月別アーカイブ: 7月 2012

ネジバナ

やや湿り気のある、日当りのいい芝生や草地などでランの花が咲いています。ネジバナです。ラン科ネジバナ属の一種で、日本全土に分布。草丈10〜40cm、1本の直立する細い茎につく花も、長さ3〜5mm程度の小粒ながら、下部から茎に密着しねじれて連続的に開花しているようすは、とても愛らしく美しいです(Spiranthes  sinensis)。私も大好きな花で、1個ずつの花をよく見るとみごとなほど典型的な「蘭の花」ですね。ルーペでのぞけばその姿にきっと誰でも驚くことでしょう。

花序がねじれていることからついたネジバナですが、ネジリバナ、ネジレバナとも呼ばれ、あるいはモジズリ(モヂズリ)とも。後者は漢字表記では「捩摺」で、これは捻れ模様に染めた絹織物の名前にちなんだものだそうです。さてかように多数の小花がねじれて咲くことが強調され注目される植物ながら、その螺旋は1)右巻きも、2)左巻きもほぼ同数あり、なかには3)捻れのないものや、4)途中で巻き方が変わるものさえあるようです。また花の色も5)淡紅色が普通ですが、ときに6)白色のものも。さらには7)葉が斑入りのものや、8)葉が管状といった変異株もあるとか。私自身は1・2・3・5・6までは何度も野外で実見しています。

これほどきれいで個性的でおもしろい蘭の花なのに、サイズが小さいこととそれほどは珍しくないためか、公園などで芝刈機で他の「雑草」といっしょくたに刈り払われてしまうことが多いのはじつに残念です。

写真は近くの河川公園の芝生で撮ったものですが、1枚目は右巻き、2枚目は左巻きです。草丈はともに20cmくらい。

 

 

ネムノキ

 

 

 

ネムノキ(合歓の木)の花がいま盛りです。夕方にピンク色の花が葉の上にいっせいに群がって咲くので、遠目にもすぐネムノキだということがわかります。ネムノキはネムノキ科ネムノキ属の中低木で(Albizia  julibrissin)、日本では本州・四国・九州に自生。マメ目の樹木ですが、他のマメの仲間の植物とは花の形がかなり異なっています。長さ30〜40mmほどの淡紅色の長いふさふさは雄しべです。葉は互生し偶数2回羽状複葉。

和名のネムまたはネブは、夜になると小葉が閉じ葉全体が下垂する(=眠る。就眠運動)ことによりますが、漢字表記の合歓木は中国でこの木が夫婦円満の象徴とされていることからきたものだとか。花の色といい甘い香りといい、まあそんなイメージはありますね。

日当りを好む木で、荒廃地に最初に進出するパイオニア・プランツのひとつです。樹高は10mくらいになります。写真の上2枚は川に面した急崖に自然に生えているもの、3枚目の写真は河畔に独立して生えているものですが、水田のかたわらにあって夏に日陰の一服(休憩)を提供する、竹竿(棒杭?)を立てかけるなどの役をあてがわれ親しまれているようす。

 

ヤマユリ

 

いま山間の林道を歩いたり、車道を車で通っていてさえ甘やかな匂いが漂っているのに気がつきます。ヤマユリ(山百合)です。芳香が強いだけでなく直径20cmを超える白いっぽい花も、濃い緑色の樹林などを背景にして非常に目立ちます。野生の花でこれほど派手な花はほかにはないのではないでしょうか。

ヤマユリは日本特産種で、中部地方以北の本州に広く分布しています(Lilium auratum)。ユリの仲間でも最大級の大きな花で、古株では10個ほどの花を付けることがあります(発芽から開花までは普通5年以上)。花の重さで茎がみな傾いているのがちょっとおかしいです。19世紀にヨーロッパにこの花が紹介されたときはたいへんな驚きと賞賛をもって迎えられたといいます。園芸品種ならともかく、野生のユリでこれだけの花は信じがたい思いだったのではないですかね。

自生でもこれだけ目立つ花なので、そのまま観賞用に人家の庭に移植されることも多いようです。さらにまた、よけいな品種改良をほどこす必要などほとんどないでしょうし。

 

天杉糸柾

 

