月別アーカイブ: 10月 2011

草紅葉と湧水と

一昨日10月14日は日中は晴れの予報が出ていたので、鳥海山の上部にある湧泉の水の採取&調査に出かけました。遊佐町役場から受託した仕事で、昨年から行っています。大平山荘の上の登山口から歩き始め、見晴台〜清水大神〜鳥海湖〜千畳ヶ原〜万助小屋〜渡戸〜一ノ坂というコースで、要所要所で湧泉の水を専用の器具と容器で採取し、水温その他を計測しました。


頂上付近の日陰になるところにはまだ雪が残っており、雪のないところもすっかり枯れ色ですが、標高1500m付近から700mくらいまでの中腹はいま紅葉が非常にきれいです。樹木も赤や橙・黄色に染まっていますが、湿原の草類も黄金色になりたいへん美しい。いわゆる草紅葉ですね。とくに千畳ヶ原の広大な草原はみごとです。

秋晴れの絶好の日和だったのですが、平日とあってか他の登山者はあまりいませんでした。鉾立から御浜や頂上にかけての鳥海山のいちばんポピュラーなコースには登山者の姿がすこし見えましたが、それでも夏山に比べると激減といっていいくらい。私が直接出会った人は二人だけでした。他人にわずらわされずに、のんびり静かに登山するには今頃が最適かもしれません。

今回の調査行では定点の湧泉をいくつかめぐったのですが、千畳ヶ原の一画に私にとっては新たな湧泉を発見しました。水量もかなり多く、湧出口の温度はなんと4.1℃です。これまで最低温だった東鍋森東麓の3.9℃が、去年も今年も4.3℃になってしまったので、今回の新しい湧泉が鳥海山中最低温度の湧泉ということになります。ただしこの源泉へのアプローチは相当な急斜面になっていて、登山道からも遠く離れているので要注意です。谷にはまって遭難したら誰からも発見されることもないでしょう。

採取した水は合計10kg以上。それに準冬山装備をつめたザックは合計で20kgをオーバーしてしまいました。採水するごとにだんだん重くなっていくわけですね。10年以上かもっと若くて体力があった頃ならどうってことない重さですが、今となっては20kg超はもう限界に近い重さです。無事調査は終えたものの、ものすごく疲れました。下山時に足下がふらついたのは何年ぶりでしょうか。

下の写真は万助道のギャップ付近から見たヒノソの渓谷です。見事な紅葉ですが、昔このヒノソを源頭の鍋森直下まで遡行したことがあります。今の時期は水量も少なく、ここから上部には越せないような大きな滝もないので、空が大きく開けていてとても気持ちのいい沢登りができます(エスケープルートはないので、増水の恐れがあるときは不可)。また行きたいな。

 

9/28&10/11の胴腹ノ滝

 

 

1枚目の写真は9月28日朝、2枚目が10月11日朝の胴腹ノ滝です。前回掲載した9月15日の写真と比べるとまたほんの少しずつですが、水量が増えてきています。

湧水温は9月28日が右8.9℃、左8.8℃(気温14.0℃)。10月11日が右・左ともに8.8℃(気温11.6℃)でした。後者を1ヶ月前と比較すると湧水の温度は0.2℃しか違いませんが(下がっている)、気温のほうは10℃くらい低下しています。そのためか体感温度としては滝の水も夏ほど冷たさを感じられなくなってきました。気温と3℃程度しか違わないので、それも当然かなと思います。

次の写真は胴腹ノ滝の水汲み場(右側は右の滝から、左は左の滝からパイプで導水)のすぐ近くに添えられた供花です。茎の元のほうが湧水の流れに浸っているのでずいぶん長持ちするようです。もっともいつかは必ず朽ちてしまうので、滝の管理や清掃をされている方が以前「できれば供え物はご遠慮願いたい」とおっしゃっていたような記憶があります。

 

マスキングテープ

 

