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テーブル甲板の矧合

 

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タモで食卓用のテーブルを製作中ですが、甲板(こうはん、こうばん)を組立機で接合しています。組立機は本来的にはドアや引き戸などの建具類を組み立て&接合するための機械ですが、長さ2300mm、幅1420mm、厚さ70mmくらいまでであれば、このように板類の接合=矧合(はぎあわせ)にも使用できます。

左右のスピンドルネジでメカニカルに上下方向に締め付けする仕組みですが、最大8トンほどの圧力をかけられることや、とくに多数の接合をする場合は一度機械をセットしてしまえばあとは定常的連続的に作業ができるので効率的です。締め付けは機械がやってくれるので、手回しが必要な端金(はたがね)のように手が痛くなることもありません。

ただし、上のプレス板が下の受け板に向かって平行移動するだけなので、幅がきっちりそろっていない斜めの板や不定形の板などは接合不可能ですし、矧ぎ面のようすをみながら部分的に圧力を変えるといった細かい芸当はできません。あくまでも四角四面の矧合のみ有効です。また端金のように板の反り止めの役目も兼ねた棹はないので、板厚が薄いのに幅がありすぎる(例:厚さ15mm・全幅600mm)場合は、加圧したときに中間が膨らんで歪んではじけとんでしまう恐れがあります。

今回の矧合では、厚み35.5mm、長さ1520mm、cm^2当たり3kgで、適正圧力を約1.6トンと計算して稼働させました。

 

庭の花 3

 

わが家の庭にいま咲いている花です。すべてというわけではなく、備忘録としてのメモ程度のものですが。

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ムクゲ(アオイ科) 花の色はさまざまだが、純白のものを選んで植えている。鉢植えだったものを春に移植したのだが、無事根付いたようだ。

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アゼトウガラシ(ゴマノハグサ科) トキワハゼといっしょに一株だけ咲いている。花は唇弁花でよく似ていると思ったが、やはり仲間。名前は果実がトウガラシのようだから。

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クルマバザクロソウ(ザクロソウ科) 熱帯アメリカ原産の1年草。在来種のザクロソウに似ているが、節に4〜7枚の葉が輪生する。

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コニシキソウ(トウダイグサ科) 地面にはびこる雑草として嫌われるらしいが、小さな花を咲かせている。

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ハキダメギク(キク科) なんとも気の毒な名前だが、舌状花の先が3裂する花はとてもかわいらしい。ただ小さすぎて(径5mm)よく写らない。

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コモンラベンダー(シソ科) すでに最盛期はすぎたが、花穂がちらちら。丈夫でずいぶん増えた。別名イングリッシュラベンダー。

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シクラメン(サクラソウ科) 冬の間ずっと咲いていたが、最近になってまた花がたくさん出てきた。和名はブタノマンジュウといい、これまたひどい命名である。

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これはおまけ。多肉植物で上がセンペルビブム属の巻絹、下がハウォルチア属の寿。地元の野菜等の産直の店でなんと一個80円で売っていました。

 

コーヒーブレーク 57 「流木」

 

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蜘蛛の糸と思いしが浮いて来い

芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を最初に読んだのは中学生の頃だったかな。教科書に部分的に載っていたのかもしれない。己のみ助かろうとするカンダダの心情ゆえにお釈迦様はカンダダが必死によじのぼってくる蜘蛛の糸をぷつりと切ってしまう。教科書的にはカンダダの気持ちをさもしい、いやしいものとして非難する方向に読み手を誘導するのだが、私の感想は違った。今にも切れそうな細い糸に大勢の罪人が群がってきたら切れそうだと思うのは当然で、カンダダでなくともそれが人間のふつうの感覚だろう。ところがお釈迦様は「かなしい顔をなさいました」とかなんとかいってそれですませてしまうのだ。それはないだろ!人の心を試すようないやらしいことをすんなよ、と私は憤った。/仏にせよ神にせよ、ほんとうにこの世の創造主ならば、つべこべもったいぶったことを言ってないで、この世のいっさいの悪を一挙に解消すればいいじゃないか。「信ずるも者は救われる」とはつまり「信じない者は救わない」という単なる商取引である。神仏がそんな人間みたいなみみっちいことを言っちゃいかんだろ。

