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ウォールナットのこたつ板

 

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ウォールナットのこたつ板です。お客様が通販で数年前に購入された市販のテーブル式の炬燵セットに含まれていたこたつ板が、ウォールナット風にみせかけたMDF(中密度木質繊維板)製のもので、縁の形状もへんに凝った形で使いにくいことや、他の無垢材の家具とのバランスもよくないということで、とりあえず急ぎで上のこたつ板だけ無垢材で製作しました。

サイズは厚さ24mm、幅と奥行きは788mmです。5枚矧ぎした板の反り止めのため両木口側に端嵌(はしばめ)をほどこしています。本体とは8枚のホゾと7枚の小根ホゾで固く接合してありますが、この部分には接着剤は使用していません。広板と端嵌とでは収縮方向が90度異なるために、ホゾの左右に若干の逃げ(1mm前後)を作っておく必要があるからです。写真では同じウォールナット材ながらずいぶん濃淡差が出てしまっていますが、実際に目で見ると気になるようなものではありません。

また元のセットの場合布団も含めると高さ660mmあり、椅子の座面との差尺が340mmくらいとありすぎるので、炬燵やぐらのほうの脚を6cmくらい切り詰めました。いろいろ構造上の制約があって、これでもベストの寸法とはいえないのですが、かなり改善はされたと思います。

市販のこういった多用途の家具は、さまざまな要素をあまりに多く盛りすぎるために、いずれも中途半端なものになってしまっていると思います。あちらを立てればこちらが立たず。結局のところあちこち妥協せざるをえなくなってしまい、しかもコストを極限まで締めているので、結果はチープで使い勝手もわるいものになってしまうのが通例です。なにを優先するべきか明確にし、優先度の低いものはカットするという割り切りが必要ですね。

 

静と動 トント&アル

 

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トントは私の部屋で、羽毛の掛け布団の間にうまくもぐりこんで寝ていることが多いです。床暖房でもあり、留守中でも最低限度の暖房はしているので、温かさだけならとくに布団の間である必要はないのですが、やはり穴蔵みたいなところが落ち着くのでしょうね。おもしろいのはこういう場合でも必ず頭部を穴の入口のほうに向けていることで、逆はまずありません。外敵なりの危険をいちはやく察して逃げるなり戦うなりの体勢をすばやくとれるようにするための本能的なものだと思います。今もカメラを向けられていることがわかって薄目をあけています。

下の写真はアル(アルビフロラalbiflora ラテン語で白い花という意味)ですが、ロフトにかけた3m近いアルミの梯子をのぼって(!)上にあがったところです。梯子をなんなく上り下りする猫ははじめてです。紐にじゃれるときもしばしば空中にハイジャンプしつつ左右に半回転してるし、運動神経は抜群。二足歩行もすこしだけならできるのも驚きです。

 

固形燃料

 

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これはメタノール(メチルアルコール)を主剤として固形化した燃料です。ずっと前、おそらく30年ほど前に野外キャンプなどの炊事等の際に使用していたもので、部屋を片付けていたら登山用品の段ボールの中から2缶出てきました。中身もまだ半分以上残っていたので、工房でお茶をわかすときに用いています。

写真の左上がその本体の缶で直径100mm、内容量250gですが、右上はこの缶の上に載せるごとくです。手前中央の輪っかは火力調整のためのもの。いずれもごくシンプルな作りと仕組みで、機械的な部分はいっさいないので故障の心配はありません。ただし現在主流のガスコンロ等にくらべると火力は劣るので、今はこうした固形燃料を使う人は少ないと思います。

 

コーヒーブレーク 36 「平行宇宙」

 

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寒月や平行宇宙よりのぞき窓

この現実とは別にもうひとつの別の現実があるかもしれない、つまりいまわれわれがいるこの宇宙をそっくり反転したような平行な宇宙(パラレル-ワールド)があるかもしれない。というアイデアは単にSF的空想ではなく、宇宙物理学としてまじめにその理論的可能性が探られている。平行宇宙論は複数の宇宙があるとする多元宇宙論のひとつであるが、残念ながら実験によって検証することは論理的に不可能。もちろんそんなものはないという反証も不可能なので、どこまでいってもそれこそ議論は平行線をたどるであろう。宇宙が平行であろうと多元的であろうと、われわれの日常世界には直接的にはまったく関係はないし、人類の過去と未来にも無関係だろう。しかし、人間がそのような宇宙論を思考する、思考することができるということはやはり驚きではある。