材木の表情は大きくは二つに分けられます。年輪が平行線を描くような方向に製材(年論に対し直交に切断)してある木材を柾目材=まさめざい、年輪が波状の曲線を描くような方向に製材(年輪に対し平行に切断)してある木材を板目材=いためざいといいますが、柾目の材でも年輪と年輪との間隔がきわめて狭く整然と木目が並んでいるものをとくに「糸柾」と呼んでいます。上の写真がそれで、天然秋田杉の糸柾材です。

糸のように細い木目、というわけですが、ではどれくらいの細かさであれば糸柾かという厳密な定義はじつはありません。たぶんに感覚的・恣意的なものですが、スギの板で平均1mmほどの写真のような材なら、文句なく糸柾でしょう。とくにスギは色の薄い春材と、濃色の秋材との差がいちじるしく、まさしく糸のように細く濃い秋材の線が何十本、何百本とならぶさまは非常に美しいものです。複雑にうねった板目の材木とはまたちがった良さがあります。

和風建築などでよく「総ヒノキ造りの豪邸」などと喧伝されることがありますが、じつはほんとうに高級な和風建築はスギの糸柾材などをふんだんに、しかもさりげなく使用した建物です。もちろんそれは嗜好の世界なので、絶対的にどちらが上というような話ではありませんが。私は家具作りの前は、もう30年近くも昔ですが5年くらい大工仕事をしていました。そのときの工務店の主張や私の経験でも、造作材をみな目の詰んだ赤味の杉でそろえた建物はたいへん見事なものだと思いました。ただ杉は硬軟(春材・秋材)の差が大きく、ヒノキなどに比べると加工は一段難しいと感じます。

下の写真はその糸柾の角材で、青色のクーピーで記してある数字はその面の厚みをあらわしています。やや目の粗いものもありますが、上・下の角材では写真を拡大してさえ木目が溶けてしまうくらいの極細の柾目ですね。樹齢としてはゆうに200年は越しているでしょう。

 

トリマーの拡張ベース

 

高速回転する比較的小型小径の刃で、回転軸に対して主に横方向への掘削をおこなう木工機械をルーターといいます。溝を掘ったり面取りなどの加工に用いるのですが、ルーターのなかでも片手で持てるくらいのとくにハンディタイプの小型ルーターは一般にトリマーと呼ばれています。

写真は当工房でいま使用している3台のトリマーのうちのひとつで、マキタの3707FCです。ボディがわりあい小径・軽量の樹脂製であることや、加工面を照らすLEDの照明が付いているなどの点はいいのですが、刃の出を調整し加工時の支台・基準面となるアクリルのベースは精度がいまひとつです。下端の平滑度が不足していることと、ボディへのバックル式固定具に遊びが多いようです。また広い面積の掘り込みをする際は、既存のベース(写真の下方右に置いてあるもの)が90mm角くらいしかないので不安定です。

そこで、手持ちの塩ビ板で拡張ベースを作ってみました。大きさは150mm角です。ふだんより大きめの大入加工をする必要があり、既存のベースでは自分が掘った穴に自分が落ちてしまうおそれがあったからです。以前からもっと広いベースがあればいいなとは思っていたのですが、ほんとうに必要に迫られないとなかなか作れませんね。既存のベースを外した穴とネジをそのまま利用するので、見てくれはともかくとしても機能的にはできるかぎり正確に作らなければなりません。結果、この程度の治具でも製作に1時間以上かかってしまいました。

写真ではトリマーの後ろにコードがとぐろを巻いていますが、これも既存の2m余のコードでは短かすぎて話にならないので、自分で8mくらいの長いコードに付け替えたものです。これでほとんどの場合、延長コードをつなぐことなくすぐに、かつ安全にトリマーが使えるようになりました。このように電動工具も売っているものそのままではなく、自分が使いやすいようにさまざま手を加えることがあります。

 

照明器具

 

新築予定の自宅の照明器具を選定しているところです。一般的には照明器具は建築工事の最後のほうで決まることが多いようですが(住宅の場合はとくに)、配線工事や下地補強等の都合もあるのでどのあたりの位置にどのくらいの数の照明器具やスイッチ・コンセント・ケーブルが必要かは前もって決めておかなくてはなりません。

