ご注文いただいた食卓用テーブルの製作中。甲板は共木の2枚矧ぎですが、寸法を図面通りにカットし、仕上げ削りをしたあとに四隅の丸みつけとエッジ等の成形です。ペーパーがけは180→水引→240→320番まで行います。最後に塗装を4回ほど施しますので、ペーパーがけはこれくらいまでが適正。あまりつるつるにしてしまうと塗料の「脚」がなくなり、のりが悪くなるからです。
テーブル類のコーナーは尖ったままで小さい面取りしかしていないと、かなりの確率でユーザーが痛い思いをしてしまいます。大人でも腰のあたりをぶつけてしまいイタタッとなりますし、小さな子供の場合は転んだ表紙に頭をコーナーに打ち付けて大怪我をすることも。したがって当工房では開所当初から必ず角はR(半径)20mm前後の丸みをつけるようにしています。また長片短片のエッジ(縁)はR4.5〜6mm程度の丸面が基本です。
市販のテーブルや家具作家のテーブルなどでよく1〜2mmほどの小さな面取りで仕上げていることがありますが、私にはとてもそんな危険なことはできません。なるほどコーナーもエッジも小さくすると見た目にはシャープな感じになっていいのかもしれませんが、テーブル類(座卓・机など)はなによりも生活や仕事の道具。使いやすさと安全性・耐久性が第一です。見た目ももちろんだいじですが、ほかより優先するものではありません。
下の写真は脚部の各部材で、左から脚、長手幕板、根太、妻手幕板です。根太は甲板の中央部分を下から受ける部材で、表には出ないので若干木目が流れていますが、他はみな無節柾目の極上の材料です。養生期間を経たのち厚さ・幅・長さを図面どおりにきっちりそろえたところですが、ここまでが下拵え。このあとテーパーをつけたり面取り、ホゾやホゾ穴の加工をします。