台所の窓ガラスにヤモリがへばりついて、室内の明かりに寄ってくる虫を捕食しています。ガラスの向こう側にくっついているのを室内側から撮影しているので、赤味を帯びた白い体の裏面がよくわかります。居間の網戸にくっついていることもよくあり、少なくとも3匹のヤモリがわが家には棲みついているようです。うちの猫がそれをねらって室内側からとびかかることもあるのですが、ヤモリは完全に人家近傍での暮らしに慣れていて、まったく意に介しません。この写真を撮影しているときもガラスをこんこん叩いても微動だにしませんし。
このヤモリは正確にいうとヤモリ科ヤモリ属のニホンヤモリ(Gekko japonicus)で体長は10〜14cmくらい。中国東部と朝鮮半島、日本では本州・四国・九州に分布しています。図鑑によっては福島以南の本州と書いてあることもありますが、私の子どもの頃から身近かにふつうに見かける生き物でした。ただし学名にjaponicusとあってもじつは日本固有種ではなく、平安時代以降に日本に移入されたもののようです。したがって日本ではまったくの自然環境には生息せず、人家の近くにしかいません。
人間に悪さをすることはなく害虫などを補食してくれることから、漢字では家守または宮守と記すように古くから親しまれてきた爬虫類です。手袋を広げたような四肢や金色の目、笑っているような口元など、よくみればかわいい生き物です。つるつるしたガラス面でも、天井でも逆さになったまま自在に動けるのは、四肢の指ごと趾下薄板が発達していてそれで張りついているからだそうです。
繁殖は卵生で、5〜9月頃に1〜3回に分けて2個ずつ卵を産みます。冬は壁の隙間や縁の下などで冬眠しますが、最近の隙間のすくない密閉度の高い住宅では彼らも棲みづらいかもしれませんね。