ネジバナ

やや湿り気のある、日当りのいい芝生や草地などでランの花が咲いています。ネジバナです。ラン科ネジバナ属の一種で、日本全土に分布。草丈10〜40cm、1本の直立する細い茎につく花も、長さ3〜5mm程度の小粒ながら、下部から茎に密着しねじれて連続的に開花しているようすは、とても愛らしく美しいです(Spiranthes  sinensis)。私も大好きな花で、1個ずつの花をよく見るとみごとなほど典型的な「蘭の花」ですね。ルーペでのぞけばその姿にきっと誰でも驚くことでしょう。

花序がねじれていることからついたネジバナですが、ネジリバナ、ネジレバナとも呼ばれ、あるいはモジズリ(モヂズリ)とも。後者は漢字表記では「捩摺」で、これは捻れ模様に染めた絹織物の名前にちなんだものだそうです。さてかように多数の小花がねじれて咲くことが強調され注目される植物ながら、その螺旋は1)右巻きも、2)左巻きもほぼ同数あり、なかには3)捻れのないものや、4)途中で巻き方が変わるものさえあるようです。また花の色も5)淡紅色が普通ですが、ときに6)白色のものも。さらには7)葉が斑入りのものや、8)葉が管状といった変異株もあるとか。私自身は1・2・3・5・6までは何度も野外で実見しています。

これほどきれいで個性的でおもしろい蘭の花なのに、サイズが小さいこととそれほどは珍しくないためか、公園などで芝刈機で他の「雑草」といっしょくたに刈り払われてしまうことが多いのはじつに残念です。

写真は近くの河川公園の芝生で撮ったものですが、1枚目は右巻き、2枚目は左巻きです。草丈はともに20cmくらい。

 

 

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