 大船にのり冬至南瓜の来たりけり

先日の日曜日、妻が仕事で遅くなるというので、子どもといっしょにライスカレーを作った。ただしタマネギをきつね色になるまで炒めて、といった面倒くさいことはやってられないし、そのこってりした味もとくに好みではない。それで、野菜(タマネギ、ニンジン)を細かく刻みあるいは粗く擂り、鳥のひき肉といり卵を大きめの鍋に入れてゆでる。ジャガイモではなく今回はカボチャも大きく切って入れた。要するにカレーの具はなんでもオーケーなので、定番のタマネギ+ニンジン+ジャガイモ+肉である必要性はどこにもない。サツマイモやダイコンのブロックもいけます。カレールウはいま評判の「遊佐カレー」で、へんな調味料や添加物がいっさい入っていないので、さっぱりした飽きのこないカレーに仕上がった。

あたたかく勢いませり冬の泉

このブログでもたびたび、鳥海山の胴腹ノ滝をはじめとする湧水(湧泉)のことを取り上げているが、一般的なイメージの主流である「冷たい湧水」は実際には半分しか当たっていない。半分は外れである。冷たいか温かいかは相対的なもので、たいていは周囲の気温との比較だ。4〜11月頃の外気温が湧水より高いときは湧水は冷たく感じられ、12〜3月頃の外気温が湧水より低い場合は湧水は温かく感じられる。「温かい湧水」というと一般的にはなじみが薄く奇異に感じられるかもしれないが、実際に厳冬期に湧泉をたずねるとその水の温かさは感動的ですらある。湧水自体はせいぜい8℃くらいであったとしても、なにしろときに10〜15℃ほども気温より温度が高いのである。湧泉の調査などで雪氷でかじかんだ指を湧水にひたすと生き返ったような思いになる。/俳句では「泉」や「清水」は夏の季語とされている。たしかに多くの人にとって無理からぬこととはいえ、これひとつをとってもいかに俳人が実際の自然をさほど体験しておらず、頭だけで句を作っているかがわかる。

 

敷居の直し

 

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酒田市内のKさん宅で、ドアをふたつ作り替えることになったのですが、その箇所の敷居も直しました。

現在は敷居がドアの戸当たりも兼ねており、そのため写真の上のほうの室内側からは40mm近い高低差があります。これはつまづき&転倒の原因になりかねず危険です。材質はおそらく青森ヒバのようですが、30年ばかり暮らされていてだいぶ摩耗し傷が付いてもいます。

写真の手前のほうは3年ほど前にリフォーム工事をされた際に、既存の床板はそのまま残して新たなフローリングを張り増ししたそうなので、それにレベルを合わせて敷居を削り取りました。本来ならばそのリフォーム工事の際にいっしょに敷居を入れ替えしてしまえば簡単にきれいに収まったと思うのですが、こうして後から削り取るのはなかなかの手間です。

子鉋と豆鉋、ノミとサンディングペーパーを駆使して、一見したところ新しい敷居を入れたようにはなり、段差も15mmまで軽減できたのでよしとします。

 

子どもの時計

 

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すこしはやいですが、子どもにクリスマスプレゼントとして腕時計をあげました。時計自体は「子ども用の」という意味ではなく、大人向けのちゃんとしたものです。シチズンのREGUNOシリーズ、ソーラーテック・電波時計で、防水も日常生活強化防水(10BAR)という本格的なもの。2013年に生産は終わっているとのことで、街中の時計屋さんでは取り寄せ不可だったので、インターネットでやっと探し当てました。

電池交換がいらず、時刻も狂わず、通常の水仕事くらいなら平気とあれば、実用上はこれで充分すぎるほどです。いちおうミリタリー・パイロットと謳っているだけあって(もちろん比喩的にですが)、非常にシンプルかつモダンなデザインで、視認性も抜群です。REGUNOシリーズにはたくさんの種類があるのですが、デザイン的にはこれがいちばん気にいりました(内心、私もほしいなぁ〜)。