今回はほぼすべての照明器具をLED搭載のものにしたいと考えています。LEDとは Light  Emitting  Diode の略で、電気を流すと発光する半導体素子=発光ダイオードのことです。特徴としては、1)白熱球にくらべ寿命が約20倍と長く、10年くらいは光源の交換をしないですむこと。2)消費電力が少なく、蛍光灯とくらべても半分程度で、電気代が割安となること。3)サイズが小さく発熱量が少ないので、照明器具の小型化が容易で、デザインの自由度が高い。といったところです。

いいことずくめのようですが、難点はやはりまだ値段が高いことです。数年前にくらべれば最近はかなり下がってきましたが、部屋の全体的な照明などに使おうとすると、同程度の明るさの白熱灯や蛍光灯にくらべておおむね50〜100%高といった状態です。メーカーによってはまったく同じ外観のシーリングライトで蛍光灯内蔵のものとLED内蔵のものと併行して販売していることがありますが、だいたいLEDのほうが5割増しといった具合。一つ二つではそれほど大きな差ではないかもしれませんが、家一軒の照明器具を全部となると頭が痛いです。

普通に工務店>電気店>顧客というルートでは「LEDで統一」はびっくりするくらいの金額となってしまい、とても負担できません。そこでインターネットを駆使して照明器具を私が直接購入し、それを電気屋さんに取り付けてもらうことにしました。もちろん器具の取り付け料はかかりますが(1点あたり1500〜2000円程度)、それでも定価に対しては総額で25%くらいコストダウンできるようです。通常の実行価格に対しては35%ほどのコストダウンです。

照明器具はなんといっても明かりが点いてなんぼのものです。紙のカタログやインターネットの画面で形状などは分かっても、実際の明かりの感じはなかなか分かりません。光の強さや光の質、灯った状態での器具の見え方などです。必要な明るさは部屋や作業内容によって異なり、いちおう基準の明るさは決まっていますし、それを算定するための計算式もあります。部屋の面積や天井高、壁・床・天井の素材別の反射率、器具自体の明るさ、といった項目に数字をあてはめていくのですが、メートルやセンチだけでなく、ルーメンとかルクス、といった見なれない単位が出てきます。器具自体にも、ランプの光束、器具の光束、消費電力、消費効率、光色、色温度、Ra(平均演色評価数)、といった言葉がずらずら…。

一度工事を終えた配線をやりかえるのはたいへんですし、当然よけいな追加費用がかかります。後付けの照明器具でも、どんなものでも選択可能というわけではありません。とはいえ、照明器具については私もぎりぎりまで悩んでしまいそうです。

 

7/17の胴腹ノ滝

 

7月17日午後6時すぎの胴腹ノ滝です。日没までにはまだすこし間がありますが、杉林の中なのですでに夕闇が迫っています。写真は手持ちでシャッタースピード0.2秒くらいのスローですが、まあなんとか見れますかね。前日の夜にかなりの雨が降ったことや、梅雨の最中で雨の日が多いせいか、水量は前回の7月4日よりいくらか増えています。水温は前回と変わらず右・左ともに8.8℃でした。気温は21.5℃です。

日中の気温は30℃をこえることも珍しくなくなってきたので、9℃以下の滝の湧水は非常に冷たく感じます。じっと手を浸すのはつらいくらい。周囲の空気も冷やされて霧が立っています。

滝への歩道入口のところの駐車場もほぼ完成していました。予想していたよりは狭くて、大型バスが1台、普通車が5台くらいの区割りです。これでは天気のいい土・日などはあいかわらず路上駐車を余儀なくされそうですし、この駐車場に出入りするだけの空間を道路のほうにも空けておかなくてはいけないので、道路側に駐停車する場合は注意が必要です。どうせなら路上駐車をする必要がほとんどないくらいに広く造成すればいいのにと思います。なんとも中途半端な工事ですね。

 

『一生つきあえる木の家具と器』

『一生つきあえる木の家具と器』と題された書籍です。「関西の木工家26人の工房から–京都・大阪・兵庫・滋賀」という副題が添えられています。西川栄明著・誠文堂新光社刊(2012年1月)・18×23cm・176ページ・1800円

写真はその表紙と裏表紙ですが、表のは徳永則男氏の「KYOTOチェア」と名付けられたケヤキの椅子だそうです。

 

