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ツルアリドオシ


ツルアリドオシ(蔓蟻通し。アカネ科ツルアリドオシ属 Mitchella  undulata)。変わった名前ですが、アカネ科のアリドオシに似ていて、蔓性だからとか。アリドオシは葉のつけねにある針がアリをも貫くほど鋭いという意味らしいです。むろんイメージの話ですが。

ブナ林に入ったら林床にあちこち咲いていました。写真はとくにまとまって咲いているところを撮ったものですが、このぐらいの規模の群落はわりあい珍しいかもしれません。花は長さ15mmほどの漏斗状の小さな花ですが2つずつ咲きます。常緑の多年草です。果実は液果で球形となり、赤い実がうす暗い林内ではよく目立ちます。またその実の頂天に2花の跡がぽちっと並んであるのもおかしいです。

いくらかでも花の名前を知っていると山を歩く楽しみが倍加します。全部の花が分かるというレベルに達するのは至難の業ですが、私の感じではおよそ3分の1くらい分かるようになると急に目の前が開けるようです。せっかくきれいな花が咲いているのに、足早に通り過ぎるのはもったいない。

散歩

私の散歩はたいてい夜です。夜、ご飯を食べて一段落してからのほうが時間がとりやすい、夜のほうがだんぜん涼しいということもありますが、むしろ最大の理由は夜の散歩だとほとんど他人に出会わないためです。

もっと大きな町や都市であればまたちがうかもしれませんが、小さな町では必然的に散歩の途中で顔見知りに出会う可能性があります。そうしたときにいちいち挨拶するのもめんどうだし、かといって挨拶をしなければしないで「無視された」だの「無愛想だ」などといわれかねません。なかにはよけいな詮索をする者もいます。私は人嫌いというのではありませんが、儀礼的なつきあいやこれといった目的もない獏とした人づきあいは非常に苦手です。散歩はひとりでのんびりしたひと時を持ちたいからするので、それを邪魔されたくない気持ちがあります。

コースは限られています。人家のあまりすぐそばでは夜間ですから不審者あつかいされかねないので、大きな通りでかつ交通量のあまりないところや八面川や月光川べりなど。とくに河畔は鳥やコウモリや蛙、魚等の気配がするし、水が流れる音が響くだけでも気持ちがいいです。また空が開けているので、月や星や飛行機の軌跡などもよく見えます。月光下の鳥海山の姿もまた格別です。

交通事故その他の不測の事態の回避や、ごくたまに出会う他の人を怖がらせないためにも灯りを持っていきますが、小さな懐中電灯の場合もあれば、工房で使用する強力な作業灯の場合もあります。後者の灯りだと、暗がりの中ながら咲いている花を見たり水中の魚を観察することもできます。魚も夜だと警戒心が薄くなるのか動きがゆっくりしているので、見物するには好都合。とくにハゼ類などの底魚はその形や大きさや模様などをつぶさに観察できます。

レース


虫に食われてみごとなレース状になったオオイタドリ(大虎杖 タデ科イタドリ属 Reynoutria sachalinense)の葉です。オオイタドリは高さ2〜3mにもなる多年草で、葉の大きさも長さ20〜30cmにもなります。葉腋から枝を出し白い花をたくさんつけます。雌雄異株。

よくぞここまでというほど徹底的に虫に食べられていますが、結果的にこれはこれでとても美しいです。

超高性能ウレタン塗料

当工房では家具や木製小物の仕上げに二液型ポリウレタン塗料やオイルフィニッシュ、蜜蝋、カシュー塗料などを用いています。それぞれに得意・不得意や長所・短所があるので、製品別、用途別に使い分けます。漆塗りは興味関心はもちろんあるのですが、私は漆にはひどいアレルギーがあるので使うことができません。

その中でもわりあい出番の多い二液型ポリウレタン塗料(以下ウレタン塗料)に、最近新しいタイプの塗料を導入してみました。メーカーの説明には「高架橋のウレタン樹脂をベースとし、さらに分子レベルで作用する超微粒子のファインセラミックスを複合することで強靭な塗膜が得られ、有機分子樹脂だけでは難しかった高い耐候性・耐汚染性・耐熱性・耐久性を実現」とあります。

紫外線に強いこと、汚れにくいこと、熱に強いこと(200℃の高温にも耐える)などが具体的に試験データを添えて説明されています。もちろんホルムアルデヒドなどのシックハウス要因物質はいっさい含まれていないF☆☆☆☆取得塗料です。これまで使用していたウレタン塗料も、工業ライン用の専門的な塗料だったのですが、それよりもずっと高機能・高性能の塗料のようです。まだ実際には一度しか使っていないのですが、使い勝手としては二液型ウレタン塗料をすでに使い慣れているのであれば、とくに違和感なく使えると思いました。塗り上がりもしっとりしたいい感じです。

