テーブルや机や座卓などで、甲板と脚部を接合する方法はいろいろありますが、代表的なのは吸付桟と駒止(こまどめ)です。表からは接合箇所がわからないので甲板の見映えを損なうことがありません。
ただ、吸付桟は甲板に蟻ミゾを掘るだけの中程度以上の厚さが必要なことと、断面がともに台形状の桟とミゾとが斜めになった側面同士で引きつける構造なので、甲板を隙間無くぴったり接合するほどの力はありません。それとは逆に甲板の反りによって吸付桟の首のところや、蟻溝の頭のところがひび割れてしまう故障も起こりがちです。加工には非常に高い精度が必要ですし、なかなか面倒です。
それにくらべると駒止式は吸付桟よりは加工も簡単で、接合する力も大きく確度が高いです。通常、駒止というと市販のL型の専用金具が駒に用いられることが多いようですが、スチール製がほとんどで、錆の問題や、表からは直接は見えない位置に取り付けるとはいえ金物がむきだしになってしまうのも、私としては感心しません。せめてステンレススチール製の駒であればいいのいですが。
そこで当工房では30年前の開業以来、基本的に木製の駒を自作しそれで甲板と脚部を締結するようにしています。長さ8cmほどのクルミの木片ですが、幕板などにはホゾ差しで、甲板裏側には2本のステンレスの木ネジで止めます。木ネジの頭部はクルミのダボで埋めて、金属が見えないように処理します。両方とも木ネジ止めでないのは、温度湿度による甲板の収縮を逃がすため。
写真の1枚目は、予備の駒が残り少なくなったので約220個を新たに作っているところです。サイズを切りそろえたあと、各面を仕上げ削りするべく水引をして乾かしています。2枚目はできあがった駒です。サイズが小さいので材料費はたいしたことがありませんが、製作の手間や取り付けの手間を厳密に換算すると市販の金属の駒などよりずっと高いものにつくと思いますが、まあ仕方がありません。