ツルアリドオシ(蔓蟻通し。アカネ科ツルアリドオシ属 Mitchella undulata)。変わった名前ですが、アカネ科のアリドオシに似ていて、蔓性だからとか。アリドオシは葉のつけねにある針がアリをも貫くほど鋭いという意味らしいです。むろんイメージの話ですが。
ブナ林に入ったら林床にあちこち咲いていました。写真はとくにまとまって咲いているところを撮ったものですが、このぐらいの規模の群落はわりあい珍しいかもしれません。花は長さ15mmほどの漏斗状の小さな花ですが2つずつ咲きます。常緑の多年草です。果実は液果で球形となり、赤い実がうす暗い林内ではよく目立ちます。またその実の頂天に2花の跡がぽちっと並んであるのもおかしいです。
いくらかでも花の名前を知っていると山を歩く楽しみが倍加します。全部の花が分かるというレベルに達するのは至難の業ですが、私の感じではおよそ3分の1くらい分かるようになると急に目の前が開けるようです。せっかくきれいな花が咲いているのに、足早に通り過ぎるのはもったいない。