俳句歳時記
俳句を作ったり読んだりする際に使っている歳時記を新しくしました。角川学芸出版の『合本 俳句歳時記 第四版』です。これまで十数年の間使用していたのが同じ歳時記の第三版ですが、6年前に版が新しくなり評判もいいようなので新版を注文しました。本体価格2300円。内容を考えればたいへんお買い得と思います。
上の写真は箱と表紙です。えらく派手派手しい箱ですが、表紙のほうは箱の絵の一部をモノカラーで拡大コピーという安直なデザイン。どうせなら俳句的ひねりがほしいところですが、コスト削減でしょうかね。
中身は第三版では季語の説明が1段組で、例句が2段組みという体裁でしたが、第四版ではともに2段組みで、かつ文字もすこしだけ大きくなっています。文章はこちらのほうが読みやすいです。例句が中ゴシック体から細い明朝体になったのは、字画を判別しやすくする意味があるのかもしれません。収録する季語と傍題は大幅に見直され、現代の生活と社会に合わない、もはや死語と化したような季語・傍題はのぞかれているようです。
しかし最も大きな変更は、例句が大幅に若返ったことです。すなわち現役の俳人の占める割合がとても大きくなりその有名句はだいたい載っていますし、俳人としては「若手」といわれる50代以下の人もちらほら。下の写真は夏の季語「蛍」の項ですが、左が三版で右が四版。私でも新版だと作者のすべてがすぐに分かります(写真をクリックして拡大してみてください)。
書名に「合本」とあるように、この歳時記はもともとは春・真・秋・冬・新年の5冊に分かれた文庫版に付録を足して合本したものとのこと。5分冊なら軽く薄くて便利と思いがちですが、ある言葉と群が季節季節でどのように扱われているのかを即時的に比較検討する意味では1冊本のほうが私は断然おすすめです。そもそも季語の季節的分類自体にも私は多大な疑問をもっていることもありますが。