マスキングテープは基本的には名前のとおり、何かをマスクする=覆うために使用するテープです。いちばん多いのは塗装やシーリング、コーキングをする際に塗料等が付着してはいけない部分を隠すために使うことです。テープ自体がマスク材になったり紙やポリエチレンのシートを止めたりするのに使います。最近では装飾や包装用に用いられることも珍しくないようです。

テープを貼る場所は平面ばかりとはかぎりません。多少の曲面や凹凸なら追随する柔軟性が必要で、かつ直線のエッジはきっちり出ないとだめです。2色3色を塗り分けするというケースは珍しくありませんが、その際にテープを介して作った境界線がぼけたりしては話になりません。また暑さ寒さや乾燥・多湿にも変化しにくく長時間耐えるだけの強度も必要です。しっかりと貼れる。それでいてはがすときは生地や塗装面を痛めることなく糊残りせずにきれいにはがれるという矛盾するような両方の性質が必須。強力に貼付けるだけの一方通行ならまだ簡単でしょうが、はがすのもスムーズにというのが難問です。実際マスキングテープを発明し1925年に最初に売り出した3Mのリチャード・ドリューはそれでずいぶん苦労したとか。

テープの表面は塗料のシンナーなどの溶剤を通さないようになっていないといけませんが、かといってつるつるだと作業性がわるくテープに書き込みをしたりすることが困難です。大面積の塗装ならマスキングテープも大量に使うので、値段もできるだけ安くないと困ります。テープの基材や粘着材には、用途によってさまざまなものがありますが、和紙をベースとしアクリル樹脂の粘着材というタイプがもっとも一般的なようです。

当工房では塗装にはむしろそれほど用いることはないのですが(着色はまずしませんので)、加工中の当て木やクッション材を仮止めしたり、サンディングペーパーを当てゴムに止める、ダボを頭をカットする際の養生に用いる、製品完成前のだめ回りに補修必要箇所をマーキングする、端金などの工具類での怪我防止に末端を明示する、木取の際の仮配分の目安に貼る、といったさまざまな用途に用いています。ほとんど日用品・必需品といっていいくらいよく使います。

写真のテープは3Mのマスキングテープ243J−Plusです。2年前かそこらまではただ243としか呼んでいなかったと思うのですが、在庫が切れそうになって通販のHPをのぞいてみたら、いつのまにか243J−Plusに替わっていました。まあ、なにかマイナーチェンジがあったのでしょう。前のは廃番にして新しい製品番号にしてもよさそうなものですが、じつはこの3Mの243は、数あるマスキングテープのなかでも抜群の人気をほこる商品だったようです。比較的熱と溶剤に強いので、自動車塗装にとくに人気があるといいます。

当工房でもこれまでニチバンやカモ井、ニトムズ、積水といったメーカーのマスキングテープを使ったことがありますが、3Mのこの243、または243−Plusがいちばん気に入ってます。もちろん全メーカーのマスキングテープを購入し比較試験するなどということは弱小零細企業にはとうてい不可能なことですから、あくまでもたまたまの私的な結果にすぎませんが。

大槌町小学生来訪

岩手県大槌町から小学生(4〜6年)8人と引率等の大人3人が、10月8〜10日遊佐町に訪れました。しらい自然館をベースとする「鳥海山おもしろ自然塾推進協議会」の最初の事業として行ったものです。藤井で農業を営んでいる斎藤武さんが会長で、私も理事のひとりになっています。

大槌町はみなさんもご存知かもしれませんが、3月11日の大地震と津波で大きな被害にあった町です。人口16000人の1割の方が死亡・行方不明ですから、いかにたいへんな惨事だったか。津波で家族を失った子どもたちもおおぜいいます。それからすでに7ヶ月経つわけですが、まだまだ混乱と疲弊の最中にあるといっていいと思います。

今回の事業は国からの補助などもあって基本的にほぼ無料での招待というかたちです。当初は8月に実施、人数ももっとずっと多く想定していたのですが、諸事情で10月の3連休まで延期で人数も少なくなってしまいました。実施が最終的に本決まりになったのはわずか4日前だったので、人員や機材器具の準備におおわらわでしたが、なんとかスタートを切ることができました。