ただ値段はかなり高いです。うちのような弱小零細工房では塗料の使用量などたかが知れており、今回も小口注文だったせいでよけい割高になったようですが、従来のウレタン塗料にくらべシンナーとサンディングシーラー(中塗塗料)が約1.3倍、トップコート(上塗塗料)は2.5倍もしました。トップコートは1kgあたり3000円を超えます。量産メーカーならこの値段では敬遠するでしょうね。製造コスト全体のなかで塗料代の占める比率が高騰するからです。その点、無垢材オンリーで注文生産と単品生産を中心とする、いわゆる「手作り家具」の場合は、そもそも塗料と塗装のコストは相対的にずっと低いのです。

なお製造メーカーや製品名などの具体的なことはまだないしょです。メーカーのうたい文句を鵜呑みするわけにはいきませんから、もっと使い込んで自分なりに確信が持てるようになったらあらためて報告します。

 

多肉な花

「多肉植物」という名前は植物学的なものではなく、園芸的観点からみた俗称です。一般的な植物にくらべ葉や幹や根などが肥大している=肉が多い、それが多肉植物というわけです。したがって植物学的には多くの科にわたるのですが、サボテン科は原生種だけでも5000種ともそれ以上ともいわれる大所帯でかつそのほぼすべてが多肉なので、他の科の多肉植物とは独立して扱われることが普通です。すなわち「サボテン」と「他の多肉植物」とです(サボテン科以外の多肉植物をサボテンと呼ぶのはまちがいです)。

工房の事務所の窓辺に十数鉢のサボテンと多肉植物を育てていますが、そのひとつにまた花が咲きました。ベンケイソウ科エケベリア属のサブセシリスです。花穂のもとの方から咲き始めるので、そろそろ花期も終わりなのですが、おもしろいのは花弁まで多肉なこと。色合いと質感は蝋細工のようです。花穂は本来は上にまっすぐ伸びて先だけが下を向くのでしょうが、窓辺での栽培だとどうしても光が一方に偏るので花も傾きがちです。穂の長さは12cm、花の大きさは長さ12mmです。本体は径6cmなので、それにくらべずいぶん大きな花序といえますね。

葉が多肉なのは乾燥に耐えるなどの意味があるのは分かるのですが、どうして花までぽってりしているのでしょうか?

それにしても写真はいまいちですなぁ。接写モードにしているのですが、ピントがうまく拾えないだめなカメラです。

不動明王

私は自然や宇宙に対して畏れ敬う気持ちはじゅうぶんあるつもりですが、特定の宗教宗派などにそれを収斂させる気は微塵もありません。しかし、人里に近い名の知れた湧泉では、湧水のかたわらに石像を祀ってあることが珍しくありません。その像はたいがい不動明王です。

不動明王は大日如来の化身、または内証をあらわしたものだとか。炎の世界に住まわれているので、像の後背に燃え盛る火炎を配していることが多く、それは煩悩にさまよう衆生を力づくでも救おうとする強い決意=憤怒の象徴。また不動明王は財産等の守り神のようでもあります。とりわけ清水はなににも代えがたい、貴重な財産ですからね。






 

ジップロック

ジップロック(Ziploc=商品名)は旭化成の食品の冷蔵または冷凍保存用バッグですが、本来の用途以外に私は野外活動時の防水パックとしてよく利用しています。

たとえば登山では、いくら晴天でも急に大雨が降ることが珍しくありませんし、水辺での活動では足をすべらして身体や荷物が水没することもあります。したがって防水のカバーなどでザックを覆っていたとしても、侵入した水で中のものが濡れてしまうかもしれません。濡れても乾かせばそれですむものもありますが、電子機器や重要な書類などは絶対に濡れないようにしなければなりません。行動途中に風雨のなかでザックの口を開けて中のものを取り出さなければいけない場合もあるので、ザックカバーだけでは不十分です。

そこで濡れて困るものは個別に防水対策をします。そうした際にたいそう簡単かつ便利なのがジップロックです。とくに冷凍用の「フリーザーバッグ」がおすすめ。冷蔵用の「ストックバッグ」にくらべてポリエチレンに厚みがあり、ジッパーもダブルなので、より確実に封入できます。大きさは大・中・小とあるので、大には着替えなどの衣類、中に昼食や非常食、小にコンパクトカメラとか携帯電話などを入れています。上の写真はTシャツを中サイズのバッグに入れたところです。

