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幅広材の平面出し

 

板の幅が300mm以上あって、それを平らに削るのに手押鉋盤を使えない場合は、板の木口と木端に仮想平面の墨を打って、それを目印に手鉋で削ります。切削量が多いときは初めのうちは手持ちの小型電気鉋を使うこともありますが、これに頼りすぎると危ないので、ざっと削ったあとは手ですこしずつ慎重に削っていきます。原則は横ずりです。

大きな板であればあるほど反り捻れがそれだけ多く出ていることが多く、したがって削るべき量も場所場所によって異なります。それをいちいち木口・木端を横から見なくとも鉋を使いながら上から一目でわかるように、水平線より上の余計な部分=削り落とす部分の端は45度くらいに斜めに削って赤色のマーカーで着色しておきます。最終的にこの赤いところがみな無くなるまで削れば基本的にはオーケーということになります。

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ところが仮想平面の墨線は、削るべき余分な分を含めてこそ今のところそれなりに安定しているのであって、その余分を落とすことでバランスが崩れてしまい、仮想平面が平面でなくなってきます。写真の例では、幅50cm長さ80cmほどのタモの一枚板ですが、実際四周の赤のマーカーが消えるまで削ったところ長手中央部分が0.5mmくらい凹んでしまいました。

まあこの程度は想定内ですが、この削った面を第一基準として対面も同じように墨打→マーキングをしてやはり手鉋で削ります。そうすると最初に削った面がまたまたすこし狂ってきます……。ということで裏と表と最低でも2回ずつは削らないと厚みが一定かつ両面平らの板にはなりません。

 

両面テーパー削り

 

たとえばテーブルの脚で、4面とも下に向かってややしぼりこんだ形状とする場合、そのテーパーをどうやって成形加工するかですが、当工房では専用の治具に部材を載せて自動鉋盤で削ることが多いです。

勾配0.015のテーパーであればあらかじめその勾配に作ったベッドに下拵えの終えた材料を載せて固定し、いっしょに機械に送り込んでやればその治具の勾配どおりに削れるというわけです。ただ勾配0.015でも長さ650mmの脚なら上と下とで10mm近い差が出るので、4〜5段階くらいにわけてすこしづつ切削します。

この方式のいいところは加工する材料にひとつずつ墨付をする必要がないことと、4本脚なら4本とも非常に正確に同じように削れることです。削るにつれて若干の歪みが出ることもありますが、だいたい0.1mm以下の精度には仕上がります。

さらに一度テーパーをつけた面の反対側にも同じテーパーをつける場合はどうするかというと、ダミーの材料をその勾配ベッドで切削成形し、その上にさらに脚の材料を載せて固定し、最初と同じように自動鉋盤に送り込んでやります。写真では一番下の板が0.015の勾配ベッドの治具、その上が勾配ベッドで削ったダミーの材料、いちばん上が脚の材料です。

こうすれば両面ともまったく同一の寸法・形状に簡単に加工することができます。もちろん勾配ベッドは0.01〜0.04くらいまで各種そろえていますが、「初めに0.015の治具で削り、その次に勾配0.03の治具で削る」よりも上記の方法のほうが加工精度は高いのです。

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庭の花 4

 

例によってわが家の庭にいま咲いている花です。8月も下旬になって朝晩はいささか寒いくらいの陽気になってきました。秋の気配が濃くなり、セミの鳴声はおさまりウマオイやコオロギがさかんに鳴いています。草木のほうも暑い夏をどうにかしのいで、ようやく本来の元気をとりもどしてきたように思います。

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バラ(バラ科) 四季咲きの中輪で花径は7〜8cm、樹高も1m程度。中央部分はほのかに黄色みをおびており、「アイスバーグ」という名前の世界的な銘花だそうな。いま20数個の花が咲いている。

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ツユクサ(ツユクサ科) いわずとしれた露草だが、よく見れば二つに折れた苞の間から咲く花の形もたいへんユニークで、なによりその青色がじつに美しい。昔はここらではトンボ草と呼んでいた。

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イヌタデ(タデ科) まだ出始めだが、この花がたくさん咲いているのを目にすると、ほんとうに秋がきたんだなあという思いを深くする。ままごとで赤飯になぞらえて遊んだりすることからアカマンマとも。イヌは犬のことで、どうということもないありふれた存在という意味で、はっきり言うならば蔑称である。

