月別アーカイブ: 7月 2011

ならい加工

フォトスタンドAタイプの「ならい加工」をしているところです。表側はすでに窓あけが終わり、今度は裏から窓板&背板(ともに3mm厚のガラス)の彫り込みを、ならい型(テンプレート)を材料にセットしハンディルーターで削ります。

6mm深さの長方形の彫り込みを行うわけですが、むろんそれにはさまざまな方法があり、これが絶対ということはありません。加工する量や材質、必要な精度や時間、手持ちの機械や道具のいかんによって、とりあえず現段階ではベストと思えるやりかたでやるしかありません。当工房でもこの種の加工では毎回のようになにかしら試行錯誤しています。今回も、これまで使っていたテンプレートが痛んできていたので、裏と表用に9mm厚のシナ合板で新しくテンプレートを作り直すことから始めました。

ルーターのビットは径10mmのものですが、刃の上部に同径のベアリングが付いています。つまりテンプレートの大きさそのままの寸法と形に彫り込みができるということです。ルーターのベースのほうに刃の大きさより一回りか二回り大きい固定式ガイドリングを付けて材料を切削する方法も一般的ですが、まあ一長一短ですね。テンプレートの側面(断面)で常にベアリングやガイドリングが触れるところには、できるだけ損耗を避けるために瞬間接着剤をたっぷりしみ込ませています。写真の黒く太いホースはルーターと集塵機をつなぐ集塵用のホースですが、これで木屑はほぼ100%吸い込んでくれます。前のルーターは集塵装置が付きませんでしたので、ずいぶん快適になりました。

ならい加工で注意しなければならない点は言うまでもなく材料とテンプレートがずれないようにすることです。9000〜22000回転/分と高速回転するルーターでの切削は水平方向の振動が大きいので、材料もテンプレートもしっかりと固定する必要があります。両面テープでの固定程度では振動で外れてしまいます。また表と裏との中心線もぴったり合ってないといけないのですが、いちばん簡単確実なのは材料自体の寸法をみなきっちりそろえておくことでしょう。厚みと縦・横の寸法が同一で(許容誤差0.1mm以下)、各辺の直角が正確に出ていれば。その端面自体を基準として墨付や加工することができるからです。

 

ミャースケ、トント、マーブル

 

左はトント、右がマーブル。もう6年も前の写真で、モノクロでA4判にプリントして額に入れ、居間に飾っています。このときトントは2歳、マーブルは1歳で、いつもじゃれあいくっつきあっていた頃です。2匹ともとても若々しいですね。

 

こちらは手前がミャースケで、向こうがトント。やはり6年前の写真です。

小学生たちと高瀬峡へ

この前、遊佐町内のある小学校の5年生をひきつれて、鳥海山の高瀬峡にハイキングに行きました。レジャーではなく、学校の学習の一環です。事前に教室で鳥海山とその湧水についての特別授業を2時間行い、日をあらためてフィールドワークとあいなった次第。生徒が約20名、先生方が4名、それに私を入れた陣容です。いちおう私がチーフになってすすめました。

はじめの予定では、高瀬峡遊歩道の最奥の大滝まで行くことになっていたのですが、滝直前の中州にかかる橋が4月の大水で流出したままになっていて、小学生たちには渓流を渡るのはちょっと無理ということで引き返しました。これでフィールドワークが終わってしまってはもったいないので、昼食後には長坂道を上がってヒノソで「川遊び」をしました。ズボンをひざまでまくって裸足で沢を遡上します。4mほどの滝を越え、次の10mの滝の下まで全員行きました。登山の一形式である沢登りのまねごと的な活動ともいえます。

裸足であることの利点は、水の中も歩けることです。ひざより浅いところであれば、水中にも適当な足場(スタンス)が思いのほか多いことが分かります。裸足なので岩の細かな凹凸をつかんで歩をすすめることができます。岸辺の大岩を乗り越えてすすむよりも、流れを正面突破するほうがとうぜん楽で、かつおもしろいです。私以外はこういう川遊びをするのは初めてなので、「右足はそこ、左手はここ」と手取り足取りルートを細かく指示しました。絶対走ったり飛び跳ねてはいけない、足だけでなく手も膝・肘・尻もフルに使うことなどを注意します。何人かはあやまって腰まで濡れてしまいましたが、誰も怪我などすることなく200mほどのルートを往復しました。みな大満足、大喜びです。

こうした川遊びは大人にとっても子どもにとってもばつぐんに楽しいのですが、その一方安易に行うと非常に危険です。まず川そのものの選択が重要です。さらに場所の選定。もし落ちても全身水没したり流される心配がないこと、 適度な水位であること(有効水深幅は20cmくらい)、岩石が適度に摩耗していて足を切ったりするおそれがないこと、水が清冽透明で水中の足場が見やすいこと、天気が安定していて急な増水などがないこと、などです。そのため必然的に湧水ではなく雨水中心の渓流でないと上記のような川歩きはできません。湧水主体の渓流の場合は、水量と水温が安定しているために、岸辺も川底も苔むしていることが多く、岩も尖ったままのことが多いので、川中を裸足で歩くといった活動には不向きです。

