日別アーカイブ: 2016年9月21日

コーヒーブレーク 88 「扉」

 

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稲田ゆく金箔を撒き散らすがごとく

[いなだゆく きんぱくを まきちらすがごとく] 庄内平野もそろそろ稲刈りが始まる。この平野の大きさは南北約100km、東西40kmもあり、面積53000ha、そのうちの37400haが水田である。また均平率、すなわちどれくらい平坦であるかの度合いでも国内最高位にあるとか。それほどに広大かつ平らであるのは1万年ほど以前はここが浅い海であったからである。鳥海山・月山・出羽山地・摩耶山地・庄内砂丘のもとになった長い砂州に囲まれた浅海であり、そこを月光川や日向川、最上川・赤川などから運ばれてきた大量の土砂がしだいに埋め立ててきた。

大空の質量たしかめ秋燕

[おおぞらの しつりょうたしかめ あきつばめ] 燕の姿をあまりみかけなくなった。南から飛来する数自体が減ったのか、人家の軒先や梁など営巣できるところが減ったからなのかは、よくわからない。以前にも書いたことだが、私の工房の中にも燕が巣をかけようと飛んでくることは以前はよくあった。しかし、工房と自宅は別で夜間や休日その他は閉めており、燕のために終日窓などを開けておくことはできないので、燕もそのうち営巣を諦めてしまったらしい。/燕が人家などに間借りするのは蛇や鴉などの天敵をすこしでも避けようとするためである。完全には防げないにしても人が生活する場の間近なところで雛を育てれば、たしかにかなり安全度は増すにちがいない。

天空の扉ひらきて鳥渡る

[てんくうの とびらひらきて とりわたる]たまたま縁があって鳥海山・飛島ジオパークのガイドをすることになったのだが(先日9月9日に国内40番目のジオパークとして認定)、じつは鳥類に対する知識はたいへん乏しい。ほとんど素人同然であって、雀や鴉や鳶、白鳥や鷺の仲間、鶺鴒、翡翠などをのぞくと、仮にガイドをしていて「あの鳥はなんですか?」ときかれてもほとんどこたえられない。姿を見てもそうだが、鳴声での判別はいよいよ難しい。/草花にしても一般の人よりはいくらか詳しいとはいえ、しょせんは一愛好者であって、およそ専門家とはいえない。昆虫や魚等についても鳥類と似たり寄ったりであって、自然全般をガイドする立場の人間としては、これではまずいのではなかろうかと感じている。しかしもう若い頃とちがって記憶力が劣ってきており、覚えたと思ったそばからもう忘れてしまうのだ。