家具や木の小物などは、明らかに耐久性や安全性に問題があるというのでないかぎり、結局のところ各人の好みに左右されます。私自身はこの本の表紙ようなタイプの椅子は好きではありませんし作ることもけっしてないでしょう。また本の中に登場する「作品」や作者や著者の「主張」のいくぶんかには共感・賛同できませんでした。しかしながら、そのことは自分が家具などを製作する際の、良くも悪しくもたいへん参考になります。

一般的に言っても、さまざまな家具や木製小物が同時的に存在し、ユーザーの選択肢がたくさんあることは基本的に非常にいいことだと思っています。歴史的に有名な木工家や家具デザイナーやプロダクトデザイナーのコピーみたいな品物ばかりがあふれかえっている光景は、貧困以外のなにものでもありませんから。

 

タキツス・ベルラ

 

工房の事務所の窓に、多肉植物とサボテンの鉢植を十数個並べていますが、今年もそのうちのいくつかが花を咲かせました。写真はベンケイソウ科タキツス属のベルラ(Tactus bella)という多肉植物で、緋色のすこし派手目の花が10個ほど開花しています。花の大きさは径25mmほど。夕方、西日の射す室内で蛍光灯下という最悪の状態で撮影したので、色合いがすこしへんですが、園芸品種にはない凄みを感じます。

水やりは4月末から10月末までの間に8〜10回程度(平均すると20日に1回!)やるだけで、長年植え替えもせずに半ばほったらかしにしているのですが、それに負けることもなく鉢からはみだすほど頭数が増え、花も毎年開いています。多肉植物はもともと極度に乾燥した過酷な環境で生きている植物なので、あまり世話をやきすぎないほうが逆にいいのかもしれません。

 

間取り

新築予定の自宅ですが、その間取りについて説明します。図面は私が基本設計として作製したもので、建築確認申請用の正式な図面ではありませんが、全体の大きさや各部屋のレイアウトなどの大きな変更はもうないはずです。

床面積100m^2=30坪の平屋ですが、これにLDKと家族3人のそれぞれの部屋、風呂、トイレ、洗面脱衣室、乾燥室(予備室)、納戸、物置を納めなければなりません。建物全体が細長くて凹凸のない長方形なのは採光や通風、構造的強度、コストなどを考慮してのことです。

 

玄関は建物本体の南側外壁の一部にぽっこり穴をあけた形になっており、その空間の左側が入口のドアです。建具は他は内外ともすべて引き戸にしていますが、この玄関戸だけは引き込みのスペースを取れないなどの関係で唯一ドアになっています。ただし住宅の玄関ドアによくあるような装飾的なものものしいドアではなく、店舗用の四方枠だけのいちばんシンプルなドアの予定です。玄関内部は2.2畳くらいの大きさで、建物全体がコンパクトなわりには普通の広さがあります。実用上の必要最低限の大きさにすれば、そのぶん居室は広くできますが、建物に足を踏み入れて最初の空間があまり窮屈なのはやはり心地いいとはいえないでしょうから。

ドアを開けた右側の壁面に下駄箱がありますが、これは壁に吊るトールタイプのもので、取手などの凹凸もいっさいないもの(既製品)。ドアを開けて左側には幅20cm程度の無垢材の棚板を一枚造り付ける予定です。小物類を飾ったり、外出の際の一時物置きに使います。この玄関には窓はありませんが、ドアとリビングとのしきりの引き戸はいずれもガラス面を大きく取るので、それを通して光はじゅうぶん回ってきます。ドアを開けた正面の壁は2畳半ほどの面積のなにもない平らな壁になるので、ここには絵や版画・タピストリーなどを飾る予定です。

LDKは約16畳の大きさですが、キッチン部分は4畳余で、居間部分とはハッチ式戸棚で仕切ります。この戸棚は高さは2000mmですが、幅は3500mmくらいあります。もちろん既製品でこれだけ大きなサイズのハッチ式戸棚はないので、自作します。収納部分はキッチン側で、ほぼ全体に食器類や食品類を入れることになるでしょう。キッチンはシステムキッチンを導入しますが、奥行650mm、高さ850mm、幅2550mmまたは2700mmの予定です。上に吊戸棚とレンジフードが付きますが、コンロはいま流行のIHではなくガスコンロです。IHは便利にはちがいないのですが、電磁波の悪影響の心配をやはり完全には払拭できないからです。冷蔵庫はコンロとの間に耐火壁を設けて仕切りますが、シンクの左の空いた部分は、そのスペースに合わせた小テーブルを制作し、電子レンジや炊飯器などを置きます。シンクと吊戸棚との上下の間隔は650mmくらいあるので、ここは窓にして採光と通風をはかります。横長の窓が正面にあることで、開放感もすこしうまれると思います。

