宮司さんのお話

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一昨日も胴腹ノ滝に調査と水汲みに行ったのですが、ちょうど宮司さんがおいでだったので、いろいろとお話を伺いました。これまでは簡単にあいさつをするくらいだったので、胴腹ノ滝についての詳しいことを訊いたのは私も今回がはじめてです。その中からいくつかかいつまんで、以下に箇条書きで記します。ただ、立ち話でメモも取っていなかったので聞き間違っている部分もあるかもしれません。後日また追加や訂正を行いたいと考えています。

● 滝は神社の境内地(官地)内にあるが、その範囲境界などがはっきりしたのはわりあい最近のこと。
● 滝の周囲には樹齢三百年くらいのスギの大木が何本もあったが、今はその切り株がかろうじて残っているだけ。現在たくさんのスギが生えているがみな近年植林したものだ。その前は広葉樹主体の雑木林だった。
● 滝は大雨や、周囲の冬の凍結と解凍などで崩れやすく、そのたびにえぐれたところに岩を投入するなどして崩壊を防いできた。ときには命がけの作業だった。
● 以前は滝より下の流れはずっと下までは続いておらず、現在の水汲み場の上あたりで地中に伏流となって消えていた。その後岩石や小石などをたくさん下流側に投入して整備をすることによって、今のような渓流にした。
● 昔は今の水汲み場の前あたりに社があり、そばの小屋で修験者がひと月ほど寝泊まりしたこともある。その場合水はとうぜん胴腹ノ滝の水だが、野菜などはすぐ近くに畑を作り自給していた。
● 二十年くらい前にマスコミで紹介されて一躍有名になった。大勢の人が観賞や水汲みに来たが、なかにはゴミや煙草を投げ捨てたり、沿道のヤマユリなどの山野草を盗掘する者も少なくなかった。見つけるたびに注意したが、逆にくってかかる人もいる。相手を選んだ言い方をしないとな。
● 「有名な胴腹ノ滝の石」ということで人手で持てるくらいの大きさの苔むした岩を盗んでいった者もいた。やくざなんかの小遣い稼ぎだな。ずいぶんたくさんの岩がなくなった。
● 明らかに商売目的で大量に水汲みを行う者もいて、何度も注意したので最近はあまり見かけない。悪質なのはやくざなどだが、個人でも知人に配るために遠方からワゴン車できて小遣い稼ぎをしている者がいる。
● 賽銭泥棒や社荒らしする者もいる。建物の扉をバールで無理やりこじあけて中の物を盗んでいく。プロの泥棒はうまく解錠していくので犯行がなかなかばれにくい。
● 滝の周囲でも採石は全面的に行われてきた。ここらへんはxxがやってたかな。ただし昔は表面に顔を出している転石を庭石目的で採っていたので、湧水が涸れるなどの目にみえる被害はなかったようだ。現在のあの、重機を使った地面深くまで掘り下げての大規模の採石はよくない。
● 雪解けや長雨が続くと滝の水量も増える。水源は吉出山あたりかな。(←これはたぶん違っていて、水温と水質から判断するともっと北側の上ノ山ノ神から渡戸手前にかけての「谷地」あたりが主な涵養域だろう。大江)
● 十数年前までは、ときどきだがものすごい豪雨があって、胴腹ノ滝以外の滝が斜面のあちこちに出現し、斜面の下方が大洪水になったこともある。
● 歩道沿いの草木に名札が立ててあるが、あれはxxでやったんだったかな。小学生などがその木札を的にして石を投げたり、柱を岩で打ち付けたりしてみんなだめになってしまった。
● いまはちゃんとした駐車場ができたが、それまでは路上駐車。しかし狭い道の両側に車を停める心ない者もいて、他の車が通れず困ったこともよくあった。自分さえよければいいんだな、ああいう人は。車は片側だけにきちんとならべて停めないとな。
● 右と左とで味が違うなどと言われることがあるが、人によってさまざまだし、自分ではよく分からない。
● 今は遊佐町からの補助もあり、歩道や水汲み場の整備などもすこし楽になった。ただ年なので前のように毎日早朝に掃除に来たりはできなくなった。

いやあ、はじめて聞くような驚くようなことも多かったです。里に近い山の湧水ですから、やはり自然そのままなのではなく、昔からずっと継続的に誰かが(宮司さんや檀家の方たちなど)手入れをしてきたからこそ、いまの名勝胴腹ノ滝があることをあらためて肝に命じました。それにしても石や草木の盗掘をしたり物を壊すなど、アホタレな輩がじつに多いですね。

 

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