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O様邸リフォーム工事 その9

 

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庄内町のリフォーム工事です。今回は私は設計と現場管理が主な任務なのですが、実作としては内部の木製建具5枚と、ダイニングの12尺幅吊棚&棚板、洗面脱衣室の小物収納戸棚、それに鏡2台を作ります。上の写真2枚は、木製建具の木取と一次下拵えを終えて養生をしているところです(機械の上やフローリング材の梱包の上に置いているのは撮影等の都合による一時的なものです)。

材料は北米の針葉樹のスプルスで、素材厚は38mm。これを最終的に33mm厚の建具に仕上げます。材料は建具用の特選材で柾目の乾燥材なのでもともと狂いはすくないものですが、それでも一気に最終の33mmまで削ってしまうと内部応力の影響でひずみが出る可能性が高いので、はじめは36mmの厚さに削るのにとどめ、しばらく養生します。すなわちよけいな荷重がかからないように写真のように一枚ずつ木端立てにし、風が通るようにそれぞれ隙間を設けて1週間は置いておきます。これを当工房では「一次下拵(いちじしたごしらえ)」と呼んでいます。

38mm厚さのものを36mmにする段階で、手押鉋盤と自動鉋盤を通しているので、ほぼ真っ平らでまっすぐな材料になっているはずですが、もしこの段階で36mmが全面にうまくかからない場合は、その後もだめな可能性が高いので、その分は木取をやり直すことがあります。さいわい今回は全部オーケーのようです。

養生している間にまた1〜1.5mm程度のひずみが出るものもあるかもしれませんが、それをまた一次下拵と同様に手押鉋盤と自動鉋盤を通して33mm厚ならびにそれぞれの所定の幅に仕上げます。おそらくこの二次下拵で下拵完了となるかと予想できますが、万一無理な場合は再度養生し三次下拵とします。このようにすこしずつ段階を踏んで養生の時間をみながら材料を仕上げていくのですが、建具材にかぎらず家具材全般にも必須の作業です。

 

コーヒーブレーク 23 「羽化」

 

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わが影をひと足ずつの踏絵かな

まさかとは思ったが「踏絵」または「絵踏」は歳時記によるとなんと春の季語だった。徳川時代の宗門改め(詮議)で春先に多く行われたからだそうだが、他の季節でも当然ながら行われたであろうし、春と踏絵とを強く結びつけなければならない合理的な理由はありそうにもない。したがって私は無視することにする。/また踏絵の話を見聞きするたびに思うのは、マリアやキリストのレリーフを踏むか踏まないかは、その人の信仰心とはなんの関係もなかろうにということである。単なる物だよね、それは。しかも幕府側が用意した愚劣・幼稚な仕掛けにやすやすと乗っかってしまい命まで失ってしまっては元も子もない。ほんとうに信仰心があるなら権力の差し出した偶像など笑って蹴散らしてしまえばよい。そのことを他のまともな信者や宗教家は非難しないだろうし、ましてもし事実、神がいるとするならそういうくだらない表面的なことに目くじらを立てることはけっしてあるまいと思うのだが、ちがうだろうか?

一族郎党ひきつれ浮いてこい

「浮いてこい」または「浮人形」は夏の季語である。つまり浮沈子(ふうちんし)の一種で、比重1.0よりわずかに軽い玩具をお風呂の底に沈め、ゆらゆらと浮かんでくるさまを楽しむもの。したがって形としては動物や乗り物などが多く、そのわずかな比重差が損なわれないように陶器やプラスチックや金属の外装の中に空気を密封するのがふつうである。しかし浮人形はともかく、かけ声である「浮いてこい」そのものがそのまま季語だとは、俳句になじんでいる方以外にはちょっと想像がつかないだろう。/あ、いま思ったのだが、浮人形は基本的には水面に対してかろうじてであれ浮くことが大前提で、そのイメージを通常は崩さないような形が選択されている。つまりアヒルであったり潜水艦であったり、である。しかしそうであるなら、あえて本来は水底に沈んでしかるべきものを浮人形に仕立てるのもおもしろいかも。

蝉の穴極暑の棒の曲がり入る

はるか昔になってしまうが、小学生の頃はよく蝉の羽化前の幼虫を捕まえたものだ。近所の神社境内に夕方出かけて、地面にあいている新しい穴をさがして、そこに麦わらのような細い草の茎を差し込んだり、水を注ぎ込んだりする。もしその穴にまだ幼虫が潜んでいるのなら、草をつかんだ幼虫を草といっしょにそっと引き上げるか、浸水におどろいた幼虫が穴の上にはい出してくるのを気長に待つのである。比較的名の通った神社の境内ならば、地面がきれいに掃き清められているのが常なので、穴を見つけることも新旧を判別することもたやすいからである。/捕まえた幼虫の一部は虫かごに入れて家に持ち帰り、蚊帳にくっつけておけば夜半に羽化の見物ができるのだった。

