
胴腹ノ滝の前の気温     20.4   18.8   23.3
鳥居の前の気温       21.9   20.4   25.5

毎度の傾向ですが、湧水の温度はほとんど変わらずか微増であるのに対し、表流水はそれよりはずっと顕著に上昇しつつあります。気温のほうは冷たい湧水の影響を多く受ける滝の前の気温は、さほど水温の影響を受けない鳥居の前に比べてコンスタントに1.5〜2℃程度低いことがわかります。

 

黄銅鉱&ぶどう石

 

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昨年8月以来のひさしぶりの鉱物ネタです。上が黄銅鉱、下がぶどう石です。こういった鉱物コレクションは仕事にも生活にもまったく関係しない趣味100%の世界なので、なかなか思うようには進展しません。今回の2種類の鉱物もインターネット上での某サイトで目にして以来ずっと興味があったのですが、先日やっとのことで入手できました(といっても酒飲みが一回お店で飲んで代行車をたのむ程度の金額ですが)。

黄銅鉱は一見したところ金(ゴールド)みたいにきらきら輝いています。小さな子どもなら「これは金だぞ!」ともっともらしく言われれば信じてしまいそうなほどのきらめきです。閃亜鉛鉱上に成長した結晶群で、大きさは67×54×23mm、重さ146gで、ブルガリア産だそうです。

黄銅鉱(chalcopyrite、キャルコパイライト)は銅と鉄と硫黄からなり、化学組成としてはCuFeS2(右下に小さく数字を付けることが私のワープロソフトではできない)です。結晶系は正方晶系、モース硬度は3.5〜4、条痕は緑黒色、比重は4.2

ぶどう石はまさにマスカットのぶどうを思わせる淡緑色で半透明の鉱物です。マスカットでなくともたいていのぶどうは皮をむいたら中身はだいたいこういう感じですね。写真のものは不定形ですが、ものによっては丸い粒状で房をなしているものもあって、それこそ離れて見たらどうしてこんなところにぶどうが落ちてるんだ?と思うかもしれません。大きさは63×51×32mm、重さ109gで、スペイン産です。

ぶどう石(Prehnite、プレナイト)はアルミニウム珪酸塩鉱物の一種で、化学組成はCaAl(ALSi3O10)(OH)2で表されますが、同じ珪酸塩でもマグマの温度によってさまざまな結晶形態を取り、ぶどう石はその中では比較的温度の低い熱水作用により生成されるとのこと。結晶系は斜方および単斜晶系、硬度6〜6.5、比重2.8〜3、色は淡緑のほかに白色・黄色。