マスキングテープ

 

マスキングテープは基本的には名前のとおり、何かをマスクする=覆うために使用するテープです。いちばん多いのは塗装やシーリング、コーキングをする際に塗料等が付着してはいけない部分を隠すために使うことです。テープ自体がマスク材になったり紙やポリエチレンのシートを止めたりするのに使います。最近では装飾や包装用に用いられることも珍しくないようです。

テープを貼る場所は平面ばかりとはかぎりません。多少の曲面や凹凸なら追随する柔軟性が必要で、かつ直線のエッジはきっちり出ないとだめです。2色3色を塗り分けするというケースは珍しくありませんが、その際にテープを介して作った境界線がぼけたりしては話になりません。また暑さ寒さや乾燥・多湿にも変化しにくく長時間耐えるだけの強度も必要です。しっかりと貼れる。それでいてはがすときは生地や塗装面を痛めることなく糊残りせずにきれいにはがれるという矛盾するような両方の性質が必須。強力に貼付けるだけの一方通行ならまだ簡単でしょうが、はがすのもスムーズにというのが難問です。実際マスキングテープを発明し1925年に最初に売り出した3Mのリチャード・ドリューはそれでずいぶん苦労したとか。

テープの表面は塗料のシンナーなどの溶剤を通さないようになっていないといけませんが、かといってつるつるだと作業性がわるくテープに書き込みをしたりすることが困難です。大面積の塗装ならマスキングテープも大量に使うので、値段もできるだけ安くないと困ります。テープの基材や粘着材には、用途によってさまざまなものがありますが、和紙をベースとしアクリル樹脂の粘着材というタイプがもっとも一般的なようです。

当工房では塗装にはむしろそれほど用いることはないのですが(着色はまずしませんので)、加工中の当て木やクッション材を仮止めしたり、サンディングペーパーを当てゴムに止める、ダボを頭をカットする際の養生に用いる、製品完成前のだめ回りに補修必要箇所をマーキングする、端金などの工具類での怪我防止に末端を明示する、木取の際の仮配分の目安に貼る、といったさまざまな用途に用いています。ほとんど日用品・必需品といっていいくらいよく使います。

写真のテープは3Mのマスキングテープ243J−Plusです。2年前かそこらまではただ243としか呼んでいなかったと思うのですが、在庫が切れそうになって通販のHPをのぞいてみたら、いつのまにか243J−Plusに替わっていました。まあ、なにかマイナーチェンジがあったのでしょう。前のは廃番にして新しい製品番号にしてもよさそうなものですが、じつはこの3Mの243は、数あるマスキングテープのなかでも抜群の人気をほこる商品だったようです。比較的熱と溶剤に強いので、自動車塗装にとくに人気があるといいます。

当工房でもこれまでニチバンやカモ井、ニトムズ、積水といったメーカーのマスキングテープを使ったことがありますが、3Mのこの243、または243−Plusがいちばん気に入ってます。もちろん全メーカーのマスキングテープを購入し比較試験するなどということは弱小零細企業にはとうてい不可能なことですから、あくまでもたまたまの私的な結果にすぎませんが。

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