高速回転する比較的小型小径の刃で、回転軸に対して主に横方向への掘削をおこなう木工機械をルーターといいます。溝を掘ったり面取りなどの加工に用いるのですが、ルーターのなかでも片手で持てるくらいのとくにハンディタイプの小型ルーターは一般にトリマーと呼ばれています。
写真は当工房でいま使用している3台のトリマーのうちのひとつで、マキタの3707FCです。ボディがわりあい小径・軽量の樹脂製であることや、加工面を照らすLEDの照明が付いているなどの点はいいのですが、刃の出を調整し加工時の支台・基準面となるアクリルのベースは精度がいまひとつです。下端の平滑度が不足していることと、ボディへのバックル式固定具に遊びが多いようです。また広い面積の掘り込みをする際は、既存のベース(写真の下方右に置いてあるもの)が90mm角くらいしかないので不安定です。
そこで、手持ちの塩ビ板で拡張ベースを作ってみました。大きさは150mm角です。ふだんより大きめの大入加工をする必要があり、既存のベースでは自分が掘った穴に自分が落ちてしまうおそれがあったからです。以前からもっと広いベースがあればいいなとは思っていたのですが、ほんとうに必要に迫られないとなかなか作れませんね。既存のベースを外した穴とネジをそのまま利用するので、見てくれはともかくとしても機能的にはできるかぎり正確に作らなければなりません。結果、この程度の治具でも製作に1時間以上かかってしまいました。
写真ではトリマーの後ろにコードがとぐろを巻いていますが、これも既存の2m余のコードでは短かすぎて話にならないので、自分で8mくらいの長いコードに付け替えたものです。これでほとんどの場合、延長コードをつなぐことなくすぐに、かつ安全にトリマーが使えるようになりました。このように電動工具も売っているものそのままではなく、自分が使いやすいようにさまざま手を加えることがあります。