湧水のとどろきわたり旱星

湧き水はたとえば鳥海山の場合は、雨雪が地中に浸透してそれがまた地上に湧水となって出てくるまでにおおむね十数年から30年程度とみなされている。したがって地上において大雨や旱魃が続いても湧水が急激に増えたり減ったりすることはない。いわば地面のなかの巨大なスポンジにいったん蓄えられた水が、その保持限界を超えた分だけあふれて流れて地上に姿をあらわすといった感じなので、地上の降水量の増減は平均化されてしまうからである。ただし個別の湧水(湧泉)にかぎっていえば、春の雪解や大雨が降った後は湧出量が目にみえて増えるところもある。雪が溶けた水や降った雨がもともと地中にあった水を圧迫するためにふだんより多くの地下水があふれ出てくるからである。しみこんだ雨水等がダイレクトにすぐに湧いて出ているのではないことは湧水の温度を測ればわかる。

魚のような流木水にもどしやる

木工の一分野ともいえなくもない流木アート。海岸や湖岸、川岸に流れ着いた木の中から自分のイメージを含まらせるのに適した形状と大きさの素材を見つけるのが最初で、かつそれが「作品」としての出来の大部分を決定するという意味では厳密には「作品」とはいえないような気もする。流木という素材に後からあまり手を加えすぎては魅力がなくなってしまうので、むしろ必要最低限の加工にとどめることこそが肝であるのだろう。私自身としては趣味的に流木に興味を覚えることはあるが、仕事として取り組むつもりはないな。

 

タモのテーブル製作中

 

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酒田市のSHさんからご注文があった食卓用のテーブルを作っています。写真は甲板の木取をし、一次削りを終えたところ。2枚は同じタモの丸太から挽いた共木で連番の板です。したがって木目はよく似ています。

甲板の仕上りの寸法は150×80cmの予定ですが、ほぼ中央で接ぎ合わせるので、一枚の板は幅40cmくらいあります。そのため30cm幅以下の材料の場合のように平面出しに手押鉋盤を使うということはできないので、反りや捻れを取るために木端・木口に仮想平面の墨を打ち、それを目安に手鉋でひたすら削ります。今回は捻れが最大5mmほどあったのですが、それを手で削り落とすのはなかなかたいへんです。

墨線どおりにだいたい平面になれば(精度的には0.5mm以下)、その面を基準面として反対側の面を自動鉋盤で削ります。自動鉋盤は刃幅が約460mmあるので、片面がほぼ平らになっていればもう片面を削ることが可能なわけです。逆に言うと、幅460mm以上ある、いわゆる「一枚板」になるとまったく鉋盤は使えないので、両面とも手で削るしかありません。

無垢板で大きなテーブルを専門で手がけている木工所の場合だと、平面出しにNC(数値制御)ルーターを用い、仕上げには1m幅以上もあるワイドベルトサンダーを用いてるようです。しかしそういった機械だけでも少なくとも2000万ほどかかると思うので、それはそれでまたご苦労なことです。よほど頻繁に、休みなく稼働させないと採算がとれないのではないでしょうか。

 

飛島へ

 

6月28日に始まった「鳥海山・飛島ジオパーク構想 ジオガイド養成講座」の第4回目。今回は8月8日と9日の2グループに分かれて山形県唯一の島、飛島に研修に行きました。私は9日でしたが、お盆前の日曜日とあって船も満席状態。

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9時に酒田港を出航し、1時間15分で飛島に到着。船内は冷房が効きすぎて寒いくらいだったのでずっとデッキに出ていたのですが、海上から眺める鳥海山や出羽山地・月山・摩耶山地などが、いくぶんかすんでいるとはいえたいへん魅力的です。私は飛島を訪れるのは十数年ぶりでこれが2回目ですが、あいかわらずウミネコがたくさん船に寄ってきます。

午前中は勝浦会館にて座学です。NPO法人パートナーシップオフィス理事の金子博氏による「海洋ごみ 〜深刻化するプラスチック汚染」という題で、日本各地のおもに海岸のゴミ汚染の問題を多数の画像や動画も交えて解説しました。じつは飛島も海流の関係でとくにゴミが漂着しやすい場所のひとつだそうで、金子氏らによる十数年にわたる海岸清掃のようすも紹介されました。ジオパークということで地学的に特徴がきわだっており風光明媚でもある場所をせっかく訪れても、そこにゴミが散乱していたのでは興ざめしますからね。環境保全ということもジオパークの重要な課題です。