一日目の10月8日は、大槌町からの一行が乗ったバスが午後2時半頃に遊佐町に着いたので、その足でまず稲刈りの体験。時間があまりなかったのですが4時くらいまで、コンバインに乗せてもらったり、手鎌で稲を刈ったりしました。その後、しらい自然館でこちらのスタッフなどと対面式。この日は一般家庭の3軒に分かれての宿泊(民宿)です。

二日目の10月9日は午前9時くらいから午後2時頃まで高瀬峡のハイキングその他を行いました。山ノ神から歩き始め、いくつか湧泉を眺め味わい、蔭ノ滝〜大滝へとすすみます。このハイキングについては私がメインスタッフで、ほかにサブスタッフを2名頼んだのですが、3連休でしかも3日間天気もよさそうだということで皆さん予定が立っており、じつは人員を確保するのがたいへんでした。

他のハイカーもけっこう多かったのですが、大滝手前の春に流出した中州の橋はいまだにきちんとは修理されておらず、ちょうどすぐ前を歩いていた家族連れは沢を渡れずにひきかえしていました。大滝の姿はむこうに見えているので、ここで引き返すのは残念すぎます。あたりを探してみると、杉板が1枚流れの中にひっかかっています。片方の端にロープが結んであるので、仮の橋桁がわりなのでしょう。それをきちんと据え直し、大滝のたもとまで無事にたどりつくことができました。

じつはここでの大休止のあとに場所をヒノソの長坂道徒渉点に転じて、昼食後に沢登り(のまねごと)するつもりでいたのですが、諸々の事情があって中止になってしまいました。天気も水の状態も絶好だったのに、子どもたちもスタッフも無念しごくです。そんなわけで時間が余ってしまったので、急遽山ノ神から3台の乗用車に分乗して一ノ滝駐車場に向かい、一ノ滝の豪快な直瀑とその付近のブナ林を見てきました。

午後2時半くらいからはしらい自然館にて、まず笹巻き作りです。笹の葉を2枚用いて円錐形にし中に餅米を入れ蒸します。これは大槌町へのお土産になります。続いては芋煮と米を野外炊飯場で鍋・釜で煮炊きしました。子どもたちが野菜を切ったりこんにゃくを手でちぎったり。できた芋煮とご飯で関係者一同交流会を兼ねての夕食にしました。出し物もあり、ネイチャーゲーム、バルーンアート、紙芝居、マジックショー、絵本読み聞かせと、盛りだくさん。8時半からは大人たちだけで2次会です。大槌町の方々の宿泊はこの日はしらい自然館。3連休とあって空き室なしの状態でした。

三日目の10月10日は午前中に牛渡川〜丸池様〜釜磯を見学。牛渡川の箕輪孵化場ではちょうど海からあがってきたシロザケの捕獲と採卵・受精の最中で、無理を言ってタモですくいあげたばかりのサケの頭を叩いたり、胴突をはいて孵化場下流の牛渡川の中を歩かせてもらいました。

これで三日間の事業は終わりましたが、いろいろと課題があるのは事実です。それをひとつひとつ解決しながら、これからも大槌町、あるいは他市町村の子どもたちとの交流が続いていくようにしたいと思っています。

イヌタデ

 

アカマンマとも呼ばれるイヌタデ(タデ科タデ属 Polygonum  longisetum)の群落です。日本全土にふつうに生えているありふれた多年草ですが、よく見ればなかなかきれいな花です。

茎長は20〜50cm程度、花序は長さ1〜5cmほどあり、1.5〜2mmの紅色(まれに白色)の花を多数咲かせます。個々の花はごく小さいながら、梅の花を想わせる5裂の整った形の花。ルーペでもあればその美しさに驚かれるでしょう。

