月別アーカイブ: 7月 2011

超高性能ウレタン塗料

当工房では家具や木製小物の仕上げに二液型ポリウレタン塗料やオイルフィニッシュ、蜜蝋、カシュー塗料などを用いています。それぞれに得意・不得意や長所・短所があるので、製品別、用途別に使い分けます。漆塗りは興味関心はもちろんあるのですが、私は漆にはひどいアレルギーがあるので使うことができません。

その中でもわりあい出番の多い二液型ポリウレタン塗料(以下ウレタン塗料)に、最近新しいタイプの塗料を導入してみました。メーカーの説明には「高架橋のウレタン樹脂をベースとし、さらに分子レベルで作用する超微粒子のファインセラミックスを複合することで強靭な塗膜が得られ、有機分子樹脂だけでは難しかった高い耐候性・耐汚染性・耐熱性・耐久性を実現」とあります。

紫外線に強いこと、汚れにくいこと、熱に強いこと(200℃の高温にも耐える)などが具体的に試験データを添えて説明されています。もちろんホルムアルデヒドなどのシックハウス要因物質はいっさい含まれていないF☆☆☆☆取得塗料です。これまで使用していたウレタン塗料も、工業ライン用の専門的な塗料だったのですが、それよりもずっと高機能・高性能の塗料のようです。まだ実際には一度しか使っていないのですが、使い勝手としては二液型ウレタン塗料をすでに使い慣れているのであれば、とくに違和感なく使えると思いました。塗り上がりもしっとりしたいい感じです。

ただ値段はかなり高いです。うちのような弱小零細工房では塗料の使用量などたかが知れており、今回も小口注文だったせいでよけい割高になったようですが、従来のウレタン塗料にくらべシンナーとサンディングシーラー(中塗塗料)が約1.3倍、トップコート(上塗塗料)は2.5倍もしました。トップコートは1kgあたり3000円を超えます。量産メーカーならこの値段では敬遠するでしょうね。製造コスト全体のなかで塗料代の占める比率が高騰するからです。その点、無垢材オンリーで注文生産と単品生産を中心とする、いわゆる「手作り家具」の場合は、そもそも塗料と塗装のコストは相対的にずっと低いのです。

なお製造メーカーや製品名などの具体的なことはまだないしょです。メーカーのうたい文句を鵜呑みするわけにはいきませんから、もっと使い込んで自分なりに確信が持てるようになったらあらためて報告します。

 

多肉な花

「多肉植物」という名前は植物学的なものではなく、園芸的観点からみた俗称です。一般的な植物にくらべ葉や幹や根などが肥大している=肉が多い、それが多肉植物というわけです。したがって植物学的には多くの科にわたるのですが、サボテン科は原生種だけでも5000種ともそれ以上ともいわれる大所帯でかつそのほぼすべてが多肉なので、他の科の多肉植物とは独立して扱われることが普通です。すなわち「サボテン」と「他の多肉植物」とです(サボテン科以外の多肉植物をサボテンと呼ぶのはまちがいです)。

工房の事務所の窓辺に十数鉢のサボテンと多肉植物を育てていますが、そのひとつにまた花が咲きました。ベンケイソウ科エケベリア属のサブセシリスです。花穂のもとの方から咲き始めるので、そろそろ花期も終わりなのですが、おもしろいのは花弁まで多肉なこと。色合いと質感は蝋細工のようです。花穂は本来は上にまっすぐ伸びて先だけが下を向くのでしょうが、窓辺での栽培だとどうしても光が一方に偏るので花も傾きがちです。穂の長さは12cm、花の大きさは長さ12mmです。本体は径6cmなので、それにくらべずいぶん大きな花序といえますね。

葉が多肉なのは乾燥に耐えるなどの意味があるのは分かるのですが、どうして花までぽってりしているのでしょうか?