お昼はカフェスペース「しまかへ」特性のカレーでした。具のイカやジャガイモ(ゴドイモ?)もおいしかったです。

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午後からはフィールドワークです。飛島は周囲12km、面積2.7km^2ほどの小さな島ですが、炎天下で非常に暑いことと、帰りの午後3時45分発の船に間に合わせないといけないので、今回は南端部のごく一部分だけの観察です(島をひととおり巡るだけでも丸一日以上かかります)。

まずは遠賀美神社(おかみじんじゃ)からスタート。ここは島一番の聖地である御積島(おしゃくじま)=本殿、それを遥拝する西海岸の明神社=遥拝殿、に対する里宮という位置づけです。セミがさかんに鳴いていましたが、ミンミンゼミの1割ほどがミカド型という突然変異の全身エメラルドグリーン色のセミだそうです。アルビノでしょうかね。

次いで島南端の館岩へ。ただし時間がないので上にはあがらず麓で地質・岩石等の説明を荒川敏夫氏より受ける(以下同じ。民俗・文化面については岸本誠司氏が担当)。館岩ならびに、柏木山はおもに流紋岩からなるが、細部をみると色合いや形状はさまざま。大きな断層面も見ることができます。オーバーハングする柏木山南面断崖にはハヤブサの営巣地があります。なお小松ヶ浜の砂浜の砂は海水浴場として利用しやすいように島外から運んだものだそうですが、今なら環境破壊・改変で許可されないでしょうね。島の西側に回り込むと1kmほど離れた海上に御積島(右)と烏帽子群島(左)が見えてきました。

賽ノ河原の黒っぽい丸石は輝安山岩円礫で、これは烏帽子群島の柱状節理の一部が崩れたものが、大波によって海底を転がってここにたどりついたものらしい。まるで人為的に丸石を敷き詰めたような一種異様な光景で、まさにあの世への入口のような雰囲気があります。

続くゴトロ浜の緑色火山弾と凝灰岩の互層、そして顕著な海食崖と海岸段丘もみごとです。かつての火山灰にめり込んだ火山弾の凹凸がはげしく、足元がごとろごとろしてたいそう歩きにくいことからゴトロ浜の名前がついたとか。

あまり暑いのでばて気味の人もおり、明神社の木陰で休憩を取りましたが、社のまわりは草が生い茂り、しめ縄も張られた形跡がなく、ちょっと荒れた感じになっています。これは島民の高齢化と減少がすすみ手入れする人手が不足しているからとのこと。かつては1600人ほどもいた島民も今は250人くらいまで減り、高齢化率も群を抜いています。

帰路はタブノキとマツが生い茂る段丘を天辺まで上がり、東側海岸への下りでは用水ダムのそばも通りましたが、ダムともいいがたい小規模のもので、小面積でかつ高い山のない離島の水の苦労がしのばれました。

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圧巻はなんといってもその後の約1時間にわたる、3艘の漁船(遊覧船)に分乗しての島めぐりです。勝浦の港を出て烏帽子群島と御積島(おしゃくじま)をぐるりと周回しました。波もおだやかで、空にはちょうどいい案配の雲も出ており、陸上ほど暑くもなくほんとうに快適でした。

御積島は本島より高く標高75mありますが、火山活動の隆起によって形作られた島です。岩質は流紋岩。北側にある海食洞窟は壁が鱗片状の岩になっており、龍神が棲む聖地として古来より島民や船乗りたちの信仰を集めてきました(最後の写真から2、3枚目)。またウミネコの一大繁殖地として国の天然記念物の指定を受けています。

個々の島の名前は私には判別できませんが、上の写真は館岩、2枚目は柏木山、3枚目は御積島(右)と烏帽子群島(左)、4〜9枚目は烏帽子群島の島々です。烏帽子群島は遠くからはただ尖った小さな島くらいにしか見えませんが、すぐ近くで見ると輝石安山岩の溶岩の柱状節理が非常によく発達しており、それが部分的にではなく島全体が角材を積み上げたような感じなので、たいへん驚きました。その美しさにいたく感激しました。

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駒止用の駒の製作

 

テーブルや机や座卓などで、甲板と脚部を接合する方法はいろいろありますが、代表的なのは吸付桟と駒止(こまどめ)です。表からは接合箇所がわからないので甲板の見映えを損なうことがありません。

ただ、吸付桟は甲板に蟻ミゾを掘るだけの中程度以上の厚さが必要なことと、断面がともに台形状の桟とミゾとが斜めになった側面同士で引きつける構造なので、甲板を隙間無くぴったり接合するほどの力はありません。それとは逆に甲板の反りによって吸付桟の首のところや、蟻溝の頭のところがひび割れてしまう故障も起こりがちです。加工には非常に高い精度が必要ですし、なかなか面倒です。