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?(?科) 一昨年にナツツバキの苗木などを買ったときに、植木屋さんがおまけでくれたもの。高さ30cmほどの矮姓の常緑樹であるが、なんだかよくわからない。

 

ジオガイド養成講座 5

 

6月28日に始まった、鳥海山・飛島ジオパーク構想の「ジオガイド養成講座」も今回で5回目。8月23日、会場は遊佐町の生涯学習センターで、午前午後とも座学でした。

9:30〜12:00は環境省鳥海南麓自然保護官事務所の自然保護官である鎌田健太郎氏の「自然を守ろう」です。国立公園のレンジャーでもある氏の公園法(おもに国立公園)とエコツーリズムとの関係、野生動物の保護のあり方など、興味深い話がいろいろありました。たとえばアメリカの国立公園は人為的影響を極力排し、自然をそのままに保全保護していこうとするのに対し、日本の国立公園では自然を保護しながらもすぐれた景観の地に積極的に人を呼び寄せようとする面もだいじにしている、といったことです。

ただ残念なのは、日本のレンジャーには捜査権や警察権などはなく、かりに不法な捕獲や採取を見つけても注意をうながす程度のことしかできないことです。組織的な盗掘などはまだ別の方法・法律で対処のしかたがあるが、個人の「できごころ」みたいなレベルだといかんともしがたいとのこと。

ジオパークだけでなくエコツーリズムとかグリーンツーリズム、自然遺産等々のわりあい似たような施策もあり、それらとジオパークとの擦り合わせをどうやっていくかも課題のようです。

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13:00〜15:30は山形大学地域教育文化学部教授である八木浩司氏の「東北地方日本海側の地質と地形の特徴」です。

まずジオパーク構想にからめて考えるとすれば、基本的に鳥海山は出羽山地(出羽丘陵)・庄内平野・月山と、一連なりのものとして考えるべきであるということ。3000万年前くらいまではユーラシア大陸の一部であったものが徐々に分離し日本列島と日本海ができた。さらにその海に堆積した土砂等がやがて隆起してほぼ現在の日本列島のような陸地を成したことを、あちこちに露出した地層からみることができる。

鳥海山ならびに月山はもとからあった出羽山地の一部を覆うようにして生成された新しい火山である。東北地方には南北に顕著な断層が多くあり、庄内から眺めた出羽山地が手前の急な高まりとその背後の群境に至る山並みとの二重に見えることや、月山西面が急傾斜を成しているのもその断層によるものだとのことです。いやあ、これは私は知らなかったのでかなり驚きました。

鳥海山南西面裾野にある遊佐町の当山〜袋地〜天狗森の高みもそのせいだったんですね。そこが隆起する前からあった川はその高まりを下刻して流れる場合がしばしばあり、したがってかつては川であって今は丘陵の一部をなしているところの天辺あたりからは、角の取れた丸い石が現れるのだそうです。はい、今度は私もそのつもりでよく観察してみようと思います。

八木氏の講義は私には非常におもしろかったです。他の先生方の講義もそうですが、科学的・歴史文化的な「事実」をふまえたお話は知的興奮をもたらします。架空の物語なんぞは目じゃありません。

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さてじつは今回のジオガイド養成講座が遊佐町で行われるということで、私の提案で湧水の「きき水」を行うことになりました。町内の3カ所の湧水(1カ所は自噴井)を前日夕方に2リットルのペットボトルにそれぞれ3本汲んできて、冷蔵庫に保管して温度を一定にしておき、それを昼休み時間に受講生たちに飲んでもらいました。

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どの水がどこのものであるかは先入観を排するために最後まで伏せておき、3つの水の中でいちばんおいしいと感じた水に票を投じてもらいます。結果ですが、胴腹ノ滝の湧水が11票、月光川河川公園の自噴井の水が12票、女鹿の神泉ノ水の舟の最上段の水(水源は湧水)が13票でした。きれいに三分しましたね。過去の同種のきき水ではもっと偏りが出ることが多かったのですが、今回は「被験者」が酒田市・遊佐町だけでなく仁賀保市・由利本荘市などの広範囲にまたがったこともその一因かもしれません。もっとも私自身もあらためて感じたのですが、おいしいかどうかは別としても、同じ鳥海山の水でありながらまるで味がちがうということは皆さんにもはっきりと感じていただけたのではないかと思います。