イヌなんとかと名付けられている植物は少なくありませんが、はっきりいって蔑称ですね。イヌタデの場合も、ヤナギタデのような辛さが葉にないので役に立たないからという理由で付けられた名前のようです(ヤナギタデは「蓼食う虫も好きずき」のあのタデで、食用に用いられます)。それとどこでもごくふつうに出会う草のために「ふん、ただの雑草だろ」と見なされることが多いことも背景にあるかもしれません。

別名のアカマンマは「子どもがままごとによく使うから」とのこと。赤い粒状の花を集めて赤飯などに見立てて遊ぶわけですが、最近はそんな遊びをしている子どもがどれくらいいますかね。

 

自然乾燥

 

山形県庄内地方はいま稲刈も終盤というところですが、ところどころで写真のような光景を見ることができます。刈り取った稲の自然乾燥で、田んぼに突き立てた1本の丸太(稲杭)に稲穂を積み上げています。高さは1.5mくらいでしょうか。蓑をかぶった人の群れみたいにも見えます。

私はやったことはありませんが、ただの棒1本ですから、ずり落ちたりしないようにかつうまく乾燥するように手早く積んでいくのはかなり難しそうです。この地方では稲の自然乾燥というとこの方法しか私は見たことがありませんが、他の地方ではやぐらを組んで横に渡した棒にハの字にぶら下げたり、いろいろなやり方があるようです。

昔はすべての稲がこの杭がけによる自然乾燥でしたが、いまは大部分カントリーエレベーターという大型の施設にもみを運んで、そこで乾燥・調整・貯蔵を行うようになっています。田んぼのど真ん中に高さが何十mもあるような巨大な建物があるので、最初はびっくりします。

農家が自分で稲杭に稲穂をかけて乾燥させるのに比べ、カントリーエレベーターの導入によって農家の手間と労力は格段に低減されたわけですが、それにもかかわらず稲杭にかけての自然乾燥が完全になくならないのは、やはり食味がすぐれているからとのことです。ただし手間がかかるので大面積は無理で、農家の自家消費分とか特別契約米などに限られています。

庄内地方は国内有数の米どころで、ここで作られている米は「庄内米」として市場で高い評価を得ています。しかし、さらにほんとうにおいしい米を食べたいと思ったら、やはり栽培の仕方だけでなく水と乾燥方法にも注目するべきでしょう。水がきれいな湧水で、刈り取った稲が自然乾燥されたものなら、それは最高の米ですね。

なんとか米といっても農協などで扱う場合は味にばらつきができるだけ出ないようにブレンドするので、結局品質(味、その他)はその地域の平均的なものになってしまいます。しかし実際のところ同地域であっても田んぼにより個々の農家により微妙に品質に差はあります。ですからほんとうにおいしい米、自分の好みにぴったり合った米を求めるなら、個別に農家と交渉することになります。

米は高い米でも10kgで5000〜7000円くらいなので、1食(150g=お椀2杯分)だと75〜105円。あんパン1個より安いですね。

Steve Jobs

 

アップル創業者で、ついこの前まで経営最高責任者(COE)だったスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)が亡くなってしまいました。私も妻もiMacとiPhoneを使っていることもあって、たいへん驚きました。写真はアップルのホームページのトップページです。氏名と生年の1955〜2011とだけ記してあるじつにシンプルなもの。アップルの製品にも通じるきわめて簡潔で強力なものです。

 

包丁研ぎ

わが家と工房で使用している料理用の包丁は、3本は同じもので、先日9月21日の記事で取り上げた鉈と同様に池田太四郎商店謹製の包丁です。菜切包丁と牛刀とを合わせたような形と、出刃包丁に準ずるくらいの厚みがある「文化包丁」といわれる形式のもの。プロまたはマニアックに本格的な調理を行うのでもないかぎり、これ1本でほぼすべての料理に間に合う万能的な刃物です。

基本的に自宅用に2本、工房の台所用に1本備えてあるので、自宅用の包丁は交互に研いで使っています。自宅と工房は10kmほど離れており、砥石などはみな工房に置いてあるので、自宅の包丁は切れなくなってもすぐに研ぐことはできません。しかし同じ包丁が2丁あれば、工房に持って行って作業の合間をみて余裕をもって研ぐことができます。