リビングのスペースは12畳くらいと、特別広いわけでもないので、いろいろな家具を置くスペースがありません。そこで長さ2700または3000mmの特大のテーブルを置いて、食事・団らん・軽作業や読み書き、接客など、ぜんぶをこれ1台で担います。家族は3人なので、常識的にいえばテーブルは1500mmもあればふつうは間に合うのですが、この大テーブルは実用的意味をこえた、この家のシンボリックな存在となるでしょう。ちょっとした収納やAVボードなどは、南側の壁面の一部が凹んでいるのでここに納めます。上部の凹部には予備のエアコンを設置するかもしれません。あとは北側に電話台を兼ねた小さめの戸棚、それにアップライトのピアノを置くことになると思います。

水回りはすべて建物の東側に集中させています。使い勝手と工事費の関係からです。お風呂はユニットバスで、TOTOのいちばんシンプルな1坪タイプのもの。トイレは1.6畳くらいのやや広めで、ちゃんとした手洗器とカウンター、収納、鏡などがあります。風呂や洗面脱衣室を誰かが使用中でもこちらでほぼ用が足りるようにする意味もあります。便器はウォッシュレットや蓋の自動開閉もなにも付いていない、タンクレスですらないいちばん簡易なものです。洗面脱衣室とトイレの窓は風呂の窓と上下のラインをそろえます。むろんガラスは不透明のものです。一般的にトイレなどはごく小さな最低限の窓にしてしまうことが多いようですが、その必要はありませんよね。

トイレの左側に乾燥室がありますが、これは四角い平屋の建物のためにバルコニーだのベランダだのを設けることが難しいので、この部屋で寝具や洗濯した衣類などを干すためのものです。室内飼いの猫が2匹いることもあって外部建具を開放することは原則的にありませんが、この乾燥室だけは窓は床までの掃き出し窓になっています。洗濯物の乾燥時などは、天気がよければ吐き出し窓を開け、廊下側の3枚引き戸をロックして使います。またこの部屋は急な泊まり客があった場合の予備の寝室にもなる予定です。

寝室は3つありますが、家族3人のそれぞれの個室です。大きさも仕様もまったく同じで、6.7畳くらい、一辺3.3mの正方形の部屋です。南側の壁は全面造り付けの本棚、東側は主に衣類を収納するクローゼット。残る床面に机と椅子とベッドを配すると、あとはあまり余分がありません。現状での持ち物などを考えると、引っ越しの際にできるだけ処分するとしても、やはりこのままでは収納部分が足りないでしょう。そこで各部屋の天井の1/3に穴をあけるような形でロフトを設けます。個人の持ち物で季節品やたまにしか使わないものはここに上げておきます。広さは2畳分です。

個人のものではない共用の季節品・保管品などは北東の角に2畳の納戸、南東の角に3畳の物置を設けています。いずれも最低限の大きさという感じですが、棚板などをうまく設置すればまあなんとか収まるでしょう。物置はコンクリートの土間で、勝手口から土足のままで中に入ることができます。自転車・冬タイヤ・園芸用品などを入れます。またこの物置からはキッチンへそのまま出入りができるようになっており、キッチンからはまたリビングを横切ることなくトイレや洗面脱衣室、自分の部屋に行くことができるように動線を考えています。

廊下は長さ10mあります。右側に洗面脱衣室・風呂・トイレ・乾燥室などがあり、左側に寝室(個室)が3部屋連なっています。それぞれの部屋の入口引き戸は半透過のガラスを広く使うので、廊下にそれから光は来ますが、突き当たりにもはめ殺しの窓を大きく設けて閉鎖した感じがなくなるようにしています。幅も通常より若干広めの有効寸法で850mmです。