ベルトはナイロン製ですが、なぜかメンズモデルとしてはちょっと短めで、仮に私が装着するにはぎりぎりの長さしかありません。一方、細っこい小学生の腕にはこれでも長過ぎるので、ベルトだけはもっと短いものに交換するしかないようです。だいじに使えば中学・高校から大人になるまで使えるかもしれませんね。

 

研ぎ減った包丁

 

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上が自宅で使っている包丁、下が工房の台所で使っている包丁です。もともとはまったく同じ形と大きさの包丁だったのですが、やはり家庭と工房とでは使用頻度がずいぶん異なるので、何度も研ぎをくりかえしているうちに刃が減ってしまい、これだけ差が出てきました。自宅用にはもう一本同じものを使っているのですが、減り具合もほぼ同じくらい。ただし刃の減りは摩耗よりも刃こぼれの修正によるものが圧倒的なので、刃がこぼれてしまうような無理な使い方をしないように注意が必要です。

酒田市は池田太四郎商店製の包丁ですが、牛刃と菜切とを兼ねたような形で「文化包丁」と呼ばれています。峰の厚さが先端で2mm、元で3.3mmほどあり、出刃包丁ほどではないにしてもかなり頑丈です。刃渡りは175mm(約8寸)、全長315mmです。刃の材質は安来(やすき)鋼白紙2号というもので、青紙鋼に比べるとやや柔らかく研ぎやすいといえます。この鋼はノミやカンナや小刀などにもよく使われている定評のあるものです(刃の硬さや長切れを重視する場合は青紙鋼のほうがいいのですが、硬いぶん研磨はすこし手間がかかります)。

ステンレスの包丁は錆びにくいので、いまはとくに家庭ではほとんどそればかりになっているようですが、錆が出にくく見た目にはきれいなままなので、刃が摩耗して切れ味が鈍くなってもそのまま長期間使い続けている家庭が多いですね。ご自分で刃を研げない以上それはいたしかたなく、またもし研ぐだけの道具と技術があったとしても、鉄鋼にくらべると硬めで粘性があるのでだいぶ研ぎにくいのも事実です。したがってプロの料理人などは、切れ味重視=しょっちゅう研ぐ必要があるため、たいていステンレスではなく鉄鋼の包丁を使用しているようです。うまく研ぐことができればリンゴやキュウリや葉物野菜などはまるで包丁自体の重さですっと切れるような感覚(もちろん錯覚ですが)で使うことができます。

 

ハードメープル縮杢板

 

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通称ハードメープルと呼ばれる板を2枚入手しました。北米産の無垢材で、サイズは厚みはともに30mm、長さは3.1mですが、幅は右が27cm、左はなんと33cmもあります。他の材料でも同様ですが、板幅が1尺=約30cmをこえると視覚的にはたいへん大きいという感じがしてきます。上の写真でも左の板は右の板に対し幅の差が6cm、22%しか違わないとはとうてい思えないほど大きく感じます。

2枚とも両面無節の白身、しかもほぼ全面に縮み杢が出ているという、これ以上はないというくらいの最高級の材料です。写真ではその杢の具合がわかりやすいように板面をすこし水で湿らせて撮影しています。

ハードメープルは樹種的にはサトウカエデ=シュガーメープルを主とし、それの近似種を含む硬質のカエデ類の総称です。辺材は灰白色、心材は灰黄褐色。肌合は硬質緻密で、気乾比重は0.70ほどあるのでかなり重いほうの木といえます。強度も非常にあり、家具材や什器類・建築・床材・楽器等に広く用いられています。日本の木でいうとイタヤカエデがそれにもっとも近いでしょうか。ただ固く逆目が立ちやすいので、加工はけっして楽とはいえません。