現在では家庭用の包丁はほとんどがステンレス製の包丁だと思いますが、写真の包丁はヤスキ鋼白1号を用いた鉄製の包丁です。鋼を中に、その両側を軟鉄ではさみこんだ割り込み包丁です。そのため使った後はすぐに水気を拭き取る必要があります。また長期保存の場合は錆びないように薄く油をひいておかなければなりません。しかし一般的にステンレスの包丁にくらべると、砥石を使って手作業で刃を研ぎ直すのは鉄製の包丁のほうが楽にできます。それでも大きく刃こぼれを起こしたり肉眼でわかるほど刃先が丸くなってから研ぐのはさすがにたいへんなので、すこし切れが鈍くなったらまめに研ぐというのが結局はいちばんいいですね。

砥石は中研ぎはカンナやノミなどの木工用の刃物と同じものを使いますが、仕上げはちょっともったいないので少しグレードの落ちる天然仕上砥石を使っています。この文化包丁は準両刃で、表(峰からみて右側)を7〜8、裏(峰からみて左側)を3〜2くらいの割合で研ぎ上げます。切れ味だけなら完全な片刃にしたほうがいいのですが、それだと刃こぼれがしやすく、また切った野菜などが刃に吸い付きやすいのです。

野菜などを透けるほどに薄く切れる、切れ味の鋭い包丁は、使っていて気持ちがいいですし、食べ物の味も一段すぐれているように思います。

 

大きな雲が

 

昨日の夕方5時ころですが、鳥海山にのしかかるような巨大な雲のかたまりです。夕焼けですこし赤らんできていることもあり、まるで鳥海山が大爆発でも起こしたような光景ですね。鳥海山の標高は2236mですから雲の天辺は6000mくらいでしょうか。

もっとも上のほうはそうとう強い風がふいているらしく、写真のような雲が見えていたのは10分程度。その後は急速に形が崩れて東(右側)に流されていってしまいました。

鳥海山の麓に住んでいるので、ほぼ毎日のように鳥海山を眺めているわけですが、季節により時刻により、また天気によってじつにさまざまな姿を見せてくれます。見飽きることは決してありません。今朝あらためて眺めてみたら、きのう雲に隠れていたあたりがうっすらと白くなっていました。初冠雪です。

 

阿部智幸水彩画展

 

きのうで終わってしまいましたが、山形県庄内町の内藤秀因水彩画記念館で開かれていた「阿部智幸水彩画展」を見に行ってきました。草原や樹林、河川や道端の景色、雪景色などを、じつに細密な筆致で描いてありました。それこそぱっと見た目には写真かと錯覚してしまうほどのリアルな描写です。

枝葉とか路面・雪面の微妙な輝きを忠実に再現しているかのように見えて、じつは言うまでもなくそれはあくまでも絵画として翻訳されているもの。絵の才能のとぼしい私には、いったいこれはどうやって描いたんだろうかと不思議に感じるほどの驚きがありました。うまいとかどうとか以前に技術的な差異にうちのめされてしまいそうです。きっと細い面相筆でものすごい時間をかけてかき込んだのだと思います。

ただ30点ほどもある作品をたんねんに2回りして観賞したのですが、とてもすばらしい絵だと思いながらも、その一方ではそれなら自分の足と目で実際にその草木や野山を体験したほうがもっといいとも思い直しました。さいわいそれが簡単にできるような環境や条件を私は持っているわけですから。自分がもっと歳をとって容易には外に出られなくなったり、今後そういうことはないとは思いますが都会の真ただ中で暮らすようになったときには、こうした具象的な自然風景の絵にひどく惹かれるようになるのかもしれません。

内藤秀因水彩画記念館は庄内町図書館に併設されているものですが、館名でもある内藤氏の水彩画もまたぜんぜん違った筆致ながら魅力的でした。