下の写真は川遊びではなく高瀬峡遊歩道の枝道にある蔭ノ滝での小休止のときのものです。今回のように自分がリーダー格となって団体行動をしていると、写真撮影している余裕は物理的にも心理的にもほとんどなく、まともな写真はありません。まして川遊びの最中の写真は皆無です。

 

フォトスタンドB

昨日(7/12)はAタイプのフォトスタンドをご紹介しましたが、それと並ぶロングセラーの、これはBタイプのフォトスタンドです。最初はCDスタンド専用のつもりで作ったのですが、Aタイプの透明ガラスを併用することで写真などを飾るにもとてもいいということで、Bタイプのフォトスタンドとすることにしました。シリアルナンバーはもうじき1000番。

特徴はなんといっても本体=ベースに対して、穴に差し込まれたスタンドが自由に移動することです。これによってごく薄いものから2〜3cm程度の厚みのあるものまで、さまざまなものを飾ることができます。スタンドは上下を逆にもできるので、ガラス不使用で厚みのあるものを飾る場合は、写真とは逆の向き(下向き)にベースに差し込んで使ってもいいですね。

材質はすべてクルミの無垢一枚板で、サイズは本体=ベースが160×200mmです。値段は税込定価3800円(化粧箱入。送料は個数にかかわらず500円)。

在庫あります(2017.01)。

フォトスタンドA

 

 

フォトスタンド(写真立)の追加製作をしています。個数は24個。当工房で作っているフォトスタンドで定番的なものが2種類ありますが、これはAタイプ。26年前に工房を開設して間もない頃からのモデルです。サイズや仕上方法・塗装などに若干の変更はありますが累計で700個くらいになっています(裏面にシリアルナンバーを刻印)。当工房は特注の家具製作が主体で、小物類はその合間に作っているだけですし、他の小売店に卸したりはしていませんので、超零細企業としてはけっこうなロングセラー商品といっていいかもしれません。記念品や贈答品として数十個まとめて購入される方もたまにいらっしゃいます。

特徴はまず一枚の板をくりぬいていることです。4本の桟を組んでできているフォトスタンドは巷にたくさんありますが、それと同じではつまらないので、あえて無垢のクルミの板を窓抜きしています。強度の関係でフレームの幅をそれほど細くはできないことや、ほんのわずかながら材料の幅方向に反りが出る可能性があること、材料の必要量が多くなりコストがかさむこと、加工も4本桟組みより手間取ることなど、いろいろと「短所」はありますが、完成してみるとやはり存在感はぐんと高いと思います。

次に裏板が合板やMDFではなく、3mm厚の曇りガラスであることです。前面のガラスは3mmの透明ガラスですが(2017/1よりともに2mm厚のアクリル板に変更)、窓より小さめの写真や絵などを飾った場合、余白の裏から光がもれてくるため、写真などが宙にぼうっと浮かんだ感じになります。窓の大きさは96×144mmなので、通常のはがきの100×148mmがちょうどぴったり収まるようになっています。全体のサイズは20×156×204mm。

3つ目の特徴としては吊り紐とスタンドが縦横にそれぞれ付くので、壁掛けにも卓上にも、縦でも横でも4通りに自在に使えることです。

値段は税込定価5500円(旧価格6000円から値下げしました。化粧箱入。送料は個数にかかわらず500円)。

在庫あります(2017.01)。

 

あぢぃ〜


昨日(7/9)の最高気温は34℃をこえました。あんまり暑いので、わが家の猫もだら〜んと伸びています。この暑さのなか全身毛皮を着ていたんでは、そりゃあ暑くてたまらんでしょう。

古い借家で断熱材もまったく入っていないし、エアコンなどあるわけもないので、さして涼しい場所とも思えないのですがトントは衣装ケースの上、ミャースケは私の机の上です。それにしてもミャースケは痩せっぽちですね。仔猫でもらってきてからすでに17年ですから、かなりのおばあさん猫です。

 

真空断熱携帯マグ

サーモス(THERMOS)の真空断熱携帯マグです。左が容量350mlのJMY−351(DBW)、右が容量500mlのJMY−501(NVY)です。

いわゆる魔法瓶の一種ですが、蓋をあけてからはふつうのマグカップのように直接本体から飲料を飲むタイプの魔法瓶です。そのため持ちやすいように首のところがすこしくびれていたり、蓋がワンタッチで開けられる一方で中身が絶対にこぼれないような精細な工夫や、二重の蓋全体を外して中を丸洗いできるようにする、タウンユースや職場などで使いやすいカラーリングなど、さまざまな工夫がなされています。

卓上の魔法瓶や、登山などに持って行く際の携帯の魔法瓶はずっと前から使っているのですが、街場での買い物や会合などの外出のときに適した魔法瓶が別にほしいと思っていました。売り場にはタイガーとか象印とかピーコックとか他のメーカーの同種の魔法瓶もいくつか並んでいましたが、やはり、サーモスのものがいちばんかっこいい。それで選んだのが左の350mlのものです。そうしたらほどなく妻が「職場に持って行くのにちょうどいい。あなたのも買ってあげようか?」と言って見せてくれたのが右の500mlのタイプでした。期せずして同じ物をチョイスしていたわけです。