ハードがあるならソフトもあるのだろうと推測できますが、実際にレッドメープルやシルバーメープル・ビッグリーフメープル・ボックスエルダーなどの通称であるソフトメープルという材も一般的です。こちらはハードメープルにくらべると色もやや濃くて淡黄褐色から淡赤褐色、比重も0.54と中庸で、扱いと加工はしやすいです。硬さはハードメープルにくらべ3/4程度とされ、それが通称のソフトメープルの由来となっています。

当工房ではこれまでこうした北米産のカエデ類はほとんど使ったことはありません。しかし、比較的安定して入手でき(計画的な生産が長年されている)、ウォールナットやチェリーなどからみればわりあい安価で、ユーザーからの知名度や評価も高い木ですので今後積極的に使おうと考えています。もっとも上記の2枚の板のような、あまりにもスペシャルな材は逆に使いにくい面があります。値段的にだけでなく物自体がまれにしかないからです。

 

コーヒーブレーク 35 「万有引力」

 

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万有引力ありけり飛行機浮かぶ

魔法だの秘術だのというインチキな話ではない、そういう作り話や妄想ではない、たしかにこの世に存在しわれわれがその中で生きざるをえない厳然たる事実として万有引力というものががある。精神や心といったものを持たない「ただの物質」がそこにあるというそれだけで互いに引き合う。しかも宇宙空間のような遥か彼方にまでその力がおよぶというのは、あらためて考えてみればほんとうに不思議なことだ。あえて魔法というならこれこそが第一級の魔法であって、これを魔法と言わずとしてなんという、てなもんですね。

冴ゆる夜のジェット機空を焦がしつつ

ジェットエンジンは外部からとりこんだ空気を圧縮し、内部で燃料と混合させて燃焼、そこで発生した高温高圧の膨張ガスを噴出させて、その反作用を直接的に推進機関とするエンジンのことだそうな。現在実用化されているジェットエンジンは大別して3種類ある。ターボジェット-エンジン、ターボファン-エンジン、ターボプロップ -エンジンである 。世界で最初にジェットエンジンを搭載して実用化したのはドイツのMe−262であるが、この名前は私もすぐぴんときた。小学生の頃にタミヤだったかのミニプラモデルで、第二次世界大戦時の戦闘機を中心にいろいろ集めていたからである。一機150〜250円くらいの、手の平に軽く収まるくらいの、まさに子ども向けの簡易な模型だったが、たぶん20機くらいのコレクションにはなったと思う。

 万の人工衛星めぐらせ冬の星

「千万の〜」という表現は、ほとんどの場合、実際の数が千や万あるということではなく、とにかくものすごくたくさんあるという意味である。百貨店や百科事典なども同様だが、こちらのほうは個数の多さよりは種類的にさまざまいっぱいある、多種多様ということで、前者とは同じ多数であっても力点がちがう。/さて人工衛星である。これまで打ち上げらた人工衛星は7000個程度とみられており、現在も地球の周りを回っているものはその約半数の3500個くらいらしい。肉眼で識別できるものだけでもその1割の300〜400個はあるというから、いずれにしてもたいへんな数ではある。なかには輝度が一等星くらいの明るさのものもあって、「あっ、一番星だ!」と思ってよく見たら大型の人工衛星であったということにもなりかねない。う〜む、現代ならではの光景であり感慨であるな。

 

一触即発か

 

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アル(左)とトント(右)が鼻先をくっつけあっていますが、お互いにくんくんと匂いをかいでいるだけで、べつに仲良くしているというのではありません。このときもこの後すぐににらみ合ってましたし。

捨て猫だったアルがわが家にもらわれてきてから半年近くになりますが、ようやく先住のトントはそれなりに折り合いをつけるようになり、以前のような、トントが相当力をかげんしているとはいえ取っ組み合いや、フーッ!とかシューッ!とか声をあげて威嚇するようなことはまずなくなってきました。

わが家ではずっと猫は室内でのみ飼うようにしていますし、たいして大きな家でもないので、二匹はいやでも顔を合わせることになります。対立ばかりしていてはたいへんですからね。もっとも気をつかってだいぶ我慢をしているのはおばちゃん猫のトントのほうで、むすめ猫のアルはただ単純無邪気にトントにじゃれているだけという気がします。というわけで、私はできるだけトントをハグするようにしています。