日別アーカイブ: 2017年3月1日

コーヒーブレーク 100 「回れ右」

 

 

水鳥の流るるときの回れ右

[みずどりの ながるるときの まわれみぎ] 川縁の散歩によく行くのだが、冬になるとマガモなどの水鳥がたくさんおり、流れに身を任せて遊んでいるように見えることがある。餌を採るとか敵から遠ざかるといった特別な理由があるようではなく、川の水から流されるのと泳いでもとの地点にもどったりを飽かずにくりかえしている。やはりただ遊んでいるのだとしか思えない行動である。/鳥はかつての恐竜の直系の子孫であるという説が現在は主流だ。他の系統は6500万年前にみな滅びてしまったが、鳥の一属だけは危難をくぐり抜けて現在まで生き延びているのだと。そういえばある種の鳥は顔をみると爬虫類的であり恐竜そのもの(見たことはないが)のように思えるな。

大寒や血ぶくれの人体であり

[だいかんや ちぶくれの じんたいであり] とても寒い日だからこそ血の暖かさを強く感じることがある。懐手をするのもそうだし、冷たくなった手を頬にあてるのもそうだ。飼い猫を抱くときもくにゃりとした体の柔らかさとともに、毛の奥の皮膚の暖かさがすこぶる心地よい。/人体の血液の量は体重のおよそ13分の1だとか。つまり8%ということで、体重70kgならば5.6kgくらいの血液があることになる。一升瓶にして3本分である。そしてその約3分の1を失うと命を失う危険があるとか。一升瓶1本をぶちまけたらえらい量であるなあ。

うつしよのせりあがりゆく牡丹雪

[うつしよの せりあがりゆく ぼたんゆき] 冬に花を咲かせる牡丹には「冬牡丹」と「寒牡丹」があるのだということを最近になってはじめて知った。冬牡丹は温室や薬剤などを駆使しての促成栽培で、人工的に開花させるもの。したがって一度かぎりの開花で、あとは枯れるだけ。それに対して寒牡丹はもともと二季咲きの牡丹の春の蕾を切り取り、秋の蕾の時期には葉を摘んで花期を遅らせ、雪覆いなどをして冬に咲かせるのだという。結局どちらも人間の嗜好で本来の節理を変えているわけで、私はそうまでして無理に冬に牡丹の花を見たくはないな。春の花が春になって咲くことこそが美しく尊いのに。