それにしても写真はいまいちですなぁ。接写モードにしているのですが、ピントがうまく拾えないだめなカメラです。

不動明王

私は自然や宇宙に対して畏れ敬う気持ちはじゅうぶんあるつもりですが、特定の宗教宗派などにそれを収斂させる気は微塵もありません。しかし、人里に近い名の知れた湧泉では、湧水のかたわらに石像を祀ってあることが珍しくありません。その像はたいがい不動明王です。

不動明王は大日如来の化身、または内証をあらわしたものだとか。炎の世界に住まわれているので、像の後背に燃え盛る火炎を配していることが多く、それは煩悩にさまよう衆生を力づくでも救おうとする強い決意=憤怒の象徴。また不動明王は財産等の守り神のようでもあります。とりわけ清水はなににも代えがたい、貴重な財産ですからね。






 

ジップロック

ジップロック(Ziploc=商品名)は旭化成の食品の冷蔵または冷凍保存用バッグですが、本来の用途以外に私は野外活動時の防水パックとしてよく利用しています。

たとえば登山では、いくら晴天でも急に大雨が降ることが珍しくありませんし、水辺での活動では足をすべらして身体や荷物が水没することもあります。したがって防水のカバーなどでザックを覆っていたとしても、侵入した水で中のものが濡れてしまうかもしれません。濡れても乾かせばそれですむものもありますが、電子機器や重要な書類などは絶対に濡れないようにしなければなりません。行動途中に風雨のなかでザックの口を開けて中のものを取り出さなければいけない場合もあるので、ザックカバーだけでは不十分です。

そこで濡れて困るものは個別に防水対策をします。そうした際にたいそう簡単かつ便利なのがジップロックです。とくに冷凍用の「フリーザーバッグ」がおすすめ。冷蔵用の「ストックバッグ」にくらべてポリエチレンに厚みがあり、ジッパーもダブルなので、より確実に封入できます。大きさは大・中・小とあるので、大には着替えなどの衣類、中に昼食や非常食、小にコンパクトカメラとか携帯電話などを入れています。上の写真はTシャツを中サイズのバッグに入れたところです。

ザックに収納するときに個々のジップロックの中の空気をしっかり追い出せば、荷物全体がコンパクトにもなります。空気を追い出すのがうまくいかない、つまりひとりでにまた膨らんでしまうようだとそれはバッグに穴があいている証拠ですから、そのときは新しいバッグに交換します(旭化成以外にも同じ目的のバッグは製造販売されていますが、私が使ってみたかぎりではやはりジップロックがいちばん使いやすいし安心)。

昔(数十年も前)、山岳部で沢登りをやっていた頃に、最初に先輩から言われたのが「ザックを水に浸けても中身が大丈夫なようにしろ」ということでした。濡れて困るものは個別に防水梱包せよということですね。ただそう言われても昔はジップロックなんてものはまだなかったので、ビニールの袋に入れて口を紐や輪ゴムで厳重にしばったわけですが、けっこう大仕事でした。それを想うと今はものすごく便利になりましたね〜。

 

1/25000地形図


鳥海山の湧泉・湧水を十数年、個人的に調べていますが、そのデータをまとめるにあたり、国土地理院発行の25000分の1地形図を買い足ししました。地図に湧泉の場所をピンポイントで落とすためです。

それでびっくりしたのが地図の様式が変わっていたことです。写真上は旧来の地図、下が新しい地図ですが、地形表示の範囲がひとまわり大きくなっています。横に約8cm、縦に約5cm拡大しているのです。縮尺はもちろん1/25000と同じなので、天地左右にそれぞれ隣接する地図と重複して印刷してある部分があるということです。旧来の地図は周囲に余白がわりあい多かったのですが、新しい様式ではぎゅうぎゅうに詰め込んである感じですね。

この様式変更は大歓迎です。これまでの地図だとちょうど端の部分が無慈悲にちょんぎれてしまい、連続して地形や道路や河川などを見る場合はほんのわずかな範囲でも必ず隣接の地図を開かないといけませんでした。つながり具合の把握もそうとう程度慣れないととてもやりにくかったのです。机上ならともかく、野外でしかも雨や風のなかで何枚もの地形図を広げるのは実際のところかなりの難儀でした。

地形は短期間でそうそう変わることはありませんが、道路や建物などはしょっちゅう変わりますので、ときどき地形図を買い替える必要があります。ただしその場合でも古い地図は絶対に保管しておくべきです。昔の登山道などはあまり利用されなくなると地図上からもすぐ消えてしまいますから。