私が500mlではなく一回り小さい350mlにしたのは、ショルダーバッグに入れて持ち歩くには重さと大きさからいって350mlのほうが良さそうだと思ったからです。実際使ってみると、カップ2〜2.5杯分はあるので、充分な容量です。外出先で、いちいち飲みものを自動販売機で探すのはめんどうだし、350〜500mlのペットボトルを一度に全部飲み干すには多すぎる場合がありますが、この真空断熱携帯マグなら必要分すこしずつ飲めるので、ずいぶん経済的でもあります。他の用事でもとくべつになければ喫茶店に入ることもなくなりました。

 

鳥海湖

昨日(7/6)、総合地球環境学研究所の教授、中野孝教さんと鳥海山に登ってきました。湧水や表流水などの調査と採取のためです。大平口から鳥海湖・蛇石流まで、朝8時から午後5時半までの山行でしたが、計7カ所・20kgほどの水を採取できました。

天気は薄曇りでしたが、鳥海湖から頂上方面まで、また稲倉岳や海岸線と飛島まできれいに眺められました。鳥海湖も半分くらい岸辺は雪渓がかぶっていましたが、その切れ目から湖水を調査し水を取ることができました。中野さんは鳥海山の中腹以上に登ったのはこれがはじめてで、たいへんな感激ぶりです。

花もたくさん咲いていて、オオイワカガミ、コイワカガミ、ハクサンチドリ、ヨツバシオガマ、ツマトリソウ、ゴゼンタチバナ、ニッコウキスゲ、ベニバナイチゴ、ウラジロヨウラク、ウラジロナナカマド、ヒナザクラ、チョウカイアザミ、ショウジョウバカマ、ミヤマキンバイ、ハクサンイチゲ、チングルマ、コシジオウレン、イワイチョウ、シラネニンジン、アカモノ、……。雪解けとともに多くの花がいっせいに開花しています。じつにみごとですが、今日は水の調査なのでゆっくり観察・観賞するゆとりはありません。それに背負った水の重いこと。正直のところかなり疲れました。

 

充電式タッカー

タッカー。ホチキスの親分みたいな機械です。針(ステープル)の大きさはさまざまですが、これは幅10mm、長さ10〜22mmのコの字型の針を打ち込むことができます。マキタのST120Dという機種ですが、通常のタッカーと違うのはエアーや100V交流電源ではなく、充電式バッテリーを装着して駆動すること。後ろに付いている「14.4V」と書いてある黒い四角いものがそれで、マキタの最も汎用性の高いリチウムイオンバッテリーBL1430です。

ドリルや丸ノコ、掃除機、作業灯などと共通のバッテリーなので、いつでも簡単に差し替えして使用できます。すでに充電器とBL1430を使っていれば、使用頻度がよほど高い工具でないかぎり本体のみの購入ですむので、経済的にもとても楽です。当工房の場合、計7種9台の充電式工具を5台のバッテリーで回しています。ここ数年は基本的に一人での作業なので、バッテリー不足を感じることはまったくありません。

タッカーは製品(家具や木製小物など)に使用することはありません。表からは見えないようなところだからといって、ステープルでばんばん止めてあるのは興ざめしますから。長期間の耐久性の点でも不安があります。したがって当工房ではタッカーは作業する上での補助器具=治具などをこしらえるのに用いるだけです。そのぶん出番はぐっと少ないので、エアーホースや電源コードを回すことなくすぐに使える充電式タッカーは便利です。

短所をあえてあげれば、やはり重いこと。電池とモーターが本体組み込みの一体型なので総重量2.2kgと、エアー式の倍ほどの重さがあります。ステープル止めを多用常用してい木工所や家具メーカーなどでは圧倒的にエアー式タッカーであることは納得できます。

飲食店の椅子

昨年4月に酒田市内の某飲食店に、テーブルとともに8セット16人分納品した椅子です。総予算とのかねあいや、あくまでも「業務用」ということで、当工房の標準的な仕様にくらべいくらか簡略化した作りです。超繁盛店のため酷使されていますがどこもガタはきていません。たしか艶消しの塗装のはずだったのですが、あまりにも多用され拭きこまれているためかすっかりつやつやになっています。座面にも擦り傷や凹み(鍵とかボタンとか)がたくさん付いています。材質はクルミ。

お店の床がクッションフロアなので、椅子の足下はフェルトを取り付けているのですが、それがひとつ取れてしまったということで修理。ただし金物店に当該部品の在庫がなく取り寄せするまでの数日間の応急措置ということで、工房にいったん持ってきた際の写真です。

その部品は特殊なものではなく、ごく一般的なものなのですが、小売店はいま在庫をできるかぎり持たないようにしているので、今回のような急ぎの場合は困ってしまいます。在庫を持たないというのはあらゆる業界の「常識」になっていて、それも理解できなくはないのですが程度問題ですね(トヨタのカンバン方式も単に下請・孫請に必要部品の在庫保持を押し付けているだけで、革新的生産方法でもなんでもありゃしないです)。