それにくらべると駒止式は吸付桟よりは加工も簡単で、接合する力も大きく確度が高いです。通常、駒止というと市販のL型の専用金具が駒に用いられることが多いようですが、スチール製がほとんどで、錆の問題や、表からは直接は見えない位置に取り付けるとはいえ金物がむきだしになってしまうのも、私としては感心しません。せめてステンレススチール製の駒であればいいのいですが。

そこで当工房では30年前の開業以来、基本的に木製の駒を自作しそれで甲板と脚部を締結するようにしています。長さ8cmほどのクルミの木片ですが、幕板などにはホゾ差しで、甲板裏側には2本のステンレスの木ネジで止めます。木ネジの頭部はクルミのダボで埋めて、金属が見えないように処理します。両方とも木ネジ止めでないのは、温度湿度による甲板の収縮を逃がすため。

写真の1枚目は、予備の駒が残り少なくなったので約220個を新たに作っているところです。サイズを切りそろえたあと、各面を仕上げ削りするべく水引をして乾かしています。2枚目はできあがった駒です。サイズが小さいので材料費はたいしたことがありませんが、製作の手間や取り付けの手間を厳密に換算すると市販の金属の駒などよりずっと高いものにつくと思いますが、まあ仕方がありません。

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NCの木工機械

 

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工房の郵便受けに入っていた木工機械のカタログ。弥栄鉄工株式会社というメーカーのもので、NC(数値制御)のボーリング&ダボ打ち機などの製品が載っていました。しかし当工房は基本的に無垢材のみを用いた「指物」の家具等の受注生産をしていることと、安くとも500万はするこういった機械はとうてい買えるはずもありません。

宅配便ではなく裸で郵便受けに入っていたので、営業マンが直接訪れて投函していったのでしょうが、あいにくまったくの空振りでしたね。

最近、こうした機械や金物や素材などの営業の方の来訪がときどきあるのですが、事前にその工房ではどんなものを作っているのかを調べれば、扱っている機械等が売れる可能性があるかどうかはすぐわかりそうなものです。しかしやはり景気がわるいのでしょうね。万一の可能性にかけるとか、そもそも事前のチェックをするような余裕がなくて、「下手な鉄炮も数打ちゃ当たる」ということかもしれません。

 

マルチツール

 

マキタの充電式のマルチツールTM41Dという機械です。一見したところディスクグラインダー、またはアングルドリルのような形ですが、そうした機械とマルチツールの最大の違いは、稼働する軸が回転ではなく、左右に細かく振動することです。左右にそれぞれ1.6度、毎分6000〜20000回という超高速で振れます。

写真では非鉄金属&木材の切断用の先端工具を装着しています。ギザギザの刃が付いているのは先のほうの3cmくらいの短辺だけなので、材面に刃の腹を置いた姿勢で、材面より飛び出た管やダボなどを材面すれすれでカットすることができます。あるいは、刃を材料にじかに垂直に立てて食い込ませ、四角い穴を開けるなどという芸当も。全周に鋭い刃の付いた鋸刃などが回転するタイプではないので、比較的安全に作業できるという利点もあります。

刃は金属・木・FRP・タイル・モルタル・ゴムなど、さまざまな材料に応じたものがあり、また切断だけでなく剝がしたり削ったりするための刃もあります。カタログをみると36種類も載っていました。ただ、特許かなにかが関係しているのか小さな刃なのに2000〜6000円ほどします。作りからみても再研磨は不可能と思うので、どの程度の耐久性があるのか、コストパフォーマンス的にはどうなのかといったことははまだわかりません。先日、コーススレッドの頭をかくすために打ち込んだ木製ダボをカットするにはたいへん便利でしたが。工具なしで刃を脱着できる仕組みや、超高速振動する機構のためか、機体はマキタの汎用充電池BL1430を含めると2.1kgとけっこう重いです。2枚目の写真でもわかるようにちょっとごついくらいに頑丈です。

おかしいのはマルチツールという名称で、たしかに切断や研削や剥離など、これ1台でいろいろな、かつこれまでは困難だった作業や加工ができることと、最近になって登場してきた後発の機械なので、そうとしか名付けようがなかったのでしょう。昨年の建築リフォーム工事のおりに大工さんが使っていて具合がよさそうだったので、私も真似てみたのですが、向こうのは ボッシュの製品でややちゃちな感がなきしにもあらず。ということでマキタの最新の機種を選択しました。