 

O様邸リフォーム工事 その8

 

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山形県庄内町で5月末頃からすすめている、水回り全般を中心とするリフォーム工事ですが、写真は上が寝室の北側の掃き出し窓、下がキッチンの窓です。

元のアルミサッシは幅は9尺間(柱〜柱間が約2.6m)だったのですが、間取等の関係で幅はすこし詰めることになりました。通常の既存サイズのサッシであれば6借間(1.6m強)の横幅になるところを、「関西間」の1.9mにし、4枚戸を2枚戸に変えています。高さも構造的に可能な範囲でできるだけ高くしたので、窓の面積としては前とほぼ同じです。サッシ枠の色も褐色からオフホワイトになったことと、壁と天井がやはり白色のクロス貼り、床も明るい色のメープル材のフローリングを張る予定なので、全体としてはかなり明るい開放的な感じになるはずです。

寝室の掃き出し窓はたくさん植栽された庭の草木を観賞したいということで、透明のペアガラスにしています。もちろん後でレースカーテンと本カーテンを取り付けますが、室内側の壁を張る前にカーテンレールの来る位置に下地を入れておかなければなりません。これまでの改装工事の例でいうと、意外にカーテンレール用の下地は入っていないことが多く、カーテンの設置に難儀することがあります。

 

165mm 丸ノコ

 

5月下旬から庄内町で水回りを中心にリフォーム工事をしているのですが、木工事は今回は主に若い大工さんにやってもらっています。その彼が使っている可搬型電動丸ノコが旧来の径190mmタイプ(7型)ではなく、それより一回り小さい径165mmタイプ(6型)です。見た目にもあきらかにコンパクトで、使いやすそうです。

そのこともあって当工房でも、これまでサブで使用していたかなり古い日立工機の丸ノコのかわりに、 マキタの5732Cという最新型の165mmの丸ノコをメイン機種として導入しました。それが下の写真です。2枚目の写真は、右が現在使用中の190mmタイプ、左が今回の165mmの丸ノコですが、同じマキタの機械ながら一回り小さいことがよくわかります。

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スペックとしては単相交流100V、1140W、通電ランプ、刃先LED照明、電子的回転制御、ソフトスタートといったところですが、190mmタイプが重さ3.2kgだったのに対し、こんどの165mmは2.6kgです。約2割減ですが、常時手に持って作業する丸ノコの場合、この違いは大きいです。特筆すべきは、刃が小さくなったにもかかわらず切断可能な材木の厚さは傾斜0で66mm、傾斜45°で46mmと、190mmと変わりません。

刃の直径が小さくなったのに切ることができる大きさが変わらないのは、モーターのドライブシャフトに刃を装着する部分の仕組みがこれまでとは異なるからです。作業能力が同じなのに軽く小さいのであれば、とうぜん誰でもそちらを選ぶと思いますが、実際建築現場では165mm丸ノコのほうが主流になりつつあるようです。カタログのラインナップをみても、190mmは機種も少なくすっかり傍流扱いになっています。

なお写真でノコ刃が真っ黒なのはテフロンのコーティングが施されているからで、レーザーによるスリット加工といい、これまた今ではごく普通といっていい刃物になってきています。ただし今回は「ノコ刃なし」で機械本体を購入したので、刃は別個に他のメーカーのものを選んで付けています。

 上記の黒いテフロンコーティングのノコ刃ですが、しばらく使ってみたところうたい文句ほどの性能はありませんでした。切れ味と精度がいまいち。それでマキタの標準・純正品であるダブルスリットというノコ刃に交換したところ、そちらのほうがずっといいです。写真で径190mmの丸ノコに装着しているのも同じダブルスリットという刃です。だてに純正品ではありませんでした。(2014.9.11)

O様邸リフォーム工事 その7

 

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すこし掲載があいてしまいましたが、山形県庄内町で現在工事中の現場のようすです。外壁下地は通常の構造用木質合板ではなく、無機質天然素材のバーミキュライトを主成分とした、三菱マテリアルの「モイス」厚さ9.5mmを構造体に張りつめ、その上に透湿防水シートを貼っています。この上に通気胴縁を打って、外壁材をこれに止めていきます。