 

コーヒーブレーク 58 「郵便局臨時出張所」

 

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働き蟻の覗いておりぬ蟻地獄

比較的最近、アリに関することで話題になったのが、アリの巣(集団)には無役の個体が一定程度いるということだ。他のアリがせっせと働いているそばで、なにもせずにぶらぶらしているアリがおり、実験的にそのアリを集団から取り除くと、残ったアリのなかからまた無役のアリが現れるという話。/全部が目一杯稼働している、つまり余力がぜんぜんない状態では突発的な不測の事態に対処できないので、常に一定程度の余裕を持たせておくのであろうと推測されている。が、それは人間社会の意識を投影しているだけで、じつはまったくそんな理由ではないのかもしれない。

空蝉が見ているほうを天とする

家の近くの神社に直径2mをこえる巨大なケヤキが生えており、先日夜の散歩のときにライトでその幹を照らしてみるとたくさんのセミの抜け殻が幹についていた。その数は100できかないであろう。なかには抜け殻ではなく、今夜羽化すると思われる個体もいくつか混じっている。/興味深いのはその高さがかなりまちまちなことで、地面にほど近い数十cmのものもあればずっと見上げるような4〜5mほどの高いところのものもある。セミの幼虫がそんな高さまでよじ上るのは容易なことではなかろうが、単なるランダムな結果なのか、しかとした理由があってのことなのか。

頂上に郵便局臨時出張所稲の花

登山がもっともにぎわうのはやはり夏で、とりわけ7月半ばからお盆の8月半ばくらいまでがピーク。俳句歳時記でも、個人的にはおおいに疑問があるのだが登山は夏の季語となっている。私なら暑くて混雑するその時期はあまり山には行きたくないけどなあ。しかし「◯◯の頂上に登ったぞ!」といったようなことをその場で家族や友人にいちはやく知らせたいと思う人がすくなくないのか、有名な山では頂上付近の山小屋に臨時の郵便局が設置されるという話をきいたことがある。消印のスタンプがその証明というわけだ。/ひところ前まで一世を風靡した「日本百名山」ブームもようやく下火になってきたようである。むかし深田久弥という人が選んで本にまとめた『日本百名山』をまるでバイブルのように奉り、そこに記載された百山にすべて登頂することを至上の目的とするような、わけのわからない行為である。それがエスカレートして、最年少または最年長で百山登頂達成を競うとか、連続登頂をごく短期間のうちに狙うなど、まったく馬鹿げたきちがいじみた競争まで現れた。それを『山と渓谷』などの登山系雑誌がさも偉業のようにあおり顕彰するなど、ほんとうにどうかしている。/登山は私の感覚では、むしろそういった世俗的なしがらみをできるだけ離れた個人的営為であるからこそすばらしいと思うのだが。

 

(※ 写真は山形・秋田の県境の三崎公園のタブの林。常緑のタブの大木が生い茂り、昼でも薄暗い古道が続く。芭蕉もここを通ったらしい。)

 

テーブル甲板仕上と脚部パーツの下拵

 

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ご注文いただいた食卓用テーブルの製作中。甲板は共木の2枚矧ぎですが、寸法を図面通りにカットし、仕上げ削りをしたあとに四隅の丸みつけとエッジ等の成形です。ペーパーがけは180→水引→240→320番まで行います。最後に塗装を4回ほど施しますので、ペーパーがけはこれくらいまでが適正。あまりつるつるにしてしまうと塗料の「脚」がなくなり、のりが悪くなるからです。

テーブル類のコーナーは尖ったままで小さい面取りしかしていないと、かなりの確率でユーザーが痛い思いをしてしまいます。大人でも腰のあたりをぶつけてしまいイタタッとなりますし、小さな子供の場合は転んだ表紙に頭をコーナーに打ち付けて大怪我をすることも。したがって当工房では開所当初から必ず角はR(半径)20mm前後の丸みをつけるようにしています。また長片短片のエッジ(縁)はR4.5〜6mm程度の丸面が基本です。