 

コーヒーブレーク 56 「着ぐるみ」

 

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巣立鳥崖下に波の渦巻けり

鳥海山にはイヌワシが棲んでいる。大型の猛禽類で、食物連鎖の中では頂点に位置する動物であるものの、鳥海山の場合は無事に巣立つことができた割合は平均2年に1回、つまり50%くらい(全国的にはさらにその半分程度)だ。最大級のワシでさえそうなのだから、自然界で子育てをするのはなかなか厳しいといえよう。絶滅危惧種である。/猛禽類は獲物を効率的にとらえるために、よく見える目と鋭いくちばしと爪と頑丈な足を持っている。体長は75〜85cm、翼開長175〜200cm、体重3〜5kgというが、羽を広げると畳1枚くらいの大きさはあるわけで、「人の赤ん坊をさらっていった」などという話も、さもありなんという気がする。人間はともかくとしても、実際のところヤマドリやウサギ・キツネ・テン・ヘビといった動物を捕獲する。

飛魚とんで水平線の裏を見ゆ

トビウオのことをこのあたりでは「アゴ」と呼んでいる。山形県唯一の島は、その名も飛島(とびしま)というのだが、10年ばかり前に一度だけ渡航したことがあり、そのときも海面をアゴがぱらぱらと飛んでいたように思う。飛島周辺ではアゴがたくさん獲れ、焼いてから天日で干しあげた「アゴの焼干」は島の特産品であり名物となっている。出しがよく出るので、酒田市近辺のラーメン店や和食の店では広く使われているようである。/トビウオの仲間は世界では50種、日本近海でも30種近いというが、マグロ等の大型の魚種からの補食をのがれるために(異論もある)海面近くの空中を猛スピードでグライダーのように飛行する。その速度は時速50〜70kmにも達するという。また飛行距離も大型のトビウオになるとなんと600mにもなるというから、じつにたいしたものだ。

にんげんの着ぐるみをきて極暑

猫を2匹飼っているが、真夏は「そんな毛皮を着てだいじょうぶか?」と思わず口にしてしまうほど暑そうである。もちろん夏毛と冬毛があって入れ替わるのだが、年1回だけなので、人間が服を着たり脱いだりするような小回りはきかない。猫は春先に盛大に毛が抜けて、冬期にくらべればだいぶ薄く短くはなるものの、それでも盛夏の時分はものすごく暑苦しそうだ。すこしでも涼しいところを求めて、寝るときもあちらこちら移動している。/そういえば怪獣や動物やロボットなどの着ぐるみをきている人はその暑さ対策をどうしているのだろうか?宇宙服のような超小型のエアコンは、まさか装備されてないよね。

 

ジオパーク構想

 

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ジオパークとは聞き慣れない言葉ですが、案内パンフレットの説明によると「ジオ(地球)の歴史に触れ、大地の恵みとそこに生きる生物の不思議や、人々のくらしの知恵を楽しみながら学べる場所のことです。」とあります。

またパンフのタイトルが「鳥海山・飛島ジオパーク構想」となっているのは。ジオパークとして公的に認定されるように関係市町などが現在活動中で「〜対馬海流と季節風がもたらす大量の降雨・降雪が、水と命を生み出し、鳥海山と飛島の豊富で特色ある生態系や、人々の山岳信仰と歴史文化を育んできたことを学ぶことができるジオパークをつくるための構想です」とうたわれています。

いわば大自然を舞台としたテーマパークのようなものなわけですが、2015年5月現在で全国で36の地域が認定されています。鳥海山&飛島も来年秋の認定を目指して行政と民間がいっしょになって、さまざまな活動を始めているとのこと。

「テーマパーク」である以上、一般の方が興味を示し来訪していただくためには、ある程度の専門知識をもったガイドが必要となります。じつはそのガイドを養成するための講座に私も参加しています(全体で60名弱)。初回は6月28日でしたが、いまのところ10月までに計9回の講義およびフィールドワークが予定されています。火山地質学や水文学、環境学、民族・歴史学などのそれぞれの専門家による講義や現地での説明はたいへんおもしろく刺激的です。同じ景色をみていても、いくらかにせよ専門的な知識を得たうえで眺めると楽しみが倍加します。