モイスは木質合板に比べ不燃ですし遮音性や調湿性にすぐれています。昨年2月に完成したわが家の、外壁下地も全面にこのモイスを張っていますが、内壁が石灰ベースの左官材料のコテ塗りであることの相乗効果もあって雨が降り続いても湿っぽい感じはしません。窓ガラスの結露も非常に少ないです。ただ何割か単価が高いことと、合板に比べると重いし、あまり細く割って使うと割れやすい点は注意が必要です。

窓枠は白色のアルミサッシでガラスはペアガラスですが、写真の窓はキッチンの窓です。白く曇っているのは2枚のガラスのうちの外に面した方のガラスの内側がすりガラスになっているからです。外光は充分に取り入れることができますが、人物や室内の様子はほとんどわかりません。今回はこのタイプのペアガラスをキッチン以外にトイレと洗面脱衣室と浴室にも採用しました。

室内の工事のほうはあいにく適当な写真がありませんが、壁と天井の下地組がもうじきできあがります。

 

アルビフロラ その2

 

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先月の14日に、捨て猫だったのを動物病院からもらいうけてきた アル(正式名はアルビフロラalbiflora、白い花の意)ですが、ちょうど一ヶ月経過しました。毎日みているとあまり感じませんが、前の写真とくらべてみるとずいぶん大きくなったのがわかります。

おそらくいま生後2ヶ月くらいですが、体長25cmほどあります。うちに来た当初はちょっとよたよたしていましたが、その後急速に成長。いまでは家中をものすごい勢いで走り回っています。私の部屋の椅子は湿気を逃がすために座面と背に粗目の布が張ってあるのですが、それをさいわいとして床から背もたれのトップの115cmくらいまでアルはオーバーハング(!)の壁をよじ上っています。

懸念していたウンチ&オシッコは、専用の猫トイレ以外のところにもらしてしまったのは初めの3日くらいで、その後は覚えてちゃんとトイレでするようになりました。また爪研ぎも専用の爪研器の段ボール断面でだいたいはするようになっていて、家具や建物への被害はいまのところ目立っていません。

先住猫の11歳になるトントは、並外れて警戒心の強い猫なので、いまだに完全にはアルとうちとけていませんが、これも最初の頃の1m以内に近づくとシューとかウゥーとか声をだして激しく威嚇するようなことはだいぶおさまってきました。喧嘩してアルが怪我するような最悪の事態はさけられています。

アルはトントとは対照的で、家の人でもよその人でも、また唸られているトントにもまったく臆することなく向かっていきます。同じ猫でもこれほど性格が違うのもじつに興味深いことです。またアルは人にもよくじゃれついてきてちょっとうるさいくらいですが、反面おもちゃ相手に自分だけで遊んでいることも多く、遊んでやらないと啼いてせがむということもなく、その点はあまり手がかからない猫です。

 

野草園の花々

 

某イベントの下見を兼ねて、鳥海山南麓にある家族旅行村にちょっと出かけました。湿地にある野草園にたくさんの花が咲いており、じつにみごとな景観です。むろんまったくの自然状態での植生ではなく、人為的に種類を選択し淘汰しさまざまな管理をほどこしてきた結果ですが、それでもいかにも庭園風には過剰に作り込まれておらず、自然な感じがとてもいいです。

 

DSCN2711_2 ノハナショウブ(アヤメ科)

DSCN2715_2 ヨツバヒヨドリ(キク科)

DSCN2722_2 タマガワホトトギス(ユリ科)

DSCN2719_2 オカトラノオ(サクラソウ科)

上の4種はいずれもとくべつ珍しい種というわけではありませんが、これほどみごとな群落ははじめてみました。ただ来訪者がそれほど多くないのか園内の周回歩道はだいぶ痛んでいて、残念でありたいへんもったいないことと思います。

 

コーヒーブレーク 22 「裏表」

 

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蛍群舞して人の頭のあらわるる

蛍で忘れられない光景がある。町内の用水路にそってあたり一面に群舞するヘイケボタルである。今は全面的に石やコンクリートで護岸されてしまったが、昔は土を盛った文字通りの土手で、湧水や井戸水が大量にまじり川中にはバイカモが漂うきれいな冷たい流れであったから、蛍の棲息環境としては最適であったろう。外灯などはろくになかったのでいつもはほとんど真っ暗な空間なのだが、蛍が大量に発生する時期はその明かりで土手上の未舗装の道と川面との差もはっきりわかったし、そこを歩く人の姿も蛍の発す光でぼんやりと輪郭が浮かんでいた。/子どもたちはいわゆる蛍狩りに興じていたが、あまりにも蛍の数が多いので捕虫網などは必要とせず、手に持った団扇にとまってくる蛍をそのまま虫かごに払い落とすだけで充分だった。寝る時の蚊帳もまだ健在だったので、捕まえてきた蛍をその中に放して楽しむのだが、朝起きてみるとまるでネズミの糞のように畳の上にみな死骸となって散らばっているのだった。