市販のテーブルや家具作家のテーブルなどでよく1〜2mmほどの小さな面取りで仕上げていることがありますが、私にはとてもそんな危険なことはできません。なるほどコーナーもエッジも小さくすると見た目にはシャープな感じになっていいのかもしれませんが、テーブル類(座卓・机など)はなによりも生活や仕事の道具。使いやすさと安全性・耐久性が第一です。見た目ももちろんだいじですが、ほかより優先するものではありません。

下の写真は脚部の各部材で、左から脚、長手幕板、根太、妻手幕板です。根太は甲板の中央部分を下から受ける部材で、表には出ないので若干木目が流れていますが、他はみな無節柾目の極上の材料です。養生期間を経たのち厚さ・幅・長さを図面どおりにきっちりそろえたところですが、ここまでが下拵え。このあとテーパーをつけたり面取り、ホゾやホゾ穴の加工をします。

 

黄刺大鳳玉の開花

 

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黄刺大鳳玉(おうしたいほうぎょく)の花が咲きました。きらめきのある黄色で、底紅、直系6cmほどのたいへん美しくあでやかな花です。中学生の頃からサボテンは大好きで、一時は300種類を越えるサボテンを自作のフレーム(背の低い簡易温室)で育てていたことがあります。しかし引っ越しするたびに手入れする時間もなくなり、栽培環境もわるくなり、昔のものはいつしか全滅してしまいました。

その後地元にもどってきて木工を始めるようになって数年してから、中高校生の頃にはとうてい買えなかったすこし値段の張る種類・大きさのサボテンを専門店から通販で購入するようになり、30種類くらいまでに鉢が増えます。しかし温室もなにもなくて、ただ日当りのいい窓辺に並べているだけだったのと、断熱材もなくすきま風の入るような古い借家だったので、大半は大寒波の年に凍死してしまいました。現在かろうじて生き残っているのはサボテンが5種類、多肉植物が5種類ほどです(最近購入の小物はのぞく)。

大鳳玉はアストロフィツム属で、昔も今も人気の高いサボテンですが、ふつうは灰黒色の不規則にうねった刺であるのに対しこの株は麦わら色の刺をしています。それで黄刺大鳳玉というわけです。根腐れを起こして一度胴切りをしていますし、日射不足で徒長したりとさんざんですが、背丈は30cmになっています。今の新しい家になってからは日当りにいいところに置いているので、やっと本来の太い刺がまた出てきました。

 

句集『遅日の岸』

 

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村上鞆彦(むらかみ ともひこ)という方の句集『遅日の岸』です。著者略歴をみると1979年生まれとありますので、現在36歳くらいでしょうか。俳句の場合、50歳くらいでも若いといわれるので(それだけ年齢構成が高い)、これはほんとうに若手の俳人ですね。むろん年齢などじつはどうでもいいのですが、鷲谷菜々子・山上樹実夫に師事し、津川絵里子氏と共宰のかたちで「南風」の主宰&編集長をつとめているので、ばりばりの実力俳人といっていいでしょう。

この人の句は当ブログの7月21日の記事の終わりのほうで、<夏蝶の踏みたる花のしづみけり>という佳句を紹介しましたが、この一句でもわかるように、伝統的形式に沿い題材もごく一般的でありながらも、独特で繊細な視点をすでに確保しています。

本句集は2015年4月にふらんす堂から出版。中学生の頃から35歳までの作品から325句を自選してまとめた第一句集とのこと。年代順に並んでいるのですが、共感した句や佳句と思う句を抜き出してみました。

月の夜の大きな橋と出会ひけり
枯蓮の上に星座の組まれけり
汲み戻る清水の壜のくもりけり
あをぞらをしづかにながす冬木かな
街灯下寒の轍の殺到す
捧げゆくものかがやけり蟻の道
投げ出して足遠くある暮春かな
流れつつ群れを解く雲日短か
踏切の音に火のつく枯野かな
ガラス戸の遠き夜火事に触れにけり
鯉病めり雪はひたすら水に消え
五月雨や掃けば飛びたつ畳の蛾
秋の雲いくつ流れてシャツ乾く
東京を出てゆく川や日短か
驚きのひろがりてゆく蝌蚪の群
冷ややかに白波は沖ふりむかず
目をとぢてまぶたのぬくき桜かな
松の影ゆれて松風蟻の道
笹鳴きの止みたる笹の葉擦れかな
寒月や踏みやぶりたる水たまり
早春やエレベーターを空より待つ
衣更へて駅の鏡のなか通る
末枯や傘にあつまる雨の音
鳩は歩み雀は跳ねて草萌ゆる
十薬の花いつせいにわれを見る

