ウォールナットのこたつ板です。お客様が通販で数年前に購入された市販のテーブル式の炬燵セットに含まれていたこたつ板が、ウォールナット風にみせかけたMDF(中密度木質繊維板)製のもので、縁の形状もへんに凝った形で使いにくいことや、他の無垢材の家具とのバランスもよくないということで、とりあえず急ぎで上のこたつ板だけ無垢材で製作しました。
サイズは厚さ24mm、幅と奥行きは788mmです。5枚矧ぎした板の反り止めのため両木口側に端嵌(はしばめ)をほどこしています。本体とは8枚のホゾと7枚の小根ホゾで固く接合してありますが、この部分には接着剤は使用していません。広板と端嵌とでは収縮方向が90度異なるために、ホゾの左右に若干の逃げ(1mm前後)を作っておく必要があるからです。写真では同じウォールナット材ながらずいぶん濃淡差が出てしまっていますが、実際に目で見ると気になるようなものではありません。
また元のセットの場合布団も含めると高さ660mmあり、椅子の座面との差尺が340mmくらいとありすぎるので、炬燵やぐらのほうの脚を6cmくらい切り詰めました。いろいろ構造上の制約があって、これでもベストの寸法とはいえないのですが、かなり改善はされたと思います。
市販のこういった多用途の家具は、さまざまな要素をあまりに多く盛りすぎるために、いずれも中途半端なものになってしまっていると思います。あちらを立てればこちらが立たず。結局のところあちこち妥協せざるをえなくなってしまい、しかもコストを極限まで締めているので、結果はチープで使い勝手もわるいものになってしまうのが通例です。なにを優先するべきか明確にし、優先度の低いものはカットするという割り切りが必要ですね。