日別アーカイブ: 2017年1月11日

三崎の超巨大ポットホール

 

このブログではこれまでポットホール=甌穴(おうけつ)について何度か取り上げていますが(2016/7/10、7/25)、それは吹浦溶岩流の先端のひとつである釜磯のものです。比較的簡単に観察することができますし、海岸一帯の隆起にともなって現役を終えてしまったポットホールと、現在も進行中のポットホールと、両方を同時にみることができる貴重なものです。

ところがそれよりはるかに大規模なポットホールがじつは三崎公園内にありました。三崎公園は鳥海山の西端が日本海に没する地点にありますが、約3000年前に猿穴から流れ出した猿穴溶岩流の先端でもあります。当ブログで先日の1月3日の記事中で2枚目の写真に遊歩道途中の東屋が出てきますが、その東屋から海に向かって急斜面を40mほど降りて行くと、下の写真のような巨大なポットホールがあります。道は正式な歩道などではなく、釣りをする人などが通る踏み跡にすぎませんので、しっかりした靴を履いて注意深く降りないと危険です。とくに路面や岩が雨などで濡れているときや海が荒れている場合は止めたほうがいいと思います。万一海に落ちたら助かりません。

 


斜面の途中から見下ろしたポットホール。海面からは2m強の位置にあり、縦5m横16m、深さは1〜2mほど。はじめからこのような変形のポットホールであったのではなく、いくつものポットホールが同所に隣接して形成され、やがて浸食がすすんでそれらの間の隔壁が壊れて一体化したように思える。


一度隔壁が壊れてしまえば、中の岩は海が荒れるたびに一帯をごろごろ移動するので、全体が磨かれて滑らかな岩肌と丸石になってしまうだろう。ポットホール外の凹凸の激しい岩肌とは対照的である。


そばにはきれいな円形のポットホールもある。これは径1.7×1.2m、深さ約70cmの大きさがある。やはり縁をみると亀裂が走っており、最初の洗掘はそこから始まったと思われる。この円形のポットホール内にはまっていたであろう丸石は誰かが持ち去ったのかもしれない。


巨大ポットホール内に残った丸石。底面および石同士がこすれあってしだいに丸くなる。大きなものは径1m半ほどもある。足元は滑るので注意。


ポットホールの底から、降りて来た急斜面を見上げる。左上に東屋がすこし覗いている。


去り際にあらためて巨大ポットホールを眺めると、大岩がはまってはいるものの右端よりさらに右側にも滑らかな穴の底が続いており、これも含めると幅は25mくらいになるだろう。右方の大岩はまだ赤味をおびており角ばってもいるので、海と隔てていたポットホールの側壁の下のほうが薄くなって、ポットホール側にどっと倒れ込んだのかもしれない。