日別アーカイブ: 2016年6月6日

丸池の畔の裸地化

 

鳥海山麓の南西面、遊佐町吹浦地区の箕輪集落にほど近い牛渡川と丸池ですが、どうも一昨年か昨年あたりから急激に来訪者が増え、弊害も起きているようです。いくつかあるのですが、最大の問題は丸池の畔の裸地化がすすんでいることです。

下の5枚の写真はそのようすですが(撮影は6/5の夕方)、孵化場に近いほうから池の半周くらいまで全面的に裸になってしまっています。草木が生えていないとすこし強い雨が降るたびに土砂が池の中に流入してしまい、池が汚れてしまいます。

以前はせいぜい2カ所くらいに、軽い踏み跡があるくらいだったのですが、これだけどこもかしこもむき出しになってしまうともう歯止めがきかなくなってしまいます。実際「わあきれい!」と言いながら池畔に踏み込んで水面に触ってみる人が多くおり、その行為は肝心のきれいな池を結局汚してしまうことになるのですが、そのことに気づいている人は少ないようです。

もちろんこの裸地化の問題はきのうきょう私は気づいたわけではなく、町や観光協会などにも報告し早急な対策をお願いしているのですが、ぜんぜん動く気配がありません。鳥海山・飛島は昨年からジオパークの認定を受けるべく活動しているのですが(審査結果は今秋に判明予定)、そのなかでも非常に重要なジオポイントである丸池がこのような危機的状況ではどうしようもないと思います。へたするとこの裸地化とそれに対する無策が理由で審査が通らないかもしれません。

じつは似たような先例として、鳥海山の秋田県側に獅子ヶ鼻湿原があって、木道や駐車場やトイレなどの大がかりな整備にともなって近年急激に来訪者が増えました。そのために湿原の最上流部の「出壷」という湧水地が荒れてしまったことがあります。木道から外れて湧水に手を触れる人や撮影するために水面ぎりぎりまで近寄ってしまう人が絶えないからです。そのため何年か前から出壷のまわりに緑色のロープを張り巡らして、一目で立ち入り禁止とわかるようにしています。

景観上でいえばロープや立て札とかのよけいな人工物がない自然のままのほうがいいのは言うまでもありません。しかし景観と自然環境の保護・保全の両立が困難な場合、どちらを優先するべきかといえば、当然後者のほうでしょう。

丸池の場合も獅子ヶ鼻湿原と同様に早急に手を打つべきです。具体的には何をどのようにすればいちばんいいのかの詳細な検討は必要ですが。

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