ザックに収納するときに個々のジップロックの中の空気をしっかり追い出せば、荷物全体がコンパクトにもなります。空気を追い出すのがうまくいかない、つまりひとりでにまた膨らんでしまうようだとそれはバッグに穴があいている証拠ですから、そのときは新しいバッグに交換します(旭化成以外にも同じ目的のバッグは製造販売されていますが、私が使ってみたかぎりではやはりジップロックがいちばん使いやすいし安心)。

昔(数十年も前)、山岳部で沢登りをやっていた頃に、最初に先輩から言われたのが「ザックを水に浸けても中身が大丈夫なようにしろ」ということでした。濡れて困るものは個別に防水梱包せよということですね。ただそう言われても昔はジップロックなんてものはまだなかったので、ビニールの袋に入れて口を紐や輪ゴムで厳重にしばったわけですが、けっこう大仕事でした。それを想うと今はものすごく便利になりましたね〜。

 

1/25000地形図


鳥海山の湧泉・湧水を十数年、個人的に調べていますが、そのデータをまとめるにあたり、国土地理院発行の25000分の1地形図を買い足ししました。地図に湧泉の場所をピンポイントで落とすためです。

それでびっくりしたのが地図の様式が変わっていたことです。写真上は旧来の地図、下が新しい地図ですが、地形表示の範囲がひとまわり大きくなっています。横に約8cm、縦に約5cm拡大しているのです。縮尺はもちろん1/25000と同じなので、天地左右にそれぞれ隣接する地図と重複して印刷してある部分があるということです。旧来の地図は周囲に余白がわりあい多かったのですが、新しい様式ではぎゅうぎゅうに詰め込んである感じですね。

この様式変更は大歓迎です。これまでの地図だとちょうど端の部分が無慈悲にちょんぎれてしまい、連続して地形や道路や河川などを見る場合はほんのわずかな範囲でも必ず隣接の地図を開かないといけませんでした。つながり具合の把握もそうとう程度慣れないととてもやりにくかったのです。机上ならともかく、野外でしかも雨や風のなかで何枚もの地形図を広げるのは実際のところかなりの難儀でした。

地形は短期間でそうそう変わることはありませんが、道路や建物などはしょっちゅう変わりますので、ときどき地形図を買い替える必要があります。ただしその場合でも古い地図は絶対に保管しておくべきです。昔の登山道などはあまり利用されなくなると地図上からもすぐ消えてしまいますから。

トリアシショウマ

林床一面に咲く白い花。ユキノシタ科チダケサシ属のトリアシショウマ(鳥足升麻 Astibe thunbergii var.congesta)です。スギの人工林ですが、高さ1m弱くらいの白い花がたくさん咲いており、薄暗い林の中でとても幻想的ですらあります。

トリアシショウマは茎頂に側枝のよく分枝する円錐花序をつけ、花弁長さ5mm前後の白花を非常に密に咲かせます。葉は3回3出複葉の卵形〜広卵形。今の時期は山麓では花の少ない時期ですが、それだけにとてもよく目をひきます。けっして派手ではありませんが、こういう野草の群舞に出会うととてもうれしくなります。

下の写真はサクラソウ科オカトラノオ属のオカトラノオ(Lysimachia clethroides)で、トリアシショウマと同所に咲いていましたが、これも私はたいへんお気に入りの花。花のかたちはたしかに桜草ですね。花穂がみな傾くところも粋です。

最近、山や湧水、魚や植物といった自然関係のことばかり記事にあげていますが、木工の仕事のほうは定番的な小物の製作や試作、それに家具の補修といったこまごまとした内容が多いためです。あしからず。

 

7/8&21の胴腹ノ滝

 

 

上が7月8日の朝、下が7月21日朝の胴腹ノ滝です。前者は雨がすこし残り霧もかかっていますが、見比べると後者のほうがいくらか水量は少ないように見えます。大きな差ではありませんが、前回(6/29)掲げた6/17&28以降、徐々に水量は減ってきています。

水温は8日が右側9.0℃、左8.9℃(気温19.1℃)。21日が右8.8℃、左8.7℃(気温17.8℃)です。湧水温はまた若干下がってきました。なんとなくですが、この滝の湧水のカラクリがすこしだけ見えてきたような気はしています。

土・日などはかなり多くの方が水汲みや、滝を観賞しにおとずれています。車のナンバーを見ると地元(庄内)よりも山形や他県のナンバーのほうが多い場合も。胴腹ノ滝もすっかり「全国区」になりましたね。私も自家用の飲料水などを7〜10日くらいの間隔で汲みに来て、同時に水温を測ったり水量の目安となるようにほぼ定位置で写真を撮っています。ただ、他の人がいると「何してるんですか?」とかなんとかわずらわしいので、できるだけ人気のない平日の早朝に行くようにしています。