トリアシショウマ

林床一面に咲く白い花。ユキノシタ科チダケサシ属のトリアシショウマ(鳥足升麻 Astibe thunbergii var.congesta)です。スギの人工林ですが、高さ1m弱くらいの白い花がたくさん咲いており、薄暗い林の中でとても幻想的ですらあります。

トリアシショウマは茎頂に側枝のよく分枝する円錐花序をつけ、花弁長さ5mm前後の白花を非常に密に咲かせます。葉は3回3出複葉の卵形〜広卵形。今の時期は山麓では花の少ない時期ですが、それだけにとてもよく目をひきます。けっして派手ではありませんが、こういう野草の群舞に出会うととてもうれしくなります。

下の写真はサクラソウ科オカトラノオ属のオカトラノオ(Lysimachia clethroides)で、トリアシショウマと同所に咲いていましたが、これも私はたいへんお気に入りの花。花のかたちはたしかに桜草ですね。花穂がみな傾くところも粋です。

最近、山や湧水、魚や植物といった自然関係のことばかり記事にあげていますが、木工の仕事のほうは定番的な小物の製作や試作、それに家具の補修といったこまごまとした内容が多いためです。あしからず。

 

7/8&21の胴腹ノ滝

 

 

上が7月8日の朝、下が7月21日朝の胴腹ノ滝です。前者は雨がすこし残り霧もかかっていますが、見比べると後者のほうがいくらか水量は少ないように見えます。大きな差ではありませんが、前回(6/29)掲げた6/17&28以降、徐々に水量は減ってきています。

水温は8日が右側9.0℃、左8.9℃(気温19.1℃)。21日が右8.8℃、左8.7℃(気温17.8℃)です。湧水温はまた若干下がってきました。なんとなくですが、この滝の湧水のカラクリがすこしだけ見えてきたような気はしています。

土・日などはかなり多くの方が水汲みや、滝を観賞しにおとずれています。車のナンバーを見ると地元(庄内)よりも山形や他県のナンバーのほうが多い場合も。胴腹ノ滝もすっかり「全国区」になりましたね。私も自家用の飲料水などを7〜10日くらいの間隔で汲みに来て、同時に水温を測ったり水量の目安となるようにほぼ定位置で写真を撮っています。ただ、他の人がいると「何してるんですか?」とかなんとかわずらわしいので、できるだけ人気のない平日の早朝に行くようにしています。

海遊館

7/18〜19に大阪に行った際に、大阪港・天保山ハーバービレッジにある海遊館という大きな水族館にも寄ってみました。3階のトンネル型水槽をくぐりぬけた後、エスカレーターで一気に8階まであがり、あとは回廊を下りながら巨大水槽や各種水槽、展示などを見ていきます。

1時間ちょっとの駆け足での見学でしたが、見所が多く展示の仕方も工夫されており、とてもよかったです。ほんとうは一日かけてゆっくり&じっくり観察したいところです。屋外は台風の接近で強い雨が降っていましたが、家族連れを中心におおぜいの人が訪れていました。

撮影はフラッシュ禁止、水槽面の反射もあるのでうまく写せませんでしたが、雰囲気は伝わるでしょうかね。上からピラルク、ジンベエザメ、イトマキエイ、マンボウ、ナポレオンフィッシュです。

 

 

 

 

 

眼下に鳥海山と月山

所用で7/18〜19に大阪へ行きました。まず庄内空港からのフライトでしたが、眼下に鳥海山と月山が見えました。雪はもう大部分消えています。空から見下ろしても鳥海山と月山とではかなり雰囲気が違います。

月山の右奥の後方に見える横長のシルエットはたぶん葉山(1462m)でしょう。

 

 

花盛り

 

工房の事務所の窓辺に置いている1属1種の多肉植物、タキツス・ベルラにもたくさん花が咲きました(ベンケイソウ科タキツス属ベルラ Tacitus bella)。もう18年も育てているというか、半分ほったらかし状態の鉢植えながら、それにもめげず当初の何倍もの大きさと頭数に増えています。花の付き方もこれまでの最高です。以前は3つか4つ程度の花茎が立っていただけでしたので、今年はいったいどうしたのかと驚くような隆盛ぶり。

本体はわりあい地味目ですが、花はそうとう派手です。本体に比べ大きさもあるし(直径約3cm)、なにより色がショッキングレッドとでも呼びたいような鮮やかさ。