家具のリメークなどを依頼されている方の、ご自宅のリフォーム工事がほぼ終わり、一室の壁の塗装をオイルフィニッシュで行うことになりました。ご自分で塗ってみるということなので、当工房で使用しているそれ用の塗料=キャピタルペイントの「NA−6 オリオ2」を小分けすることにしました。写真はメーカーで一般の方向けに配布しているリーフレット(ちらし)の表と裏です。※写真をクリックすると画像が拡大され、細かい文字まで判読できるようになります。
オリオ2は主剤は植物油ですが、ウレタン系の硬化剤とそのつど調合して使います。主剤が2、硬化剤1、専用のシンナー(希釈剤)が1の割合です。一般的な他の「自然塗料」にありがちな、ベタつき感やオイル臭がいつまでもいくらかは残ること、汚れを完全にはブロックできないこと、塗装時の余分なオイルを拭き取ったりしたウェスが自然発火する場合があること、などといった欠点をかなりの程度に解消しています。当工房でもこれまで内外の他のメーカーの自然系塗料をいくつも使用してみましたが、オリオ2がいちばん気に入っています。
オリオ2を家具等に施すときの手順をやや簡略して記すと、
1)木地をサンディングペーパーでできるだけ平滑にします。塗膜を作るタイプの塗料とちがって塗装後も木地の凹凸はある程度残るので、サンディングはよりていねいに行う必要があります。180→240→320番くらいまでやったほうがいいでしょう。研ぎカスはきれいなウェスで拭き取ります。可能ならエアブローすればもっといいです。
2)調合は秤やメジャーカップなどを用いて厳密に行います。いいかげんに混ぜ合わせると本来の性能を発揮できませんし、故障の原因となります。また一度調合したオリオ2はたとえ完全密封しても化学変化によってゲル状に硬化してしまうので、可使時間は常温で7〜8時間くらいです。
3)調合したオリオ2を油性刷毛で木地に塗ります。よく染み込むように、もうこれ以上は浸透しないなと思うまで連続的に何回もなぞります。
4)10分程度時間をおいて、表面に浮いた余分なオイルをきれいなウェス(白のメリヤス生地ウェスがベター)で拭き取ります。手にはゴム手袋をはめたほうがいいです。私も愛用していますが防水透湿素材の「テムレス」が具合がいいですと思います。
5)使用した刷毛や塗缶などはそのままにしておくとオイルが硬化して使用不能となってしまうので、洗浄用のウレタン系のシンナーでよく洗います。ただ完全には塗料を取りきれないので、当工房では洗浄後の刷毛をシンナーを半分ほど満たした密封容器内に吊るしておきます。しかし、アマチュアの方はそこまではとてもやりきれないと思いますので、ホームセンターなどで売っているごく安価な刷毛のそのつどの使い捨てでもやむをえないでしょう。
6)常温で8時間くらい、冬場は丸一昼夜ほど放置して、べたつきが全くなくなるまでよく乾かします。
7)2回目の塗装です。上記の1〜4を繰り返しますが、まず1回目の塗装時に浮いてきた木地の微細な凹凸や周りからのほこり・ゴミをていねいにペーパーで落とします。2回目は1回目に比べると塗料の浸透・展着はだいぶ少なくなりますので(3〜4割減ほど)、塗装後の乾燥はすこし早くなります。
8)完全に乾いたら400〜600番くらいのペーパーで軽くなでて終了です。
簡単に書くつもりでいたのですが、必要な事項をあげるとけっこうたくさんありますね。それでも例えば二液型のポリウレタン塗料を刷毛で数回塗り重ねるのに比較すれば手間的にも技術的にもかなり楽なはずですので、とくにアマチュアの方の木工品の仕上げにはおすすめです。