月別アーカイブ: 11月 2010

ああ極楽

ストーブの前でくつろぐ猫2匹。黒っぽいキジトラがミャースケ、下の大きいなんともいいがたい模様のがトントです。まるでミャースケが小さい若い娘で、トントが肝っ玉母さんみたいですが、ほんとうはミャースケのほうがずっと年上、というよりかなりの高齢。トントは猫としてはけっこう大柄だと思いますが(6キロくらいあるかな)、気はとてもやさしく、ミャースケから寄っかかられても、なにをされてもちっともいやがりません。

猫は本来は単独行動する動物だと思いますが、寒くなると「そんなことはどうでもいいのだ」とばかり、よくくっついています。一匹でいるより各段に暖かいですからね。原理主義よりも現実主義。二匹とものどをごろごろ鳴らしながら極楽気分です、たぶん。

極上栃縮杢

トチノキ(栃・橡)の極上の縮み杢です。木目(年輪)とほぼ直交した横縞が四周のほぼ全面に生じています。これほどきれいな縮みはめったにありません。驚きました。この材料は友人からわけていただいたものですが、大きさは9センチ×13.5センチの断面で、長さは30センチちょっとあります。

トチノキは他の樹種にくらべると比較的縮みなどの杢を生じやすいように思いますが、それでも結果は千差万別で、いちがいにどれがいちばんだとは言えません。なににどう使うかによって向き不向きがとうぜんあります。一般的にいえば柄の大きい家具などには大きめの杢のほうが似合っているでしょうし、小さなものにはより細かな杢のほうが適しているとはいえますが、それもやはり一般論でしかありません。

縮杢とか玉杢とか鳥眼杢といった変わった紋様の木は素材としてはたいそうおもしろいのですが、反面その持ち味を「作品」に的確に生かすのは難問と感じます。一歩まちがえばくどいだけの嫌みなものになってしまいます。

下の写真はこの材の一部に定規を添えて撮ったものです。一寸(約3センチ)あたり7〜8本の縞があるのが分かります。「寸十、寸十二もある」などと材木屋さんからきいたことがありますが、それは話だけで、実物を見たことは私はありません。

いずれにしてもこのような極上の材料を手にすると創作意欲がかきたてられることだけはたしかです。

栗の机

クリ(栗)で作った机です。以前お母様の家具を作らせていただいたことがあるのですが、こんど子供さんが小学校に入られたということで、机のご注文をいただきました。大きさは幅1100ミリ、奥行600ミリ、高さ700ミリで、脚と脚をつなぐ幕板に浅い抽斗が一杯組み込んであります。

この位置に抽斗をもうける場合、甲板(天板)上端と幕板下端との寸法はおおむね11センチ以内におさめないといけません。それより大きいと座ったときに膝が当たるか、甲板が高すぎることになるからです。またふつうは甲板下につり下げ式に抽斗をセットすることが多いようですが、当工房としては「それは美しくない」と感じています。

今回は全体の寸法や細部の形状も含めて、お父様から具体的なごリクエストがございましたが、いちばんのご希望は、市販品のようないろいろ付属品のついた「学習机」ではないシンプルなものをと。材料をクリにしたのはこちらからの提案ですが、結果たいへん喜んでいただきました。

無垢材でしっかりと作れば、家具は数世代にわたって使用できます。最初に用途を限定しあまり特殊な作りにしてしまうと、あとあと応用がききません。シンプル・イズ・ベストと思いますが、いかがでしょうか。

湿原

昨日「クマの糞がいっぱい」という記事をアップしましたが、その湿原の写真です。上は湿原の下流側からみたもので、湿原全体の三分の一程度が写っています。手前はけっこう深い沼地。遠景は雪をかぶった鳥海山の上部。下の写真は湿原の一部ですが、対岸にミズナラがまとまって生えているのが分かります。いかにもクマなどが好みそうな場所ですよね。もちろん一般登山道などからは遠く離れています(安全上の問題もあるので詳しい場所などは、すみませんが伏せます)。

詳しい調査はされていませんが、おそらく特異かつ貴重な生態系があり動植物が生息しているのはまちがいないと思います。今回、水を精密分析していただく総合地球環境学研究所の中野孝教先生も非常につよい関心を示されていました。鳥海山は知れば知るほど宝の山だと感じます。

クマの糞がいっぱい

遊佐町から受託した鳥海山の湧水や表流水などの調査採取ですが、南西側標高340m付近にある湿原を調べていたら、8.1℃の湧水(ここでは広範囲の浸出水)にくわえ、なんとツキノワグマのたくさんの糞に遭遇しました。岸辺をざっと見渡しただけで十数カ所、しかもまだ真新しい糞です。

多くは半球上に盛り上がっていますが(直径12〜16cm)、なかには肛門の大きさそのままにとぐろを巻いているものも。写真は大きさが分かるように6×10センチほどのコンパスを添えています。付近にはミズナラがたくさん生えておりドングリが落ちています。糞を棒でつついて中を見るとそのドングリを食べたあとのようです。

私はこの数十年、鳥海山には数えきれないほど登っています。クマの糞や足跡や気配などには何度も出会っていますが、クマ自体には出会ったことが一度もありません。今回も姿こそ見ませんでしたが、私一人でしたしこれほど大量の糞を目撃して、さすがに心細くなりました。

栗の小簞笥

栗の小簞笥クリ(栗)の小簞笥ですが、奥行きと高さが約30センチ、幅が36センチくらい。ただし、本体の右側板〜天板〜左側板、抽斗3段の前板はそれぞれ一枚の板から連続して取っているので、木目がとぎれることなくきれいに続いています。天板と側板は前留合9枚組手で接合しています。

黒い把手はシャム柿(メキシコ産のシリコレ)から削りだしたオリジナルなもので、前板の裏からくさびで止めています。ねじ止めなどと違って緩むことはまずありません。

プラスチック製のレターケースを我慢しながら使われていた方からのご注文でしたが、もったいないと仰りつつ喜んで使われていました。急ぎではないのですが、似たような小家具を「あと二つね」とのこと。どの材料で作ろうかなと私自身も楽しみです。

クリは木目がはっきりしていて力強さがあり、個人的にも好きな木ですが、最近は入手がたいへん難しくなってきました。食卓テーブルなどに使える大きさで上物の一枚板ならケヤキよりも高価ですね。

黒柿角形被蓋くり物

黒柿の箱です。指物ではなく実・蓋ともに厚板を彫り込んで作った「くり物」で、大きさは132×182×36.5ミリ。鏡面塗装仕上げ。

知人から「勤続30年の記念として」ということで、だいたいの予算以外はまったくお任せで注文があり、作らせていただきました。現在当工房で持っているいちばん上杢の材料を使い、慎重に製作しました。なにしろ代替えのきかない超貴重材ですから、うっかりミスはぜったいに許されません。

旋盤を用いての黒柿の蓋物はこれまでもいくつか作っていますが、角形の被蓋くり物は今回が初めてです。きっちり作られた指物の箱ももちろん魅力がありますが、厚い板を彫ってこしらえた箱というのはまた別のとびきりの魅力があります。

ブログ開設

ブログを始めます。パソコンのOSとHP作製ソフトのミスマッチのため実質2年も更新できていませんでしたが、今回WordPressというソフトを使ってブログ形式で再開をするべく奮闘中です(旧HPも閲覧できます)。