裏表ためつすがめつ蛇の衣

蛇の体は硬い鱗に覆われている。それで暖かい時期に数回脱皮して大きくなるのだが、そのあとに残るのが蛇の衣である。脱皮は顎の下のわずかな突起を石や木の角等にひっかけ、口部から皮を裏返すようにして前進しながら脱いでいく。したがって人工的な飼育環境などで引っ掛けることのできる物体がない場合はうまく脱皮できないらしい。しかし蛇の種類にもよるが、頭から尻尾の先まできれいに、途中でやぶれたりせずに脱皮を完了するのは少ない。慣れた人なら脱いだ皮であっても即座に蛇の種類を言い当てられるのだろうが、そんな人はもちろんまれである。

落蝉や自死する蝉のまじりたる

「猿も樹から落ちる」というが、蝉も樹から落ちる。寿命が尽きて落下することもあるが、あまりにも気温が高いと、日中でもそのせいでぼとぼとと地面に蝉が落ちていることがある。昆虫だから自意識などはおそらくないし、まさか実際には自死・自殺する蝉はいないだろう。/けれども人間ならばこの日本では年間に3万人を超える人が自ら命を絶っている。あえて言えば一日に平均して100名ほどの人が自死・自殺していることになる。とんでもないことだ。ただ、あくまでも個人としての生・死についてに限っていえば、私は自殺を非難することはない。そのことも生きることの究極的な選択肢のひとつであって、他者がそれを非難したり逆に奨励するようなことではないと考える。たとえ経済的身体的に恵まれていたとしても、精神的な苦悩が甚大ということはいくらでもありうるからである。

 

カモフラージュ

 

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自宅の白いアルミサッシの枠のところにアマガエル(ニホンアマガエル)が一匹くっついていました。体長4cmほどの小さなカエルです。地面からは1.5mほどの高さがあるのですが、ガルバリウム鋼板製の外壁をよじ登ってきたのでしょうか。

おかしいのは皮膚の色で、壁の色=ほぼ白に近いシルバーグレーにそっくりな色になっています。目から側腹にかけて部分的にまだすこし残っている緑色が本来のアマガエルの色ですが、おもしろいですね。

このカエルは敵の目からのがれやすいように周囲の色合いにあわせて体色を変化させることができるようで、保護色・カモフラージュということでしょう。たしかに緑色のアマガエルにくらべれば目立たないことはたしかですが、つるんとした無地のアルミサッシや外壁にくっついていたのでは、人間の目はごまかせません。

 

俳句歳時記

 

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俳句を作ったり読んだりする際に使っている歳時記を新しくしました。角川学芸出版の『合本 俳句歳時記 第四版』です。これまで十数年の間使用していたのが同じ歳時記の第三版ですが、6年前に版が新しくなり評判もいいようなので新版を注文しました。本体価格2300円。内容を考えればたいへんお買い得と思います。

上の写真は箱と表紙です。えらく派手派手しい箱ですが、表紙のほうは箱の絵の一部をモノカラーで拡大コピーという安直なデザイン。どうせなら俳句的ひねりがほしいところですが、コスト削減でしょうかね。

中身は第三版では季語の説明が1段組で、例句が2段組みという体裁でしたが、第四版ではともに2段組みで、かつ文字もすこしだけ大きくなっています。文章はこちらのほうが読みやすいです。例句が中ゴシック体から細い明朝体になったのは、字画を判別しやすくする意味があるのかもしれません。収録する季語と傍題は大幅に見直され、現代の生活と社会に合わない、もはや死語と化したような季語・傍題はのぞかれているようです。

しかし最も大きな変更は、例句が大幅に若返ったことです。すなわち現役の俳人の占める割合がとても大きくなりその有名句はだいたい載っていますし、俳人としては「若手」といわれる50代以下の人もちらほら。下の写真は夏の季語「蛍」の項ですが、左が三版で右が四版。私でも新版だと作者のすべてがすぐに分かります(写真をクリックして拡大してみてください)。

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書名に「合本」とあるように、この歳時記はもともとは春・真・秋・冬・新年の5冊に分かれた文庫版に付録を足して合本したものとのこと。5分冊なら軽く薄くて便利と思いがちですが、ある言葉と群が季節季節でどのように扱われているのかを即時的に比較検討する意味では1冊本のほうが私は断然おすすめです。そもそも季語の季節的分類自体にも私は多大な疑問をもっていることもありますが。