安定した詠みぶりで、粒がそろっていて選ぶのに苦労するほど。上には25句あげましたが、この他にもいい句がたくさんあります。特別な言葉やスタイルを援用せずとも、今まであまり詠まれることのなかった非常に微妙な景や感覚をうまく表現しています。

ただ、3度ほど全体を読み通してみて感じたこともあります。ひとつは上の25句にも頻出するように「や・かな・けり」という切れ字が目立つことです。もちろん氏の手元の句は今回句集にまとめたものの一桁以上多いと思いますし、結果的にそうなってしまったとも考えられますが、これほど切れ字が多いといささか気にかかってきました。

二つ目は矛盾するようですが、この句集が50年くらい前のものである、戦前のものであるなどと言われてもつい納得してしまうほど、「普遍的」であり「恒常的」であることです。時代がかわっても社会がかわってもなんら変わることのない事象はむろんたくさんあり、それを詠んでいくことはとてもだいじなのですが、そればかりでは現代のこの日本という国、あるいは地球に生きている切実さが希薄になります。この句集だけでは作者はいつの時代のどういう社会に生きているのかわかりません。

普遍的なものを詠みつつ、もう片方では現代のリアルをも詠み込んでいきたいという私の指向に引きつけてしまっているとは思いますし、氏の句集にそれを求めるのは「ないものねだり」かもしれませんが、その点ではすこし物足りないと感じました。

 

鑿箱の新調

 

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鑿箱(のみばこ)です。長年使っている木工のもっとも基本的な道具ながら、漢字は難しすぎてまったく書けません。それはともかく、ふだん使用している11本のノミ用に木箱を作りました。42mm(1寸4分)〜1.5mm(5厘)までのサイズです。

これまでは購入したときの紙箱+発泡スチロールのパッケージそのままだったのですが、だいぶくたびれてきて見栄えがよくないのと、もっとも大事な刃先の保護が心配になってきたので、専用の箱を無垢材で作ることにしました。材料は建具やチェストの抽斗内部などによく用いているスプルス柾目板です。北米産の針葉樹ですね。37mm厚の板を3つまたは4つにバンドソーで挽き割って、仕上がり厚さ8.5mmと5mmの薄板にしています。

それぞれの柄の部分と刃の部分とを、他と接触せずにしっかりと保持できるように実物に合わせてホルダー部分をこしらえています。このパーツはクルミです。蓋は実にすっぽりかぶさる式にしたので、ひっくり返して現場などで作業用浅箱として用いることもできます。

蓋にはバーニングペン(電熱式の小型焼きごて)で名前やノミのサイズなどを記入し、汚れにくいようにウレタン塗装をしました。長年の懸案がこれでひとつ解決しました。

 

蜘蛛がくれ

 

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工房の台所の窓のところに中くらいの大きさの蜘蛛が網を張っていました。ガラス戸を開けたら敵の襲来と思ったのかすっと下に落ちていったのですが、そのあとに見えたのが一段と幅広になった4つの白い「足場」です。写真はしばらくしてまた上がってきた蜘蛛ですが、退避する前は脚を2本ずつその白いところに置いていたようです。この足場はもしかすると、網にかかった虫をすばやくキャッチするための一種のアンテナ・増幅装置かもしれません。

私は蜘蛛の生態などはほとんどわかりませんが、鳥などの外敵の目をすこしでもあざむくためかこの蜘蛛のように2本ずつ脚をくっつけてX型になってじっとしているか、もっと脚の長い蜘蛛だと一直線にI型になっているものもいますね。とくにI型だと一見してはゴミがクモの巣にひっかかっているようにしか見えないので、なかなかたいしたもんだなと思います。